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第45話
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「ごちそうさまでした! とっても美味しかったです!」
用意された朝食を綺麗に食べきったエステルは、満面の笑みを浮かべながらリーリアへと声を掛ける。
「はい、お粗末様でした。それにしても、やっぱりエステルくんも男の子だけあってたくさん食べるね」
そんな彼に笑顔で答えたリーリアの言葉で、エステルは少し恥ずかしそうに頬を赤く染める。
「えっと、すいません。久しぶりにこんなにおいしい食事を頂いたんで、ついはしゃいじゃって……」
「ううん、大丈夫。むしろそんなに喜んでもらえたら、こっちも作り甲斐があるから。お昼ご飯はもっと腕によりを掛けて作るから、楽しみにしててね」
「あっ、ありがとうございます!」
嬉しそうに笑顔を浮かべながらお礼を言うエステルと、それを見て微笑ましそうに笑うリーリア。
一緒に朝食をとってすっかり打ち解けた様子の彼らを見て、俺もなんだか微笑ましい気持ちが湧いてくる。
と言うか、なんだかエステルがリーリアの子どもみたいになってしまっている。
きっと俺たちの間に子どもが生まれたら、こんな風に楽しい毎日を送ることができるんだろうな。
なんてことを考えて、俺は慌ててその思考を振り払う。
危ない、危ない。
まだ結婚どころか付き合ってすらいないのに、子どものことを考えるなんていくらなんでも気が早すぎる。
だけど、いつかはそんな日が来るといいなぁ……。
なんて明るい未来に思いを馳せた俺は、ゆっくりとした動作で立ち上がるとグッと背中を伸ばす。
「さてっと。それじゃあそろそろ、仕事を始めるとするか」
今のところは別に急ぐ仕事はないけど、いつまでもボンヤリとしているわけにもいかない。
食器の後片付けを始めたリーリアに声を掛けて工房の方へと向かおうとすると、そんな俺の背中に声が掛けられる。
「アキラさん、どこに行くんですか?」
「工房だよ。まだ余裕はあるけど、次の納品のためにね。それから、他にもいろいろと試してみたいこともあるし」
リーリアを手伝って食器を片付けていたエステルに答えると、彼は興味深そうな表情を浮かべる。
「あの、それって僕も見学に行っちゃだめですか?」
どうやら彼は、鍛冶の仕事に興味があるらしい。
となれば断る理由もなく、俺は二つ返事で頷いて答える。
「別に構わないよ。リーリアも、エステルが工房に入っても大丈夫だよね?」
「はい、もちろんです。私も食器の片付けが終わったらすぐに向かいますから、二人で先に行っててください」
エステルから食器を受け取ったリーリアに見送られながら、俺たちは仕切りをくぐって併設された工房へと向かっていった。
────
「それで、今日はなにを作るんですか?」
炉に火を入れて準備を進めていると、期待で目をキラキラと輝かせたエステルが声を掛けてくる。
「そうだなぁ……。まずは普通に剣を作って、それから防具にも挑戦してみようと思ってるんだ」
鎧や盾なんかも、商品としてはかなり需要のある物だと思う。
しかも俺が作る物は量産品でも割と品質が良くなるわけだし、むしろ武器よりも重宝されるかも知れない。
防具の性能は、それだけで生存の可能性を高めてくれる。
襲われて命を狙われたばかりだからか、どうしてもそっちが気になってしまうのだ。
「確かに、防具は大事ですよね。初心者ほど武器より防具を優先しろって、師匠も昔はよく言ってました」
俺の言葉に同意するように、エステル君は深く頷く。
さらにイザベラもそう言っているのなら、きっと間違いはないだろう。
「そう言えば、参考までに聞くんだけどエステルはどんな防具を使ってるんだ?」
「僕ですか? 僕は基本的に動き回って攻撃を回避するタイプなんで、いつも革製で軽めの胸当てと耐刃性の高いインナーを重ねて着てます」
「へぇ、なるほど。盾とかは使ったりしないのか?」
「うーん。昔は使ってたんですけど、師匠と出会ってからはあまり。「お前は筋力が低いから、あまり攻撃を受け止めるのは避けた方が良い」って言われて」
確かに、あまり体格の良くないエステルでは攻撃を受け止めたら逆に吹っ飛んでいってしまいそうだ。
「それに、大きな声では言えないですけど金属製の鎧ってけっこう高くって。正直、駆け出しの冒険者じゃ手が出せないんですよ。だからみんな、最初のうちは安くて修理もしやすい革製の防具を使いますね」
「なるほどね。……だったら、まずは革製の防具を作ろうかな。要所要所を金属で保護すれば、値段を抑えながら耐久性も上げられるだろうし」
そのぶん加工の難易度も上がるだろうけど、チートを持っている俺にとってはたいした問題ではない。
「ともかく、物は試しだ。まずは一回やってみて、駄目だったらその時に考えよう」
そうと決まれば、まずは材料となる革を用意しないと。
「たしか、この辺りにしまってあったはずなんだけどなぁ……」
勝手知ったる工房の中をごそごそと探し回っていると、そこに後片付けを終えたリーリアが現れた。
「アキラさん? なにをやってるんですか?」
「革製の防具を作るために、材料を探してるみたいですよ」
「ああ、なるほど」
背後でリーリアとエステルの交わす会話を聞きながら探し続けていると、やがて目当ての物を見つけることができた。
「あったあった。これだけあれば、とりあえず試作品を作るくらいは出来そうだ」
