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眠りを誘う甘い芳香
#5
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その日は霧雨が降る寒い日だった。
それでもリュンヌの貴族が来るだろうと考えいたが、昼休憩を過ぎても呼び出しがない。
流石に年明けから同じやり取りなので段々と効率的な会話になってきていたし、あの空気が分からないほどアレでもないだろう。
そもそも普通は一度断られたら別の提案をする物かと思うが。
ついに観念したかと喜び夕刻の会議に参加したが、聖獣局の副長がその場にいた。
「本日局長が朝から姿が見えないので僕が参加させていただきます。早速で恐縮ですが、皆さんの中で局長に何か頼んだ人はいませんか?」
そう言われて一瞬防衛局のバルトロメオ氏に視線が集まるが、彼は慌てて首を横に振る。
他も誰かから声が上がるわけでもなく、何となくこの話題は流れた。
───────
「これが先週の話で、今日も局長の集まる会議がありまして」
「今日もビャンコ様が会議にご出席なさっていないのですか?」
「それが……その、庁舎の勤怠管理に関してなど流石に知りませんよね?」
「管理をされている、とだけなら聞いた事があります」
カズロ様から一度だけお伺いした記憶があります。
「正確に言うなら管理はされておらず、余程目につく場合でない限りは注意もされません。特に聖獣局の場合は形通りの管理が難しい職員も多く自主性に任せておりまして、問題が起きた事もありません」
「そうなのですね」
「一時期管理をするか問題が上がりましたが、その職員は半年程で退職になったので今も管理はされてません」
思ったより自由なようですね。
過去に怠慢で退職になった職員の方は一名しか聞いた事がありません。
「ビャンコさんは正に当てはめにくい方です。なのですが、休暇などの場合は必ず申請があるのでやはり問題視はされてなかったのですが……」
「それが今日もいらっしゃらなかったと」
「はい、それも先日の会議からずっと。聖獣局の方では不安視される声が上がっていたそうですが、上への共有があったのが今日だったもので」
今日まで庁舎全体でビャンコ様がご出勤されていない事に関して感知できてなかったようです。
「ビャンコ様に何かあったのですか?」
「……それが事件なのか彼の気分の問題なのかで議論になりまして」
「気分とは?」
「リュンヌとの交渉でかなり苛立っていたのは周知でしたので」
申告に信頼があったのなら、その理由で片付けてしまうのは無理があります。
「あるいはリュンヌの方が何かしたのだと疑われていますが、表立って動くのも悩ましく……何より彼は探すのが難しく」
「それで、私のところに?」
つまり、ビャンコ様の安否の確認でここにいらしたのですね。
それなら私のところではなく彼の住まいに行くのが良いかと思いますが、なぜそうしないなか疑問です。
「彼の住まいに行かれましたか?」
「はい、ですが不在のようでした。彼の生活は謎が多く……いつ何処で何をしているかとなると、業務外ではここに飲みに来る以外で他の方が知っていることも無く」
私も彼を詳しく知っている訳ではありませんが、イザッコや他の方ではなくエルミーニ様が心配なさるのも少し違和感を覚えます。
「大変失礼な事をお伺いしますが、なぜエルミーニ様が探していらっしゃるのですか? 騎士団や他の方が適任に思えますが」
「彼に対しての信頼が高いせいか、一週間くらいはありえると考えてる方が多く。ですが私は最近嫌がる彼に無理を言っていて、それが理由でどこかへ行ってしまったのかと思うと本当に申し訳なく……」
「なるほど、どこかへ行ってしまった事を懸念されているのですね」
「はい、ここへなら挨拶か何かしに来た可能性があると思いまして」
ビャンコ様の性格を考えれば旅に出たと言われても納得出来そうですが、かの帝国の使節団が関わってくるなら別の可能性も考えられます。
