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3章
(13)歩み寄り
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「げぇ、エトロ」
「幽霊でも見たような顔だな」
「そこまで酷くはないと思うぞ。多分」
俺は片手で引き攣った顔を揉みながら、そそくさと店の脇へ移動した。代わりにエトロはズカズカと店の中に入ってくると、俺の手元を凝視して動かなくなった。
……何か言いたいことがあるなら言って欲しい。
ただでさえ気まずいのに、沈黙を保たれると冷や汗で風邪を引きそうだ。だが俺も俺で、自分から話しかける勇気もなく、甘んじて相手の反応を待つしかない。
俺たちのただならぬ雰囲気を察して、店主は早々に奥に引っ込んだ。おしゃべり好きの人間が自主的に逃げ出すなんて、嵐の前兆であろうか。いっそ俺も逃げるべく後ずさったところで、
「文字の練習、続けているみたいだな」
「え? あっ」
俺はメモの裏をびっしり埋め尽くす文字に気づいて、慌ててポケットに突っ込んだ。シャルが使ったページを避けたせいで、俺の汚い文字ごとページを破ってしまったようだ。
「隠すことでもないだろう」
エトロのうんざりした表情を見て、俺は咄嗟に弁明した。
「いやだって、こういうのは子供のうちに済ませておくべきじゃん」
「遅かろうがやらないよりはマシだろう」
すい、とエトロが目線が離れる寸前、冷め切った雰囲気が和らいだ気がした。その様子に俺はおやっと目を見開く。
エラムラで言い争って以降、エトロとは他人同然の関係になると覚悟していたというのに、なんだこの警戒心のなさは。
これはもしかしたら、もしかするのでは。
俺はエトロの出方を探るべく、適当な話題を振ってみた。
「エトロ。あそこにおすすめの本とかある?」
「なら左側の、上から五段目の本」
まさかの即答だ。
俺は口元が緩みそうになるのを堪えながら、エトロおすすめの本の背表紙を見た。その丸みを帯びた文字列を見て、途端に俺はスンとした。
「……植物図鑑だな?」
三ヶ月前、俺に薬草や薬の調合の基礎知識を教えてくれたのはエトロだった。そして俺は薬学が大の苦手である。
まさか、そういう意味で勧めているんじゃないだろうな、と目線を送ると、エトロは平然と俺に言ってのけた。
「薬草の教科書になる。毎日読め」
俺が求めていたコミュニケーション媒体ではないが、大変ありがたいお言葉である。俺は警策をいただく僧の気分になった。
「もしかして、俺がまだ爆薬しか作れないの根に持ってる?」
「当たり前だ。チェスピースのフェロモンの対処法を知っているなら、薬の調合ぐらいできるだろう」
「そんな前から盗み聞きしてたのかよ!」
居るなら居ると言ってくれればいいものを。わざわざあのタイミングで話しかけずともよかっただろうに。
湧き上がる文句を苦労して飲み込んでいると、そっと俺の胸元に分厚い植物図鑑が押し付けられた。見れば、店主が仏のような顔で俺に頷きかけているではないか。
「こいつぁまけてやるから、ちゃんと読めよ兄ちゃん」
「……うぃーっす」
植物図鑑と一緒にリングノート諸々の代金を支払うと、店主は銅貨を親指で弾きながらエトロへ目を配った。
「んで、お嬢ちゃんは?」
「これだけでいい」
すっと掲げられたのは手のひらサイズの日記だった。
「あいよ。銅貨四十枚だ」
四百円か。日記にしてはかなり安い。エトロが日記に何を書いているのか興味がそそられたが、真剣な横顔を見ていると問うのは憚られた。
会計が終わり、店主と別れた後、俺とエトロは示し合わせるでもなく揃って洞窟の外へ出た。その間、二人の間に全く会話がなかったが、不思議ともう息苦しくなかった。
俺はこのままエトロと別れるのが勿体無い気がして、階段に差し掛かったあたりで思い切って声をかけた。
「あのさ、ちょっと付き合ってくれないか?」
エトロは階段に足を掛けたままぴたりと止まり、微かに俺の方を振り返った。
「……手短に」
意外と好感触だ。俺は軽く喜んですぐ、その後の誘い文句を何も考えていなかったことに今更気づいた。
この機を利用してエトロと仲直りしたいが、下心込みで嘘をついたら絶対にバレて、余計に関係がこじれてしまうだろう。
