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第四章 森の精霊
第72話 幻扉が開く時――新たな動きが始まる
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「ルキューッ」
悲しげな鳴き声が響くーー。
ルクピーが、ミィナの腕の中から、つぶらな瞳を凝らして一点を見つめていた。
その視線の先にあるのは、リーファと魔獣の間に存在するオーラ。
ちょうど、ミオルネがいるあたりであった。
そしてミィナも、同じ場所を見つめていた。
暖かく、そしてーーどこか悲しい夢を見ているかのように。
「なぜ、アマト殿があそこにおるのじゃ……」
さっきまで隣にいたアマトが消え、対岸に現れたアマトを見ながら、思わず口に出した。
「"幻扉"さ」
ルノアが対岸の様子を見つめながら言った。
「"幻扉"……じゃと?」
グラントがルノアを見る。
すると、今度は、ルダルが答えた。
「そうだ。アマト様の信じられないスキルの一つ。一度会った者や行った場所へ一瞬で繋がる移動スキル」
あっけに取られた顔のまま、グラントがルダルに視線を移す。
「つまり、アマト様は、いつでもあの場所に行けたということだ」
「なんと!だからアマト殿は、ギリギリまで待っていたのか!?」
驚くグラントに、ルダルも三人娘もほくそ笑む。
再びリーファの方へ視線を移すグラント。
その視界には、今まさに"光柱"を放とうとするリーファが映っていた。
場面はまさに最終局面。
魔獣が悲鳴と共に倒れ、リーファが落下し始めると、アマトが空中で受け止め、地上に降り立つ。
その僅かの間、グラントは奇跡を目の当たりにしたかのような感覚に襲われていた。
グラントだけではない。
ルダル、ルノア、エメルダもその美しい逆転劇に笑顔で目を見張っていた。
ただ、ルクピーとミィナは違っていた。
悲しげな瞳のルクピー。
そして、ミィナの瞳からはひと雫の涙が溢れたーー。
しばらくすると、ルダルとグラントの前に、扉が現れたーーアマトの"幻扉"である。
扉が開くと、その向こう側には、リーファを抱えるアマトが立っていた。
「アマト様!」
と言って、扉に走り込むルノア。
「もう、ダメッ……カッコ良すぎる」
エメルダはいつものように失神しそうになるも、なんとか気を立て直して扉へ這う。
グラントは突然現れた扉に目を見開いている。
「行こう」
と言って、ルダルが歩き始めると、グラントは我に帰って後から続いた。
「ルクゥ……」
ミィナの腕の中でルクピーが小さな鳴き声を上げると、ミィナは涙を払い、優しくルクピーの頭を撫でた。
そして、
「大丈夫よ。いきましょ?」
と微笑むのであった。
アマトは、抱えているリーファの顔を静かに見ていた。
前世で、最も見慣れた顔にそっくりな顔立ち。
(本当に赫夜じゃないのか……?)
