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第二章 柴イヌと犬人族のお姫様
第二十話 ご令息の遊び相手
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このところギルドはとっても静かです。なのでお散歩に行くとき以外はこうしてギルドの床で思う存分寝ています。
静かなのは多分リリアンさんが居ないせいでしょう。いまリリアンさんは迷宮というところへお仕事で行っているのです。
あまり危険な依頼ではないそうなので、今回はオレも心配はしていません。
ですがリリアンさんが居ないのはやっぱり寂しいです。
「コテツさん、さっきポメル村から先日のアックスビーク討伐依頼の報酬と、買取り金が入金されましたわ」
モニカさんもギルドのお仕事が忙しいようで、なかなか遊んでくれないし。
「ギルドの手数料を引いて約三百万キンネです、また大金ですわね!」
「それよりモニカさん、遊んでくださいっ」
オレはモニカさんに遊んで欲しくて、ぬいぐるみのメスブタを持ってアピールしてみました。
「まあ! もちろんですわっ、ならデートに行きましょうよ! それとも大人の遊びにしましょうかッ? キャッ」
「おーいっ、モニカくーん、頼んでいた支部長会議用の資料はまだ出来ないのかね?」
「ゲッ! 忘れてたわ……ごめんなさいコテツさん、遊ぶのはまた今度に……」
「はい、大丈夫ですっ! お仕事頑張ってくださいね」
ギルドの偉いおじさんがモニカさんを連れて行ってしまいました……しかしオレは躾のいい飼いイヌなのでワガママを言って困らせたりはしません。
ただストレスを我慢してばかりいると毛が抜けるので、後で裏庭に穴を掘って発散しますがねっ!
はあ、仕方ないですね、オレもお仕事を探してみましょうか。そう思って掲示板を見ていたら──ん? これは何の依頼でしょう?
【Cランク依頼です。ご領主ロンキソス侯爵様のご令息、フルトン様のお遊び相手急募。いまならギルドポイント三倍のビッグチャンス! 報酬は一日四万キンネ。執事長セバスチャン】
紙に話してもらってもやっぱり意味不明でした。
オレはモニカさんに助けてもらおうとしたのですが、すごく不機嫌そうにお仕事をしているので……やめましょう。空気を読まねばなりません。
ふむ……と、そこへジェイんさんの匂いがしてきました、イジワルでイヤな人です。でもまあ仕方がないのでジェインさんに教えてもらうことにしますか。
「ようワンちゃん、相変わらず犬か? カッカカ」
もちろんイヌですが、なんか感じ悪いですね。でも我慢します。
「ジェインさん、ちょっとこの依頼の意味を教えてください!」
「はあ? 俺様は暇じゃないんだけど? リリアンかモニカに聞けばいいだろ」
「リリアンさんもモニカさんもお仕事でいません」
「たくっ、めんどくせえなあ、あ? これか? って、これかあっ! マジウケるっ」
一体なにが面白いのでしょうか? ちょっとイヤな予感がしてきました。
「ワンちゃん! この依頼はまさにお前のためにあるような依頼だわ、普通の冒険者じゃまず務まらねえからな。仕事内容もマジ余裕、領主んとこの馬鹿ガキと一緒に遊ぶだけだし。俺様からもオススメ!」
「遊ぶだけで報酬とポイントがもらえるんですか? それはいいですねっ!」
ちょうどオレも遊び相手が欲しかったところですし、コレに決めました!
「モニカには俺様から言っといてやるわ、誰かに取られる前に依頼書もってさっさと行ってきな! てか、誰も取らねえけどなっ、ウケる~っ」
妙にジェインさんが親切なのが不気味ですが疑うのも失礼なので、オレは教わった通りに街で一番大きいお城という家に行ったんです。
「これは冒険者様、フルトンお坊っちゃまのお遊び相手の件ですね。さあ、では早速こちらへ……」
めちゃめちゃ大きな家でした! そこのお庭へと連れてこられたら、男の子が一人と大人の男の人が二人いてオレをじっと見ています。
「余がフルトンだ、遊び相手とはお前か? 名はなんという」
「こんにちは、コテツです! よろしくフルトンさん」
「コテツ? つまらん名前だ、今日からお前の名はベンジーだ。間違えるなよ!」
いきなりなんでしょうかこの男の子は? だいたいベンジーというのは犬社会では昔の英雄の名前ですよ!? ふざけて付けていい名前ではありませんっ!