俺は逡巡した後、馬鹿正直に言った。
「女の子の必需品を教えてくれ」
「…………は?」
「変態を見るような目はやめてくれ! 真面目な話、シャルのためだよ!」
慌てて目的を伝えると、エトロの胡乱な目つきが和らいだ。
「なんだ。そういえば、お前があの子の面倒を見るんだったな」
誤解が解けて何よりである。俺は変な汗を掻きながら、しどろもどろに言葉を重ねた。
「服はオリヴィアさんが選んでくれてるんだけど、他のものが全然思いつかなくてさ。いや、用事があるんだったら断ってくれていいから」
「……分かった。早く終わらせるぞ」
エトロは俺のポケットから勝手にメモを引っ張り出すと、ミミズがのたくったような文字をすぐに解読し、早速商店街の一階へと歩き出した。
口では色々と手厳しいエトロだが、なんだかんだ言って面倒見がいい奴である。彼女の優しさにつけ込んでいる罪悪感を抱きながら、俺はエトロの水色の髪を追いかけた。
・・・―――・・・
「お、終わった……」
俺は直立体制を保ちながら自室のベッドに倒れ込み、固い枕に顔面をうずめた。すると、部屋の中央にある椅子からエトロの呆れ返った声がした。
「この程度で根を上げるな。先が思いやられる」
ベッドフレームを一人で軽々と持ち上げた女性の言葉だ。重みが違う。
いつもなら言い返してやるところだが、普段使わない筋肉を酷使したせいで、俺は憎まれ口すら吐けなかった。
家具を運ぶために階段を五往復。エトロから内装のダメ出しを食らい、買う予定でなかったカーペット類も担いで、さらに二往復。
苦行はそれだけで終わらない。俺が家具を組み立てている最中、エトロから延々と女子の生活講座を聞かされた。女の子が如何にお洒落に気を使うか、肌の保湿や髪の手入れがどれほど重要かを叩き込まれ、すべての作業が終わる頃には、俺の頭は見事にパンクした。
かわいいは作るもの。栄養バランス、適度な運動、清潔を維持するあれやそれ。かわいいを構成する内容成分が俺の頭の中でエンドレスだ。
「ほら」
ベッドでうだうだ寝転がっていると、ちゃぷりと耳元に水筒を差し出された。俺はベッドの上に座り直しながらそれを受け取り、コルクを引き抜いて一口煽った。
「酸っぺー」
中身はただの水ではなく、一階のフルーツバーで売られているレモンシトラスジュースだった。俺が組み立て作業に勤しんでいる間にわざわざ買ってきてくれたらしい。
俺は一気に半分ほど飲み干した後、酸味で少し咽てからエトロを拝むように手を合わせた。
「マジ助かった。ありがとう。この通り」
「次は一人でやるんだな」
エトロはふんと鼻を鳴らすと、我が物顔で椅子に座り直した。
弛緩し切った空気が俺の部屋に漂い始める。
時刻はシャルが出て行ってから一時間ぐらい。逆算すると、今の時刻は午後の二時だと。昼食も食べずに動き回っていたから、時間帯を意識した途端、俺の腹から景気のいい音がした。
と、今度はエトロの方からも空腹の音が聞こえてくる。俺はベッドから降りると、テーブルに水筒を置きながらエトロに笑いかけた。
「折角だし飯食いに行こう。世話になったから俺の奢りで」
本日二度目の出かける準備をしたところで、ぽつりと迷子のような声が部屋に落ちた。
「お前はいいのか。このままで」
俺は浮かれていた気分が一瞬で落ちるのを感じながら、椅子の上で俯くエトロを振り返った。
上手くなあなあに出来そうだと思っていたが、そうは問屋が下さぬらしい。
俺は、エトロから散々嫌いだと言われた後でも、完全に彼女を嫌いになれずにいた。喉元過ぎれば何とやら、文房具店でエトロからまともな反応を返してもらえたから、まだ彼女とやり直せると性懲りも無く思ってしまった。
「やっぱ、俺と一緒は嫌か?」
言った後で、捨てられた男の台詞のようだと自評した。これならエトロに嫌われても仕方ないな、と発言を取り消そうとした時。
「私は別に……」
「…………えっ」
「なんだその反応は。むしろ、私の方がお前に話しかけられて驚いたのに……」
エトロは椅子に座ったまま身体ごと俺に背を向け、恐々と背もたれに寄りかかった。
俺は呆然とエトロの後ろ姿を見つめた後、顔を覆いながら浅く息を止めた。
……何、この、どうすればいい?
