伝説の欠片~異世界冒険記~

Mew

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プロローグ

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「今日は特別授業です!」

特別授業と聞き、テンションが上がる生徒達だがあんなことが起ころうとは誰一人として知る由もなかった。

俺は羽柴 蒼はしば そら
ただ少し裕福というだけのゲームオタクだ。
しかしゲームオタクだからと言ってもイジメられてるとか、浮いてるとか、この学校生活が嫌だとか、そういう訳じゃない。

なんなら彼女だっているから…。

「蒼!またこんなところに居て…やっぱり!またゲーム!」

「ちょっと今良いところなんだ」

「あと5分で授業だってば!」

「別にサボっちゃえば…イテテ!耳引っ張ることないだろ…」

彼女は柏木 美紅かしわぎ みく
先程言ってた俺の彼女で、昔からの幼馴染みだ。よく俺が屋上や倉庫で隠れてゲームをしてる所に突然現れては引っ張っていく。

付き合ったきっかけは中学校の夏、毎年行ってた花火大会の時に思わず気持ちを伝えてしまった時だった。

ま、まぁこんな話は要らないよな。

「どうせ?蒼は授業なんか出なくても、1位取れますよって事が言いたいの?ねぇ?」

ちょっと怖い顔つきで迫ってくる。
俺はよく授業をサボるが成績も悪くなけりゃテストの点数も悪くない。
今のところ1位継続中だ。

「わ、わかった。教室に戻るって…」

「そろそろ自分でちゃんと帰ってきてよね」

ーーーー『3年C組、羽柴 蒼。今すぐ教室に戻ってくるように』

「ほら!放送ですら呼ばれるようになってるよ!?」

「なんで放送なんて使ってるんだよ…」



「羽柴くん!またサボろうとしたわね!」

「あー、すいません」

「柏木さん、いつもありがとねぇ」

「そんなことないですよ、小野寺先生」

なにかしら俺を授業に参加させようと一番奮闘する小野寺 鈴おのでら りん先生は厄介だな…。

しかし放送で呼び出すなんて今まで何回もサボる事があったが一度も無かったぞ。

「そうそう、C組の五時間目の授業が急遽、特別授業に切り替わったのよ」

「そうですか…」

「それがね、学校に突然大きな機械がC組全員分が送られてきたのよ」

「機械…?うちのクラスに?」

「なんたって、その企業はあの大手企業〈アルティメア〉から送られてきたんだもの」

「それは誤発送ではなく…?」

「間違いなくこの学校に、それも詳しく言えば貴方。羽柴くんに向けて送られてきてるの」

「俺に?〈アルティメア〉から?」

確かに俺は昔に一世を風靡ふうびした『ディメリメント』というMMORPGを廃人プレーしていた記録を残してしまった。
その『ディメリメント』を作っていた会社が確か〈アルティメア〉だった気がする。

だが何故俺に?いや、何故学校になんだ?

「そう、羽柴くん宛に手紙も預かってるのよ」

「なになに…」

『やあ、こんにちは。私は〈アルティメア〉の代表取締役会長の海道 穣かいどう みのるというものだ。突然だがこの最新型ゲーム機の〈ドリミア〉を君に、いや、君のクラス皆にプレゼントしよう。君はトッププレイヤーだったからね。勿論あのときの年齢の件をとやかく言うつもりはないよ。因みにクラスメイトのアカウントもカードに作ってあるから配布してくれたまえ。勿論君の前のアカウントも使えるからね』

「な、なんだこれ」

「どうしたんですか?」

「実は…カクカクシカジカ…」

「概ね、教師用の物と変わらないみたいね」

「で、これを今から体験してみる…と?」

「そういうことよ、直ぐに体験してみてくれって書いてあるしね」

よくこんな願いを学校側は受け入れたな…。
特別授業?いや、これはゲームだろう?
何を考えてるかは分からないがあの〈ディメリメント〉ができるならばいいか。

ーーー〈ディメリメント〉それは数年前に発売され、最新の更に一歩先をいくとうたわれて発売され、俺は感銘を受けて親に人生で初めて頼み込んで買って貰ったゲームだ。

それもテスト等の日を除いてはずっとこのゲームをしてたくらいだ。
よく美紅や他のみんなから軽蔑されなかったものだ。
廃人ゲーマーと言われても仕方がない。

「なんだなんだ?」

「これから最新のゲームを体験できるみたいだぞ」

「「おぉぉ!」」

特別授業にゲームができると知った男子一同は歓喜、あまり騒がない人達でさえ〈アルティメア〉からの贈り物だと聞いた途端に騒ぎだしていた。

女子の反応は男子程では無かったが、最新の技術や特別授業に変わったこともあってか少しは乗り気な様だ。

機械が置かれている体育館に入ると皆のテンションは更に上がっていた。

「先生はあまりゲームをしたことがありませんが…」

「説明書には専用着を着てカプセルのなかに入り、セット完了の後にボタンを押すとゲームに接続完了、だそうです」

成る程、今の説明を聞く限りだとVRなのか…?
だがどうやってこんな小さなカプセルに入って操作するんだ。

「なんとこのスーツを着ることによってゲームのアバターとの神経がほぼ、一致することにより現実とは少しの差しかないらしいです」

なっ…そんなことが可能だというのか。

これは革命だぞ…。

「大まかな説明は聞いたわね、早くログインして見ましょう」

一人一人にアカウントカードが配られた後、皆カプセルに入っていったのを見送った俺もカプセルの中に入り、ログインの設定を進めていく。

『ようこそ〈ディメリメント〉へ』

「おぉ、なんだこれは…ここにIDとパスワードか…」

着々と進めていくと最後はログインボタンを押すだけとなった。
前と変わらない仕様に数年ぶりに心を踊らされた。

「よし、ログイン!」



「ーーーはっ!なんだこの感覚…」


突然意識が飛んだように思うと直ぐに戻ってきた、変な感覚だな。
それに……手の感覚から肌触りまで現実とは寸分変わりないじゃないか。

「ここは…憩いの広場か」

ここは集合したり、よく使い魔と遊んだものだな。
ここで団欒してると新密度が上がりやすくて、それにーー。

「な、なんだここは!」

「これがゲームだっていうのかよ」

「すごいわね…」

光と共に憩いの広場に転送されてきた様だ。

「おぉ、美紅はエルフっぽいな」

エルフは魔法の操作に長けていてその魔力量はセコいと言われる程に他種族よりも秀でている。
エルフになったこともあってか更に美人になっている気がするが…。
それに現実よりも膨らみが…。

「おーい、蒼?どこだー」

俺の名前を呼んでるこいつは南 祐希みなみ ゆうき
美紅と同じく俺と幼馴染みだ、こいつは何かと俺を呼んでくる。
ゲームをしてるときだって、勉強を教えてくれだのなんだのと。

「ここだ~…?」



その時俺はある違和感を覚えていた。

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