異世界神世界~神の実在した世界で俺が手に入れた力は無属性!?~

KT

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1章 異世界転移編

仮面の男 ★

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後ろから男の声が響いた。振り向くと20m先からギザギザ頭でがっしりした長身の男が近づいてきた。年齢は恐らく自分より一回り上。

タンクトップのような服を着ており、胸の辺りにはサクヤと同じバッジを付けていた。


「サ、サイオーグさん..。」


サクヤが呟いた。多分この男の名前だろう、と宗助はサクヤから目線を外し、また、男に向けた。すると男は急にピタリと立ち止まり、ジロジロと全体を見回した。しばらくして、こちらに目を合わせると、


「この有様を見て大体状況は把握したが、一つだけ解せないことがある。サクヤ、その隣の男は誰だ。見たことのねぇ服装の上に体から禍々しいオーラを放っているんだが..。」


「彼はソウスケと言って、私が外で見回りをしているときに禁断の森から出てきたところを見つけ、一緒にここまで同行してきたんです。」


「禁断の森から出てきた.......だと..?」


その言葉を聞いた途端、宗助は全身に寒気が走った。体がどんどん硬直していくのが分かる。その原因は考えるまでもなく理解した。それは今目の前に立っているこの男からあふれ出る殺気だった。

サクヤの方をがちがちに震える体とは裏腹に良く動く目玉を向けると、彼女も同じように怯え切っていた。


「こいつは緊急事態だ。そこのソウスケとかいう男。悪いがお前は拘束させてもらう。」


「えっ......ちょっ..」


ドスッ


宗助が声に反応しきる前に腹に鈍い音が響いた。


「がっ......はっ.......?!」


そのまま宗助は倒れこんだ。一瞬の出来事に何が起きたのか理解できなかった。意識が薄れていく中で唯一理解できたのは20mも先にいたはずのサイオーグが目の前に立ち、見下ろしていたことだけだった。そして宗助の意識は途切れた。


              ・

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              ・

              ・

              ・


「うっ......ここ...は..?」


目が覚めると真っ先に目に映ったのは檻だった。


「どこだよ、ここ.....いてっ、、。」


身体を起き上がらせようとすると急に何かに引っ張られ、尻餅をついた。その原因はすぐに分かった。両手に頑丈な鎖を付けられている。それは手首の隙間が全く無いといっていいほどピッタリ装着させられていた。身体は少し腹に鈍痛があるだけで他に目立った形跡は無かった。


「何で俺こんな目にあってんだよ...。」


思い出せることと言えば、サクヤと一緒に七三分け頭の貴族をぶっ飛ばした後、急に現れたサイオーグとかいう奴に気絶させられたことしかーーーー


「...ってサクヤはどうなったんだ?!まさか、あいつに、、!!」


「彼女ならまだ生きているよ。」


完全に独り言で言ったはずの言葉に誰かが返事を返してきた。それに驚いた宗助は辺りを見回した。檻の中にはどうみても自分しかいない。外側にも人の姿はない。


「すまない。少々驚かせてしまった。」


また声が聞こえた。それと同時にコツコツと歩く音が近づいてきた。音のなる先は檻の外側にある暗闇から聞こえてくる。どんどん音が大きくなるにつれて、暗闇からうっすら人影が見えてきた。そしてピタッと音が止むと檻の外側に歪なマスクを付けた男が立っていた。服装は明らかに宗助がもといた世界でよく見るサラリーマンが着るスーツに見える。






「あなたは誰なんですか?」


宗助が恐る恐る尋ねる。


「別に今は知らなくてもいいさ。それより君はこんなところでずっと捕まってていいのかい?君と一緒にいた子はもうすぐ処刑されるようだが。」


「処刑!?サクヤが!!?」


とっさに立ち上がろうとしたが両手の鎖にまた押し戻される。


「そこから出してあげようか?」


仮面男がふと問いかけてきた。


「本当ですか!?でも、何で見ず知らずの俺にそこまで..。」


啓介は警戒する。


「実は少し前の君の様子を見せてもらったよ。どうやら君は面白い力を持っているようだね。私と同じように。」


「私と同じ、、?」


「いや、すまない。こちらの話さ忘れてくれ。それより君はこんなとこにいていいような人間ではないと私は思っている。君が出たいのならすぐにでも出してあげるが、どうかな?」


「出れるなら出してもらいたいけど......。」


「なら出してあげよう。」


そう言うと仮面男は腰の剣を抜いた。すると、


スパパン    ガラガラガラガラ


その瞬間檻の柵が大きく切り飛ばされた。


(今、檻を切ったのか!?全く剣筋が見えなかった!)


一瞬で檻を破壊してしまったことに驚く宗助に構わず、仮面の男は平然と檻の中に入ってきた。


「その手錠も外そう」


パキパキパキィン


彼が手錠に触れるとたちまち手錠が粉々に砕け散った。


「あれだけびくともしなかった手錠がこんなあっさり...!!」


「さて、これで君は自由の身になったわけだが、まだやることがあるはずだね。」


「そうだ!!すぐにでもサクヤを助けに..!」


「その前にこれを持っていくといい。」


そう言うと仮面男はどこからか出したのか分からないが、両手でもはみ出るほどの大きく、白金色に輝いた水晶の塊を片手で出してきた。


「え..。これは一体何ですか?」


「これは、神器の元になる鉱物さ。神器とはこの国の4位階級から持てる武器のことで、君が戦ったあの男が持っていた剣、私の所持しているこの剣も神器であり、それら全てはこの鉱物から生まれたのさ。」


「神器...!それで、これを俺はどうすればいいんですか?」


「簡単なことさ。これに君の右手で触れて魔力を流すんだ。そうすると君に適合する武器になる。」


「俺の武器...でも俺魔力なんて...。」


「いいから触ってみるといい。」


宗助は恐る恐るその塊に触れて右手に力を入れる。すると、突然その塊は溶け始めた。


「うわっ..!?」


驚いた宗助は手を引っ込めた。塊はそのままどろどろに溶けていくかと思いきや、少しずつ形が変化し始め、数秒足らずで剣の形に変わった。


「ほぅ、どうやら君には剣が似合うようだね。」


そう言うと仮面男は剣の形をした水晶を宗助に手渡した。



「これが俺の武器ですか..?」


それは剣の形はしているが、まるで氷をただ形だけ加工しただけのような粗末なものに見えた。


さらに宗助がそれ以上に不思議に思ったのはその剣もどきの重さである。かなり重量があると思いきや、重さも精々竹刀程度の重さに感じた。


「それはまだ神器になりかけの状態さ。もう少し君の魔力に馴染ませることで本当の神器に変わってくるんだがどうやらそんなに悠長にしてる場合ではないね。そろそろ処刑の時間だ。」



「いえ、ここから出してもらった上に武器まで用意して貰ってありがとうございます。このお礼はいつか..!」


「気にしないでいいさ。それより彼女の処刑はこの建物の屋上だ。行くにはこの通りを右に曲がった階段から行けるよ。急ぎたまえ。」


「はい!ありがとうございました!!」


宗助はお礼を言うと一目散に走っていった。


「さて、あの少年は私の予想を越えてくれる存在になってくれるかな。」


仮面男はそう呟くと闇の中に消えていった。
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