「オレの名前はコテツです! それ以外では返事をしません」
「だまれっ! お前は今日から犬なのだ、犬なら犬らしい名前にしろっ!」
なにを言い出すかと思えば……
「今日からもなにもオレは産まれたときからイヌですが? 血統正しい柴イヌですっ!」
「なにっ? お前はもともと犬なのか? それはすまなかった……よし、コテツと名乗ることを許す!」
「お坊っちゃまっ、騙されてはなりません! 人間の姿をした犬などいるわけありませんからっ!」
じゃあなんで人間の姿のオレに今日から犬だと言ったのでしょう? 意味がわかりませんね。
「それにお前っ! フルトンさんではないっ、フルトン様とお呼びしろッ!」
この男の人たちはジェインさんみたいなことを言っています。ジェインさんと同じで威張ったイヤな人たちです。
「おいコテツ! お前自分が犬だと言うなら余に『お手』をしろっ、ハハハ」
はい、お手です。
「……よ、よろしい、なら次は『チンチン』だっ! 屈辱的で出来まいっ」
はい、チンチンです。
「なっ!?……お、お前には恥というものがないのかっ!」
「なんで恥ずかしいんですか? イヌにとっての基本じゃないですか」
「くっ、おのれ……な、ならば思い知るがいいっ! コテツに首輪と紐をつけよッ!」
「かしこまりましたっ!」
おお、首輪をつけるのは久しぶりですね。なんだかご主人様を思いだしちゃいます。
「よしっ! 余はこれからお前の散歩をすることにする。ハハハ、四つん這いになって歩けっ! この試練を越えた者は今まで誰もおらぬぞ? フフ、お前に出来るかな?」
うーむ、四つん這いは歩きにくいですが、まあたまにはいいですか。
「…………こ、コテツ? 本当にこの格好で散歩するつもりか?……」
「しないんですか?」
「お、おのれっ! で、では歩けっ!」
「はいっ!」
あは、これはこれで楽しいですねっ。
「なっ! な、何故歩くのだッ!」
「え? オレに歩けと言ったのはフルトンさまですよ?」
「く、くそっ! そ、それならば、い、犬らしくオシッコをしてみせろ! 片足あげてよく犬がやっているやつだっ」
「それは出来ません!」
「そ、そうかっ! それでいいっ、それでこそ人間だっ! 余は安心したぞ! 余はなんだか人間の尊厳が守られた気がするっ」
「いえ、片足をあげてやるとオシッコがひっかかってしまうので、立ったままやらさせていただきます──ジョーッ」
「う、うっぅっ……シク、シクシク」
「お、お坊っちゃまッ! なぜお泣きになられているのですっ!?」
「わ、わからぬ……だが、人として間違っている気がするのだ、コテツのしていることは……同じ人間として悲しい。シク、シク」
「この無礼者めっ! お坊っちゃまに代わって成敗してくれるわッ!」
この人たち頭がどうかしているんですかね……自分たちでやらせておいて何を怒っているのでしょう?
「オレはフルトン様と遊びにきたんですよ? フルトンさまはこの遊びが楽しいからしているんですよね?」
「余は……余は、本当はお前たち冒険者にイジワルをしたかったのだ」
「お坊っちゃま……」
「余はこの城から出ることを許されぬ。しかし冒険者たちは自由に好きな所に行って冒険ができて、余にはそれが羨ましい……」
「冒険者など所詮は下賎の者です! お坊っちゃまが羨む人間たちではありませんっ!」
「余もそう思っていた。しかしコテツが犬の真似をしているのを見ていて、このようなおぞましい事をさせて喜んでいた自分が……ひどく醜く思えたのだ。下らぬ八つ当たりをしていたのだと……」
おぞましいとは失礼な人ですね! 普通にイヌの日常ですが? それに真似していたわけではないですしっ!
