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補修とクラスメート
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高校二年の夏、俺は担任の教師の高橋に呼び出しを受けていた。
呼び出し理由は、欠席した授業の補修を受けるため。
補修は、所属する二年二組の教室で行われる事になっている。
そして、俺は炎天下の中、自転車をこいで学校へと向かっていた。
教室にたどり着くと、クラスメートである一条いちじょうが着席していた。
どうやら彼女も補修らしい。
そう思っていると、一条が顔を上げて、俺を見つめてきた。
「あ、おはよう山藤君」
「えっ、あぁ、おはよう」
普段は、互いに挨拶を交わす事もない相手との交流。
それは、どこか不思議な感覚だった。
それにしても一条の奴、俺の名前知ってたのか。
なんて事を思っていると、一条は続けて話しかけてきた。
「ねぇ、山藤君も補修?」
「あ、あぁ、そんな感じ」
「サボり?」
「いや、ちょっと修行に行かされててさ」
「ふふっ、修行?なにそれぇ?」
俺の返答に、一条は笑った。
「いや、うちの家なんか変に厳しいからさ」
「そうなんだ、大変だねぇ」
「あぁ・・・・・」
それとない会話だが、それを境に会話は途切れた。
その間に、俺は自分の席に座った。
すると、それを見計らったかの様に、再び一条が話しかけてきた。
「ちなみに、私はサボリなんだよね」
「へぇ、そうなのか」
一条はクラスでも人気の優等生だ。
そんな彼女がサボりか、意外なギャップだな。
「なんかさぁ、学校をサボるのって、すごく背徳的だと思わない?」
「そうかな?俺は罪悪感で落ち着かない」
「えぇ、そうなの?私はすごく楽しかったよ?」
「そうか、それより高橋は?」
「高橋先生は職員室だよ、それから補修の課題は、教壇にある机に置いてあるから」
「あぁ、ありがとう・・・・・・」
ここで再び会話が途切れた。
普段からクラスメートと喋る機会がない俺にとって。
これだけ長時間会話したのはとても新鮮だった。
しかも、それが女子相手だなんて事は、高校生活の中でも一番の青春イベントになる事だろう。
なんてことを思いながら教壇に向かい、課題のプリントをもって再び自分の席に戻った。
そして、補修の課題に取り組む事にした。
それからしばらくは無言で課題に取り組んでいると、ふと、一条の姿が目に入った。
彼女は両手を上げて《伸び》をしており、その様子に俺は課題などそっちのけで見とれてしまった。
するとそんな時、一条は唐突に振り返ってきた。
「ねぇ、山藤君っ!!」
「えっ、なっ、なんだ!?」
「いきなりだけどさ、心霊スポットとか行った事ある?」
「・・・・・・え、いや、ないけど」
「そっかぁ、一回、行ってみたいんだよねぇ」
「へぇ」
優等生の一条が、そんな事に興味があるとは。
てっきり幽霊なんて信じないような奴だと思ってた。
「だからさぁ、今日にでも行こうかと思ってるんだよね」
「・・・・・・そうか」
これは俺を誘っているのか、それとも止めてほしかったりするのか、いったいどちらなのだろうか?
「【S山】にある【Kトンネル】そこに【女の幽霊】が出るんだって」
「・・・・・・ふぅん」
一辺倒の返事を返す俺に対して、一条は特に何かを言ってくる事も無く、嬉しそうに話していた。
「あのね山藤君、私にもしもの事があったら、山藤君が証言してねっ」
「おい、物騒な事を言うなよ、まさか、一人で行くわけじゃないんだろ?」
「え、一人だよ」
「いや、友達とかと行くんじゃないのか?」
「だって私、友達いないし」
友達がいない?
