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お店を守れ!! ラーメンバトル編1
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ある日の昼下がり。
私はお父さんに頼まれたお使いで、サポートデバイスのシャンティと隣町へとやってきていました。
電車から降りた私は買ってくる物のメモを見て早速お店に向かうことにします。
「――――え~っと。まずはモーモー牧場で搾りたてミルクを買って、それから野菜帝国さんに行って適当な野菜を買う感じですね」
「ねぇ、桜。ところで今日は何の買い物に来たの?」
後ろから付いてきてるシャンティからの質問を私は歩いたまま答えます。
「今度お店で出す新作ラーメンの材料です。とりあえずダシが出そうな物は全部鍋に入れて研究するって言ってました」
「…………そんなんで美味しいの作れるの?」
「もちろん作れます。なんたって私のお店のスープは4000年の歴史があるのですから!」
――――そう。私のお店で出しているラーメンスープはお父さんが中国にラーメン修行に行った時にラーメン仙人さんから譲り受けた由緒正しき秘伝のスープなのです。
一節によると原始時代に恐竜の骨を煮込んでいたという説もあり、現代の料理会では再現不可能な味と言われている最強スープです。
そのスープに色んな材料を組み合わせてちょくちょく新メニューとして出しているのですが、結局普通のが一番いいと言った評価に落ち着いて、なかなか新メニューが出来ないのがここ数年の悩みなのですが…………。
なので、今回こそ新しいメニューを追加しないと!
「お~い。カレーはいらんかね~」
鼻を刺激するスパイシーな香りと威勢のいい声に足を止めると、道の脇にカレーの屋台をやっているお兄さんの姿が見えました。
「おおっ!? こ、これはかなり美味しそうです!!!」
「あれ? 今日は買い物のついでにライバル店の視察も行くんじゃなかったっけ?」
「――――あっ!? そう言えばそうでした」
実は最近うちのお店の売上が落ちていて、その原因がどうやらこの隣町に出来た新しいお店にお客さんが取られているからみたいです。
なので買い物のついでにライバル店の視察をする事も今回のお使いのもう1つの目的でもあるのですが――――。
ここでお昼を食べてしまってはお腹いっぱいになってしまい、ライバル店でご飯が食べられなくなってしまいます……………。
「お嬢ちゃん。食べてくかい?」
「う……それは…………」
私のお腹がグゥと悲鳴を上げカレーを買う事を急かして来ました。
い、いったいどうすればいいんでしょうか…………。
「美味しいジュースもあるから飲み物だけでもいいから買ってきな?」
お兄さんが出してくれたメニュー表にはカレーの他に、タピオカジュースもいくつか載っていました。
「…………ジュース? こ、これです!!!!!」
「あれ? ジュースでいいの?」
どうやらシャンティは私がカレーの魔力に打ち勝った事を不思議に思っているようですね。
――――けど、私がそんなに諦めがいいわけ無いです!!
「はい。……では、ジュースをお願いします」
「あいよ~」
お兄さんは屋台の後ろからジュース用のカップを1個取り出してパカッと蓋を開けました。
「それで、味はどうするんだい?」
「もちろんアレで!!」
私はカレーの入っているお鍋に指をさすとお兄さんはニヤリと笑い。
「ほう? わかってるねぇ」
「え!? 桜、どういう事?」
くふふ。どうやらシャンティは解ってないようなので説明してあげる事にしましょうか。
「シャンティ、知ってますか? 昔の人の名言にこんな言葉があります」
「…………だからどんな名言なのさ?」
「カレーは飲み物! つまり食べるのでは無く、飲んでしまえばお昼ご飯にはなら無いのです!!!!」
「な、なんだってー!?」
私の天才的な閃きに驚いているシャンティを他所にお兄さんが注文を続けます。
「で? サイズは?」
「Sサイズ…………いえ、一番大きいポリバケツサイズでお願いします!」
「まいど!」
注文を受けたお兄さんはレジの下にある10リットルのバケツを取り出し、そこにお鍋からカレーを並々と注いでいきます。
そしてバケツにカレーを注ぎ終わると、上にバケツと同じ大きさを蓋をしてから大きめのストローを挿してカレージューズが完成しました。
「はい、お待ちどぉ!」
どどん! とレジの前で存在感を放っているカレージューズ。
ちなみに一番大きいサイズのバケツは持ち手が初めから付いるので、持ち運びにとても便利です!!