「いや、待て……もしかしてコテツは、そのことを気づかせるために、わざと余の言うなりになっていたのでは……!?」
「ま、まさかっ!?」
また訳のわからないこと言ってますね。遊ばないのならオレはもう帰りたいです。
「フルトンさま、もう一度始めから遊びましょうよ。オレはそのために来たんです!」
「コテツ……余を許してくれるのかっ!?」
許す? もうなんでもいいです。
「何して遊ぶのだ? コテツ、教えてくれ!」
「さあフルトンさま! このぬいぐるみはオレの大事なメスブタです、これで一緒に遊びましょうっ!」
「余は……豚は好かぬ──ベシッ!」
あ、メスブタが地面に叩きつけられた──
いくら我慢強いイヌでも大事なメスブタにひどいことをされたら、オレだって腹が立ちますよ! なのでフルトンさまたちが止めるのを無視してギルドに帰ってきたんです。
もう二度と遊びたくはないですね。でも一応報酬ももらえたし、まあいいかとすぐに忘れたのですが……
「コテツさん、今日もフルトン様からのご指名がきていますが……どうします?」
あれから毎日フルトンさまから遊びのお誘いがあって……
「もちろんイヤですよ、あの人たちと遊んでも面白くありませんし。それにブタさんのぬいぐるみを大事にしない人は許せませんっ!」
「ギクッ……」
「モニカさんはぬいぐるみのソーセージくんを大事にしてくれていますよね?」
「と、当然ですわっ、毎晩ソーセージくんと一緒に寝てますからッ!」
「ならよかったです!」
「そ、それよりコテツさん、フルトン様からの依頼の件ですが報酬金額はそのままなんですけど、なんと今回からギルドポイントが二十倍になるようですよ!」
「なんですかそれは?」
「なんか領主から支部長に圧力がかかったみたいで……報酬金額がそのままってところがケチなんですが。でもコテツさんにとってはランクを上げるチャンスです!」
「へーえ」
「コテツさんはよほど領主の息子さんに気に入られていますねえ、さっき計算したら六回遊び相手を務めればBランカーに昇格です!」
「えっ? ほんとですか? 六回我慢したらBランクに!?」
「はい、間違いありません!」
「オレやりますっ! 我慢はイヌの美徳ですからね、任せてくださいっ!」
まあ、こうしてオレは晴れてBランカーになったのですが、裏庭が穴だらけになったのはいうまでもありません……
ちなみに毛も抜けましたっ!
静かなのは多分リリアンさんが居ないせいでしょう。いまリリアンさんは迷宮というところへお仕事で行っているのです。
あまり危険な依頼ではないそうなので、今回はオレも心配はしていません。
ですがリリアンさんが居ないのはやっぱり寂しいです。
「コテツさん、さっきポメル村から先日のアックスビーク討伐依頼の報酬と、買取り金が入金されましたわ」
モニカさんもギルドのお仕事が忙しいようで、なかなか遊んでくれないし。
「ギルドの手数料を引いて約三百万キンネです、また大金ですわね!」
「それよりモニカさん、遊んでくださいっ」
オレはモニカさんに遊んで欲しくて、ぬいぐるみのメスブタを持ってアピールしてみました。
「まあ! もちろんですわっ、ならデートに行きましょうよ! それとも大人の遊びにしましょうかッ? キャッ」
「おーいっ、モニカくーん、頼んでいた支部長会議用の資料はまだ出来ないのかね?」
「ゲッ! 忘れてたわ……ごめんなさいコテツさん、遊ぶのはまた今度に……」
「はい、大丈夫ですっ! お仕事頑張ってくださいね」
ギルドの偉いおじさんがモニカさんを連れて行ってしまいました……しかしオレは躾のいい飼いイヌなのでワガママを言って困らせたりはしません。
ただストレスを我慢してばかりいると毛が抜けるので、後で裏庭に穴を掘って発散しますがねっ!
はあ、仕方ないですね、オレもお仕事を探してみましょうか。そう思って掲示板を見ていたら──ん? これは何の依頼でしょう?
