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これでほんとにお友達
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「いやぁ、凄かったねぇ。動きにくそうだったから途中から拘束を解いてあげたら、一生懸命ゴブリンたちに尽くし始めて。すっかりゴブリンとのセックスにハマっちゃった感じだったね」
ニヤニヤとからかうように声を掛けると、ターニャは両手で顔を覆い隠しながら隅っこで小さくうずくまってしまう。
「やめて……、言わないで……」
最初の威勢はどこへ行ったのか、すっかり大人しくなった彼女はもう逃げ出そうとすることもなくなっていた。
私としては好都合なのだけど、それを指摘するとターニャはばつが悪そうな表情を浮かべて答える。
「だって、出口のないこんな場所じゃどうせ逃げられそうにないし。それに……」
そう言って口ごもる彼女の視線の先には、さっきまでターニャを犯していたゴブリンたちの姿があった。
その視線にはなんだか熱がこもっているような気がして、まるで恋する乙女のようだ。
「……もしかして、ゴブリンに恋しちゃった?」
「んなっ!? 恋とか、そんなんじゃないから!! ただ、卑怯な手を使われたとはいえ負けたからには勝者に従うのが獣人の掟って言うか! それに、お腹の子にだってパパが必要だと思うし! ただそれだけなんだからね!」
顔を真っ赤に染めながら、焦ったような早口で否定するターニャ。
その姿はどう見ても嘘を吐いているようにしか見えないけど、これ以上いじめるのも可哀想だ。
追及することを諦めた私は、少し膨らみ始めたお腹を愛おしそうに撫でる彼女を生暖かい目で眺めるのだった。
────
「ところで、どうしてユイカはこんな所で生活してるの? ここって、ダンジョンなんでしょ?」
すっかり落ち着きを取り戻したターニャは、ふと思い出したかのようにそんなことを尋ねてきた。
「どうしてって聞かれても……。話すと長くなるけど、大丈夫?」
だけど、はたして本当のことを言って信じてもらえるだろうか。
あまりにも突飛すぎて、もし私がこれを聞かされても信じる自信はない。
どうしようか悩んでいると、ターニャは真面目な表情で私を見つめてくる。
「お願い、聞かせて。どうせこの子を産むまでは暇だし。それに、私がこんな目に遭う原因になったあなたのこともちゃんと知っておきたいから」
なんだか少し責められているような気がしなくもないけど、そう言われたら話さないわけにはいかない。
「じゃあ、話すね。かなり不思議な話だから、信じてもらえないかもしれないけど……」
覚悟を決めた私は、これまでの経緯をかいつまんで説明し始める。
私がこの世界とは別の世界から連れてこられたこと、神様に提案されてゲームのプレイヤーになったこと、ダンジョンマスターと言うジョブとこのダンジョンを与えられたこと。
そしてポイントを節約するために、自分の身体を使ってモンスターを増やすと決めたこと。
もちろん、その理由の半分が私の趣味だということは伏せたけどね。
「と言うわけで、私はこのダンジョンを発展させなければならないの。そんな時にターニャが現れたから、悪いとは思ったけど苗床として利用させてもらうことにしました。ごめんね」
そこまで話し終えて、私は両手を合わせて彼女に謝罪する。
いくら侵入者だったとはいえ、流石に許可もなく苗床にするなんて怒られてもしょうがない。
グーパンチ一発くらいなら甘んじて受け入れようとターニャの顔をチラッと覗くと、彼女はなぜかウルウルと涙ぐんでいた。
「うぅ、そんなことがあったのね。ユイカも、苦労したんだねぇ」
私の話をどう受け取ったのか分からないけど、どうやら彼女の中で私は神様の道楽に巻き込まれた哀れな被害者という扱いになっているようだ。
実際には報酬に目が眩んだだけなんだけど、せっかく同情してもらえているならあえて訂正する必要もないだろう。
