SKY RIKEY ~無益な不幸を呼ぶ異世界転生を止めるためにゲーマーの俺が幼馴染ヒロインと異世界人〈バルバロイ〉退治を再開する〜

シンワ

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初任務

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マッハから戦術と仲間を増やすためにゲーマーの専門高校〈B学園高等学院〉に入学することを勧められた力人と雪音は入学した。

それから数日後、力人と雪音はバルバロイ退治の依頼を受けて夕方の公園に向かっていた。

「まさか入学してすぐに任務が来るとはな」

力人が呟くように言うと雪音が答える。

「確かにね。でもそれだけリッキーが強いということになるってことだよね?」

雪音の問いに力人は満足するように首を縦に振る。

「そうだよな。やっぱり俺は最強のゲーマーってことをみんなが認めてるってことだな」

リッキーの言葉を聞いて雪音は苦笑いを浮かべながらも目的地へと歩き始める。

少しして、目の前に大きな公園が見えてきた。

「確か、初任務だからマッハさんが同行してくれるって言っていたけど……」

公園の前に着き、辺りを見回すと目的の人物が立っていた。

「「マッハさん!!」」

二人はマッハに近づく。

マッハは二人に気付き、話しかけてくる。

「おぉ来たね二人とも!さぁ行こうか!」

ーーーーーー

公園に着くと広場には無数の死体が転がっていた。

「これは酷いな……」

力人も雪音も少し前に起きたであろう目の前の惨劇に目を背けようとしていた。
 
「ん?あそこに人影が……」

そう言った力人の指差した奥のベンチにはサラリーマン風の男がコンビニ弁当を黙々と食べていた。

それを見たマッハは男性に近づいていく。

力人たちは警戒しながらゆっくりと近づいた。

すると男性はこちらに気付いたのか顔を上げた。

その瞬間、力人たちの体に寒気が走った。男性の目はまるで猛獣のように鋭く光り、体からは殺気を放っていたからだ。

「貴方たちも、私の’’食事’‘を邪魔しに来たんですか?」

男は鋭い目つきのまま話しかけてきた。

男の質問に対して答えたのは雪音だった。

「私たちはただ、この近くで暴れてるっていうバルバロイを倒すためにやってきただけですよ」

雪音がそう話すと男は突然箸を止めた。

「成程…つまり貴方達は私の''食事''を邪魔しに来たということですね…」

そう言うと男の姿が変わっていていく。

まず変化が現れたのはその服装だ。スーツが破けていくと共に歪な鎧のような姿に変わったのだ。その姿はまさにゲームに出てくる狂戦士のような姿をしていたであった。

次に髪の色も変化した。白かったはずの髪の毛が血の様な赤色に染まった。

さらに表情が変わった。先ほどまでは少しやつれた感じの普通の中年という印象だったが今では人を殺せるような凶悪な笑みを浮かべていた。

最後に声質が変わり、口調まで変わった。

それは今までの落ち着いた話し方と違い、狂気じみた喋り方に変わっていた。

「まずい、このタイプのバルバロイは…」

マッハがそう言いかけるのを遮るようにバルバロイは動き出した。

「では皆さん、死んでください。」

バルバロイはそう言いながらマッハに向かって駆け出し拳を振りかざす。

それをマッハは避けながら、コントローラーにカセットを入れ、トランス・チェンジをしようとするが一瞬遅かった。

バルバロイはから剣を出し、横薙ぎの一閃を放つ。

その斬撃はマッハに直撃し、公園の木に叩きつけられる。

「ぐあっ!」

なんとか間一髪でガードしたおかげで致命傷には至らなかったが、気を失ってしまった。

「流石ですねぇ。今の一撃で死ななかった人は初めてですよ。」

バルバロイは感心するように言う。

それに対してリッキーは構えながら言う。

「お前こそ中々やるじゃねえか。でも俺の攻撃をまともに食らって平気な奴なんて初めて見たぜ。」

リッキーの言葉を聞いたバルバロイはニヤリと笑う。

「ふっ、やはり貴方達は他の人間とは違うようですねぇ」

そう言った瞬間、一瞬で力人たちの背後に回り込む。

力人は背後からの気配を感じ、振り返るがすでに遅かった。バルバロイの拳が雪音に向かって放たれようとしていた。

(速すぎる!!)

リッキーは回避不可能だと悟り防御態勢を取りながら、雪音を庇った。

その時、力人の前に一つの影が割り込んできた。

次の瞬間、リッキーは激しい衝撃を受ける。

(フェイントか…!)

そう思うが時すでに遅く力人は地面を転がり、勢いよく木にぶつかる。

「リッキー!!」

それを見て雪音が叫ぶ。

力人は急いで立ち上がり、コントローラーにカセットを入れて、スカイ・リッキーにトランスチェンジする。

(速い、それに一つ一つの攻撃が重い…!後2、3回攻撃を食らったら……!)

