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花を愛する残暑の雷鳴
#1
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夏の暑さのピークを過ぎてしばらく。
まだまだ暑い日が続きますが、陽の光はかなり穏やかになってきています。
観光客も少しずつ減ってきており、私は外出しやすくなってきております。
本来なら気分が上がるはずですが、私には気が乗らないお客様が訪れました。
私の部屋におとずれる鳥は、どうして不穏な知らせを届けてくれるのでしょうか。
私の知る術士は鳥類を不幸の使者にしたいのかと思えてきます。
今日訪れた鳥はいつもの白い鳩ではなく、黒いカラスです。
だいたい予想は出来ますが、あの人の事だからこちらの返事を待たずカラスを戻すでしょう。
まずはカラスの確保をした方が良いでしょう。
足に付いた手紙を取る前にカラスの背を掴みます。
「少しは頭を使うようになったねぇ」
突然カラスが喋りだしました。
驚いて一瞬動きが止まります。
「でも、まだまだ」
指を鳴らすような音がしたかと思うと、手の中のカラスが消えて手紙だけが残りました。
当たり前ですが、ビャンコ様より数枚上手ですね。
とりあえず手紙を読んでみます。
『今夜は貸切で』
……まぁ、思ったよりは悪い知らせではありませんでした。
前は娼館の予約を頼まれたので、今回もそうかと思っていました。
……まさか高級クラブを貸し切れとかではないですよね?
とりあえず今夜は店の入口に幻術を掛けて待つことにしましょう。
来なかったとしても仕方ないですよね。
───────
「相変わらずジジィだねぇ、キー坊は。派手なのはその顔と頭の中身だけ、私は君にそんな地味ぃ~な使い方させる為に手解きしたんじゃないのにねぇ」
本日はモウカハナには私の術士の師匠がいらしています。
ジンをロックでお出しして、お食事などは出しておりません。
一通り模擬戦の流れを説明し、今に至ります。
「この店の温度調節と料理くらい? あとは入口の奴? 他にも大体全部覚えてんだしもっとあるでしょ、使い方。本当に地味だねぇ」
元々変化はそれなりに使えてましたが、それ以外の物もまともに使えるようになったのは師匠のお陰です。
「模擬戦で暴れたくせに箝口令出させるとか。一応私有名人だし? 無理に決まってるのにねぇ」
彼がマーゴ・フィオリトゥーラをやるのは名声が目的ではありますが、一番はストレス発散の手段だそうです。
予想通りに人を驚かすのが楽しいのだそうです。
「キー坊の模擬戦の話聞いてすぐ来たかったからさっさと戦場片付けてきたのに? 相変わらずジジィなのは変わんないねぇ」
雷の使い手で、戦場一帯に雷鳴を轟かせ戦況を一瞬でひっくり返すような術士です。
ただ、この人には強力な術だけではなく軍師としての一面もあります。
「どうせまだまだ自分は気持ち悪いとか何とかグズグズしてるんでしょ、何度言えば分かるかねぇ。本当に頭は良いのに派手に馬鹿だよねぇ」
この人の普段の姿はとにかく目立ちます。
疎らに脱色された黒髪と、黄色のと白のストライプ柄のジャケットを黒いカットソーと合わせるような攻撃的な服装。
190センチを超える高身長と細身の体は、とにかく派手で長いという印象を持たれます。
「ちょうどいい条件の奴だと思って手解きして、覚えも筋も良いけどねぇ。とにかく地味、地っ味。宝以前に持ち主が腐ってる感じになってるよねぇ」
派手な外見とは似合わず、とにかくこう、言い回しが陰湿で長いのも特徴です。
言い返してもその分長くなるだけなので、聞くに徹します。
