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第一章 柴イヌ、冒険者になる
第九話 ニャンキチの呪い
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街を囲んでいる高い壁の近くにニャンキチはいました。探していたネコの匂いがニャンキチのものでホッと一安心です。
「そうだニャ、俺がニャンキチだニャ、てかお前誰ニャ! イヌのくせしてなんで人間の姿をしているニャ!?」
「それはオレが人間の姿をしたイヌだからですよ」
「答えになってないニャ! お前馬鹿だニャ!」
「うるさい、そんな説明をしている暇はないんです。さあ、あなたのご主人様のところに帰りましょう」
どうしてネコはいつも上から目線で話すのでしょうか? もっとフレンドリーにできないものてすかね……
「ニャッ!? ババアの手の者ニャか? 嫌だニャ! 俺は自由な野良ネコになるニャ!」
まったく自分から野良になりたいとか理解不能です。話にならない性格なようなので強制的に連れ帰りました。
「ニャ? ここはどこニャ? あやしい馬鹿イヌにネコパンチを食らわせた後の記憶がないニャ!」
「オレのイヌパンチを食らって失神したからです。もうすぐあなたのご主人様が迎えに来ますよ、ギルドが発見の連絡をしたそうですから」
「ババアが来るニャか!? てかこの檻は何ニャ! 出すニャ! 逃げたいニャ!」
「駄目です。逃げたらオレの六千キンネが貰えなくなります」
それにしても働くのが初めてだったので不安でしたが、案外とらくちんでしたね。
「ふふ、コテツ殿はまるで猫と会話しているように話すんですね。猫がお好きなんですか? 私も好きですよ」
「はい、話してましたよ。逃がせ逃がせうるさいです。あとネコは威張っているので好きではありません」
リリアンさんは人間なのでネコの言葉がわからないから仕方ないですけど、ネコがいかに人間を馬鹿にしているかを知ればきっともう好きとは言えなくなるでしょうね。
「そ、そうですか……それにしても仕事が早くて驚きました! さっき出て行ったと思ったらもう見つけて帰ってくるなんて、たまたま近くにいたんですか?」
「いいえ、あの高い壁の近くで残飯をあさっていました。これが野良ネコの醍醐味ニャ! とか言って」
「え? 城壁ですか!? またあ……冗談ですよね?」
「ニャンキチちゃーーん!」
どうやらネコのご主人様が到着のようです。これでやっとお金が貰えます。
「ゲッ! ババアニャ! こっち寄るニャ、死ねニャッ!」
「見て下さいコテツ殿、あんなにニャーニャー鳴いて。よっぽど飼い主に会えて嬉しいのでしょうねえ」
「いいえ、ニャンキチはあの人に死ねニャと言っています」
「そ、そうですか……」
「おいイヌッ! 憶えてろニャ! お前を呪うニャ! ネコの怨念は恐ろしいニャッ!」
「うるさい、さっさと帰れ!」
ニャンキチが連れ戻されたあと、オレはモニカさんから六千キンネを貰って早速ご飯を食べることにしました。
「リリアンさん、一緒にご飯を食べましょう。ご恩をお返しさせてください」
「え? いいんですか? ええっ、すごく嬉しいですけど……」
「もちろんです! イヌは恩を忘れませんので! リリアンさんがお金がなくて困っている間はオレがご飯とお金を交換します!」
「そんなの駄目です!……嬉しいですけどそこまで甘えられません!」
「ん? なんでご飯とお金を交換するのが甘えることなんですか?」
「えっ、ですが……やっぱり甘えですよ」
うーむ、オレが知っている甘えとリリアンさんの甘えは違うものなのでしょうか?
