SKY RIKEY ~無益な不幸を呼ぶ異世界転生を止めるためにゲーマーの俺が幼馴染ヒロインと異世界人〈バルバロイ〉退治を再開する〜

シンワ

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勝利への引き金

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五月の長い連休が終わり、力人と雪音は抜けない五月病に罹りながら、登校していた。

「う~ん……眠い」

力人は眠気覚ましにと、目を擦る。

そんな力人に雪音が口を開いた。

「そういえばさぁ……」

雪音の問い掛けに力人が答える。

「なんだよ?」

「最近、ネットの掲示板とかSNSで噂になってるバルバロイなんだけどね」

そう言いながら雪音はスマホを弄って、SNSの内容を力人に見せる。

「人間に味方する馬のバルバロイか……それがどうしたんだ?」

「うん。どうやらバルバロイが転生殺人を行おうとするとどこからともなく現れてそのバルバロイを倒していくんだって。それでそのバルバロイに助けられた人々から馬男とかホースマンって呼ばれているらしいよ」

「へぇーそうなのか、バルバロイにも色々といるんだな」

そう思った時、力人の脳内には初任務の際、バルバロイから助けてくれた馬頭のバルバロイの姿が浮かぶ。

(もしかしたら……)

ふと脳裏に浮かんだ考えに力を込めるように拳を強く握った。

ーーー

学校で力人と雪音は担任の梅田武千代から任務の話を聞いていた。

「今回は蝙蝠のバルバロイの討伐だ。」

武千代の言葉を聞いた瞬間、力人と雪音は驚きの声を上げる。

武千代はその二人を見て、笑みを浮かべていた。

そして、すぐに真剣な表情に変わる。

それはまるで何か重要な事を話そうとしているようだった。

「今回のバルバロイは二年前に群れで現れ、東京に現れた時には多数の死傷者を出した。この話は知っているだろう?その時の被害状況と比べれば今回現れたバルバロイの数は一体。前回に比べ被害は少ないと言えるかもしれないが、それでも油断はできない。なので今回は私も同行する事にした。」

梅田の言葉から今回のバルバロイに対し、かなりの警戒をしている事が伺える。

さらに教師である彼の言葉からは生徒を守るという強い意志が感じられた。

いつもと違う梅田の様子に力人と雪音も気を引き締め、現場へ向かうための準備を行う。

準備を終えた二人は梅田と共に目的地へと向かうのであった。

ーーー 三人が訪れた場所は杉並区のとあるビルが立ち並ぶオフィス街で、周りには変わり果てた姿となった人間が倒れ、その近くでは蝙蝠の姿をした人間のような5メートルほどの怪物が暴れ回っていた。

