SKY RIKEY ~無益な不幸を呼ぶ異世界転生を止めるためにゲーマーの俺が幼馴染ヒロインと異世界人〈バルバロイ〉退治を再開する〜

シンワ

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truth and lies

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での殺戮を終えたアルケーとライキッドは客だった灰と化した死体を踏み潰しながら立っていた。

「ライキッド、貴方に頼みたいことがあるの」

アルケーが突然、口を開く。

「なんだよ?」

不機嫌そうに聞くライキッドにアルケーは話を続ける。

「さっきも言ったけど、人間に味方する転生者がいて、そいつを殺してきてほしいの」

「ふぅん……なんかご褒美とかくれるんなら行ってもいいよ?」

ライキッドの言葉にアルケーは少し考える素振りを見せ答えた。

「じゃあ、欲しい神器を1個あげる」

それを聞くとライキッドは玩具を買ってもらえる子供のような笑顔を見せ、ファミレスを飛び出した。

「本当に使えるわね……あの子」

アルケーは呟くと、ファミレスから立ち去った。

ーーーー 

一方、力人と雪音は梅田が運転する車でB高校へと向かっていた。

「なぁ、雪音……梅田先生。俺が倒したバルバロイが倒された時、人間の姿のまま残ったんだ」

力人は雪音にバルバロイが人間に戻った事を話す。

「えっ!?それってどういうこと?」

「わからない……ただ、あいつは何かある気がしてならないんだ」

力人が真剣に考えていると、雪音が運転している梅田に質問する

「先生、バルバロイって確か元から異世界の存在と死者が転生して復活したタイプがいますよね? 今回のバルバロイはどうなんですか?」

それを聞いた梅田はバックミラー越しに答える。

「これだけは言える。今回のバルバロイはどちらでもないと……」

梅田は呟くように答える。

その言葉に力人と雪音は疑問を感じた。

「「どういうことなんだ(ですか)?」」

「先程、雪音が言った通り、バルバロイには二つタイプがある。一つめは最初から異界の住人として存在するもの。二つ目は事故や病気で死んだ人間が転生し、生前の記憶を持ったまま蘇生したものか転生殺人によって死亡したものが蘇生した所謂転生者というタイプだ。前者の場合は、死亡する際身体が星型の光を撒きながら爆発するが。後者の場合は灰となって消滅する。だが、今回のは人間の死体に戻ったと言っていたことからどちらとも言えないな」