【Cランク依頼です。ご領主ロンキソス侯爵様のご令息、フルトン様のお遊び相手急募。いまならギルドポイント三倍のビッグチャンス! 報酬は一日四万キンネ。執事長セバスチャン】
紙に話してもらってもやっぱり意味不明でした。
オレはモニカさんに助けてもらおうとしたのですが、すごく不機嫌そうにお仕事をしているので……やめましょう。空気を読まねばなりません。
ふむ……と、そこへジェイんさんの匂いがしてきました、イジワルでイヤな人です。でもまあ仕方がないのでジェインさんに教えてもらうことにしますか。
「ようワンちゃん、相変わらず犬か? カッカカ」
もちろんイヌですが、なんか感じ悪いですね。でも我慢します。
「ジェインさん、ちょっとこの依頼の意味を教えてください!」
「はあ? 俺様は暇じゃないんだけど? リリアンかモニカに聞けばいいだろ」
「リリアンさんもモニカさんもお仕事でいません」
「たくっ、めんどくせえなあ、あ? これか? って、これかあっ! マジウケるっ」
一体なにが面白いのでしょうか? ちょっとイヤな予感がしてきました。
「ワンちゃん! この依頼はまさにお前のためにあるような依頼だわ、普通の冒険者じゃまず務まらねえからな。仕事内容もマジ余裕、領主んとこの馬鹿ガキと一緒に遊ぶだけだし。俺様からもオススメ!」
「遊ぶだけで報酬とポイントがもらえるんですか? それはいいですねっ!」
ちょうどオレも遊び相手が欲しかったところですし、コレに決めました!
「モニカには俺様から言っといてやるわ、誰かに取られる前に依頼書もってさっさと行ってきな! てか、誰も取らねえけどなっ、ウケる~っ」
妙にジェインさんが親切なのが不気味ですが疑うのも失礼なので、オレは教わった通りに街で一番大きいお城という家に行ったんです。
「これは冒険者様、フルトンお坊っちゃまのお遊び相手の件ですね。さあ、では早速こちらへ……」
めちゃめちゃ大きな家でした! そこのお庭へと連れてこられたら、男の子が一人と大人の男の人が二人いてオレをじっと見ています。
「余がフルトンだ、遊び相手とはお前か? 名はなんという」
「こんにちは、コテツです! よろしくフルトンさん」
「コテツ? つまらん名前だ、今日からお前の名はベンジーだ。間違えるなよ!」
いきなりなんでしょうかこの男の子は? だいたいベンジーというのは犬社会では昔の英雄の名前ですよ!? ふざけて付けていい名前ではありませんっ!
「オレの名前はコテツです! それ以外では返事をしません」
「だまれっ! お前は今日から犬なのだ、犬なら犬らしい名前にしろっ!」
なにを言い出すかと思えば……
「今日からもなにもオレは産まれたときからイヌですが? 血統正しい柴イヌですっ!」
「なにっ? お前はもともと犬なのか? それはすまなかった……よし、コテツと名乗ることを許す!」
「お坊っちゃまっ、騙されてはなりません! 人間の姿をした犬などいるわけありませんからっ!」
じゃあなんで人間の姿のオレに今日から犬だと言ったのでしょう? 意味がわかりませんね。
「それにお前っ! フルトンさんではないっ、フルトン様とお呼びしろッ!」
この男の人たちはジェインさんみたいなことを言っています。ジェインさんと同じで威張ったイヤな人たちです。
「おいコテツ! お前自分が犬だと言うなら余に『お手』をしろっ、ハハハ」
はい、お手です。
「……よ、よろしい、なら次は『チンチン』だっ! 屈辱的で出来まいっ」
はい、チンチンです。
「なっ!?……お、お前には恥というものがないのかっ!」
「なんで恥ずかしいんですか? イヌにとっての基本じゃないですか」
「くっ、おのれ……な、ならば思い知るがいいっ! コテツに首輪と紐をつけよッ!」
「かしこまりましたっ!」
おお、首輪をつけるのは久しぶりですね。なんだかご主人様を思いだしちゃいます。
「よしっ! 余はこれからお前の散歩をすることにする。ハハハ、四つん這いになって歩けっ! この試練を越えた者は今まで誰もおらぬぞ? フフ、お前に出来るかな?」
うーむ、四つん這いは歩きにくいですが、まあたまにはいいですか。
「…………こ、コテツ? 本当にこの格好で散歩するつもりか?……」
「しないんですか?」
「お、おのれっ! で、では歩けっ!」
「はいっ!」
あは、これはこれで楽しいですねっ。
「なっ! な、何故歩くのだッ!」
「え? オレに歩けと言ったのはフルトンさまですよ?」
「く、くそっ! そ、それならば、い、犬らしくオシッコをしてみせろ! 片足あげてよく犬がやっているやつだっ」
「それは出来ません!」
「そ、そうかっ! それでいいっ、それでこそ人間だっ! 余は安心したぞ! 余はなんだか人間の尊厳が守られた気がするっ」
「いえ、片足をあげてやるとオシッコがひっかかってしまうので、立ったままやらさせていただきます──ジョーッ」
「う、うっぅっ……シク、シクシク」
「お、お坊っちゃまッ! なぜお泣きになられているのですっ!?」
「わ、わからぬ……だが、人として間違っている気がするのだ、コテツのしていることは……同じ人間として悲しい。シク、シク」
「この無礼者めっ! お坊っちゃまに代わって成敗してくれるわッ!」
この人たち頭がどうかしているんですかね……自分たちでやらせておいて何を怒っているのでしょう?