「あら、何の話をしてますの?」
ちょうどいいところにモニカさんが来ました。モニカさんにも訊いてみましょう。
「モニカさん、ちょといいですか?」
「はい?」
「リリアンさんとオレとじゃ甘えることの意味が違う感じなんです。どっちが正しいのでしょうか?」
「あらま、コテツさんにとっての甘えるってどういうのなのかしら?」
「こんな感じです」
オレは仰向けに寝転んで腹をみせました。
「モニカさん、お腹をナデナデして?」
「はいっ! よろこんでぇっ! こうですかっ? こんな感じですかあっ!」
「ちょーっ! コテツ殿っ、やめて下さいッ! モニカもやめろーッ!」
「いやよっ! 私はナデナデしてたいのよっ、邪魔しないでっ!」
「黙れッ! コテツ殿から離れろモニカっ!」
「コテツさん、どうですか? 私のナデナデは上手ですかっ? ハアハア」
「やめてえーっ!」
なんかリリアンさんが涙目になっていますね……
よくわかりませんが可哀想になったのでオレは立ち上がってナデナデを終わりにさせました。
「ああっ、もっとナデナデを~ッ」
「ひどいですっ、コテツ殿ひどいですーっ! う、ううっ……からかうなんてひどいですーっ」
えっ? からかってなんかいないんですが……一体全体どういうことでしょうか?
「あの、リリアンさん、オレからかってなんていないです。甘えるってこれしか知らなくて……」
「くすん。私の言ったのは精神的な甘えの意味だったんですよ?」
「ねえ、リリアン……」
「なに? モニカ」
「もしかしたらコテツさんって、いままで精神的に甘える事なんて許されて生きてこなかったとかで、そういうの分からないのかも……」
「あっ!……」
どうしたのでしょうか? 急に二人して神妙な感じになってしまいました。
うーん、そもそも精神的に甘えるというのがよくわからないですね。どうやらイヌにはないことのようですから、考えても仕方ないです。
「コテツ殿……無神経な事を言ってごめんなさいっ!」
「え? なにがでしょう?」
リリアンさんはなぜかオレに謝ると、そのまま走ってギルドの外にでて行ってしまいました。
その日お月様がでたあとに、オレはリリアンさんにまだご飯の恩返しができていないのが気になって、もう一度リリアンさんと一緒にご飯を食べようとしたのですが……
モニカさんと仕事のお話があるそうで、二人で二階の応接室へ行ってしまいました。
なんだかリリアンさんはオレを避けてるような気がします、おかしいです!
これはもしかして……
ニャンキチの呪いなのではないでしょうか!? おのれニャンキチめっ……
ニャンキチの呪いのせいでおともだちと仲が悪くなるとかイヤです!
心配になったオレは二階の様子に聞き耳を立てました。一階からでもはっきり聞こえてきます。
「リリアン、あんたよくないわよ? コテツさん、すごく心配そうにしていたんだから」
「うん、わかっている……でも、あまりにも私の子供じみた態度が恥ずかしいというか……」
「なによ、いつものことじゃない」
「そ、そうかもしれんが。モニカに言われるまで、からかわれたと思い込んでいた自分が情けなくて……合わせる顔がないっ」
なんでだかよくわかりませんが、リリアンさんがひどく元気がないのはわかります。心配ですね……
「そっか、まあいいわ、仕事の話をしましょう。リリアンあんたにね、特別依頼に参加して貰いたいって、さっきギルドの支部長に説得を頼まれたのよ」
「いやだよ……あのパーティーリーダーはジェインだろ? 私があいつを大嫌いなことはモニカも知っているじゃないか。同じAランクでも俺の方が上だとか、いちいちウザいんだよ!」
「ほんと性格悪くて私も大嫌いだけど……でもジェインはあんな男でもAランカーですもの、頼まれたらギルドの立場としては無視できないわ」
「頼まれた? どういうことだ?」
「特別依頼の内容は知っているでしょ?」
「ああ、ここから東に行った所の村に出没し始めたオークの討伐だろ? 私まで参加するまでもない仕事のはずだが」
「うん、そのはずだったんだけどね……依頼を引き受けた後にオークの中にウルクが混じっている事が分かったの」
「えっ? オークの上位種族のウルクが? それってヤバいんじゃないか?」
