美少年異世界BLファンタジー 籠の中の天使たち

キリノ

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第一章 オークション

アダルトグッズ

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 運ばれたのは、白壁のシンプルな部屋だった。
「じゃ、俺はここで失礼するよ」
 ケインは片手をあげ、リオを残してドアの向こう側に消える。
「ちょ……待って」
 次いで外に出ようとするが、もうロックがかかっている。
 閉じ込められてしまったのだ。

 か細い腕の力では鉄のドアを破られるはずもない。
 恐る恐るリオは振り向き、部屋の中をまじまじと見た。
 クイーンサイズのダブルベッドが主役のように鎮座した、四角い部屋。
 一瞥しただけでそこがまともな用途で作られたものでないと、はっきりわかる。
 ベッドサイドの四角いガラステーブルの上に置かれた、様々な素材で出来た、怪しげな道具の数々。
 ゴム製らしき、ぬめぬめとした質感の、ピンク色の物体。
 それは明らかに男根の形をしていた。
 どのような用途で作られ、どのように使用されるか、奥手なリオでさえすぐに分かってしまう。

 しかし、リオを震えあがらせたのは、そんな生易しい玩具ではなかった。
 痛みを与えることを目的とした器具の数々が、部屋の至る所に置かれている。
 天井のフックからは黒い四本のくさりが垂れ下がり、大きな羽が白壁を飾っている。
 恐ろしげなムチやロープが無造作にそこここに置かれていた。
 まるで拷問部屋である。
 リオの目に涙が浮かび上がる。

「……おい、聞こるか」
 突然くぐもった声がした。
 リオは弾かれたように天井を見る。
 視線の先に、ビデオカメラのレンズがあった。
「聞こえたみたいだな」
 笑みを含んだ声。
 カメラの隣に据え付けられているのはスピーカーだろうか。もうすっかり聞き慣れた、コートの男の声は、そこから流れているようだった。
「ベッドに上がって、仰向けになれよ。お前の体がこっちによく見えるように」
 男は言う。リオはためらった。
「早くしないと客が来るぜ。言っとくが、お前は今日から奴隷だ。とりあえずの御主人様は今からそこに来る男たちだ。素直に言うことをきくんだぜ。納得したら頷け。こちら側に声は聞こえないからな」
「やだ……」
 ぐずぐずとリオは口を開く。
「こっちには聞こえないと言っただろう」
 ぴしゃりと男はリオをさえぎる。
「素直じゃない奴隷にはおしおきが待ってる。何なら今から躾け直してもいいんだぜ。俺がそこに行く前に、好みのグッズでも物色しとけよ」
 おしおきと聞いて、リオは竦みあがる。固そうなムチがたちまち存在感を増した。
 慌ててベッドに横になり、置いてあった毛布で裸の身体を隠す。

「奴隷がそんなに恥ずかしがってちゃいけねぇな。まあ、今夜の客はちょろそうだから、文句は言わないだろうがな。ああ、だが一つだけ言っておく。抵抗したって無駄だぜ。奴らは金を出してるからな。金額分はきっちり取り立てに来るはずだ」
 奴隷、取り立て。
 昨日まで自分とはまるで無関係だった単語が次々に投げかけられ、リオには全く消化できない。
 ただただ思いを込めて、無機質に光る丸いレンズを見つめるだけである。
 男は続けた。
「今から部屋に最初の客が入ってくる。まずは四人だ。大金を払ってるんだから、くれぐれも粗相のないようにしろよ。俺に恥をかかせるな。ちなみにそこでの出来事は、すべてモニターされている。他の客たちにお前の姿を見せて楽しませるためと、もう一つは客の暴走を阻止するためだ。いざと言うときは、すぐにケインが駆け付ける。だから安心して楽しめばいい。何もかも初めての事ばかりの夜だろうからな」
「どうしてっ」
 ケットから、顔だけをのぞかせて、リオは叫んだ。
「どうしてそんな酷い事するの? 俺、今から誰かに売られちゃうの?」
「聞こえないと言っただろう。記憶力が悪いな。ああ、そろそろ客達が焦れてきた。それじゃあ、リオ。健闘を祈る」

 ぶつりとマイクを切る音がする。 

 きーっという、ドアの開く音がして、男たちが次々に入ってきた。
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