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第四章 三つの世界の謎
後始末
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「後始末はしてやるから、もう寝ろよ。明日までに返事を聞かせてくれ。いい答えを期待してるぜ」
ちゅっと唇にキスが与えられ、そして京は、ケットの中を下へと潜っていった。
「何? 京ちゃん」
太股を熱い舌で舐められて、リオは両目を見開き悲鳴を上げる。
「俺が汚したんだから、綺麗にしてやるよ。いいから寝てろ」
カモシカのように華奢な足の、精液の飛び散った部分を舐めて清めながら、京は安心させるように、背中を撫でた。その口ぶりと態度には、もはや欲を感じさせるものはなくて、言葉通り、後始末をしてくれるだけなのだと、少年は、間を置いて納得する。
「京ちゃん……もう……いいよ……」
「いいから寝てろ」
男は、萎れた性器に舌をつけ、側面から先端までを舐め上げる。そんな淫らな行為でも、犯される心配がないとなれば、平静に受けられる自分が不思議だった。
清められながら、刺激で新しい液が染みだす。じわじわとまた、快感の芽のようなものが、お腹の中に生まれていた。
だけど。
「おやすみ、リオ」
優しい声に励まされ、リオは、身を委ねたまま、目を瞑る。両足をまとめて上に上げられる、恥ずかしいポーズをとらされる頃には、もう少年は、夢の世界にはまり込んでいた。
翌朝。
疲労を気づかってか、京は、ぎりぎりになるまでリオを起こさなかった。
急いで支度をして、京の後に続いてドアの前に立つ。いきなり男は振り向くと、きつく、リオを抱きしめてきた。京の香りに包まれて、いつしかその香りに馴染みかけている自分に気づく。
「今日から、トレーニング本番だ。監督官の言う事聞いて、お利口さんにしとくんだぞ」
「ん……」
ドキドキと心臓を震わせながら、リオは頷く。
「顔あげろ」
命令に従うまでもなく、京は、リオの頬に片手を添えて上向かせ、そっと唇を重ねてきた。条件反射のように口を開けば、温かい舌が歯列をなぞり、ゆっくりと口腔を犯す。
「夕方帰ってきたら聞かせてくれ……わかってるよな」
耳たぶをかりりと噛みながら京は囁いた。
「京ちゃんと……、つきあうってやつ?」
「そうだよ」
「もし俺がOKしたら……どうなるの?」
顔を赤くしたまま、リオは尋ねた。こんな会話をしている今だって、自分は男の腕の中に、しっかりと抱き留められたままだ。もう、互いの行為的には、恋人同士と言っても、間違いではない気がする。関係を現す言葉が変わったからと言って、現実的に、どんな違いがあるというのだろう。
「そうなったら、俺に抱かれる時に罪悪感を感じなくてすむだろ。恋人同士抱き合うのは、当然の事だ」
京は答えた。
「じゃあ、断ったら?」
「夕べみたいに、無理やり抱く事になるな。それじゃあ、お前も可哀相だろ? 俺は、抱かれる理由を作ってやってんだぜ」
しれっとした発言に、リオは。驚きを隠せない。
「それじゃ、どっちも結局は一緒じゃん」
「馬鹿、全然違うだろ。恋人に抱かれるのと、犯されるのとじゃ、気持的には雲泥の差だと思うせ」
京はふいにリオを開放し、ドアを開けた。
正直なところ、今この状態で、誰かとつきあうなんて考えられず、それは、京以外の誰とでも、そうだった。
ふいに、赤い髪の毛の美少年が脳裏に浮かぶが、ぶるぶると頭を振って追い払う。沙蘭とでも、駄目だ。大体この状況下で、恋なんかに関わっている京の余裕が信じられない。だけど、一縷の望みに賭けて、リオはこう切り出してみた。
「ねえ、友達からっていうのはどう?」
廊下を早足で歩きながら、京は、はあ? と呆れた顔で振り返った。
「だって、俺、ここに来たばっかりで、京ちゃんの事、全然知らないんだもん……京ちゃんだってそうでしょ? だから、もっとお互いの事をよく知って」
「ばーか。今更プラトニックなんてやってられっか。俺をいくつだと思ってんだ」
京は歩みを止め、がっちりとリオの肩をホールドした。
「OKが出たら、俺はすぐにお前を抱くぜ……今度は、昨日みたいなぬるいやつじゃない。お前の全部を奪ってやる」
「そんな……」
「……なんてな。嘘だよ。さすがに、それは、一星の許可がないと出来ない。だからお前がびびってるような事にはなかなかならないから安心しな」
肩を抱かれ、まるで連行されるみたいにリオは小走りに廊下を進む。同じ制服姿の監督官とすれ違っても、京は緩い拘束を解こうとはしなかった。
……結局、OKしても、断っても、京の態度は変わらないと言う事だ。
どちらが、この優しいけれど強引で暴走気味な男を刺激せずにすむのか、リオにはまるで判断がつかない。逡巡しているうちに、大部屋につく。京は担当の監督官へとリオを引き渡すと、思いの外あっさりと去っていった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