「そうなの……ギルドとしても一度引き受けた以上は信用的に断れないじゃない? けどジェインはウルクが混じっているなら自分は降りるって言い出してね、支部長が慌てて奴の家に行って説得したのよ。そしたら──」
なんだかとても難しい話が始まったようです。全然わからないので眠くなってきました……
「はあっ? なんだよその依頼続行の条件は!? 私がパーティーに加わって『ジェイン様』と呼ぶことだって?……人を馬鹿にしているのかっ? 意味わからんッ!」
「私もそれ聞いて、すっごい腹が立ったわ! まあジェインにしてみればリリアンが加われば戦力的に勝てると思ったんだろうけど、頭を下げるのがイヤでそんな小芝居を打ったんでしょ」
「例え頭を下げられたって、ジェインのパーティーになんかに入るもんか!」
「ならジェインはパーティーを解散させるでしょうね……そしたらあの村は間違いなくオークたちに蹂躙されるわ」
「でも領主が軍隊を派遣するだろ?」
「すると思う? あのケチで有名な領主よ? 小さな村一つ無くなるより軍隊の損失の方がずっと高くつくもの、無視するに決まっているわ」
「メガネをクイッとさせて怖いことを言うな……だが、その通りかもしれん」
「私ね、本音を言えばギルドの立場でリリアンを説得しに来たんじゃないの。もちろんジェインに言われたからでもないわよ? ただあの村が心配でさ、助けてあげたいのよ……」
…………ぐぅ、ぐぅ……
「ふぅん、そっか、なら仕方ないっ! 一時的にせよジェイン様と呼ぶのは業腹だが、そうまで言われたら誇り高きAランカーとしてはもう否とは言えないなっ」
「いいの!? ありがとうリリアンッ! やっぱり持つべきは親友ねっ!」
「べつにモニカのためじゃないさ、私だって村が心配だってだけだ」
「わかってるわよ!」
「あ、でも前借りの件はよろしく!」
ふがッ!?……あ、いけない、ほんとに寝てしまいました。
はぁ、こんなことしていても仕方ないですね。オレはとにかくリリアンさんに恩返しがしたいんですっ!
ニャンキチの呪いごときで、おともだちとの仲良しを邪魔されるわけにはいきません。イヌのフレンドリーさは最強なのです!
キッチンへ行ってご飯を三つ交換してきましょう。
そしたらリリアンさんとモニカさんとオレと、みんなで一緒に食べるんですっ!
「さ、リリアン、夕食にしましょ?」
「そうだな、コテツ殿も誘って、三人で食べるとしようか!」
みんな大好きなトリプルチーズバーガーをっ!
「そうだニャ、俺がニャンキチだニャ、てかお前誰ニャ! イヌのくせしてなんで人間の姿をしているニャ!?」
「それはオレが人間の姿をしたイヌだからですよ」
「答えになってないニャ! お前馬鹿だニャ!」
「うるさい、そんな説明をしている暇はないんです。さあ、あなたのご主人様のところに帰りましょう」
どうしてネコはいつも上から目線で話すのでしょうか? もっとフレンドリーにできないものてすかね……
「ニャッ!? ババアの手の者ニャか? 嫌だニャ! 俺は自由な野良ネコになるニャ!」
まったく自分から野良になりたいとか理解不能です。話にならない性格なようなので強制的に連れ帰りました。
「ニャ? ここはどこニャ? あやしい馬鹿イヌにネコパンチを食らわせた後の記憶がないニャ!」
「オレのイヌパンチを食らって失神したからです。もうすぐあなたのご主人様が迎えに来ますよ、ギルドが発見の連絡をしたそうですから」
「ババアが来るニャか!? てかこの檻は何ニャ! 出すニャ! 逃げたいニャ!」
「駄目です。逃げたらオレの六千キンネが貰えなくなります」
それにしても働くのが初めてだったので不安でしたが、案外とらくちんでしたね。
「ふふ、コテツ殿はまるで猫と会話しているように話すんですね。猫がお好きなんですか? 私も好きですよ」
「はい、話してましたよ。逃がせ逃がせうるさいです。あとネコは威張っているので好きではありません」
リリアンさんは人間なのでネコの言葉がわからないから仕方ないですけど、ネコがいかに人間を馬鹿にしているかを知ればきっともう好きとは言えなくなるでしょうね。