「で? そっちの有名人の白いのは今何してんの? どうせまだ暖炉に火を点けようとして家一軒燃やしたりしてんでしょ?」
ようやく話題がそれたようです。
答えようとする私に気付いて言葉を続けます。
「困ったらすーぐキー坊に頼るのも同じかねぇ? それを結局イライラしながら助けてんでしょ? 君ら本当に進歩ないねぇ」
まだ続いてましたね、小言。
「で、模擬戦の話で他には?」
「大方説明した通りです」
「あれ~? さっきは報告だから見逃したけど、君まだそんな言葉使いなの~? 昔のおっとこらしい喋り方どうしちゃったの~?」
「昔の話です」
「今の話し方だけなら手品師にピッタリだけどねぇ、普段の地味さに磨きがかかっただけだって言わなかったっけ?」
「地味である事に不都合はありませんので」
「キー坊からキー爺に変えようかね? 五十の私が坊やをジジィって呼ぶのも嫌なんだけどねぇ」
「……模擬戦に関して何かあれば、ご教授お願い致します」
「っはぁ~、肝心なとこは学ばないのに教えは乞うと。本当に頭の中身が残念だねぇ」
こうです、喋ればこうです。
この人は私には特別にこうです。
どの道この人は女性にしか好感度高く話しませんが。
「しかし、水かぁ。水ねぇ」
「はい、それを大きな氷柱にして飛ばしてきます」
「他には?」
「それだけです。本数はかなりありましたし、コントロールもある程度出来てましたが」
「嫌いじゃないんだけどね、あれのニオイ苦手なんだよねぇ」
「手解きして差し上げれば良い弟子になるのではないですか?」
「出たわ、残念オツム発言。誰が戦争相手の術士の育成なんてするかねぇ? 脳の栄養その顔に吸い取られてんじゃないの?」
私が自分の外見を嫌う理由の一つが、この謗りだと言われても否定できません。
「私は自分の容姿は……長所だとは考えておりません」
「あれ、いつもみたいに不気味って言わないの?」
「……そう思いますが、見るに堪えない程ではないようですので」
「ほぉ、ちょっとそこ詳しく教えてよ」
模擬戦の話はどこへ……。
とりあえず去年喫茶店に変装して行った事から、最近の出来事までを話しました。
「……それはそれは、キー坊らしい単純さだねぇ」
顎に手を当て、何かを考えているようです。
それから少しして、少なくなったジンを口にします。
「じゃあ今は普通に外出るの?」
「どうでしょうか、場所によります」
「ふぅん、そうなんだ」
薄くなったジンを飲み干し、空いたグラスを差し出してきます。
お代わりですね、一言欲しいものですが。
「模擬戦の話は言う事なしだね、演出も罠の張り方も良い。相手の魔力切れ狙って氷を利用するのもよく分かってるねぇ」
「ありがとうございます」
「まぁキー坊の場合は体術に長けてるから、そのやり方が良いだろうねぇ。出来るなら氷柱を全部残さないで変化で自分のに変換してくと良いね、内側だけ削って外側残すとかして。相手に意表がつける」
「参考になります」
「あと余裕があれば剣でも勉強しとけ、君の場合は体術を使う何かわかりやすい理由があると便利だねぇ。戦術は良い、けどまだまだ地味」
アドバイスはとても参考になりますが、この方は騎士団の模擬戦に何を求めてるのでしょうか。
「それだけ動けるなら、都度魅了とか幻術仕掛けるとかすれば良いのにねぇ。地味、地味だねぇ」
「以降機会があれば参考にいたします」
「あぁ、是非そうして欲しいねぇ。手品師の活動は好きにやってよ、出来れば派手にね、派手に。非公式の模擬戦とかそんなんじゃなくてね、噴水前でパーッとやるとかねぇ」
「……今回はあの姿に助けられました、ありがとうございます」