「それではシャンティ。お会計をお願いします」
「オッケー」
シャンティにお店のコードをスキャニングしてもらい会計を済ませると、早速私はバケツを持ち上げて持ち帰る事にしたのですが――――。
「うぐっ。やっぱ重いです…………」
「そりゃ重いでしょ」
私は頑張ってバケツを屋台の横にあるイートインコーナーの机に運ぶと、バケツを置いた瞬間、ギシッと机がちょっぴりきしんでしまいました。
どうやらかなりの重量のようです。
「では早速全部飲みます!」
「ええっ!? 持ち帰るんじゃないの!?」
「シャンティ。こんな重たい物を持ち歩くとか正気ですか?」
「えっと、これを全部飲むのも正気じゃないと思うだけど…………」
「大丈夫です。なぜならカレーは私の大好物!! なので、これくらい全部食べ…………飲むくらい大丈夫なはずっ!!!」
「ねえ、今食べるって言ったよね? やっぱりそれご飯のつもりだよね?」
私は両手を合わせて「いただきます」をしてから、精神を集中してカレーを一気に飲み始めました。
「だ、大丈夫なの、桜?」
「だ、だいひょうぶです!!!!」
ストローから必死にカレーを吸い上げながら親指を立てて問題ないとアピールしましたが、流石にちょっと厳しいかも。
――――そして。
数分による激闘の後。
私は身長も体重も同学年と比べて平均以下でかなり小柄な方なのですが、何とか完食する事が出来ました。
――――後日。
体重計に乗った私が悲鳴をあげ、ジムに通う事になるのですがそれはまた違う機会に。
私はお父さんに頼まれたお使いで、サポートデバイスのシャンティと隣町へとやってきていました。
電車から降りた私は買ってくる物のメモを見て早速お店に向かうことにします。
「――――え~っと。まずはモーモー牧場で搾りたてミルクを買って、それから野菜帝国さんに行って適当な野菜を買う感じですね」
「ねぇ、桜。ところで今日は何の買い物に来たの?」
後ろから付いてきてるシャンティからの質問を私は歩いたまま答えます。
「今度お店で出す新作ラーメンの材料です。とりあえずダシが出そうな物は全部鍋に入れて研究するって言ってました」
「…………そんなんで美味しいの作れるの?」
「もちろん作れます。なんたって私のお店のスープは4000年の歴史があるのですから!」
――――そう。私のお店で出しているラーメンスープはお父さんが中国にラーメン修行に行った時にラーメン仙人さんから譲り受けた由緒正しき秘伝のスープなのです。
一節によると原始時代に恐竜の骨を煮込んでいたという説もあり、現代の料理会では再現不可能な味と言われている最強スープです。
そのスープに色んな材料を組み合わせてちょくちょく新メニューとして出しているのですが、結局普通のが一番いいと言った評価に落ち着いて、なかなか新メニューが出来ないのがここ数年の悩みなのですが…………。
なので、今回こそ新しいメニューを追加しないと!
