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1章
3.5 アクアスティードの心中
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僕はアクアスティード、10歳。ランバルト国の王子だ。
今日は婚約者であるメルリア……メルのドレスを選ぶ為に一緒に店に来ていた。順調に選び終わったので昼食にしようと僕の行きつけの定食屋へと連れて行った。
彼女は初めて来たようで最初こそソワソワしていたものの、頼んだ料理を食べ始めるとそれはもう美味しそうに食べていて。連れてきて良かったと改めて思った。
「メル、美味しいですか?」
「はい、とても。エッグもライスも凄く美味しいですわ」
改めて聞いて見るとそれはもう嬉しそうに答えるメル。まだ知り合ったばかりでお互いの事は少ししか知らないけれども、これから少しずつ知っていけば良い。どうやらそれはメルも同じようで、今度時間がある時はメルに質問する時間を設けようという話をした。
「アクア様がお時間ある時でよろしいので」
「そうだね……では明日なんてどうかな?」
「明日……ですか?私はもちろん良いですが……」
「僕も今はまだ時間があるからね。メルの予定に合わせるよ」
きっと今後お妃教育が始まるだろうから。今の内に知りたい事を知られたら。
僕の中ではもうメルをお妃にするのは決定事項である。何故なら店員であるミアへの対応。ドレス選びとなれば我儘な娘であれば彼女が持ってくるドレスに難癖を付けるはずである。しかしメルはそんなことは無く、むしろ丁寧に受け答えをしていた。それだけで彼女が我儘では無い事は明白だ。
「今日はドレスを試着して疲れたでしょう。このままお送りします」
「そうですわね……ありがとうございますアクア様」
「お礼を言われる程では無いですよ」
丁寧に頭を下げてお礼を述べるメル。しかしこれは婚約者としては当たり前だと僕は考えている。ここまで連れて来たのは僕なので、メルの家まで送る義務がある。
お礼を遠慮すればメルはきょとんとした後微笑んでいた。可愛らしいな、と思った。この笑顔を守りたいと強く思い始めるには十分な程に。
その為にも僕はもっともっと努力しなければならない。ランバルト国の第1王子として。
今日は婚約者であるメルリア……メルのドレスを選ぶ為に一緒に店に来ていた。順調に選び終わったので昼食にしようと僕の行きつけの定食屋へと連れて行った。
彼女は初めて来たようで最初こそソワソワしていたものの、頼んだ料理を食べ始めるとそれはもう美味しそうに食べていて。連れてきて良かったと改めて思った。
「メル、美味しいですか?」
「はい、とても。エッグもライスも凄く美味しいですわ」
改めて聞いて見るとそれはもう嬉しそうに答えるメル。まだ知り合ったばかりでお互いの事は少ししか知らないけれども、これから少しずつ知っていけば良い。どうやらそれはメルも同じようで、今度時間がある時はメルに質問する時間を設けようという話をした。
「アクア様がお時間ある時でよろしいので」
「そうだね……では明日なんてどうかな?」
「明日……ですか?私はもちろん良いですが……」
「僕も今はまだ時間があるからね。メルの予定に合わせるよ」
きっと今後お妃教育が始まるだろうから。今の内に知りたい事を知られたら。
僕の中ではもうメルをお妃にするのは決定事項である。何故なら店員であるミアへの対応。ドレス選びとなれば我儘な娘であれば彼女が持ってくるドレスに難癖を付けるはずである。しかしメルはそんなことは無く、むしろ丁寧に受け答えをしていた。それだけで彼女が我儘では無い事は明白だ。
「今日はドレスを試着して疲れたでしょう。このままお送りします」
「そうですわね……ありがとうございますアクア様」
「お礼を言われる程では無いですよ」
丁寧に頭を下げてお礼を述べるメル。しかしこれは婚約者としては当たり前だと僕は考えている。ここまで連れて来たのは僕なので、メルの家まで送る義務がある。
お礼を遠慮すればメルはきょとんとした後微笑んでいた。可愛らしいな、と思った。この笑顔を守りたいと強く思い始めるには十分な程に。
その為にも僕はもっともっと努力しなければならない。ランバルト国の第1王子として。
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