「キー坊の変装じゃないんだよねぇ、模擬戦だったら普通に今の姿で出れば良いのにねぇ」
出来るだけ目立ちたくないという考えは、この方に理解していただくのは難しいです。
「後で分かった事ですが、マルモワの方々が術士を探しているようですので……その点で考えると、あの服装は助かりました」
「ハッ、私への対策かねぇ。そのマルモワ小僧でダメなのかねぇ」
「なんとも言えません。対策の方針は正しいですが、彼ではあなたの相手にはならないでしょう」
「そうだねぇ……あぁそれでキー坊は困る。白いのならまだ良いけど」
「私はまだ疑われていただけですし、ビャンコ様はその対象には入ってないと思われます」
「何、マルモワ行くの?」
「誘われてもおりません」
「へぇ、そうなんだ」
ニヤリと笑います。
基本は無表情ですが、たまに意味を持たせて笑います。
この人の筋肉の使い方には一切の無駄がありませんので、嫌な予感しかありません。
「とりあえずこんな男臭いのは終わりにして、さっさと行くぞ」
「今回はどのくらいこちらに滞在されるのですか?」
「来てすぐいつ帰るか聞くかねぇ?」
「休暇を取られたのかと思いまして」
「取ったよそりゃあ。冬の前くらいまでね」
「随分長いですね」
「君、師匠に失礼だねぇ。とりあえず急用入らなきゃ休暇はずっとこっちにいるつもりだよ」
「……左様ですか」
長いです、冗談じゃありません。
「左様、だ。たまにここ来るからよろしくねぇ」
「普通のお客様としてお相手致しますので、ご了承お願いします」
「あっそ、じゃ行くぞ」
「……これから店の開店がありますので」
「貸し切りって言ったよね?」
「お帰りになるまでは、です」
「何言ってんの、行くぞ娼館」
「お断りします」
「君いると女の子喜ぶんだよねぇ、餌になってよ」
「お断りします」
「制服着てないし、髪も下ろしてんでしょ。行くつもりだったんじゃないの?」
「着替えが裏にありますので」
「はいはい、行くからさっさと付いてきなよ」
「お断りします」
この後もしばらく不毛なやり取りをした結果、師匠は一人でお帰りになられました。
冬前と言うことは、留学生達がマルモワへ帰る時期より少し先となります。
私の謗りはいつもの事ですが、この小言癖で弟子に逃げられ、同性から嫌われやすいのは知っております。
モウカハナのお客様は男性が多いです。
そこもあり、しばらくは落ち着いてお店の経営が出来るか少し不安になって参りました。
まだまだ暑い日が続きますが、陽の光はかなり穏やかになってきています。
観光客も少しずつ減ってきており、私は外出しやすくなってきております。
本来なら気分が上がるはずですが、私には気が乗らないお客様が訪れました。
私の部屋におとずれる鳥は、どうして不穏な知らせを届けてくれるのでしょうか。
私の知る術士は鳥類を不幸の使者にしたいのかと思えてきます。
今日訪れた鳥はいつもの白い鳩ではなく、黒いカラスです。
だいたい予想は出来ますが、あの人の事だからこちらの返事を待たずカラスを戻すでしょう。
まずはカラスの確保をした方が良いでしょう。
足に付いた手紙を取る前にカラスの背を掴みます。
「少しは頭を使うようになったねぇ」
突然カラスが喋りだしました。
驚いて一瞬動きが止まります。
「でも、まだまだ」
指を鳴らすような音がしたかと思うと、手の中のカラスが消えて手紙だけが残りました。
当たり前ですが、ビャンコ様より数枚上手ですね。
とりあえず手紙を読んでみます。
『今夜は貸切で』
……まぁ、思ったよりは悪い知らせではありませんでした。
前は娼館の予約を頼まれたので、今回もそうかと思っていました。
……まさか高級クラブを貸し切れとかではないですよね?