「なるほど……」

力人達は納得したように声を上げる。

「この話は後日、授業で詳しく話すから楽しみにしておけ。もうすぐ着くぞ」

梅田の車が駐車場に入ると、運転席から降りて、後部座席のドアを開ける。

車から降りた二人は、校門を潜ると、梅田に礼を言って別れた。

ーーーーー

その夜、アルケーは自分の世界に戻り、一人の男性を座らせていた。

「俺は確か……電車に乗っていて……意識がなくなって……ここはどこだ?」

困惑した様子で言う男にアルケーは微笑みながら、口を開いた。

「ここは私の世界。貴方は死にました」

「死んでしまったのか……?俺が……?」

その言葉に男性は驚きの声を上げながら市松模様の床に膝をつく。

アルケーは男性の肩に手を置く。

「これは仕方ないことなのです。しかし貴方にチャンスを与えましょう」

アルケーの言葉に男は希望に満ちた表情を浮かべる。

「本当か!」

アルケーは男に手をかざすと、男の体は光り輝く。

「これで貴方は新しい命を得ることができます。ただし条件として私が定めた人数を殺し転生させる使命を背負ってもらいます」

アルケーの言葉に男性は怖気付く

「君は何者……なんだ……?」

「はい、私は女神です。」

「冗談じゃない!人を殺してまで生きたくない。それに俺には婚約者がいるんだ」

男性が怒鳴るように言うと、アルケーは落ち着いた口調で言い返す。

「ならば、最期にその女性に会うことはできますよ」

それを聞いて、男は安堵の息を漏らすがすぐにアルケーに詰め寄る。

「どうやってですか?」

アルケーは淡々とした態度で言いながら半透明の画面のようなものを見せる。

そこにはマンションでソファに座りながら男性の帰宅を待っている女性の姿が映し出される。

「あ、あゆみ!!」

男が叫びながら画面に手を伸ばすが、すり抜けてしまい、触れられない。

すると、アルケーが突然目に涙を浮かべた。

「貴方の愛に感謝しました。特別に生き返らせてあげましょう」

アルケーの言葉に男性は喜びの笑みを浮かべた。

アルケーは男性を生き返らせると、男性を家まで移動させる。

「ありがとうございます。女神様」

男性は深々と頭を下げると家に入っていく。

その様子を見ながらアルケーは自らの髪を引っ張ると涙を止めた。

そして、アルケーはこめかみに指を当てライキッドにテレパシーを送ると自分の世界へと戻っていった。

ーーーーー

アルケーの手で生き返らせてもらった男性は帰宅後、リビングで婚約者のあゆみを抱きしめていた。

「あゆみ、帰りが遅くなってごめん」

「大げさね、私だって仕事してるんだから。気にしないわよ。でも、今日はいつもより遅かったから心配して待ってたんだから」

「そっか、それは悪いことをした。ところで今日の夕飯は何だい?」

「今日は肉じゃがを作ってみたの」

そう言ってあゆみがキッチンへ向かった刹那、突如としてコンロから噴き出した炎があゆみを包み込む。

男性は必死に消火器を探している間に、あゆみは灰となり崩れ落ちた。

その光景を見た男性は、目の前で何が起きたのか理解できなかった。

しかし、徐々に脳裏に焼き付いたあゆみの死様を見て、男は過呼吸になる。

その時、窓ガラスが一瞬にして溶け出し、ライキッドが現れた。

「こいつがアルケー姐さんが生き返らせたやつか」

そう言うと、ライキッドは男性部屋のあちこちに次々と火炎を放ち、燃やしていく。

「や、やめて下さい。お願いします」

「アルケー姐さんの言うことを聞かなかった罰なんだ」

ライキッドは火の粉を振り撒きながら、男性に襲いかかった。

男性は断末魔を上げる間も与えられず、灰と化す。

ライキッドは男性だったものを眺めると、無邪気な笑顔を見せながら部屋のあちこちに小型の火球を放っていく。

血のように赤い炎が、部屋を紅く染め、その炎はまるで生きているかのように動き回り、家具を燃やし、隣の部屋やマンションの至る所を燃やし始める。

自分の世界から傍観していたアルケーはその様子に満足そうな表情を浮かべていた。

ーーー

一方、帰宅した力人は雪音と共に夕食の買い出しに行くため、スーパーへと向かっていた。

「なぁ、雪音ーーー」

力人の言葉は消防車と救急車のサイレン音でかき消された。

「えっ?何?」

驚いた雪音は力人に聞き返そうとするが消防車の警鐘の音が辺りの空気を震わせる。それと同時に前方からけたたましいサイレン音を鳴らした救急車両が走って来るのが見えると、2人の横を通り過ぎていった。