複数のベッドが並んだ無機質な部屋の入り口にたたずみ、リオはごくりと唾を飲み込んだ。
京の事ばかりに気を取られて、すっかり忘れてしまっていたけれど、今日から本格的な調教が始まるのだった。
入り口正面の長い壁に、縞服を着た少年たちが、神妙な顔をして並んでいる。
どの顔も、見知った者ばかりで、リオの知る第一の世界で、仲良くしていた仲間達だ。リオは、そこにいるはずの光を、さりげなく探した。
長身な彼は、華奢な少年たちの群れの中では、一際目立つはずなのに、何度確認しても見つからない。リオは首を傾げる。彼が、この世界にいるのは、間違いなかった。紅龍に捕らわれていた時に、ちらりとガラス窓から見下ろす、光の姿を、リオは見ている。
「キム医師から話は聞いていると思うけど、今日から君は、奴隷として、私たちの調教を受ける事になる……。君は、花嫁候補だけれど、もう一人の少年沙蘭とは、また別な扱いをしていいと言われていてね。沙蘭には、多少の特別扱いが許されていたが、君は、一般と同じ扱いになる。厳しいけれど、頑張って耐えるんだよ。実際のセックスには、苦しい事や、痛い事は全くないからね。君は、男を受け入れる、ただ、従順で、可愛らしい器になるためのレッスンを、これからじっくりと学んでいくんだよ」
監督官の口上を、顔を強張らせて聞きながら、リオは、沙蘭の受けていた特別扱いとは何だったんだろう、とかつての出来事を思い出していた。
沙蘭として、自分は、数ヶ月、調教を受けている。乳首開発やアナル調教など、他の少年たちとまるで同じメニューだったし、特別扱いなんて、受けている気は全くしなかったけど……。
そして、ああ、とリオは頷く。
沙蘭の時には、複数の男たちとのセックスがあった。施設内の少年たちの中で、唯一、男を受け入れる事を許されているのが、沙蘭だった。
という事は、今は、犯される心配だけは、ないと言う事だ。
「キム医師によれば、君のウィークポイントは、お尻だと、そう聞いている。そしてそれ以外の部分は、かなり、開発されているようだとも。お尻だけが手つかずなのは、君が怖がったからかな? あそこを刺激されるのは、抵抗がある?」
優しく尋ねられ、リオは大きく頷いた。
「そうだね。まさか、あの部分が気持ちよくて、そこを弄られるのが好きでたまらなくなるなんて、誰でもにわかには信じられないものだよ。でも、実際はそうなのだ。君の恐怖心と抵抗を取り除くために、今から私たちが、それを証明してあげようね」
そして監督官は、一際高い声で番号を呼び、一人の少年が後列から前に進み出た。
ちゅっと唇にキスが与えられ、そして京は、ケットの中を下へと潜っていった。
「何? 京ちゃん」
太股を熱い舌で舐められて、リオは両目を見開き悲鳴を上げる。
「俺が汚したんだから、綺麗にしてやるよ。いいから寝てろ」
カモシカのように華奢な足の、精液の飛び散った部分を舐めて清めながら、京は安心させるように、背中を撫でた。その口ぶりと態度には、もはや欲を感じさせるものはなくて、言葉通り、後始末をしてくれるだけなのだと、少年は、間を置いて納得する。
「京ちゃん……もう……いいよ……」
「いいから寝てろ」
男は、萎れた性器に舌をつけ、側面から先端までを舐め上げる。そんな淫らな行為でも、犯される心配がないとなれば、平静に受けられる自分が不思議だった。
清められながら、刺激で新しい液が染みだす。じわじわとまた、快感の芽のようなものが、お腹の中に生まれていた。
だけど。
「おやすみ、リオ」
優しい声に励まされ、リオは、身を委ねたまま、目を瞑る。両足をまとめて上に上げられる、恥ずかしいポーズをとらされる頃には、もう少年は、夢の世界にはまり込んでいた。
翌朝。
疲労を気づかってか、京は、ぎりぎりになるまでリオを起こさなかった。
急いで支度をして、京の後に続いてドアの前に立つ。いきなり男は振り向くと、きつく、リオを抱きしめてきた。京の香りに包まれて、いつしかその香りに馴染みかけている自分に気づく。
「今日から、トレーニング本番だ。監督官の言う事聞いて、お利口さんにしとくんだぞ」
「ん……」
ドキドキと心臓を震わせながら、リオは頷く。
「顔あげろ」
命令に従うまでもなく、京は、リオの頬に片手を添えて上向かせ、そっと唇を重ねてきた。条件反射のように口を開けば、温かい舌が歯列をなぞり、ゆっくりと口腔を犯す。
「夕方帰ってきたら聞かせてくれ……わかってるよな」
耳たぶをかりりと噛みながら京は囁いた。
「京ちゃんと……、つきあうってやつ?」
「そうだよ」
「もし俺がOKしたら……どうなるの?」
顔を赤くしたまま、リオは尋ねた。こんな会話をしている今だって、自分は男の腕の中に、しっかりと抱き留められたままだ。もう、互いの行為的には、恋人同士と言っても、間違いではない気がする。関係を現す言葉が変わったからと言って、現実的に、どんな違いがあるというのだろう。