とりあえず今夜は店の入口に幻術を掛けて待つことにしましょう。
来なかったとしても仕方ないですよね。
───────
「相変わらずジジィだねぇ、キー坊は。派手なのはその顔と頭の中身だけ、私は君にそんな地味ぃ~な使い方させる為に手解きしたんじゃないのにねぇ」
本日はモウカハナには私の術士の師匠がいらしています。
ジンをロックでお出しして、お食事などは出しておりません。
一通り模擬戦の流れを説明し、今に至ります。
「この店の温度調節と料理くらい? あとは入口の奴? 他にも大体全部覚えてんだしもっとあるでしょ、使い方。本当に地味だねぇ」
元々変化はそれなりに使えてましたが、それ以外の物もまともに使えるようになったのは師匠のお陰です。
「模擬戦で暴れたくせに箝口令出させるとか。一応私有名人だし? 無理に決まってるのにねぇ」
彼がマーゴ・フィオリトゥーラをやるのは名声が目的ではありますが、一番はストレス発散の手段だそうです。
予想通りに人を驚かすのが楽しいのだそうです。
「キー坊の模擬戦の話聞いてすぐ来たかったからさっさと戦場片付けてきたのに? 相変わらずジジィなのは変わんないねぇ」
雷の使い手で、戦場一帯に雷鳴を轟かせ戦況を一瞬でひっくり返すような術士です。
ただ、この人には強力な術だけではなく軍師としての一面もあります。
「どうせまだまだ自分は気持ち悪いとか何とかグズグズしてるんでしょ、何度言えば分かるかねぇ。本当に頭は良いのに派手に馬鹿だよねぇ」
この人の普段の姿はとにかく目立ちます。
疎らに脱色された黒髪と、黄色のと白のストライプ柄のジャケットを黒いカットソーと合わせるような攻撃的な服装。
190センチを超える高身長と細身の体は、とにかく派手で長いという印象を持たれます。
「ちょうどいい条件の奴だと思って手解きして、覚えも筋も良いけどねぇ。とにかく地味、地っ味。宝以前に持ち主が腐ってる感じになってるよねぇ」
派手な外見とは似合わず、とにかくこう、言い回しが陰湿で長いのも特徴です。
言い返してもその分長くなるだけなので、聞くに徹します。
「で? そっちの有名人の白いのは今何してんの? どうせまだ暖炉に火を点けようとして家一軒燃やしたりしてんでしょ?」
ようやく話題がそれたようです。
答えようとする私に気付いて言葉を続けます。
「困ったらすーぐキー坊に頼るのも同じかねぇ? それを結局イライラしながら助けてんでしょ? 君ら本当に進歩ないねぇ」
まだ続いてましたね、小言。
「で、模擬戦の話で他には?」
「大方説明した通りです」
「あれ~? さっきは報告だから見逃したけど、君まだそんな言葉使いなの~? 昔のおっとこらしい喋り方どうしちゃったの~?」
「昔の話です」
「今の話し方だけなら手品師にピッタリだけどねぇ、普段の地味さに磨きがかかっただけだって言わなかったっけ?」
「地味である事に不都合はありませんので」
「キー坊からキー爺に変えようかね? 五十の私が坊やをジジィって呼ぶのも嫌なんだけどねぇ」
「……模擬戦に関して何かあれば、ご教授お願い致します」
「っはぁ~、肝心なとこは学ばないのに教えは乞うと。本当に頭の中身が残念だねぇ」
こうです、喋ればこうです。
この人は私には特別にこうです。
どの道この人は女性にしか好感度高く話しませんが。
「しかし、水かぁ。水ねぇ」
「はい、それを大きな氷柱にして飛ばしてきます」
「他には?」
「それだけです。本数はかなりありましたし、コントロールもある程度出来てましたが」
「嫌いじゃないんだけどね、あれのニオイ苦手なんだよねぇ」
「手解きして差し上げれば良い弟子になるのではないですか?」
「出たわ、残念オツム発言。誰が戦争相手の術士の育成なんてするかねぇ? 脳の栄養その顔に吸い取られてんじゃないの?」
私が自分の外見を嫌う理由の一つが、この謗りだと言われても否定できません。
「私は自分の容姿は……長所だとは考えておりません」
「あれ、いつもみたいに不気味って言わないの?」
「……そう思いますが、見るに堪えない程ではないようですので」
「ほぉ、ちょっとそこ詳しく教えてよ」
模擬戦の話はどこへ……。
