柴イヌのコテツですが異世界ってなんですか?

灰色テッポ

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第二章 柴イヌと犬人族のお姫様

第二十四話 盗賊たちの受難

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 ガタコト ガタコト ガタコト……

「はあ、馬車の旅も五日目ともなると、さすがに身体のあちこちが痛いですわね」

「うむ、元気なのはコテツ殿だけだな。モニカ、馬車にはあと四日も乗るんだっけ?」 

 リリアンさんとモニカさんは大分お疲れのようです。オレは歩いたり走ったりできて、とても楽しいのですがね。

 今もこうして馬車の横をのんびりと走っています。

「リリアン、あんたコテツさんと一緒に走って、身体の鍛練をするとか言ってたのはどうなったのよ?」

「や、やっているさ! 毎日一回はコテツ殿と一緒に走っている。だがずっとは到底無理だよ……日に百リーロも進むんだぞ? 私では十五リーロが精一杯だ」

「ちょうど馬を休ませるまでの一区間かあ、まあ普通の人間ならそんなものよね。コテツさんの身体が化け物じみているのよ」

 外にいたって、全部聞こえていますよモニカさん!
 化け物とは失礼ですね。それにオレは人間ではなくイヌですからね!

「しかも今日から二日は野宿でしょ? ああ、宿場町でベッドで寝たいっ、お風呂にも入りたいっ! こんな旅もうイヤッ!」

「おいモニカ! 誰のせいでこんな苦労をしていると思っているんだっ?」

「あらリリアン、別にあんたまで来なくても良かったのよ? 私のことはコテツさんが元カレから守ってくれるし、二人っきりの夜を過ごして……キャッ!」

「あんたなんてあのくそな元カレと、元サヤに戻ってしまえばいいのに……」

「それだけは絶対にイヤッ!」

 この旅でおともだちになったお馬さんのシルバーさんと、オレはよくおしゃべりをします。
 そのせいかシルバーさんの飼い主である護衛のロウンさんとも、よくおしゃべりするようになりました。

「なあ旦那、お連れの美人の二人は、どっちが旦那の恋人なんですかい?」

「恋人ってなんですか?」

「そ、そりゃあ特別な関係っていうか、大事な人っていうか……」

「なら二人ともそうですよ!」

 オレにとっては二人とも大事なおともだちですからね!

「タハッ! こいつは恐れ入った! さすがはイケメンの旦那は違いますねえ」

「すごいヒヒーン! 姿が人間の犬ともなるとやることが違うブルル!」

「シルバーさんだってもう、オレの大事なおともだちですよ?」

「コテツくん、牡馬おすうまの俺とはおともだち止まりで頼むヒヒン!」

 なんとなく話が噛み合っていない気もしますが……まあいいでしょう。

「ところで旦那はBランク冒険者だそうですね、恋人の二人もやっぱり冒険者なんですかい?」

「モニカさんは今は違いますが、リリアンさんはAランクの冒険者ですね」

「ヒャア! あのお嬢さんがAランカー! そりゃ頼もしいっ。いや実はこの先の道には頻繁に盗賊が出ましてね、あっしも緊張していたところなんですよ」

「危険なのですか?」

「ヤバい奴らでさあ。キモータ団という十人くらいの盗賊たちで、賞金首にもなってますよ。ボスが特に残忍で、脂でテカテカした太った男なんですわ」

 はて? どこかで聞いたような名前ですね……キモータ団……

 キモータ……キモオタ……あっ! もしかしてそれはご主人様の名前なのでは!?
 太っていて脂でテカテカなのも同じですっ! オレは慌ててご主人様の似顔絵の張り紙を、ロウンさんに見せました。

「ああ、そっくりです! あっしが見た手配書もこの顔でした。しかしこの紙には尋ね人とありますが、旦那とはどういう関係で?」

「オレのご主人様です!」

「ええっ!? ってことは旦那も元盗賊とかで?……」

「違います、オレはご主人様の飼いイヌですから!」

「はあ??」

「なるほどヒーン。コテツくんはその飼い主とはぐれてブルル、捜しているというわけヒヒン」

「そうなんですよシルバーさん、オレ、寂しいです……」

「ならキモータのボスに会ってくるといいブルル。この先に岩だらけの場所があってヒン、奴らはその辺によく現れるヒヒーン」

「ありがとうシルバーさんっ!」

 オレはさっそく走り出して、ご主人様に会いに行きました。
 もうすぐにでも会いたかったので、「デキるオス」モード全開で駆けて行ったのですが……

 その岩だらけの場所はすぐに見つかったにもかかわらず、ご主人様の匂いはちっともしないんです。

 その代わり何か感じの悪い男の人たちが現れました。

「やい、てめえ! こんな所を一人で歩いているとか怪しい野郎だな……旅人にも見えねえし、警備隊の雇われ斥候か!?」

「よくわかりませんが、オレはこの人を捜しています」

 オレはご主人様の張り紙を男の人たちに見せたのです。そしたらその途端に。

「こ、これはボスの手配書っ! てめえはやっぱり警備隊の手先だなッ!」

 そう怒鳴り声をあげてみんなでいきなり暴力を振るってきたんです!
 ひどい人たちです。なのでオレは自分の身を守るために仕方なく──

 イヌパンチッ!

「あぶっ!?」「おぶっ!?」「ばぶっ!」「あびっ!」「ばびっ?」「おだっ!」

 それを四~五回くらい繰り返したら、おとなしくなってくれました。
 ふう、良かったです!