「そうなったら、俺に抱かれる時に罪悪感を感じなくてすむだろ。恋人同士抱き合うのは、当然の事だ」
京は答えた。
「じゃあ、断ったら?」
「夕べみたいに、無理やり抱く事になるな。それじゃあ、お前も可哀相だろ? 俺は、抱かれる理由を作ってやってんだぜ」
しれっとした発言に、リオは。驚きを隠せない。
「それじゃ、どっちも結局は一緒じゃん」
「馬鹿、全然違うだろ。恋人に抱かれるのと、犯されるのとじゃ、気持的には雲泥の差だと思うせ」
京はふいにリオを開放し、ドアを開けた。
正直なところ、今この状態で、誰かとつきあうなんて考えられず、それは、京以外の誰とでも、そうだった。
ふいに、赤い髪の毛の美少年が脳裏に浮かぶが、ぶるぶると頭を振って追い払う。沙蘭とでも、駄目だ。大体この状況下で、恋なんかに関わっている京の余裕が信じられない。だけど、一縷の望みに賭けて、リオはこう切り出してみた。
「ねえ、友達からっていうのはどう?」
廊下を早足で歩きながら、京は、はあ? と呆れた顔で振り返った。
「だって、俺、ここに来たばっかりで、京ちゃんの事、全然知らないんだもん……京ちゃんだってそうでしょ? だから、もっとお互いの事をよく知って」
「ばーか。今更プラトニックなんてやってられっか。俺をいくつだと思ってんだ」
京は歩みを止め、がっちりとリオの肩をホールドした。
「OKが出たら、俺はすぐにお前を抱くぜ……今度は、昨日みたいなぬるいやつじゃない。お前の全部を奪ってやる」
「そんな……」
「……なんてな。嘘だよ。さすがに、それは、一星の許可がないと出来ない。だからお前がびびってるような事にはなかなかならないから安心しな」
肩を抱かれ、まるで連行されるみたいにリオは小走りに廊下を進む。同じ制服姿の監督官とすれ違っても、京は緩い拘束を解こうとはしなかった。
……結局、OKしても、断っても、京の態度は変わらないと言う事だ。
どちらが、この優しいけれど強引で暴走気味な男を刺激せずにすむのか、リオにはまるで判断がつかない。逡巡しているうちに、大部屋につく。京は担当の監督官へとリオを引き渡すと、思いの外あっさりと去っていった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
複数のベッドが並んだ無機質な部屋の入り口にたたずみ、リオはごくりと唾を飲み込んだ。
京の事ばかりに気を取られて、すっかり忘れてしまっていたけれど、今日から本格的な調教が始まるのだった。
入り口正面の長い壁に、縞服を着た少年たちが、神妙な顔をして並んでいる。
どの顔も、見知った者ばかりで、リオの知る第一の世界で、仲良くしていた仲間達だ。リオは、そこにいるはずの光を、さりげなく探した。
長身な彼は、華奢な少年たちの群れの中では、一際目立つはずなのに、何度確認しても見つからない。リオは首を傾げる。彼が、この世界にいるのは、間違いなかった。紅龍に捕らわれていた時に、ちらりとガラス窓から見下ろす、光の姿を、リオは見ている。
「キム医師から話は聞いていると思うけど、今日から君は、奴隷として、私たちの調教を受ける事になる……。君は、花嫁候補だけれど、もう一人の少年沙蘭とは、また別な扱いをしていいと言われていてね。沙蘭には、多少の特別扱いが許されていたが、君は、一般と同じ扱いになる。厳しいけれど、頑張って耐えるんだよ。実際のセックスには、苦しい事や、痛い事は全くないからね。君は、男を受け入れる、ただ、従順で、可愛らしい器になるためのレッスンを、これからじっくりと学んでいくんだよ」
監督官の口上を、顔を強張らせて聞きながら、リオは、沙蘭の受けていた特別扱いとは何だったんだろう、とかつての出来事を思い出していた。
沙蘭として、自分は、数ヶ月、調教を受けている。乳首開発やアナル調教など、他の少年たちとまるで同じメニューだったし、特別扱いなんて、受けている気は全くしなかったけど……。
そして、ああ、とリオは頷く。
沙蘭の時には、複数の男たちとのセックスがあった。施設内の少年たちの中で、唯一、男を受け入れる事を許されているのが、沙蘭だった。
という事は、今は、犯される心配だけは、ないと言う事だ。
「キム医師によれば、君のウィークポイントは、お尻だと、そう聞いている。そしてそれ以外の部分は、かなり、開発されているようだとも。お尻だけが手つかずなのは、君が怖がったからかな? あそこを刺激されるのは、抵抗がある?」
優しく尋ねられ、リオは大きく頷いた。
「そうだね。まさか、あの部分が気持ちよくて、そこを弄られるのが好きでたまらなくなるなんて、誰でもにわかには信じられないものだよ。でも、実際はそうなのだ。君の恐怖心と抵抗を取り除くために、今から私たちが、それを証明してあげようね」
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