私が曖昧な微笑みで同情の視線を受け流していると、ターニャはなにかを決意したように大きく頷く。
「よし、私もユイカの手助けをするよ!」
「えっ!? いいの? その言葉の意味、ちゃんと理解してる?」
私の手助けをするということは、つまりこれからも多くのモンスターを出産するということだ。
私は最初からそういう性癖があったから良かったけど、普通の女の子にはちょっと荷が重いんじゃないだろうか。
「大丈夫、ちゃんと分かってるから。こんな生活してたら、モンスターを産むなんてよく聞く話だし。それに私はユイカにも負けたんだから、勝者に従うのが獣人の掟だもん」
あっけらかんと答えるターニャは、とても無理しているようには見えない。
そして本人が良いと言っている以上、他に断る理由もない。
手伝ってもらえるなら助かるし、それになんと言ってもターニャはこっちの世界で初めて会った同世代の女の子だ。
たとえ手伝ってもらえなかったとしても、できれば親しくなりたいと思っていた。
「じゃあ、手伝ってもらえるかな? それと、もうひとつお願いがあるんだけど……」
「お願い? ユイカの頼みなら、私はなんだってするよ」
「えっと、その……。私と、お友達になってくれない、かな?」
なんだか少し照れくさくて、少し口ごもってしまう私。
そんな私の言葉を聞いて一瞬だけポカンとしたターニャは、やがてとても可笑しそうに声を上げて笑った。
「ちょっと、笑わないでよ!」
「あはは、ごめんごめん。お願いだなんて言うから身構えてたのに、拍子抜けしちゃって」
そのままひとしきり笑うと、ターニャは笑顔のままで私に手を差し出した。
「それじゃ、これから私たちは友達だ。よろしく、ユイカ」
「……うん! よろしく、ターニャ!」
差し出された手をギュッと握り返し、私たちは顔を見合わせて笑い合う。
しばらくして、ターニャ笑顔が引きつり始めた。
「ど、どうしたの……?」
みるみるうちに顔色が悪くなっていく彼女に声を掛けると、ターニャは絞り出すように小さく答える。
「……産まれる、かも」
その言葉と同時に破水が始まり、私とゴブリンたちは慌てて出産準備に取り掛かるのだった。
ニヤニヤとからかうように声を掛けると、ターニャは両手で顔を覆い隠しながら隅っこで小さくうずくまってしまう。
「やめて……、言わないで……」
最初の威勢はどこへ行ったのか、すっかり大人しくなった彼女はもう逃げ出そうとすることもなくなっていた。
私としては好都合なのだけど、それを指摘するとターニャはばつが悪そうな表情を浮かべて答える。
「だって、出口のないこんな場所じゃどうせ逃げられそうにないし。それに……」
そう言って口ごもる彼女の視線の先には、さっきまでターニャを犯していたゴブリンたちの姿があった。
その視線にはなんだか熱がこもっているような気がして、まるで恋する乙女のようだ。
「……もしかして、ゴブリンに恋しちゃった?」
「んなっ!? 恋とか、そんなんじゃないから!! ただ、卑怯な手を使われたとはいえ負けたからには勝者に従うのが獣人の掟って言うか! それに、お腹の子にだってパパが必要だと思うし! ただそれだけなんだからね!」
顔を真っ赤に染めながら、焦ったような早口で否定するターニャ。
その姿はどう見ても嘘を吐いているようにしか見えないけど、これ以上いじめるのも可哀想だ。
追及することを諦めた私は、少し膨らみ始めたお腹を愛おしそうに撫でる彼女を生暖かい目で眺めるのだった。
────
「ところで、どうしてユイカはこんな所で生活してるの? ここって、ダンジョンなんでしょ?」
すっかり落ち着きを取り戻したターニャは、ふと思い出したかのようにそんなことを尋ねてきた。
「どうしてって聞かれても……。話すと長くなるけど、大丈夫?」
だけど、はたして本当のことを言って信じてもらえるだろうか。
あまりにも突飛すぎて、もし私がこれを聞かされても信じる自信はない。
どうしようか悩んでいると、ターニャは真面目な表情で私を見つめてくる。