そんな思いが、アマトの脳裏を掠めた。
そこにルノアが駆け寄ってくると、アマトの腕の中のリーファを覗き込む。
「いいなぁ、お前。アマト様に抱っこされて」
と、ちょっとやきもちをやく。
そしてミィナ達も歩み寄ってきた。
ミィナはルクピーをリーファの顔に寄せると、
「ねっ、大丈夫よ」
と言って再びルクピーを抱っこした。
ルクピーも少し安堵の表情を浮かべてミィナの胸の中に擦り寄った。
「こいつ、こんな顔をするんだな」
エメルダが、リーファの意外な寝顔に驚いていた。
その寝顔は、子供が嬉しい時に見せる最高の笑顔に近かったからだーー。
ルダルも「200歳近いがな」と微笑んだ。
その時ーー
「……お母さん」
リーファの寝言がその場を一つにするーー。
仲間達は、顔を見合わせると、皆、静かに微笑み、優しい眼差しでリーファを見つめるのであった。
そして、傍に一人立っていたグラントだけがーーどこか安心した表情を浮かべ、その様子を静かに見守っていた。
それはまるで、長い旅路の果てに肩の荷をおろした時に感じる、静かな達成感にも似ていたーー。
その頃、ガルテリアのアークリオスの玉座の間――
「ぐふふ」
アークリオスは、窓辺に腰かけるラグニアをいやらしい目つきで眺めながら、妄想に耽っていた。
その時だった。
「た、大変です、陛下!緊急のご報告を申し上げます!」
重厚な扉を勢いよく押し開け、兵士の一人が駆け込んできた。
「何事だ!無礼者め、今は余の神聖な時間ぞ!」
苛立ちを隠そうともせず、アークリオスが声を張り上げる。
「し、失礼しました!」
兵士は慌てて膝をつき、額を床に擦りつけるように頭を下げた。
そして、震える声で報告を続ける。
「魔獣召喚装置にて……新たな魔獣の召喚を行いましたが……」
言葉が途切れる。
その沈黙に、アークリオスの眉がぴくりと動いた。
「……失敗したのか?」
低く、冷たい声。
兵士の背筋に冷汗が流れる。
「い、いえ!召喚自体は成功いたしました!」
「ならば何を騒ぐ!愚か者め」
アークリオスは吐き捨てるように言い、再びラグニアの方へと顔を向けた。
その口元には、いやらしい笑みが戻り始めていた。
しかし、兵士は震える声で続けた。
「成功には成功しましたが……装置が、召喚直後に爆発を起こし……大破いたしました」
ピシッ。
空気が凍てつく音がした。
「……なんだと?」
一瞬の沈黙ーーアークリオスが玉座から勢いよく立ち上がる。
顔が見る見るうちに鬼の形相となり、やがて絶叫が響いた。
「な、な、なぁぁんだとぉぉぉッ!!?」
怒号と同時に、立ち上がった拍子で、彼の衣服にあしらわれた宝飾が弾け飛び、カラン、カランと乾いた音を立てて、宝石が方々に床を転がって静止した。
ただその音だけが、静寂な空間に鳴り響き続けていた。
それはまるで、何かの始まりを告げる警鐘のようにーー
悲しげな鳴き声が響くーー。
ルクピーが、ミィナの腕の中から、つぶらな瞳を凝らして一点を見つめていた。
その視線の先にあるのは、リーファと魔獣の間に存在するオーラ。
ちょうど、ミオルネがいるあたりであった。
そしてミィナも、同じ場所を見つめていた。
暖かく、そしてーーどこか悲しい夢を見ているかのように。
「なぜ、アマト殿があそこにおるのじゃ……」
さっきまで隣にいたアマトが消え、対岸に現れたアマトを見ながら、思わず口に出した。
「"幻扉"さ」
ルノアが対岸の様子を見つめながら言った。
「"幻扉"……じゃと?」
グラントがルノアを見る。
すると、今度は、ルダルが答えた。
「そうだ。アマト様の信じられないスキルの一つ。一度会った者や行った場所へ一瞬で繋がる移動スキル」
あっけに取られた顔のまま、グラントがルダルに視線を移す。
「つまり、アマト様は、いつでもあの場所に行けたということだ」
「なんと!だからアマト殿は、ギリギリまで待っていたのか!?」
驚くグラントに、ルダルも三人娘もほくそ笑む。
再びリーファの方へ視線を移すグラント。
その視界には、今まさに"光柱"を放とうとするリーファが映っていた。
場面はまさに最終局面。
魔獣が悲鳴と共に倒れ、リーファが落下し始めると、アマトが空中で受け止め、地上に降り立つ。
その僅かの間、グラントは奇跡を目の当たりにしたかのような感覚に襲われていた。
グラントだけではない。
ルダル、ルノア、エメルダもその美しい逆転劇に笑顔で目を見張っていた。
ただ、ルクピーとミィナは違っていた。
悲しげな瞳のルクピー。
そして、ミィナの瞳からはひと雫の涙が溢れたーー。
しばらくすると、ルダルとグラントの前に、扉が現れたーーアマトの"幻扉"である。
扉が開くと、その向こう側には、リーファを抱えるアマトが立っていた。
「アマト様!」
と言って、扉に走り込むルノア。
「もう、ダメッ……カッコ良すぎる」
エメルダはいつものように失神しそうになるも、なんとか気を立て直して扉へ這う。
グラントは突然現れた扉に目を見開いている。
「行こう」
と言って、ルダルが歩き始めると、グラントは我に帰って後から続いた。
「ルクゥ……」
ミィナの腕の中でルクピーが小さな鳴き声を上げると、ミィナは涙を払い、優しくルクピーの頭を撫でた。
そして、
「大丈夫よ。いきましょ?」
と微笑むのであった。
アマトは、抱えているリーファの顔を静かに見ていた。
前世で、最も見慣れた顔にそっくりな顔立ち。
(本当に赫夜じゃないのか……?)