2人が振り返ると黒煙が上っているのが見えた

「リッキー、あの場所って……」

「雪音、行ってみるぞ」

「えっ?あっうん」

2人が現場に着く頃には野次馬が集まっていて、現場には立ち入り禁止のテープが貼られていた。

「危ないから下がってくだ……」

警官が野次馬に注意を促そうとした時空から降ってきた火球が警官を直撃し、爆発する。

突然の出来事に周囲の人々は混乱し逃げ惑う。

そこに追い討ちをかけるかの如く無数の火球が降り注ぐ。

「シャーハッハ、楽しいなぁ」

その言葉が上空から聞こえたかと思うと、上空からライキッドが急降下してきた。

「バルバロイだ!!」

警官達はライキッドに向けて発砲するが、怯む様子はなく無邪気な子供のように笑いながら地上に降り立つと、そのまま勢いよく地面を蹴り上げ、衝撃波を繰り出した。

「うわああ!!」

ライキッドの足下にいた警察官や野次馬が吹き飛ばされる。

「おっ!まだ生きてるじゃん」

ライキッドが嬉しそうに笑ったその時、二つの人影がライキッドの前に飛び込んできた。

「なんだ?なんだ?」

それはスカイリッキーにトランスチェンジをした力人とスノーハウンドにトランスチェンジした雪音であった。

「おまわりさんは早く多くの人を連れて逃げてください!」

スノーハウンドの言葉に現場にいた警官達は野次馬を連れて避難を始めた。

「燃やし尽くしてやるぜー!!」

ライキッドが叫びながら両手を広げると、空から大量の火球が雨のように降り注ぎ始めた。

「うおっあぶねっ」

スカイリッキーは空から降り注いでくる炎をコントローラーから取り出したヘラクレスホーンでライキッドの投げつける火球を弾き飛ばす。

そして、スカイリッキーはライキッドに向かって突進すると、車輪のように回転し、ライキッドに斬りかかる。

ライキッドはその攻撃を素早く回避すると、スカイリッキーの背後に回り込み炎を纏った手刀を突き出す。しかし、スカイリッキーはその攻撃を見切っていたのか、体を捻りその一撃を避けると、今度はスカイリッキーがライキッドの腹部に強烈なキックを叩き込む。

「オレっちはなぁ!強いんだよぉー!!」

ライキッドはスカイリッキーの攻撃を受けたまま、両腕から火炎を放つ。

スカイリッキーは咄嵯に身を翻すと、火炎を回避したが、火炎の余波により吹き飛ばされてしまう。

「ぐあっ」

スカイリッキーはマンションの壁に激突し、地面に倒れ込んだ。

ライキッドは追撃しようと、再び火炎を放とうとするが、それを察知したスノーハウンドがライキッドの腕に向けて氷の礫を放った。

「チッ」

ライキッドは舌打ちしながら、火炎を発射する事をやめ、大きく跳躍し、スノーハウンドから距離を取ると、手から作り出した火球を次々とスカイリッキーとスノーハウンドに向けて放つ。

スカイリッキーは迫り来る火球を避けつつ、ライキッドに向けて、拳を叩きつけようとするが、ライキッドは火球を放ちながらそれを回避すると、背後に回り込み、火球の連撃を食らわせる。

一方、スノーハウンドもライキッドに接近戦を仕掛けるが、ライキッドはスノーハウンドの繰り出す冷気の爪の攻撃も避け、さらに無数の火球を放つ。

スノーハウンドはは間一髪でその攻撃を避けるが、数発被弾してしまう。

「きゃっ!」

スノーハウンドは地面に叩きつけられた影響でコントローラーが解除され雪音に戻るなり意識を失ってしまった。

「おっ、おい雪音!?」

スカイリッキーは雪音の身を案じながらも、目の前の敵に集中せざるをえなかった。

「さてと……そろそろトドメといくかー」

ライキッドはそう言うと作り出した火球を巨大化させていく。

火球はライキッドの手の中でどんどん膨れ上がり、膨張した火球は周りの木々を溶かしていく。

ライキッドはニヤリと笑うと、雪音とスカイリッキー目掛けて巨大な火球を勢いよく放った。

迫り来る膨張した火球にスカイリッキーは相手の強さを理解しないまま雪音を巻き込んでしまった無鉄砲で軽率な行動を取った自分に対する怒りと後悔の念を抱きつつも、この場を切り抜ける為に必死だった。

スカイリッキーは頭上から迫る火球に対し、グラントルネードの風圧で対抗しようと試みる。

しかし、今のスカイリッキーには技を発動するどころか、避けるほどの力さえ残っていなかった。

(ツルギさん、俺、約束守れそうにないや……)

迫り来る燃えたぎる火球にスカイリッキーが死を覚悟した刹那、何者かがスカイリッキーと雪音の前に現れ、今にも直撃しようとしていた巨大かつ高熱を帯びた火球を跡形もなく消し去った。

