SKY RIKEY ~無益な不幸を呼ぶ異世界転生を止めるためにゲーマーの俺が幼馴染ヒロインと異世界人〈バルバロイ〉退治を再開する〜

シンワ

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美しき暗殺者

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月が夜道を照らす頃、石畳の上をコツコツと音を立てながら一人の女が歩いていた。手に握られたナイフは妖しく光り、その刃には赤い液体が付いている。女はその液体を見ながら微笑みを浮かべる。

女ーコルデはいつものようにターゲットの殺害を終え、次のターゲットを探していた。

「次はいよいよ100人目……」

コルデがそう呟いた時目の前に青い光が溢れ出す。それはまるでゲートのように形を変え、やがて大きな扉へと姿を変えた。

扉の奥からは声が聞こえる。

―――私の名前はアルケー……水を司どる女神です……。

コルデの脳内に直接響くような不思議な感覚で聞こえてきた声に対してコルデは不思議そうな表情を浮かべながらも口を開く
「女神さんが、なんの用かな?」

青く輝く光の門の前に立つ少女――アルケーに向かってコルデは尋ねる。するとアルケーは笑みを浮かべて答える。
「あなたに依頼したいことがあるのです」

「依頼?どんな内容かによるね~」

ーーー内容は単純明快ですよ。この世界とは別の世界にいるこの人物を殺して欲しいのです。

アルケーは鏡のようなものを作り出すとそこに映った映像を見せる。そこには力人の存在が写り込んでいた。

「その人物ってのは強いのか~い?」

コルデの質問にアルケーは少し考え込むようにして答えた。

――正直なところ未知数と言ったところでしょうか。しかし我々にとって脅威となりうる存在です。なので早めに手を打っておきたいと思いまして……。

「ふぅん。まぁいいよ~。引き受けようじゃないか!そのかわり、リキトってやつの肝をいただくけどね」

コルデはアルケーの話を聞き終えるとニヤリと笑い、アルケーの依頼を引き受けた。

――わかりました。それでは早速準備に取り掛かりましょう。まずはあなたの身体を転送しますね。

その言葉と共にコルデの足元に魔法陣が展開される。そして次の瞬間、コルデの姿はその場から消えていた。

―――

一方その頃、力人は雪音と共にスーパーの買い出しを済ませ、帰路についていた
時刻は既に夜の9時を過ぎており、外灯もまばらになっている。


そんな中二人は並んで歩きながら話していた。

「なぁ雪音、今日はなんか買うもの多かった気がしないか?」

「確かにそうかも……」

そんな会話をしながら歩いている二人の背後から何か尖った物が飛んでくる。

異変に気づき、回避行動を取り、避けた二人だったが後ろを振り返るとそこにはグラマラスで妖艶な雰囲気の女が立っていた。

「あんたがリキトってやつかい?」

女がそう言うと同時に再び攻撃を仕掛けようとしたその時

「そこで何をしている!?」

パトロールをしていた警察官が現れ、女に懐中電灯をを向けた。

「邪魔すんのか~い?」

そう言うと女は警官に向かって遅いかかる。


警官は女に向けて警棒で牽制しようとする。しかし女は人間離れした動きで避けると同時に警官に向かって手を伸ばし、掴む。

次の瞬間、女は手にしたククリナイフで警官の体を切り裂いた。

真っ赤な血が飛び散り、壁が鮮血で染まる。女はそれを顔に浴びてもなお、不敵な笑みを浮かべている。

「バルバロイだったか……」

「お巡りさん!!」

力人と雪音は突然の出来事に混乱しながらも目の前の状況を理解しようとしながらも、目の前の惨状を見て叫ぶ。

「チッ、せっかくの100人目が台無しだよ!」

そう言いながら女性は警官の体を投げ捨てた。

女は舌打ちしながらそう言い、2人に襲いかかろうとする。

「お前は一体何なんだ……?どうして俺を狙う……?」

力がそう尋ねると女はペロリと舌なめずりした後口を開いた。

「私はコルデ、私の目的はただ一つ……100人目のターゲットであるアンタを殺すことだけさ……!!

「……っ」
「どうだい?理解できたかい?」

力人が息を飲む中、コルデは淡々と言葉を紡ぐ。

「今まで、色んな奴らを殺してきた。ある時は貴族を、またある時は商人を……でもね、一番興奮したのは強いヤツを殺してる時かな~。だってそうだろ?みんな私を倒すと言いながら何もできずに切り刻まれていく!最高だと思わない?」

コルデはケラケラと笑いながら話を続ける。

その言葉を聞いた力人は怒りを覚えながらも雪音に耳打ちをする。

「レジ袋の中のコーラを俺に渡してくれ」

「え?う、うん」

雪音が言われた通りに力人に缶コーラを渡すと、力人は缶コーラを激しく振り、コルデに向かってプルタブを開ける。
激しく振った缶コーラはコルデの顔に直撃し、炭酸飲料特有の泡が溢れ出す。