リッキーはそう考えながら雪音に言う。

「雪音、俺はこいつの相手をする。だから雪音はマッハさんを連れて逃げろ!」

リッキーはそう言ってコントローラーを構える。

「そんな!リッキーを置いて行くことなんかできないよ!」

雪音がそう答えると、リッキーは首を横に振る。

「いいから早く行け!」

リッキーはそう言った瞬間、バルバロイは剣をブーメランのように投げてくる。

リッキーはそれをジャンプして避けながら、回転斬りをバルバロイに放つ。

しかしそれも避けられてしまう。

リッキーはさらに続けて剣で斬りつけるが、バルバロイは超人的な動きで全ての攻撃を受け流す。

リッキーは焦り始めていた。このままではまずいと……

その時リッキーはゲーマーの師匠ツルギの言葉を思い出した。

ーーーーー
「ゲーマーとして一番気をつけなければならない事は焦る事と油断することだ。」
「え?何でですか?」
「戦いの中で追い詰められて、もうダメだと思った瞬間、人はその瞬間に必ず油断をする。そしてそれが命取りになるんだ。」
「成程……」
「まあ、お前なら大丈夫だと思うけど、一応覚えておいた方が良い。」
ーーーーー

(そうだ、こう言う時こそ落ち着かないと駄目だ。まずは相手の動きをよく見ることだ。)

リッキーはそう思いながらバルバロイの攻撃をふらつく足で避けながら攻撃のチャンスを伺う。

するとバルバロイはリッキーに向かって走り出す。

リッキーはそれを避けようとするが、予想以上に速く、リッキーの腹に拳がめり込む。

「ぐあっ……」

リッキーはそのまま吹き飛ばされ地面に転がった。

「くそっ……」

リッキーは何とか立ち上がり、コントローラーでコマンドを入力していく。

リッキーはバルバロイに向けて大竜巻を放つ。

「当たれぇ!!!」

そう叫びながらリッキーはコントローラーのレバーを操作する。

リッキーは虹色に輝いたコントローラーから取り出したヘラクレスホーンを使い、作り出した竜巻でバルバロイを打ち上げ、落下してきたバルバロイに回転切りを繰り出した。

しかし、バルバロイは何事もなかったかのように立ち上がると、取り出した斧を巨大化させ、リッキーに向かって振り下ろそうとした。
 
その刹那、リッキーの横を白い光が通り抜ける。その光はバルバロイに当たり、バルバロイを貫いた。貫かれたバルバロイは目の前に現れた何者かに向かっていく。

リッキーは後ろを振り返る。

振り返った先には馬の頭をした騎士のような姿の別のバルバロイが立っていた。

「バルバロイがもう一体!?」

リッキーが驚いている間にも馬頭のバルバロイが作り出した光の槍はバルバロイを貫き、消滅させる。

「助けてくれたのか……?」

リッキーはそう呟くと力尽きバタリと公園の芝生の上に倒れる。

ーーーーー

「──キー。──ッキー。リッキー!!」

力人はハッと目を覚ます。

周りを見渡すとそこはB学園高等学校の医務室であり、ベッドの隣には心配そうな顔をした雪音が座っていた。

力人は起き上がると雪音の顔を見て口を開く。

「あれ……雪音……?」 

「よかったぁ……目が覚めたんだね。」

雪音がそう言いながらホッとした表情を浮かべる。

「ここは……医務室か?マッハさんは!?」

驚きながら聞く力人に雪音は答える。

「私が運んだ後、目を覚まして……今は先生と話をしているよ」

「そうなのか、良かった……」

力人は安堵の息を吐いた。

「リッキー、無理しすぎだよ!あんなバルバロイ相手に一人で戦うなんて!」

目に涙を溜めながら言う雪音に力人は微笑みながら雪音を安心させようと頭にポンッと手を乗せる。

「大丈夫だって!俺は最強だからさ」

リッキーはそう言って雪音の頭から手を離すと、雪音は力人の目を見る。

その目は真剣そのもので、力人は思わずドキッとする。

「確かにリッキーは強いよ。でも……」

雪音がそう言いかけた時、ベットのカーテンが開き力人と雪音の担任、梅田武千代が入ってきた。

「目覚めたんですね」

「はい」

そう言う雪音の反応に武千代は安心した様子で笑みを見せると話を始めた。

「実は先程校長から連絡がありました。」

「え?どういうことですか?」

力人がそう言うと武千代は言う。

「君たちは今回の任務で大活躍したようですね。それを聞いて校長がお礼を言いたいと言っています。」

「そんな……俺たちはただ必死だっただけで……それに倒したのは…」

力人がそう言うと武千代は首を横に振る。

「初任務でバルバロイの中でも強力な〈転生者〉を相手に無事生還するだけでも凄いことだと思います。バルバロイを倒すだけが貢献ではありません。きちんと生還して帰ることも立派な功績だからね。」

そう言うと武千代は笑顔になる。

「怪我もしてないようですし、明日からはまたいつも通りの生活を送れますね。では、私はこれで失礼します。」
そう言って武千代は医務室を出て行った。

力人はベッドから立ち上がると雪音の方を向いて言う。

「じゃあ、帰ろうか」

その言葉に雪音は嬉しそうな表情を浮かべて答える。

「うん!一緒に帰ろ!」  

そう言った雪音の手を取り、二人は医務室を出て家路につく。

二人の姿は夜の街に消えていった。
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