そんな思いが、アマトの脳裏を掠めた。
そこにルノアが駆け寄ってくると、アマトの腕の中のリーファを覗き込む。
「いいなぁ、お前。アマト様に抱っこされて」
と、ちょっとやきもちをやく。
そしてミィナ達も歩み寄ってきた。
ミィナはルクピーをリーファの顔に寄せると、
「ねっ、大丈夫よ」
と言って再びルクピーを抱っこした。
ルクピーも少し安堵の表情を浮かべてミィナの胸の中に擦り寄った。
「こいつ、こんな顔をするんだな」
エメルダが、リーファの意外な寝顔に驚いていた。
その寝顔は、子供が嬉しい時に見せる最高の笑顔に近かったからだーー。
ルダルも「200歳近いがな」と微笑んだ。
その時ーー
「……お母さん」
リーファの寝言がその場を一つにするーー。
仲間達は、顔を見合わせると、皆、静かに微笑み、優しい眼差しでリーファを見つめるのであった。
そして、傍に一人立っていたグラントだけがーーどこか安心した表情を浮かべ、その様子を静かに見守っていた。
それはまるで、長い旅路の果てに肩の荷をおろした時に感じる、静かな達成感にも似ていたーー。
その頃、ガルテリアのアークリオスの玉座の間――
「ぐふふ」
アークリオスは、窓辺に腰かけるラグニアをいやらしい目つきで眺めながら、妄想に耽っていた。
その時だった。
「た、大変です、陛下!緊急のご報告を申し上げます!」
重厚な扉を勢いよく押し開け、兵士の一人が駆け込んできた。
「何事だ!無礼者め、今は余の神聖な時間ぞ!」
苛立ちを隠そうともせず、アークリオスが声を張り上げる。
「し、失礼しました!」
兵士は慌てて膝をつき、額を床に擦りつけるように頭を下げた。
そして、震える声で報告を続ける。
「魔獣召喚装置にて……新たな魔獣の召喚を行いましたが……」
言葉が途切れる。
その沈黙に、アークリオスの眉がぴくりと動いた。
「……失敗したのか?」
低く、冷たい声。
兵士の背筋に冷汗が流れる。
「い、いえ!召喚自体は成功いたしました!」
「ならば何を騒ぐ!愚か者め」
アークリオスは吐き捨てるように言い、再びラグニアの方へと顔を向けた。
その口元には、いやらしい笑みが戻り始めていた。
しかし、兵士は震える声で続けた。
「成功には成功しましたが……装置が、召喚直後に爆発を起こし……大破いたしました」
ピシッ。
空気が凍てつく音がした。
「……なんだと?」
一瞬の沈黙ーーアークリオスが玉座から勢いよく立ち上がる。
顔が見る見るうちに鬼の形相となり、やがて絶叫が響いた。
「な、な、なぁぁんだとぉぉぉッ!!?」
怒号と同時に、立ち上がった拍子で、彼の衣服にあしらわれた宝飾が弾け飛び、カラン、カランと乾いた音を立てて、宝石が方々に床を転がって静止した。
ただその音だけが、静寂な空間に鳴り響き続けていた。
それはまるで、何かの始まりを告げる警鐘のようにーー
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