「お願い、聞かせて。どうせこの子を産むまでは暇だし。それに、私がこんな目に遭う原因になったあなたのこともちゃんと知っておきたいから」
なんだか少し責められているような気がしなくもないけど、そう言われたら話さないわけにはいかない。
「じゃあ、話すね。かなり不思議な話だから、信じてもらえないかもしれないけど……」
覚悟を決めた私は、これまでの経緯をかいつまんで説明し始める。
私がこの世界とは別の世界から連れてこられたこと、神様に提案されてゲームのプレイヤーになったこと、ダンジョンマスターと言うジョブとこのダンジョンを与えられたこと。
そしてポイントを節約するために、自分の身体を使ってモンスターを増やすと決めたこと。
もちろん、その理由の半分が私の趣味だということは伏せたけどね。
「と言うわけで、私はこのダンジョンを発展させなければならないの。そんな時にターニャが現れたから、悪いとは思ったけど苗床として利用させてもらうことにしました。ごめんね」
そこまで話し終えて、私は両手を合わせて彼女に謝罪する。
いくら侵入者だったとはいえ、流石に許可もなく苗床にするなんて怒られてもしょうがない。
グーパンチ一発くらいなら甘んじて受け入れようとターニャの顔をチラッと覗くと、彼女はなぜかウルウルと涙ぐんでいた。
「うぅ、そんなことがあったのね。ユイカも、苦労したんだねぇ」
私の話をどう受け取ったのか分からないけど、どうやら彼女の中で私は神様の道楽に巻き込まれた哀れな被害者という扱いになっているようだ。
実際には報酬に目が眩んだだけなんだけど、せっかく同情してもらえているならあえて訂正する必要もないだろう。
私が曖昧な微笑みで同情の視線を受け流していると、ターニャはなにかを決意したように大きく頷く。
「よし、私もユイカの手助けをするよ!」
「えっ!? いいの? その言葉の意味、ちゃんと理解してる?」
私の手助けをするということは、つまりこれからも多くのモンスターを出産するということだ。
私は最初からそういう性癖があったから良かったけど、普通の女の子にはちょっと荷が重いんじゃないだろうか。
「大丈夫、ちゃんと分かってるから。こんな生活してたら、モンスターを産むなんてよく聞く話だし。それに私はユイカにも負けたんだから、勝者に従うのが獣人の掟だもん」
あっけらかんと答えるターニャは、とても無理しているようには見えない。
そして本人が良いと言っている以上、他に断る理由もない。
手伝ってもらえるなら助かるし、それになんと言ってもターニャはこっちの世界で初めて会った同世代の女の子だ。
たとえ手伝ってもらえなかったとしても、できれば親しくなりたいと思っていた。
「じゃあ、手伝ってもらえるかな? それと、もうひとつお願いがあるんだけど……」
「お願い? ユイカの頼みなら、私はなんだってするよ」
「えっと、その……。私と、お友達になってくれない、かな?」
なんだか少し照れくさくて、少し口ごもってしまう私。
そんな私の言葉を聞いて一瞬だけポカンとしたターニャは、やがてとても可笑しそうに声を上げて笑った。
「ちょっと、笑わないでよ!」
「あはは、ごめんごめん。お願いだなんて言うから身構えてたのに、拍子抜けしちゃって」
そのままひとしきり笑うと、ターニャは笑顔のままで私に手を差し出した。
「それじゃ、これから私たちは友達だ。よろしく、ユイカ」
「……うん! よろしく、ターニャ!」
差し出された手をギュッと握り返し、私たちは顔を見合わせて笑い合う。
しばらくして、ターニャ笑顔が引きつり始めた。
「ど、どうしたの……?」
みるみるうちに顔色が悪くなっていく彼女に声を掛けると、ターニャは絞り出すように小さく答える。
「……産まれる、かも」
その言葉と同時に破水が始まり、私とゴブリンたちは慌てて出産準備に取り掛かるのだった。
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