「そ、そうですか……それにしても仕事が早くて驚きました! さっき出て行ったと思ったらもう見つけて帰ってくるなんて、たまたま近くにいたんですか?」
「いいえ、あの高い壁の近くで残飯をあさっていました。これが野良ネコの醍醐味ニャ! とか言って」
「え? 城壁ですか!? またあ……冗談ですよね?」
「ニャンキチちゃーーん!」
どうやらネコのご主人様が到着のようです。これでやっとお金が貰えます。
「ゲッ! ババアニャ! こっち寄るニャ、死ねニャッ!」
「見て下さいコテツ殿、あんなにニャーニャー鳴いて。よっぽど飼い主に会えて嬉しいのでしょうねえ」
「いいえ、ニャンキチはあの人に死ねニャと言っています」
「そ、そうですか……」
「おいイヌッ! 憶えてろニャ! お前を呪うニャ! ネコの怨念は恐ろしいニャッ!」
「うるさい、さっさと帰れ!」
ニャンキチが連れ戻されたあと、オレはモニカさんから六千キンネを貰って早速ご飯を食べることにしました。
「リリアンさん、一緒にご飯を食べましょう。ご恩をお返しさせてください」
「え? いいんですか? ええっ、すごく嬉しいですけど……」
「もちろんです! イヌは恩を忘れませんので! リリアンさんがお金がなくて困っている間はオレがご飯とお金を交換します!」
「そんなの駄目です!……嬉しいですけどそこまで甘えられません!」
「ん? なんでご飯とお金を交換するのが甘えることなんですか?」
「えっ、ですが……やっぱり甘えですよ」
うーむ、オレが知っている甘えとリリアンさんの甘えは違うものなのでしょうか?
「あら、何の話をしてますの?」
ちょうどいいところにモニカさんが来ました。モニカさんにも訊いてみましょう。
「モニカさん、ちょといいですか?」
「はい?」
「リリアンさんとオレとじゃ甘えることの意味が違う感じなんです。どっちが正しいのでしょうか?」
「あらま、コテツさんにとっての甘えるってどういうのなのかしら?」
「こんな感じです」
オレは仰向けに寝転んで腹をみせました。
「モニカさん、お腹をナデナデして?」
「はいっ! よろこんでぇっ! こうですかっ? こんな感じですかあっ!」
「ちょーっ! コテツ殿っ、やめて下さいッ! モニカもやめろーッ!」
「いやよっ! 私はナデナデしてたいのよっ、邪魔しないでっ!」
「黙れッ! コテツ殿から離れろモニカっ!」
「コテツさん、どうですか? 私のナデナデは上手ですかっ? ハアハア」
「やめてえーっ!」
なんかリリアンさんが涙目になっていますね……
よくわかりませんが可哀想になったのでオレは立ち上がってナデナデを終わりにさせました。
「ああっ、もっとナデナデを~ッ」
「ひどいですっ、コテツ殿ひどいですーっ! う、ううっ……からかうなんてひどいですーっ」
えっ? からかってなんかいないんですが……一体全体どういうことでしょうか?
「あの、リリアンさん、オレからかってなんていないです。甘えるってこれしか知らなくて……」
「くすん。私の言ったのは精神的な甘えの意味だったんですよ?」
「ねえ、リリアン……」
「なに? モニカ」
「もしかしたらコテツさんって、いままで精神的に甘える事なんて許されて生きてこなかったとかで、そういうの分からないのかも……」
「あっ!……」
どうしたのでしょうか? 急に二人して神妙な感じになってしまいました。
うーん、そもそも精神的に甘えるというのがよくわからないですね。どうやらイヌにはないことのようですから、考えても仕方ないです。
「コテツ殿……無神経な事を言ってごめんなさいっ!」
「え? なにがでしょう?」
リリアンさんはなぜかオレに謝ると、そのまま走ってギルドの外にでて行ってしまいました。
その日お月様がでたあとに、オレはリリアンさんにまだご飯の恩返しができていないのが気になって、もう一度リリアンさんと一緒にご飯を食べようとしたのですが……
モニカさんと仕事のお話があるそうで、二人で二階の応接室へ行ってしまいました。
なんだかリリアンさんはオレを避けてるような気がします、おかしいです!
これはもしかして……
ニャンキチの呪いなのではないでしょうか!? おのれニャンキチめっ……
ニャンキチの呪いのせいでおともだちと仲が悪くなるとかイヤです!