さっき飲んだレモンシトラスの匂いが急に鼻の奥から蘇ってくる。それを唾ごと飲み込んで喉の奥を湿らせると、俺は弱々しく声を振り絞った。
「じゃあー……改めて、嫌じゃないなら、ご飯一緒に食こうぜ」
「……うん」
エトロの透明な返事を聞いた瞬間、俺は咄嗟に自分の胸を殴りつけた。不覚にもエトロが可愛いと思ってしまった俺は、童貞を拗らせた末期患者だ。
・・・―――・・・
バルド村の食堂といえばこの二つ。ギルドの向かいの大衆酒場と、最下層に位置する『ヘルモンテ』である。
以前アンリとメルクで飲み食いしたのは大衆酒場だった。あそこはリーズナブルで手軽に食べられるが、今日は少しお高めのヘルモンテへ向かうことにした。
最下層ともなれば、耳を澄ませずとも川のせせらぎがかなり近くに感じられる。川が増水したらあっという間に沈んでしまうのではと心配だが、そこは原住民、しっかり対策を取っているので問題ないらしい。
古臭いドアベルを鳴らしながら食堂ヘルモンテに入ると、洞窟の中と思えぬほど明るい店内に出迎えられた。客席は一階の一般席と二階の予約席に別れ、地下食糧庫のすぐ隣にキッチンがあるという、変わった構造だ。
俺とエトロは一階の窓際の席に座ると、メニューも見ずに店員に注文を取ってもらった。
「はぁーこの硬さ落ち着くー」
俺はクッションの上に腰掛けるや、ぐっと手足を伸ばしてから脱力した。
ヘルモンテの椅子やテーブルは全て花崗岩で作られており、見た目はいかにも座り心地が悪そうである。しかし分厚いクッションが敷かれているため、座ってみれば意外と心地よい。夏場であれば、ひんやり滑らかな石の表面に癒される。
今日も残暑から逃れるべく石材に背中を張り付けていると、エトロが澄まし顔で俺に問いかけてきた。
「リョーホ。この際聞いておくが、どうしてシャルを引き取ろうと思ったんだ? それほど長い間、彼女と一緒にいたわけでもないだろうに」
エトロからの疑問は、レブナやアンリたちから何度もされたものと同じだ。それだけ、俺がシャルに入れ込んでいるのが傍目には意味不明に映るのだろう。俺自身、シャルを助ける理由があるのかと何度も自問自答したぐらいだ。
俺は頭の中を整理して、一言一言確かめるように言葉を紡いだ。
「関わった時間より、そん時の気分を優先しただけだよ。知り合いが困ってたら、できるだけ助けたいって思うから」
「なぜ? 助けたところで、必ず感謝されるわけでもないだろうに」
「うん。でも、感謝されて当然って思って、助けてるわけじゃないんだ。見て見ぬフリするのが気持ち悪いから、放っておけないんだと思う」
「そういう風に、両親から教わったのか?」
「……どうだろうな」
俺にはこれと言って、両親に教わった道徳観とやらは何も思い浮かばない。今では両親の顔が思い出せず、日本での記憶も急速に薄れ始めている。もはや、俺が異世界に来た瞬間から記憶喪失だったのではと思うほど、自分の過去の手掛かりはほとんどなかった。
それでも目を閉じて両親のことを思い出そうとすると、薄らと温もりが蘇ったような気がした。
「……両親がどうだったか知らないけど、身近な人だけでも大切にしたい。それが俺の本心だと思う」
時間をかけて答えると、エトロの方からため息にも似た吐息が聞こえた。
「お前は、きっと家族に愛されていたんだろうな」
唐突に聞こえた言葉に俺は目を開け、少々訝しげな顔になってしまった。
「エトロは違うのか? 十二年前、スタンピードから真っ先にお前を逃がしてくれたんだろ」
「ああ。だが、あれは親としての義務というより、一族の義務だった」
「それは愛情とは別なのか?」
エトロは無言で頷いた後、テーブルの上で両手を握りしめながら、訥々と身の上を語った。
「私の血筋は代々、ヨルドの里の海守をしていた。必ず血を絶やさずに、いつか来る日のために備えよ、という掟があったのだ。その掟を守るためだけに、両親は私を生んだ」
「……なら、ご両親がエトロを逃したのも、掟を守るため?」
「その通りだ。私を里から逃した時も、生きて役目を果たせと叫んでいた」
「そう、か……」
俺は、エトロの両親に会ったこともなければ、別れ際の姿を見たわけではない。そのため、エトロの考えを真っ向から否定することができなかった。それに、エトロ本人がそう感じているのなら、彼女にとっては本当に違いないのだから。
俺は迷いに迷った後、少々的外れな回答をした。