しかし、ビャンコ様が早々彼らの手に落ちるのも考えにくいです。
他の方もこの考えに至って心配などなさってないのかもしれませんが、エルミーニ様はご自身の責任と考えていらっしゃるのでしょう。
「その、先週あった帝国の方々の来訪には参加なさってたのですね?」
「はい、私が最後に会ったのはそれです」
エルミーニ様は気落ちしたように手の中のグラスを見つめていらっしゃいます。
元々責任感の強い方なのでしょう、こんな夜更けに一度会っただけのバリスタを尋ねてくるなど、かなり思い詰めていらっしゃるのかもしれません。
追い討ちをかけるようですが、追加でお伺いしたい事があります。
「かの帝国での術士の扱いに関してどの程度ご存知ですか?」
「……奴隷かそれに近いものと言うのは知ってます」
「本日、他に何かご注文はございますか?」
「いえ、特に考えてませんが」
今日はこれ以上お客様もいらっしゃらないでしょうから、これから彼を探しに行く方が良いように思います。
正直かなり心配です。
「ビャンコさんを探すのですか?」
「はい」
「一緒に行っても?」
「時間もかなり遅いですし、大丈夫ですか?」
「それなら大丈夫です、私も彼が心配で」
「承知しました、すぐ準備しますので少しお待ち下さい」
───────
店の外で指笛を吹き、フィルマを呼び寄せました。
それからタバコに火をつけ、カフスに魔力を通します。
彼は私の部屋にいるはずですが、自由に出られるように窓の鍵を開けてあるので出てこれるはずです。
しばらく待つかと思っていたら、指笛を鳴らしてすぐに彼は私の元へ来ました。
『主君! お呼びですか?』
「随分早いですね」
『主君の外出の際はすぐに駆けつけることの出来る位置に控えております故!』
「ありがとうございます」
『それで、何用ですか?』
「ビャンコ様の所在を知りたいのです」
『それならアタイも聞いてこようか?』
足元の影からリィが出てきて、私の足首に頭を擦り付けてきます。
「リィもここにいらっしゃったのですね」
『解禁されたからね! それで、トラオがいないのかい?』
「はい、ここ数日姿が見えないそうで」
『どうだかね、トラオならどっかで油売ってんじゃないかい?』
油を売る、は確か暇を持て余していることの比喩のはずです。
「何か情報が得られればと思いまして、私は彼の住まいにこれから行こうと思います」
『承知、私めは空から彼の姿を探します!』
フィルマは一言言うと、そのまま空へ飛んでいきました。
『アタイはキー君と行こうかね、途中猫がいたら聞いてみるさ』
「お願いできますか?」
『もちろんさ! お安いご用さね!』
本当に頼もしいです。
ここまでの様子を、傍らでご覧になっていたエルミーニ様が固まっていらっしゃいます。
「エルミーニ様、これから彼の住まいへご案内お願いできますか?」
「え、あ、はい」
「すみません、驚かせてしまいましたか?」
「そうですね……術士とは本当にすごい方だと」
「ビャンコ様に比べれば大した事ではありません」
私はタバコの火を消し、ポケットの中にある灰皿に吸殻を入れ蓋をします。
それからエルミーニ様の先導でビャンコ様の住まいに向かい歩きだしました。
ビャンコ様の住まいにこのような形で訪れる事になるとは思いもよりませんでした、彼がそこに居てくれると何事もないのですが。
モウカハナから歩いて三十分程。
リモワのかなり外れの方まで来ました。
「もう少しですので」
この辺りはパラッツォなどはなく一軒家がいくつか並ぶ地域です。
王都の中心からやや遠く住むにはあまり人気のない地域で、他と比較して建物が少ないです。
「ここです」
エルミーニ様が一軒の家の前で足を止めました。
あまり大きくはない二階建ての建物とかなりの広い庭があります。
姿は見えませんが、庭には何匹か魔獣の気配がします。
「では夜も遅いですが」
家のドアをノックします。
分かってはいましたが反応がありません。
立ちすくんでいると、リィが足元で鳴きます。