「こいつは前のとは違う……!」

梅田はかつての個体との違いを察して、敵の強さを認識した。

その言葉を隣にいる雪音が聞き逃すはずがなく、すぐに反応を示す。

「確か、資料で見せてもらったのとは見た目が違うみたいだけど……どういう事ですか?」

雪音の質問に対して、梅田は冷静に分析を行いながら答えた。

「恐らくだが、以前の奴の亜種だろう。ここは俺が時間を稼ぐ。その間にトランス・チェンジを行え!」

梅田の力強い声を聞き、力人は迷いなく返事をする。

その瞳には決意が込められていた。

そんな二人の様子を確認した後、梅田は近くの工事現場に生えていた鉄パイプを手に取り、戦闘態勢に入る。

力人と雪音はカセットをコントローラーに挿し、スカイリッキーとスノーハウンドにトランス・チェンジを行い、ビルの物陰から様子を伺う。

 梅田は自身の武器である鉄パイプを握りしめ、目の前のバルバロイへ攻撃を開始する。

バルバロイの振り下ろす爪による攻撃を自身の持つ鉄パイプを使い受け流し、反撃に転じる。

「グギギギ……オマエ……コロス!!」

バルバロイの雄叫びと同時に背中の翼を広げ、空中へと飛び立つと翼を羽ばたかせた。

その刹那、激しい暴風と衝撃波が地上を襲う。

その攻撃により、梅田はビルに叩きつけられてしまった。

「先生!大丈夫ですか!?」

吹き飛ばされた梅田の元に駆け寄る雪音と力人だったが、梅田は既に意識を失っていた。

「くそっ……どうすれば……」

「ねぇ……とりあえず先生を連れて逃げようよ」

「ああ……そうだな……」

雪音の問い掛けに力人が同意しようとした時、突如として上空に巨大な影が現れる。

「ミツケタゾ……ニンゲン…………サア……ツカマエテヤル……ワレノ……カラダ……トナッテ……コノセカイニ……イキ……ツヅケルガイイッ!!!」

力人はコントローラーからヘラクレスホーンを取り出し、バルバロイに斬りかかる。

「お前なんかに……負けるかよッ!!!」

しかし、バルバロイはそれを容易く弾き飛ばす。

「シネェエッ!!」

バルバロイの攻撃を避けようとするが、先程のダメージが大きく思うように体が動かない。

その隙を突いて、バルバロイは力人の体を鷲掴みにする。そしてそのまま口を開き、力人を呑み込もうとしていた。その時、スノーハウンドがバルバロイの足下を凍らせた。

「バカ野郎!!なんで出てきたんだよ!?」

力人は怒りをぶつけるが、雪音は臆することなく答える。

「だって……リッキーが死んじゃったら……嫌なんだもん……」

その言葉に力人の心は強く揺さぶられる。

それと同時に自分の不甲斐なさに腹が立った。

「クソッ……俺は何やってんだ……こんな時に……雪音に助けられてばかりじゃねーかよ」
力人は自分の弱さを噛み締める。

(考えろ……考えるんだ……この絶望的な状況を打開する方法を……)