スカイリッキーは自分と雪音の前に立つ人影を見る。

それは馬の頭をした騎士のような姿のバルバロイだった。

「お前は……あの時の!」」

スカイリッキーにとってあのバルバロイは見覚えがあった。なぜなら、それは初任務の時、絶体絶命の力人を転生者から救ったバルバロイであったからだ。

「お前がアルケー姐さんが言っていた裏切り者の転生者だな?」

驚きを隠せないスカイリッキーを横目にライキッドは、目の前にいる馬のバルバロイもといホースバルバロイを睨みつけながらも、警戒していた。

それもそのはずライキッドは先程、自分の最大奥義とも言える巨大な火球〈ヘルフレア・バニンガ〉を一瞬にして防がれてしまった事に動揺し、同時に恐怖心を抱いていた。

「これ以上オレッちを怒らせるなよー!」

ライキッドはそう言い放ち、両手を天に掲げると、再びヘルフレア・バニングを放とうと自らの魔力を溜め始める。

だが次の瞬間、ホースバルバロイは胴体から光の剣を作り出し、ライキッドを斬りつけた。

「アルケー姐さんに言い付けてやるからなー!!」

ダメージを受けたライキッドは小学生のような捨て台詞を吐くと、その場から逃げるように撤退した。

それと同じくしてスカイリッキーも強制的にトランスチェンジが解除され、力人へと戻ってしまう。

薄れゆく意識の中力人の目に映ったのは、雪音と自分を抱き抱えるホースバルバロイの姿であった。

ーーーーーーー

次に力人が目を覚ますとそこはマンションから少し離れた小さな公園だった。

「ここは……?」

その時ホースバルバロイが突如として現れ、満身創痍の力人と意識を失っている雪音に近づき、手をかざし始めた。

「な、何だ、身体の傷が……治っていく!?」

突然の出来事に驚く力人の身体はみるみるうちに回復していった。

回復した力人をホースバルバロイは黙って見ていると、力人はようやく口を開いた。

「助けてくれたのか……?」

戸惑いながら問い掛ける力人に対して、ホースバルバロイはうなづきながら人間の姿に戻る。その姿に力人は驚きの表情を浮かべた。

「あっ!お前は!」

そこにいたのは数日前に生徒手帳を落とした時に拾って届けてくれた少年、月浪稔の姿だった。

「君は……綺羅星力人君だっけ?確か生徒手帳を落していた……」

稔の言葉に力人は思い出し、込み上げてくる恥ずかしさを隠すように稔を問い詰める。

「お前、転生者のバルバロイなんだろ?なんで俺を助けたんだ?」

今までと異なるバルバロイの様子に疑いの目を向ける力人に稔は真剣な顔で口を開き始める。

「安心してください。僕は君と何も違いません。ただ君たちと同じように目の前の人々を救いたい。ただそれだけのことです」

稔は力人の目を真っ直ぐに見つめる。

青空のように澄み渡る稔の眼は力人の心の中の何・か・を少しだけ変えた。

「分かったよ。信じるぜ」

力人もまた青空のように澄み渡る眼で稔を見据える。

二人の目には曇一つない決意が宿っていた。

そして二人は拳を握りしめ、互いに突き出しあう。

「よろしくな、稔」

「こちらこそ、よろしく」

その時気を失っていた雪音が目を覚ます。

その視界に映ったのは、稔と力人がお互いの健闘を称え合う姿だった。

「リッキー……その人誰?」

雪音は見知らぬ人物の存在に首を傾げる。

「あぁ、俺と雪音を助けてくれた心優しいヒーローだよ」

力人は雪音の疑問に答えると、雪音は笑顔でお礼を言う。

「いえいえ、困った時は助け合いですよ」

「ありがとうございます。えっと、貴方のお名前は?」

雪音は稔に名前を尋ねる。

「僕の名は月浪稔と言います」

「つきなみ……みのる……あっ!」

名を聞いて雪音はすぐに思い出す。

「あの時は本当にありがとうございます!」

雪音は再び礼を言うと稔は微笑んだ。

その時、雪音の腹が空腹を訴えるかのように鳴り出す。

バルバロイとの戦いのせいで夕食を忘れていた事を思い出すと、力人と雪音は同時に笑い出した。

その様子を見た稔もつられて笑う。

三人の少年少女の明るい声が夜の公園に響き渡るのであった。
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