私はカフスに魔力を通し彼女の言葉を待ちます。
『庭にいる奴らに聞いてこようか?』
「お願いできますか?」
『任せとくれ!』
短いやりとりのあと、リィはビャンコ様の庭へと入っていきました。
私はカフスに通した魔力を途絶えさせます。
「彼女が庭にいる存在に話を聞いてきてくれるそうです」
エルミーニ様に今のやり取りに関して伝えます。
「庭に何かいるんですか?」
「私も姿は見えませんが、数体の魔獣がいるようです」
「え、魔獣!? 大丈夫なんですか?」
「大丈夫だと思いますよ、私と一緒にいる黒猫も魔獣です」
「んな、そう、でしたか」
「ご紹介出来ておらず申し訳ありません」
「いえ、それより……」
エルミーニ様が家の方を見て呟きます。
「やはり出てきませんね」
「家の中にも気配はありませんし、多分ここにはいらっしゃらないかと思います」
「分かるんですか?」
「はい、山の生活で慣れておりますので」
ここで私がビャンコ様と同じように精霊と会話出来れば良いのでしょうけど、そもそも私には姿を認識できません。
それに私の声では意識した相手の声しか聞き取ることが出来ないようで、リィかフィルマ以外と会話出来た事がありません。
考え事をしていたところへ、リィが戻って参りました。
私は再びカフスに魔力を通します。
『どうもトラオの奴、三日はここに戻ってないみたいさね』
「三日も?」
『あぁ。しかも最後に見た時フラフラしてて、家に入ってそのままどっか行ったきりだって』
それはかなり怪しいですね、何かあったとしか思えません。
「エルミーニ様」
「……はい」
エルミーニ様は私の言葉だけなら分かるはずで、三日という単語が聞こえていたのでしょう。
「今から彼の家の中に入るつもりですが、エルミーニ様はどうなさいますか?」
「同行します、私が一緒なら色々言い訳が出来るでしょう」
「かしこまりました」
家主の許可を得ず申し訳ないとは思いますが、緊急のように思います。
後でビャンコ様には謝罪するとして、家の中に入らせて頂こうかと思います。
それでもリュンヌの貴族が来るだろうと考えいたが、昼休憩を過ぎても呼び出しがない。
流石に年明けから同じやり取りなので段々と効率的な会話になってきていたし、あの空気が分からないほどアレでもないだろう。
そもそも普通は一度断られたら別の提案をする物かと思うが。
ついに観念したかと喜び夕刻の会議に参加したが、聖獣局の副長がその場にいた。
「本日局長が朝から姿が見えないので僕が参加させていただきます。早速で恐縮ですが、皆さんの中で局長に何か頼んだ人はいませんか?」
そう言われて一瞬防衛局のバルトロメオ氏に視線が集まるが、彼は慌てて首を横に振る。
他も誰かから声が上がるわけでもなく、何となくこの話題は流れた。
───────
「これが先週の話で、今日も局長の集まる会議がありまして」
「今日もビャンコ様が会議にご出席なさっていないのですか?」
「それが……その、庁舎の勤怠管理に関してなど流石に知りませんよね?」
「管理をされている、とだけなら聞いた事があります」
カズロ様から一度だけお伺いした記憶があります。
「正確に言うなら管理はされておらず、余程目につく場合でない限りは注意もされません。特に聖獣局の場合は形通りの管理が難しい職員も多く自主性に任せておりまして、問題が起きた事もありません」
「そうなのですね」
「一時期管理をするか問題が上がりましたが、その職員は半年程で退職になったので今も管理はされてません」
思ったより自由なようですね。
過去に怠慢で退職になった職員の方は一名しか聞いた事がありません。
「ビャンコさんは正に当てはめにくい方です。なのですが、休暇などの場合は必ず申請があるのでやはり問題視はされてなかったのですが……」
「それが今日もいらっしゃらなかったと」
「はい、それも先日の会議からずっと。聖獣局の方では不安視される声が上がっていたそうですが、上への共有があったのが今日だったもので」