そういうのは俺みたいな奴であって。
一条の様な、クラスの人気者が友達がいない訳が無い。
「なぁ、いつもみんなに囲まれてる奴が、友達いないとか、俺に対する嫌みか?」
「山藤君は友達いないの?」
返す言葉が無かった。
いや、今はそんな話はどうでもいい。
「いや、そもそも女一人で心霊スポットなんて行くなよ、マジで危ないぞ?」
「じゃあ山藤君、ついてきてくれる?」
一条の唐突すぎる依頼に疑念で溢れた。
だが、一条と心霊スポットに行く事ができるという青春イベントに心が惹かれた。
「・・・・・・あ、いや」
「じゃあ、今日の夜0時に学校前で待ち合わせね」
「まてよ、そんな急に」
「という事で、よろしくぅ」
一条はそう言ったのを最後に、一切俺と会話することなくなった。
そして、やがて俺たち二人の補修は終わった。
呼び出し理由は、欠席した授業の補修を受けるため。
補修は、所属する二年二組の教室で行われる事になっている。
そして、俺は炎天下の中、自転車をこいで学校へと向かっていた。
教室にたどり着くと、クラスメートである一条いちじょうが着席していた。
どうやら彼女も補修らしい。
そう思っていると、一条が顔を上げて、俺を見つめてきた。
「あ、おはよう山藤君」
「えっ、あぁ、おはよう」
普段は、互いに挨拶を交わす事もない相手との交流。
それは、どこか不思議な感覚だった。
それにしても一条の奴、俺の名前知ってたのか。
なんて事を思っていると、一条は続けて話しかけてきた。
「ねぇ、山藤君も補修?」
「あ、あぁ、そんな感じ」
「サボり?」
「いや、ちょっと修行に行かされててさ」
「ふふっ、修行?なにそれぇ?」
俺の返答に、一条は笑った。
「いや、うちの家なんか変に厳しいからさ」
「そうなんだ、大変だねぇ」
「あぁ・・・・・」
それとない会話だが、それを境に会話は途切れた。
その間に、俺は自分の席に座った。
すると、それを見計らったかの様に、再び一条が話しかけてきた。
「ちなみに、私はサボリなんだよね」
「へぇ、そうなのか」
一条はクラスでも人気の優等生だ。
そんな彼女がサボりか、意外なギャップだな。
「なんかさぁ、学校をサボるのって、すごく背徳的だと思わない?」
「そうかな?俺は罪悪感で落ち着かない」
「えぇ、そうなの?私はすごく楽しかったよ?」
「そうか、それより高橋は?」
「高橋先生は職員室だよ、それから補修の課題は、教壇にある机に置いてあるから」
「あぁ、ありがとう・・・・・・」
ここで再び会話が途切れた。
普段からクラスメートと喋る機会がない俺にとって。
これだけ長時間会話したのはとても新鮮だった。
しかも、それが女子相手だなんて事は、高校生活の中でも一番の青春イベントになる事だろう。
なんてことを思いながら教壇に向かい、課題のプリントをもって再び自分の席に戻った。
そして、補修の課題に取り組む事にした。
それからしばらくは無言で課題に取り組んでいると、ふと、一条の姿が目に入った。
彼女は両手を上げて《伸び》をしており、その様子に俺は課題などそっちのけで見とれてしまった。
するとそんな時、一条は唐突に振り返ってきた。
「ねぇ、山藤君っ!!」
「えっ、なっ、なんだ!?」
「いきなりだけどさ、心霊スポットとか行った事ある?」
「・・・・・・え、いや、ないけど」
「そっかぁ、一回、行ってみたいんだよねぇ」
「へぇ」
優等生の一条が、そんな事に興味があるとは。
てっきり幽霊なんて信じないような奴だと思ってた。
「だからさぁ、今日にでも行こうかと思ってるんだよね」
「・・・・・・そうか」
これは俺を誘っているのか、それとも止めてほしかったりするのか、いったいどちらなのだろうか?
「【S山】にある【Kトンネル】そこに【女の幽霊】が出るんだって」
「・・・・・・ふぅん」
一辺倒の返事を返す俺に対して、一条は特に何かを言ってくる事も無く、嬉しそうに話していた。
「あのね山藤君、私にもしもの事があったら、山藤君が証言してねっ」
「おい、物騒な事を言うなよ、まさか、一人で行くわけじゃないんだろ?」
「え、一人だよ」
「いや、友達とかと行くんじゃないのか?」
「だって私、友達いないし」
友達がいない?
そういうのは俺みたいな奴であって。
一条の様な、クラスの人気者が友達がいない訳が無い。
「なぁ、いつもみんなに囲まれてる奴が、友達いないとか、俺に対する嫌みか?」
「山藤君は友達いないの?」
返す言葉が無かった。
いや、今はそんな話はどうでもいい。
「いや、そもそも女一人で心霊スポットなんて行くなよ、マジで危ないぞ?」
「じゃあ山藤君、ついてきてくれる?」
一条の唐突すぎる依頼に疑念で溢れた。
だが、一条と心霊スポットに行く事ができるという青春イベントに心が惹かれた。
「・・・・・・あ、いや」
「じゃあ、今日の夜0時に学校前で待ち合わせね」
「まてよ、そんな急に」
「という事で、よろしくぅ」
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