ついでに他にも必要そうな材料を持って、俺は作業台へと向かう。
さて、それじゃあ楽しい楽しい試作の時間だ。
用意された朝食を綺麗に食べきったエステルは、満面の笑みを浮かべながらリーリアへと声を掛ける。
「はい、お粗末様でした。それにしても、やっぱりエステルくんも男の子だけあってたくさん食べるね」
そんな彼に笑顔で答えたリーリアの言葉で、エステルは少し恥ずかしそうに頬を赤く染める。
「えっと、すいません。久しぶりにこんなにおいしい食事を頂いたんで、ついはしゃいじゃって……」
「ううん、大丈夫。むしろそんなに喜んでもらえたら、こっちも作り甲斐があるから。お昼ご飯はもっと腕によりを掛けて作るから、楽しみにしててね」
「あっ、ありがとうございます!」
嬉しそうに笑顔を浮かべながらお礼を言うエステルと、それを見て微笑ましそうに笑うリーリア。
一緒に朝食をとってすっかり打ち解けた様子の彼らを見て、俺もなんだか微笑ましい気持ちが湧いてくる。
と言うか、なんだかエステルがリーリアの子どもみたいになってしまっている。
きっと俺たちの間に子どもが生まれたら、こんな風に楽しい毎日を送ることができるんだろうな。
なんてことを考えて、俺は慌ててその思考を振り払う。
危ない、危ない。
まだ結婚どころか付き合ってすらいないのに、子どものことを考えるなんていくらなんでも気が早すぎる。
だけど、いつかはそんな日が来るといいなぁ……。
なんて明るい未来に思いを馳せた俺は、ゆっくりとした動作で立ち上がるとグッと背中を伸ばす。
「さてっと。それじゃあそろそろ、仕事を始めるとするか」
今のところは別に急ぐ仕事はないけど、いつまでもボンヤリとしているわけにもいかない。
食器の後片付けを始めたリーリアに声を掛けて工房の方へと向かおうとすると、そんな俺の背中に声が掛けられる。
「アキラさん、どこに行くんですか?」
「工房だよ。まだ余裕はあるけど、次の納品のためにね。それから、他にもいろいろと試してみたいこともあるし」
リーリアを手伝って食器を片付けていたエステルに答えると、彼は興味深そうな表情を浮かべる。
「あの、それって僕も見学に行っちゃだめですか?」
どうやら彼は、鍛冶の仕事に興味があるらしい。
となれば断る理由もなく、俺は二つ返事で頷いて答える。
「別に構わないよ。リーリアも、エステルが工房に入っても大丈夫だよね?」
「はい、もちろんです。私も食器の片付けが終わったらすぐに向かいますから、二人で先に行っててください」
エステルから食器を受け取ったリーリアに見送られながら、俺たちは仕切りをくぐって併設された工房へと向かっていった。
────
「それで、今日はなにを作るんですか?」
炉に火を入れて準備を進めていると、期待で目をキラキラと輝かせたエステルが声を掛けてくる。
「そうだなぁ……。まずは普通に剣を作って、それから防具にも挑戦してみようと思ってるんだ」
鎧や盾なんかも、商品としてはかなり需要のある物だと思う。
しかも俺が作る物は量産品でも割と品質が良くなるわけだし、むしろ武器よりも重宝されるかも知れない。
防具の性能は、それだけで生存の可能性を高めてくれる。
襲われて命を狙われたばかりだからか、どうしてもそっちが気になってしまうのだ。
「確かに、防具は大事ですよね。初心者ほど武器より防具を優先しろって、師匠も昔はよく言ってました」
俺の言葉に同意するように、エステル君は深く頷く。
さらにイザベラもそう言っているのなら、きっと間違いはないだろう。
「そう言えば、参考までに聞くんだけどエステルはどんな防具を使ってるんだ?」
「僕ですか? 僕は基本的に動き回って攻撃を回避するタイプなんで、いつも革製で軽めの胸当てと耐刃性の高いインナーを重ねて着てます」
「へぇ、なるほど。盾とかは使ったりしないのか?」
「うーん。昔は使ってたんですけど、師匠と出会ってからはあまり。「お前は筋力が低いから、あまり攻撃を受け止めるのは避けた方が良い」って言われて」
確かに、あまり体格の良くないエステルでは攻撃を受け止めたら逆に吹っ飛んでいってしまいそうだ。
「それに、大きな声では言えないですけど金属製の鎧ってけっこう高くって。正直、駆け出しの冒険者じゃ手が出せないんですよ。だからみんな、最初のうちは安くて修理もしやすい革製の防具を使いますね」
「なるほどね。……だったら、まずは革製の防具を作ろうかな。要所要所を金属で保護すれば、値段を抑えながら耐久性も上げられるだろうし」
そのぶん加工の難易度も上がるだろうけど、チートを持っている俺にとってはたいした問題ではない。
「ともかく、物は試しだ。まずは一回やってみて、駄目だったらその時に考えよう」
そうと決まれば、まずは材料となる革を用意しないと。
「たしか、この辺りにしまってあったはずなんだけどなぁ……」
勝手知ったる工房の中をごそごそと探し回っていると、そこに後片付けを終えたリーリアが現れた。
「アキラさん? なにをやってるんですか?」
「革製の防具を作るために、材料を探してるみたいですよ」
「ああ、なるほど」
背後でリーリアとエステルの交わす会話を聞きながら探し続けていると、やがて目当ての物を見つけることができた。
「あったあった。これだけあれば、とりあえず試作品を作るくらいは出来そうだ」
ついでに他にも必要そうな材料を持って、俺は作業台へと向かう。
さて、それじゃあ楽しい楽しい試作の時間だ。
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