今日まで庁舎全体でビャンコ様がご出勤されていない事に関して感知できてなかったようです。
「ビャンコ様に何かあったのですか?」
「……それが事件なのか彼の気分の問題なのかで議論になりまして」
「気分とは?」
「リュンヌとの交渉でかなり苛立っていたのは周知でしたので」
申告に信頼があったのなら、その理由で片付けてしまうのは無理があります。
「あるいはリュンヌの方が何かしたのだと疑われていますが、表立って動くのも悩ましく……何より彼は探すのが難しく」
「それで、私のところに?」
つまり、ビャンコ様の安否の確認でここにいらしたのですね。
それなら私のところではなく彼の住まいに行くのが良いかと思いますが、なぜそうしないなか疑問です。
「彼の住まいに行かれましたか?」
「はい、ですが不在のようでした。彼の生活は謎が多く……いつ何処で何をしているかとなると、業務外ではここに飲みに来る以外で他の方が知っていることも無く」
私も彼を詳しく知っている訳ではありませんが、イザッコや他の方ではなくエルミーニ様が心配なさるのも少し違和感を覚えます。
「大変失礼な事をお伺いしますが、なぜエルミーニ様が探していらっしゃるのですか? 騎士団や他の方が適任に思えますが」
「彼に対しての信頼が高いせいか、一週間くらいはありえると考えてる方が多く。ですが私は最近嫌がる彼に無理を言っていて、それが理由でどこかへ行ってしまったのかと思うと本当に申し訳なく……」
「なるほど、どこかへ行ってしまった事を懸念されているのですね」
「はい、ここへなら挨拶か何かしに来た可能性があると思いまして」
ビャンコ様の性格を考えれば旅に出たと言われても納得出来そうですが、かの帝国の使節団が関わってくるなら別の可能性も考えられます。
しかし、ビャンコ様が早々彼らの手に落ちるのも考えにくいです。
他の方もこの考えに至って心配などなさってないのかもしれませんが、エルミーニ様はご自身の責任と考えていらっしゃるのでしょう。
「その、先週あった帝国の方々の来訪には参加なさってたのですね?」
「はい、私が最後に会ったのはそれです」
エルミーニ様は気落ちしたように手の中のグラスを見つめていらっしゃいます。
元々責任感の強い方なのでしょう、こんな夜更けに一度会っただけのバリスタを尋ねてくるなど、かなり思い詰めていらっしゃるのかもしれません。
追い討ちをかけるようですが、追加でお伺いしたい事があります。
「かの帝国での術士の扱いに関してどの程度ご存知ですか?」
「……奴隷かそれに近いものと言うのは知ってます」
「本日、他に何かご注文はございますか?」
「いえ、特に考えてませんが」
今日はこれ以上お客様もいらっしゃらないでしょうから、これから彼を探しに行く方が良いように思います。
正直かなり心配です。
「ビャンコさんを探すのですか?」
「はい」
「一緒に行っても?」
「時間もかなり遅いですし、大丈夫ですか?」
「それなら大丈夫です、私も彼が心配で」
「承知しました、すぐ準備しますので少しお待ち下さい」
───────
店の外で指笛を吹き、フィルマを呼び寄せました。
それからタバコに火をつけ、カフスに魔力を通します。
彼は私の部屋にいるはずですが、自由に出られるように窓の鍵を開けてあるので出てこれるはずです。
しばらく待つかと思っていたら、指笛を鳴らしてすぐに彼は私の元へ来ました。
『主君! お呼びですか?』
「随分早いですね」
『主君の外出の際はすぐに駆けつけることの出来る位置に控えております故!』
「ありがとうございます」
『それで、何用ですか?』
「ビャンコ様の所在を知りたいのです」
『それならアタイも聞いてこようか?』
足元の影からリィが出てきて、私の足首に頭を擦り付けてきます。
「リィもここにいらっしゃったのですね」
『解禁されたからね! それで、トラオがいないのかい?』
「はい、ここ数日姿が見えないそうで」
『どうだかね、トラオならどっかで油売ってんじゃないかい?』
油を売る、は確か暇を持て余していることの比喩のはずです。