「オレはフルトン様と遊びにきたんですよ? フルトンさまはこの遊びが楽しいからしているんですよね?」
「余は……余は、本当はお前たち冒険者にイジワルをしたかったのだ」
「お坊っちゃま……」
「余はこの城から出ることを許されぬ。しかし冒険者たちは自由に好きな所に行って冒険ができて、余にはそれが羨ましい……」
「冒険者など所詮は下賎の者です! お坊っちゃまが羨む人間たちではありませんっ!」
「余もそう思っていた。しかしコテツが犬の真似をしているのを見ていて、このようなおぞましい事をさせて喜んでいた自分が……ひどく醜く思えたのだ。下らぬ八つ当たりをしていたのだと……」
おぞましいとは失礼な人ですね! 普通にイヌの日常ですが? それに真似していたわけではないですしっ!
「いや、待て……もしかしてコテツは、そのことを気づかせるために、わざと余の言うなりになっていたのでは……!?」
「ま、まさかっ!?」
また訳のわからないこと言ってますね。遊ばないのならオレはもう帰りたいです。
「フルトンさま、もう一度始めから遊びましょうよ。オレはそのために来たんです!」
「コテツ……余を許してくれるのかっ!?」
許す? もうなんでもいいです。
「何して遊ぶのだ? コテツ、教えてくれ!」
「さあフルトンさま! このぬいぐるみはオレの大事なメスブタです、これで一緒に遊びましょうっ!」
「余は……豚は好かぬ──ベシッ!」
あ、メスブタが地面に叩きつけられた──
いくら我慢強いイヌでも大事なメスブタにひどいことをされたら、オレだって腹が立ちますよ! なのでフルトンさまたちが止めるのを無視してギルドに帰ってきたんです。
もう二度と遊びたくはないですね。でも一応報酬ももらえたし、まあいいかとすぐに忘れたのですが……
「コテツさん、今日もフルトン様からのご指名がきていますが……どうします?」
あれから毎日フルトンさまから遊びのお誘いがあって……
「もちろんイヤですよ、あの人たちと遊んでも面白くありませんし。それにブタさんのぬいぐるみを大事にしない人は許せませんっ!」
「ギクッ……」
「モニカさんはぬいぐるみのソーセージくんを大事にしてくれていますよね?」
「と、当然ですわっ、毎晩ソーセージくんと一緒に寝てますからッ!」
「ならよかったです!」
「そ、それよりコテツさん、フルトン様からの依頼の件ですが報酬金額はそのままなんですけど、なんと今回からギルドポイントが二十倍になるようですよ!」
「なんですかそれは?」
「なんか領主から支部長に圧力がかかったみたいで……報酬金額がそのままってところがケチなんですが。でもコテツさんにとってはランクを上げるチャンスです!」
「へーえ」
「コテツさんはよほど領主の息子さんに気に入られていますねえ、さっき計算したら六回遊び相手を務めればBランカーに昇格です!」
「えっ? ほんとですか? 六回我慢したらBランクに!?」
「はい、間違いありません!」
「オレやりますっ! 我慢はイヌの美徳ですからね、任せてくださいっ!」
まあ、こうしてオレは晴れてBランカーになったのですが、裏庭が穴だらけになったのはいうまでもありません……
ちなみに毛も抜けましたっ!
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