 オレはもう一度張り紙を見せて、男の人たちに話しました。

「この似顔絵の人はオレのご主人様です。オレはこの人に会いに来たんです!」

「ふぇ? ふると、はなたはボフのおひりはいのひとはんでふか?」

「なに言っているかわかりません」

「ふみまへんでひた、ボフのとほろにほあんなひひまふ」

 ふざけているのですかね? まあ怒っても仕方ないですし、ご主人様のところへ連れて行ってくれるみたいなので、黙ってついて行くことにしたのですが……

「誰だこいつは!? 俺はこんな野郎は知らねえぞッ!」

「オレこそあなたのことなんか知りませんッ! 確かに太って脂テカテカは同じですが、匂いが全然違いますっ!」

「か、勝手に来ておいて、なんかとっても失礼な野郎だなっ!」

 キモータ団のボスという人に会わせてもらったところ、残念ながらご主人様ではありませんでした。

 ションボリ。

「おい、おめえら! こいつぶっ殺してしまえっ!」

 なんですかね、大勢の殺意の匂いがプンプンとしてきました。
 剣を持って目をギラギラさせていますが、ロウンさんがヤバい盗賊だと言っていたのも頷けますね。

 なるほど、やはり悪い人たちのようです。
 うーん、逃げるのは簡単ですが、この先この人たちがロウンさんにひどいことするかもしれませんし。

 まあ、ボスという人を倒してしまえばいいでしょう。ご主人様に似ているので、ちょっと心が痛みますが……

 では、死なない程度に──ガブリ

「ギャーーッ! な、なんで俺の後ろから首に噛みついているんだあーッ!?」

「暴れると噛み千切ちぎりますよ?」

「ヒイッ! や、やめてくれっ……お、俺の負けだ、もう何もしないからッ!」

「じゃあ盗賊もやめてください」

「そ、それは出来ねえ……やめたら俺たちみんな生きていけねえっ!」

「働けばいいじゃないですか。お金は働いてもらうものだとリリアンさんが言っていましたよ?」

「ふん、ここにいる奴らはどこからも働かせてもらえねえ様な、世間の爪弾つまはじき者よ」

 よくわかりませんが、働かしてもらえない人の集まりがキモータ団なのでしょうか?
 つまり嫌われているのですね。まあ、悪いことをしているのですから当然です。

 ならば好かれれば働けるようになるのでは? そう考えたらオレはいいことを思い出しました。

「みなさんは感じ悪いです。だから嫌われて当たり前です。なのでオレが好かれる方法を教えましょう!」

「えっ? そんな方法があるので?」

「はい、簡単ですよ。みなさんが女の人になればいいのです!」

 そうなんです。ご主人様がテレビを見ながら言っていたんですよね。

『おいコテツ、このタレント、女に見えるだろ? でもな実は男なんだぞ。いや元はと言うべきだな。男から女に変わって今や大人気だ! 男のままならただのデブなのにな……羨ましいぜ』

 イヌのオレには理解できませんが、男の人から女の人に変わると人気者になれるようなのです。
人間は不思議なことができるようですね。

「そ、そんなこと出来るかッ!」

「いえ、できますっ! ご主人様が嘘をつくわけがありませんッ! てか、女の人になりたくないってことは、そのまま嫌われ者の盗賊でいたいと?」

「ったりめえだッ!」

「ふむ、ならロウンさんをあなたたち盗賊から守るためにも、ここであなたの喉笛をまず噛み千切っておきましょう」

「な、なりますっ! 全員女になりますッ!」

「ぼ、ボス! このまえ商人から奪った荷物の中に、化粧道具と女物の服がありましたぜっ!」

「おめえさ、女装したいの? なんで余計なこと言うの?」

 盗賊のみなさんはブツブツと文句をいいながらも、全員お化粧をして女の人の服を着てくれました。
 やはり好かれたいと思う気持ちが強かったようです!

「こ、これでいいか?」

「はいっ! とてもデラックスです!」

「じゃあもう帰ってくれよ」

「何をいっているんですか? これからその姿でおともだちを作りに行くんですよ?」

「はぁ? おめえっ! ふざけるなっ!」

──ガブリ。

「わかりましたっ! おともだち欲しいですッ!」

 ちょうど近くにオレたちの駅馬車の匂いがしてきました。まずはリリアンさんにモニカさん、それにロウンさんにもおともだちになってもらいましょう!

 なので岩だらけの道に全員整列で馬車を待ちます。ちなみにもっと女の人っぽい話し方をするように注意しておきました。

「さあみなさん、馬車が来ましたよ! フレンドリーにご挨拶してくださいっ!」

「は~いっ!」

「こんにちはみなさ~ん、キモータ団でえ~す!」

「おともだちになってえ~ん」

「やだもう! ジロジロみないでよ、このスケベッ!」

 みなさん上手ですね。さあボスさんも恥ずかしがらずにご挨拶です!

「ボスのキモータですけどぉ、まさか私が女になるなんて思ってもみなかったわよ~っ」

 あ、リリアンさんがものすごい勢いで走ってきましたっ! いいですねッ!

 最初のおともだちはリリアンさんかな?

「出たな! この変態盗賊どもめーッ!」

「ぎゃあ!」「うぶっ!」「ぐえっ!」

 えっ? ちょっ! リリアンさん!?

「賞金首は全部この私のものだーっ! これでコテツ殿に借金を返すんだーッ!」

「ひいっ!」「たすけっ!」「いやっ!」

「ワッハハ、全員牢屋で悔い改めろーっ!」

「…………」

「あの、ボスさん……」

「はい……」

「なんか……すみません」

「いえ…………」

 オレは遠い目をしたご主人様似のボスさんを見て思いました。

 どうかご主人様はこんなひどい目に、あってはいませんようにと……
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