リッキーは、スノーハウンドと共に柱の陰に隠れながら必死に考えていた。

その時、スノーハウンドは気絶している梅田のポケットから何かがこぼれ落ちた事に気づく。

「リッキー!これ使って!」

「これは……?」

「いいから早く!」

スノーハウンドの言葉に従い、リッキーはコントローラーを操作し、カセットを抜き取る。そして、雪音から渡されたカセットを挿し込み起動させた。

すると、カセットから光が溢れ出し、機械音声が流れる。

『cassette change:shooting trigger』 

光に包まれたリッキーの姿はスカイリッキーから、腰には二丁のハンドガンがセットされた黄緑色のスナイパーやガンマンのような姿に変わっていく。

「シューティングトリガーか……よしっ!!」

リッキーはすぐさま二丁の銃を構え、バルバロイに向けて銃弾を撃ち込む。

撃ち出された弾丸はバルバロイに命中し、体に大きな傷をつける。

「グゥウッ……オノレ……マダ……ウゴケタカ……ナラバ……コロシテ……クレルワァアッ!!!」

そう言うと、バルバロイは翼を羽ばたかせ暴風を巻き起こす。

リッキーはその攻撃を回避し、再び銃撃を行う。

「シネェエエッ!」

バルバロイは攻撃を避けると、今度は鋭い爪で切り裂こうとする。

「くらえっ!」

リッキーはバルバロイの攻撃をギリギリで回避した後、すぐにカウンターで蹴りを入れながら、全身をハンドガンで乱射する。

その動きはまるで、西部劇に出てくるようなガンマンを彷彿とさせる戦い方であった。

リッキーの連続攻撃を受け、バルバロイの体はボロボロになっていた。

「ヤハリ……チカラガ……タリヌ……カ」

そう言いながらも、バルバロイはリッキーに飛びかかり、リッキーの首元を掴む。

「シネェエエッ!!」

バルバロイは勝利を確信したが、リッキーはニヤリと笑っていた

「これでゲームセットだ!」

リッキーは首元の手を強引に振り解くと同時に取り出した、ガトリングガンのような連射型の武器をバルバロイに向け、引き金を引く。

その攻撃により、バルバロイの腹部はハチの巣のように穴だらけになる。

そして、バルバロイはそのまま地面に倒れ込み、息絶える。

リッキーはすぐにバルバロイの元へ向かうと、バルバロイは虫の息になりながらも抵抗しようとする。

しかし、リッキーはそんな状態の相手に対して容赦なく攻撃を続けた。

そして、遂にバルバロイは動かなくなった。

それを確認すると、リッキーは安堵のため息をつく。

その時だった。

突然、倒れたバルバロイが砂のように崩れ始め、マネキンのような人間が現れた。

「ど、どうなってんだ…?」

リッキーは戸惑いながらも、バルバロイに起きた不思議な現象に目を疑う。

「リッキーどうしたの?」

スノーハウンドのトランスチェンジを解除した雪音がリッキーの元へ駆け寄る。

「え!?リッキーこれはどういうこと!?」

雪音もマネキンのようになった人間を見て動揺していた。

「わからない……今はとにかく梅田先生の様子を見に行くぞ!」

「うん!」

リッキートランスチェンジを解除した力人は雪音と共にビルの前で倒れていた梅田の元へ駆け寄った。

「先生!大丈夫ですか!?」

「先生!しっかりしてください!」

二人の呼び掛けに梅田は目を覚ます。

「んっ……ここは……ああ……お前達か……」

「よかったぁ……」

梅田が意識を取り戻したことに安堵する雪音。

しかし、力人はあのバルバロイの事が気掛かりでならなかった。

その時、雪音が梅田が持っていたカセットに気付いた。

「リッキー、これ返さないと!」

「ん?あ、ああそうだな……」

力人と雪音は慌てて、シューティングトリガーのカセットを返す。しかし梅田は力人にそのカセットを握らせる。

「それは君が持っていてくれ、このカセットは君の物だよ」

「で、でも借りただけだったんで…」

戸惑う力人と雪音に梅田は微笑みながら答える。

「いいんだ。このカセットは元々、綺羅星君に渡す予定だったからね。まあ、先生からのプレゼントと思ってくれればいいよ。」

「そ、そういう事なら……ありがとな」

「ちょっ、リッキー!こちらからもありがとうございます!」

二人は梅田に感謝して、カセットを受け取る。

「さてと……私はこれから学校に戻るよ。学校までは呼んでおいた車で送ってあげるから心配しないでいいよ」

そう言って、立ち上がると力人達に背を向ける。

その時、梅田が一瞬だけ寂しそうな表情を浮かべる。

「じゃあ、また学校で会おう!」

「はい!」

「ああ……わかった」

そして、三人を乗せた車はB高校まで走って行くのだった。

ーーーー

一方、同区内のファミレスでは人間に扮したアルケーが二人の仲間を連れて、会議をしていた。

「カリコロ、ダウスンド、シスアルケー?」

アルケーの前に座っている炎のような髪の少年が、アルケーに話しかける。

「ライキッド、ここではヒュメの言葉で話せと言っただろう?」

「すまねぇ……つい癖で……」

少年ーーライキッドは頭を掻きながら謝罪する。

「まったく……それで今回は何の報告だ?」

雷のように逆立った金色の髪をした筋肉質の男ーーソールが呆れたように話す。

「はい……今から話す事は貴方達が知らない情報です……実は最近、話題になっている人間を助ける馬頭の転生者がいるという情報があります」

「つまり、オレッち達の敵ってわけだな?焼き殺せばいいのか?」

そう言うと、ライキッドは両手をパチッと合わせると掌から大きな火炎球を作り出す。

それを見たファミレスの客達はパニックになる。

「ライキッド、ここでスキル見せたら……まぁいいわ、この際、ここにいる全員殺せば問題ないもんね♪」

アルケーの言葉にライキッドは喜びの笑みを見せる。

「ここにいるヤツらみんなバーベキューにしてやるぜー!」

ライキッドはパニックになり逃げ出そうとする客に次々と小さくした火炎球を飛ばしていく。

火炎球が客に当たるたび、小さな爆発を起こし、肉の焼けるような臭いが店内中に充満する。

「お前たちの好きにしろ、私は先に戻る」

ソールは吐き捨てるようにいうと姿を消した。

「チェッ、せっかく楽しくなってきたのに……つまんねえの」

ライキッドは不満げに舌打ちをする。

その光景を目の当たりにして、店員やウエイトレスは悲鳴を上げながら逃げ出してしまう。

その様子を見て、アルケーはスプリンクラーの水を操作し、追い討ちを掛けるかのように加圧した水で次々と店員達を切り刻んだ。

アルケーとライキッドの能力によって、店の中には、崩れかけた人の形をした炭と血まみれの死体が大量に転がっていた。

そんな地獄絵図のような状況の中、アルケーとライキッドは高らかに笑うのであった。
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