「何か情報が得られればと思いまして、私は彼の住まいにこれから行こうと思います」
『承知、私めは空から彼の姿を探します!』
フィルマは一言言うと、そのまま空へ飛んでいきました。
『アタイはキー君と行こうかね、途中猫がいたら聞いてみるさ』
「お願いできますか?」
『もちろんさ! お安いご用さね!』
本当に頼もしいです。
ここまでの様子を、傍らでご覧になっていたエルミーニ様が固まっていらっしゃいます。
「エルミーニ様、これから彼の住まいへご案内お願いできますか?」
「え、あ、はい」
「すみません、驚かせてしまいましたか?」
「そうですね……術士とは本当にすごい方だと」
「ビャンコ様に比べれば大した事ではありません」
私はタバコの火を消し、ポケットの中にある灰皿に吸殻を入れ蓋をします。
それからエルミーニ様の先導でビャンコ様の住まいに向かい歩きだしました。
ビャンコ様の住まいにこのような形で訪れる事になるとは思いもよりませんでした、彼がそこに居てくれると何事もないのですが。
モウカハナから歩いて三十分程。
リモワのかなり外れの方まで来ました。
「もう少しですので」
この辺りはパラッツォなどはなく一軒家がいくつか並ぶ地域です。
王都の中心からやや遠く住むにはあまり人気のない地域で、他と比較して建物が少ないです。
「ここです」
エルミーニ様が一軒の家の前で足を止めました。
あまり大きくはない二階建ての建物とかなりの広い庭があります。
姿は見えませんが、庭には何匹か魔獣の気配がします。
「では夜も遅いですが」
家のドアをノックします。
分かってはいましたが反応がありません。
立ちすくんでいると、リィが足元で鳴きます。
私はカフスに魔力を通し彼女の言葉を待ちます。
『庭にいる奴らに聞いてこようか?』
「お願いできますか?」
『任せとくれ!』
短いやりとりのあと、リィはビャンコ様の庭へと入っていきました。
私はカフスに通した魔力を途絶えさせます。
「彼女が庭にいる存在に話を聞いてきてくれるそうです」
エルミーニ様に今のやり取りに関して伝えます。
「庭に何かいるんですか?」
「私も姿は見えませんが、数体の魔獣がいるようです」
「え、魔獣!? 大丈夫なんですか?」
「大丈夫だと思いますよ、私と一緒にいる黒猫も魔獣です」
「んな、そう、でしたか」
「ご紹介出来ておらず申し訳ありません」
「いえ、それより……」
エルミーニ様が家の方を見て呟きます。
「やはり出てきませんね」
「家の中にも気配はありませんし、多分ここにはいらっしゃらないかと思います」
「分かるんですか?」
「はい、山の生活で慣れておりますので」
ここで私がビャンコ様と同じように精霊と会話出来れば良いのでしょうけど、そもそも私には姿を認識できません。
それに私の声では意識した相手の声しか聞き取ることが出来ないようで、リィかフィルマ以外と会話出来た事がありません。
考え事をしていたところへ、リィが戻って参りました。
私は再びカフスに魔力を通します。
『どうもトラオの奴、三日はここに戻ってないみたいさね』
「三日も?」
『あぁ。しかも最後に見た時フラフラしてて、家に入ってそのままどっか行ったきりだって』
それはかなり怪しいですね、何かあったとしか思えません。
「エルミーニ様」
「……はい」
エルミーニ様は私の言葉だけなら分かるはずで、三日という単語が聞こえていたのでしょう。
「今から彼の家の中に入るつもりですが、エルミーニ様はどうなさいますか?」
「同行します、私が一緒なら色々言い訳が出来るでしょう」
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家主の許可を得ず申し訳ないとは思いますが、緊急のように思います。
後でビャンコ様には謝罪するとして、家の中に入らせて頂こうかと思います。
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