予想外の出来事と目に入ったコーラの刺激に驚いたのか、コルデは顔をしかめながら目に涙を浮かべた。

「うわぁああ!目がぁあ!」

コルデは悲鳴を上げ、その場でのたうち回る。

「雪音、一旦逃げるぞ」

「わかった!任せて」

そう言うと力人は雪音を連れて走り出し、コルデから離れていく。

来た道を戻り、スーパーの屋内駐輪場へと戻ってきた力人と雪音。

「さてと、これで奴はここに来るだろうな」

「えっどう言う事?」

雪音は力人に質問すると、力人は手に持っていた缶コーラを雪音に見せた。

「これをあのバルバロイにかけた後で、逃げるふりをしながら道に垂らしといた。コーラの匂いを辿ってここに来るはずだ」

「なるほどね。って事は……」

「そう、あいつは今頃、罠にかかる寸前って訳だ。それと雪音に頼みがあるんだけど……」

力人がそう言うと雪音に耳打ちをして共に近くの階段の陰に隠れる。

駐輪場内には人の気配はなく静寂に包まれていた。

そんな中、静寂を切り裂くようにコツコツと言う特徴的な足音が聞こえてきた。

足音の主に気づいたのか、力人たちは息を殺し、物音をたてないように隠れていた。

足音は段々こちらに近づいてくる。そしてついにコルデは姿を現した。

「あら?おかしいですね……。確かにこの辺りからあの液体の香りがしたんだけど……」

コルデは周囲を見渡すが誰もいない。

しかし、そんな状況の中でも冷静さを欠かず、コルデは地面に滴っていたコーラの跡を見つけると、ニヤリと笑い、後が途切れたところで立ち止まった。 

「そこか~い」

コルデはそう呟き、右手でククリナイフを握りしめながら力人と雪音が隠れている場所へ近づき始めたその時

『Trans change:スカイリッキー!』 

突然の音声と共にスカイリッキーへとトランスチェンジした力人はコルデに向かって飛び出した。

「なっ!?」

流石のコルデは突然の出来事に対応が遅れ、そのまま力人に殴り飛ばされてしまう。

「貴様……まさか……!!」

コルデは殴られた頬に手を当てながら立ち上がると、目の前にはリッキーの姿があった。

コルデはその姿を見た瞬間、ぺろりと舌を舐めた。

「いいねぇ……久しぶりに楽しめそうだよ……!!それがアナタの本当の姿なのかい?リキトォ?」

コルデは嬉しそうな笑みを浮かべ、手にしたククリナイフを構える。

それに対してリッキーもファイティングポーズを取った。

「俺はお前みたいな奴が一番嫌いなんだ。人を平気で殺しておいて何食わぬ顔で笑うお前みたいなバルバロイはな。」

「フフッ……ますますアナタを殺したくなってきたわ!」

コルデは勢いよく地面を蹴り、力人に襲いかかる。

それに対し、力人は咄嗟に右拳を振り上げる。

次の瞬間、2人はお互いに攻撃を仕掛けようとする。

しかし、2人とも相手の攻撃を避けようとせず、ただ相手に一撃を入れることだけに集中し、2人は攻撃を喰らってしまう。

コルデの鋭い斬撃が力人の肩を斬りつけ、力人のアッパーカットがコルデの顎に命中すると、互いに痛み分けになり、後方へ吹き飛んだ。

その後、すぐに立ち上がり、今度は力人がコルデに向かって走り出す。

コルデもククリナイフを構えながら走り出す。

お互いの距離がほぼゼロ距離になると、2人は同時に相手の隙を伺いながらジリジリと距離を詰めていく。
先に動いたのは力人だった。

力人はコルデの腹部に向けて左ストレートを放つ。

しかし、コルデは左腕で力人の攻撃を受け止めると、右腕を思いっきり振り上げ、力人に掴まれた左手首ごと振り下ろした。

力人は振り下ろされたコルデの手首を掴み、その反動を利用してコルデの体を宙に浮かせると、背負い投げをした。

力人がコルデの体を投げ飛ばした直後、すぐさま起き上がったコルデは空中で態勢を立て直すと、空いていた右手の掌底を力人にぶつける。

「ぐぁあ!!」

スカイリッキーはコルデの技をもろに受けてしまい、駐輪場の壁に打ち付けられてしまう。

コルデはこれ見よがしとばかりにスカイリッキーに向かってククリナイフを握りしめたまま、突進してくる。 

「今度こそアナタの最後よ!」

そう言ってコルデが力人に刃を突き刺そうとした手を伸ばした時、スカイリッキーはニヤリと口角を上げる。

「おばさん、最後になるのはそっちの方だぜ?」

スカイリッキーがそう言うと、壁を蹴り上げ、跳び上がると、コルデの顔面に強烈なキックを繰り出した。

「がっ!?」

コルデは突然の攻撃と顔面への衝撃により思わずよろめく。スカイリッキーはこのチャンスを逃さなかった。
「雪音、今だ!」

「分かったわ!」

スノーハウンドにトランスチェンジした雪音はスカイリッキーの合図を聴くと、カートを加速させ、コルデに突撃していく。

その速さはコルデの想像を超えており、一瞬にしてコルデに、そのまま体当たりを繰り出す。

一方、スカイリッキーは先程、壁に叩きつけられたダメージが残っているのか、ふらつきながらもコルデに向かって走る。

そして、コントローラーからヘラクレスオオカブトの角を模した剣〈ヘラクレスホーン〉を取り出し、コルデに向かってコマンドを入力しながらヘラクレスホーンを振る。

「EX奥義:〈 大竜巻斬グラン・トルネード〉」

すると、ヘラクレスホーンから風の渦が発生し、コルデを切り刻んだ。

「がはっ……!!」

コルデは全身を切り刻まれ、全身から虹色の光を撒き散らしながら消滅した。

リッキーとスノーハウンドはコントローラーの電源を切りトランスチェンジを解除する。

「これで一件落着か」

「うん、そうね」

力人と雪音は勝利を噛み締めるかのように呟いた時、食材を買ったままのレジ袋を道端に置きっぱなしにしていたことに気づく。

「リッキー急いで取りに戻るわよ!」

2人は道に落としたレジ袋を拾いに走るのであった。
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