箱庭サークルでは恋愛を禁止しています。

しゃこじろー

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 ちょっとした案を携えサークル部屋へと入ると、そこではすでに会長席に小森会長が座っていた。彼の様子はまるで何年もこの部屋に入り浸っているかのようなくつろぎぶりであり、まさしく会長という姿にふさわしいように見えた。
 そして、その反対側の部屋の入り口付近の隅に座っているのは髪の長いガミネ先輩の姿があった。ガミネ先輩は俺に気づいたのか右手をフリフリと揺らして挨拶の様なジェスチャーをしてきた。
 
「お、おはようございます」

 挨拶をすると、ガミネ先輩は小さな声で「うぃ~」とつぶやいた。まるで酔っ払いのような様子に多少の心配をしつつも、俺は会員が全員揃うのを待つことにした。

 しばらく待っていると、美琴さんがやってきた。その後に続いて花屋敷さんがやってきたのだがその後ろにピタリとくっつくように黒服の男が入ってきた。
 そいつは、花屋敷さんと初めて会った時に、彼女と一緒にいた黒服のイケメンであり、そいつは部屋の中をじろじろと見渡しながら室内を物色していた。

「これが、お嬢様の書斎ですか・・・・・・」

 相も変わらず見た目も声も魅力的な男の言葉に花屋敷さんは元気よく返事をした。

「うんっ、ここは素晴らしい所、この紙とインクの匂いは私がこの世で最も愛する最高の嗜好品」
「そうですか、本や人形に関して言えば問題はないのですが、お嬢様にそぐわぬ異物がちらほら・・・・・・と」

 独特な間を作る黒服の男は小森会長を見つめた後、すぐに俺を見つめてきた。美しい碧眼は俺をじっととらえていたかと思うとスッと視線を変えた。そして、聞こえてくるのは小さなため息、そのため息に花屋敷さんは敏感に反応した。

「ん、どうしたの?お疲れ?」
「いいえお嬢様、私がお嬢様といて疲れるようなことはありません、私は心配しているのです」

「心配?何が心配?」
「えぇ、ここにはお嬢様に不釣り合いな輩が二人もいます」

「ヤカラ?」
「えぇ、お嬢様のわがままを許した私が甘かったと言いますか、よもやこんな者達までついてくるとは思いませんでしたよ」

「何が言いたいの?」
「つまるところ、ここにいる人間のオス二匹には出て行ってもらいたいのですよ」

「オス、トースとかいちょーの事?」
「そうです、お嬢様にとって不必要な存在です」

 黒服の男は好きなことを好きなだけ喋り続けている。一体全体どうしてこんなことを言われなければんらないのか、そんな憤りすら感じる俺は今にも立ち上がり反論してやりたくてたまらなかった。
 そして、おそらく小森会長だってそう思っているはずだ。そう思って会長の方に目線を移すと、そこには怯えた様子で大きな体を小さくしながら漫画で顔を隠す会長の姿があった。
 なんとも情けない姿ではあるが、正直な話、これだけ饒舌でイケメン相手に強く出るっていうのは相当な自信がないとできないのは分からなくもない。だが、そういわれるのであればこっちにもちゃんとした手段がある。

「いや、実はそんなこともあろうと準備してきたんですよ」
「準備、何のことですかオス2号」

「お、俺は遠州徹也です」
「そうですか、で、準備とは?」
「実はこういうもんを用意してきたんですよ」


 そうして、俺はアクセサリーショップの閉店セールで買いあさった指輪をいくつか机の上に転がした。決して派手ではなくシンプルなデザインの指輪、これくらいが俺の計画にはちょうどいいだろうと思った。

「これは?」
「俺なりのサークル存続の布石です、いつかこいつのおかげで最高の青春が送れたって思える日が来ると信じてるんです」

「で、この指輪がどうしました?」
「簡単に言うと、このサークルにいる間はこの指輪をつけていてほしいんですよ」

 俺の言葉にその場にいた全員が不思議そうに見つめてきた。無理もないだろう。俺だっていきなりこんなことを言われたら間違いなくその反応をするだろう。しかし、その中で唯一黒服の男だけがまるで俺が言う事を分かったかのように何度かうなづいている様子を見せた。俺は、黒服の男に先取りされない様に、もったいぶらずに本題に移ることにした。

「まぁ簡単な話、いつ起こるかわからないサークルクラッシュのためにみんなには彼氏彼女がいる設定を持っていてほしいわけです」

 俺の言葉を真っ先に理解したのか、小森会長が俺のもとへやってきて肩を組んできた。

「分かったぞ兄弟、お前はなかなかに先見の明がある」
「そうすか?」

「そうだ、こいつはなかなかに名案だ。そういう設定ならばサークルクラッシュが起こることも回避できるやもしれん」
「そうです、俺はそれが心配だったんです」

「あぁ、だがやるからには徹底的にだぞ兄弟」
「勿論ですよ」

 妙にスキンシップ

「では、私からも一つ提案があります」
「なんですか?」

 黒服の男はポケットから数枚の小さな絆創膏の様な者を見せてきた。それが何なのかよくわからないが黒服の男は説明をつづけた。

「これはちょうど指輪の内側に装着できるものになっておりまして、人体情報を詳細に記録できるものになっています」
「へ、へぇ」

「それにより人がどのような感情を持っているのか、つまり恋愛感情に似た波長を出している事すらものわかるようになっています。つまり、指輪だけでなくこれをつけてもらう事であなたの布石というものがより強固になると思われます」
「い、いやそこまでしなくてもいいと思ってるんですけど」

「いいえ、それくらいしてもらわないとお嬢様に危害を加えなかねませんからね」
「別に、危害なんて加えません」

「人の心は移ろいやすいものです、ちなみにこのパッチはもとより犯罪防止の観点から作られているのでその点はかなり信用性の高いものになっています」
「でも、お高いんじゃないんですか、俺たち大学生には無理がありますよ」

「心配ありません、モニターになってもらう事を条件に無料で提供します」
「へ、へぇ」

「ちなみに体内に直接流し込むものもありますがどっちにします?」
「それはさすがに」

 なんだか話が飛躍してよからぬところへと移行としている、俺はすかさず否定して比較的簡単な方法にしようと思っていると、小森会長が俺に体を寄せてきた。

「なぜだ遠州、もしかすると体内通信という奴が可能になるかもしれんのだぞ、ほら、やってみたくはないか「聞かれるのはまずい、こっちで」とかっ」

 そういって小森会長は耳の下あたりをポンポンと指でたたいていた。確かに魅力的なものかもしれないが、それでもそこまでやる必要はないと思った俺は恐るおそる黒服を見ると奴は不敵な笑みを浮かべていた。

「あぁ、そのあたりの技術はまだですよ」
「そ、そうですよね」

 そうして、俺は箱庭サークルのメンバーにこの提案の是非をとってみると、満場一致でこの提案が通ることになった。思い付きでありサークルクラッシュを恐れての身勝手な提案にその場のメンバー文句ひとつなく、と思っていたが花屋敷さんだけはどこか不満げに俺を見つめており、
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