「お~い。カレーはいらんかね~」
鼻を刺激するスパイシーな香りと威勢のいい声に足を止めると、道の脇にカレーの屋台をやっているお兄さんの姿が見えました。
「おおっ!? こ、これはかなり美味しそうです!!!」
「あれ? 今日は買い物のついでにライバル店の視察も行くんじゃなかったっけ?」
「――――あっ!? そう言えばそうでした」
実は最近うちのお店の売上が落ちていて、その原因がどうやらこの隣町に出来た新しいお店にお客さんが取られているからみたいです。
なので買い物のついでにライバル店の視察をする事も今回のお使いのもう1つの目的でもあるのですが――――。
ここでお昼を食べてしまってはお腹いっぱいになってしまい、ライバル店でご飯が食べられなくなってしまいます……………。
「お嬢ちゃん。食べてくかい?」
「う……それは…………」
私のお腹がグゥと悲鳴を上げカレーを買う事を急かして来ました。
い、いったいどうすればいいんでしょうか…………。
「美味しいジュースもあるから飲み物だけでもいいから買ってきな?」
お兄さんが出してくれたメニュー表にはカレーの他に、タピオカジュースもいくつか載っていました。
「…………ジュース? こ、これです!!!!!」
「あれ? ジュースでいいの?」
どうやらシャンティは私がカレーの魔力に打ち勝った事を不思議に思っているようですね。
――――けど、私がそんなに諦めがいいわけ無いです!!
「はい。……では、ジュースをお願いします」
「あいよ~」
お兄さんは屋台の後ろからジュース用のカップを1個取り出してパカッと蓋を開けました。
「それで、味はどうするんだい?」
「もちろんアレで!!」
私はカレーの入っているお鍋に指をさすとお兄さんはニヤリと笑い。
「ほう? わかってるねぇ」
「え!? 桜、どういう事?」
くふふ。どうやらシャンティは解ってないようなので説明してあげる事にしましょうか。
「シャンティ、知ってますか? 昔の人の名言にこんな言葉があります」
「…………だからどんな名言なのさ?」
「カレーは飲み物! つまり食べるのでは無く、飲んでしまえばお昼ご飯にはなら無いのです!!!!」
「な、なんだってー!?」
私の天才的な閃きに驚いているシャンティを他所にお兄さんが注文を続けます。
「で? サイズは?」
「Sサイズ…………いえ、一番大きいポリバケツサイズでお願いします!」
「まいど!」
注文を受けたお兄さんはレジの下にある10リットルのバケツを取り出し、そこにお鍋からカレーを並々と注いでいきます。
そしてバケツにカレーを注ぎ終わると、上にバケツと同じ大きさを蓋をしてから大きめのストローを挿してカレージューズが完成しました。
「はい、お待ちどぉ!」
どどん! とレジの前で存在感を放っているカレージューズ。
ちなみに一番大きいサイズのバケツは持ち手が初めから付いるので、持ち運びにとても便利です!!
「それではシャンティ。お会計をお願いします」
「オッケー」
シャンティにお店のコードをスキャニングしてもらい会計を済ませると、早速私はバケツを持ち上げて持ち帰る事にしたのですが――――。
「うぐっ。やっぱ重いです…………」
「そりゃ重いでしょ」
私は頑張ってバケツを屋台の横にあるイートインコーナーの机に運ぶと、バケツを置いた瞬間、ギシッと机がちょっぴりきしんでしまいました。
どうやらかなりの重量のようです。
「では早速全部飲みます!」
「ええっ!? 持ち帰るんじゃないの!?」
「シャンティ。こんな重たい物を持ち歩くとか正気ですか?」
「えっと、これを全部飲むのも正気じゃないと思うだけど…………」
「大丈夫です。なぜならカレーは私の大好物!! なので、これくらい全部食べ…………飲むくらい大丈夫なはずっ!!!」
「ねえ、今食べるって言ったよね? やっぱりそれご飯のつもりだよね?」
私は両手を合わせて「いただきます」をしてから、精神を集中してカレーを一気に飲み始めました。
「だ、大丈夫なの、桜?」
「だ、だいひょうぶです!!!!」
ストローから必死にカレーを吸い上げながら親指を立てて問題ないとアピールしましたが、流石にちょっと厳しいかも。
――――そして。
数分による激闘の後。
私は身長も体重も同学年と比べて平均以下でかなり小柄な方なのですが、何とか完食する事が出来ました。
――――後日。
体重計に乗った私が悲鳴をあげ、ジムに通う事になるのですがそれはまた違う機会に。
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