心配になったオレは二階の様子に聞き耳を立てました。一階からでもはっきり聞こえてきます。
「リリアン、あんたよくないわよ? コテツさん、すごく心配そうにしていたんだから」
「うん、わかっている……でも、あまりにも私の子供じみた態度が恥ずかしいというか……」
「なによ、いつものことじゃない」
「そ、そうかもしれんが。モニカに言われるまで、からかわれたと思い込んでいた自分が情けなくて……合わせる顔がないっ」
なんでだかよくわかりませんが、リリアンさんがひどく元気がないのはわかります。心配ですね……
「そっか、まあいいわ、仕事の話をしましょう。リリアンあんたにね、特別依頼に参加して貰いたいって、さっきギルドの支部長に説得を頼まれたのよ」
「いやだよ……あのパーティーリーダーはジェインだろ? 私があいつを大嫌いなことはモニカも知っているじゃないか。同じAランクでも俺の方が上だとか、いちいちウザいんだよ!」
「ほんと性格悪くて私も大嫌いだけど……でもジェインはあんな男でもAランカーですもの、頼まれたらギルドの立場としては無視できないわ」
「頼まれた? どういうことだ?」
「特別依頼の内容は知っているでしょ?」
「ああ、ここから東に行った所の村に出没し始めたオークの討伐だろ? 私まで参加するまでもない仕事のはずだが」
「うん、そのはずだったんだけどね……依頼を引き受けた後にオークの中にウルクが混じっている事が分かったの」
「えっ? オークの上位種族のウルクが? それってヤバいんじゃないか?」
「そうなの……ギルドとしても一度引き受けた以上は信用的に断れないじゃない? けどジェインはウルクが混じっているなら自分は降りるって言い出してね、支部長が慌てて奴の家に行って説得したのよ。そしたら──」
なんだかとても難しい話が始まったようです。全然わからないので眠くなってきました……
「はあっ? なんだよその依頼続行の条件は!? 私がパーティーに加わって『ジェイン様』と呼ぶことだって?……人を馬鹿にしているのかっ? 意味わからんッ!」
「私もそれ聞いて、すっごい腹が立ったわ! まあジェインにしてみればリリアンが加われば戦力的に勝てると思ったんだろうけど、頭を下げるのがイヤでそんな小芝居を打ったんでしょ」
「例え頭を下げられたって、ジェインのパーティーになんかに入るもんか!」
「ならジェインはパーティーを解散させるでしょうね……そしたらあの村は間違いなくオークたちに蹂躙されるわ」
「でも領主が軍隊を派遣するだろ?」
「すると思う? あのケチで有名な領主よ? 小さな村一つ無くなるより軍隊の損失の方がずっと高くつくもの、無視するに決まっているわ」
「メガネをクイッとさせて怖いことを言うな……だが、その通りかもしれん」
「私ね、本音を言えばギルドの立場でリリアンを説得しに来たんじゃないの。もちろんジェインに言われたからでもないわよ? ただあの村が心配でさ、助けてあげたいのよ……」
…………ぐぅ、ぐぅ……
「ふぅん、そっか、なら仕方ないっ! 一時的にせよジェイン様と呼ぶのは業腹だが、そうまで言われたら誇り高きAランカーとしてはもう否とは言えないなっ」
「いいの!? ありがとうリリアンッ! やっぱり持つべきは親友ねっ!」
「べつにモニカのためじゃないさ、私だって村が心配だってだけだ」
「わかってるわよ!」
「あ、でも前借りの件はよろしく!」
ふがッ!?……あ、いけない、ほんとに寝てしまいました。
はぁ、こんなことしていても仕方ないですね。オレはとにかくリリアンさんに恩返しがしたいんですっ!
ニャンキチの呪いごときで、おともだちとの仲良しを邪魔されるわけにはいきません。イヌのフレンドリーさは最強なのです!
キッチンへ行ってご飯を三つ交換してきましょう。
そしたらリリアンさんとモニカさんとオレと、みんなで一緒に食べるんですっ!
「さ、リリアン、夕食にしましょ?」
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