とりあえず去年喫茶店に変装して行った事から、最近の出来事までを話しました。
「……それはそれは、キー坊らしい単純さだねぇ」
顎に手を当て、何かを考えているようです。
それから少しして、少なくなったジンを口にします。
「じゃあ今は普通に外出るの?」
「どうでしょうか、場所によります」
「ふぅん、そうなんだ」
薄くなったジンを飲み干し、空いたグラスを差し出してきます。
お代わりですね、一言欲しいものですが。
「模擬戦の話は言う事なしだね、演出も罠の張り方も良い。相手の魔力切れ狙って氷を利用するのもよく分かってるねぇ」
「ありがとうございます」
「まぁキー坊の場合は体術に長けてるから、そのやり方が良いだろうねぇ。出来るなら氷柱を全部残さないで変化で自分のに変換してくと良いね、内側だけ削って外側残すとかして。相手に意表がつける」
「参考になります」
「あと余裕があれば剣でも勉強しとけ、君の場合は体術を使う何かわかりやすい理由があると便利だねぇ。戦術は良い、けどまだまだ地味」
アドバイスはとても参考になりますが、この方は騎士団の模擬戦に何を求めてるのでしょうか。
「それだけ動けるなら、都度魅了とか幻術仕掛けるとかすれば良いのにねぇ。地味、地味だねぇ」
「以降機会があれば参考にいたします」
「あぁ、是非そうして欲しいねぇ。手品師の活動は好きにやってよ、出来れば派手にね、派手に。非公式の模擬戦とかそんなんじゃなくてね、噴水前でパーッとやるとかねぇ」
「……今回はあの姿に助けられました、ありがとうございます」
「キー坊の変装じゃないんだよねぇ、模擬戦だったら普通に今の姿で出れば良いのにねぇ」
出来るだけ目立ちたくないという考えは、この方に理解していただくのは難しいです。
「後で分かった事ですが、マルモワの方々が術士を探しているようですので……その点で考えると、あの服装は助かりました」
「ハッ、私への対策かねぇ。そのマルモワ小僧でダメなのかねぇ」
「なんとも言えません。対策の方針は正しいですが、彼ではあなたの相手にはならないでしょう」
「そうだねぇ……あぁそれでキー坊は困る。白いのならまだ良いけど」
「私はまだ疑われていただけですし、ビャンコ様はその対象には入ってないと思われます」
「何、マルモワ行くの?」
「誘われてもおりません」
「へぇ、そうなんだ」
ニヤリと笑います。
基本は無表情ですが、たまに意味を持たせて笑います。
この人の筋肉の使い方には一切の無駄がありませんので、嫌な予感しかありません。
「とりあえずこんな男臭いのは終わりにして、さっさと行くぞ」
「今回はどのくらいこちらに滞在されるのですか?」
「来てすぐいつ帰るか聞くかねぇ?」
「休暇を取られたのかと思いまして」
「取ったよそりゃあ。冬の前くらいまでね」
「随分長いですね」
「君、師匠に失礼だねぇ。とりあえず急用入らなきゃ休暇はずっとこっちにいるつもりだよ」
「……左様ですか」
長いです、冗談じゃありません。
「左様、だ。たまにここ来るからよろしくねぇ」
「普通のお客様としてお相手致しますので、ご了承お願いします」
「あっそ、じゃ行くぞ」
「……これから店の開店がありますので」
「貸し切りって言ったよね?」
「お帰りになるまでは、です」
「何言ってんの、行くぞ娼館」
「お断りします」
「君いると女の子喜ぶんだよねぇ、餌になってよ」
「お断りします」
「制服着てないし、髪も下ろしてんでしょ。行くつもりだったんじゃないの?」
「着替えが裏にありますので」
「はいはい、行くからさっさと付いてきなよ」
「お断りします」
この後もしばらく不毛なやり取りをした結果、師匠は一人でお帰りになられました。
冬前と言うことは、留学生達がマルモワへ帰る時期より少し先となります。
私の謗りはいつもの事ですが、この小言癖で弟子に逃げられ、同性から嫌われやすいのは知っております。
モウカハナのお客様は男性が多いです。
そこもあり、しばらくは落ち着いてお店の経営が出来るか少し不安になって参りました。
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