「俺は、その……海守の役目とか全く知らないけどさ、エトロに会えて良かったって思ってる。だから、なんて言うか……お前は嫌だろうけど、エトロの両親にも、お前が生まれたことを感謝しておく」
「……ふふ、お前が感謝する話じゃないのに」
エトロの笑顔を見て、俺は内心でほっとした。
しばらくすると、店員が俺たちのテーブルへ料理を運んできた。コッテリとしたシチューとパンに、骨付き肉とサラダが目の前に並べられていく。
ごゆっくり、今日もお疲れ様です、と顔見知りの店員が去ったところで、俺たちは料理に向けて両手を合わせた。
異世界に頂きますを言う文化はない。だが、俺が毎日使っているうちに、仲間内で使うのが当たり前になった習慣だ。
律儀にその習慣を続けているエトロにくすぐったい気持ちを抱きながら、俺はサラダを口に運んだ。塩味の効いたドレッシングが絡まり、レタスの瑞々しい音が歯から伝わってくる。
次に骨付き肉に齧り付けば、筋張った肉から香ばしい汁が溢れて、顎の根本からじゅわりと唾液が出てきた。
美味しい料理を夢中になって食べ進めていると、ふとエトロからやんちゃな子供を見るような視線を向けられていることに気づいた。
「な、なんだよ」
「お前はいつも料理を美味そうに食べるな」
「美味しいから仕方ないだろ」
少々恥ずかしく思いながら塵紙で口を拭うと、エトロは心なしか楽しそうに目を細めた。
「私もお前ぐらい単純になれたらよかったのにな」
「褒めてるのかそれ」
「さあ?」
エトロは口角を緩めると、小さな口でシチューの染み込んだパンを齧った。それから、昔を思い出すように目を伏せて囁いた。
「シャルもまた、親に捨てられた子だ。お前がしっかり面倒を見るんだぞ」
それはごく普通の、裏表のない気遣いだった。ただ、ベアルドルフに並々ならぬ憎しみを抱く彼女から聞けただけで、俺は胸が熱くなるほど嬉しかった。
「幽霊でも見たような顔だな」
「そこまで酷くはないと思うぞ。多分」
俺は片手で引き攣った顔を揉みながら、そそくさと店の脇へ移動した。代わりにエトロはズカズカと店の中に入ってくると、俺の手元を凝視して動かなくなった。
……何か言いたいことがあるなら言って欲しい。
ただでさえ気まずいのに、沈黙を保たれると冷や汗で風邪を引きそうだ。だが俺も俺で、自分から話しかける勇気もなく、甘んじて相手の反応を待つしかない。
俺たちのただならぬ雰囲気を察して、店主は早々に奥に引っ込んだ。おしゃべり好きの人間が自主的に逃げ出すなんて、嵐の前兆であろうか。いっそ俺も逃げるべく後ずさったところで、
「文字の練習、続けているみたいだな」
「え? あっ」
俺はメモの裏をびっしり埋め尽くす文字に気づいて、慌ててポケットに突っ込んだ。シャルが使ったページを避けたせいで、俺の汚い文字ごとページを破ってしまったようだ。
「隠すことでもないだろう」
エトロのうんざりした表情を見て、俺は咄嗟に弁明した。
「いやだって、こういうのは子供のうちに済ませておくべきじゃん」
「遅かろうがやらないよりはマシだろう」
すい、とエトロが目線が離れる寸前、冷め切った雰囲気が和らいだ気がした。その様子に俺はおやっと目を見開く。
エラムラで言い争って以降、エトロとは他人同然の関係になると覚悟していたというのに、なんだこの警戒心のなさは。
これはもしかしたら、もしかするのでは。
俺はエトロの出方を探るべく、適当な話題を振ってみた。
「エトロ。あそこにおすすめの本とかある?」
「なら左側の、上から五段目の本」
まさかの即答だ。
俺は口元が緩みそうになるのを堪えながら、エトロおすすめの本の背表紙を見た。その丸みを帯びた文字列を見て、途端に俺はスンとした。
「……植物図鑑だな?」
三ヶ月前、俺に薬草や薬の調合の基礎知識を教えてくれたのはエトロだった。そして俺は薬学が大の苦手である。
まさか、そういう意味で勧めているんじゃないだろうな、と目線を送ると、エトロは平然と俺に言ってのけた。
「薬草の教科書になる。毎日読め」
俺が求めていたコミュニケーション媒体ではないが、大変ありがたいお言葉である。俺は警策をいただく僧の気分になった。
「もしかして、俺がまだ爆薬しか作れないの根に持ってる?」
「当たり前だ。チェスピースのフェロモンの対処法を知っているなら、薬の調合ぐらいできるだろう」
「そんな前から盗み聞きしてたのかよ!」
居るなら居ると言ってくれればいいものを。わざわざあのタイミングで話しかけずともよかっただろうに。
湧き上がる文句を苦労して飲み込んでいると、そっと俺の胸元に分厚い植物図鑑が押し付けられた。見れば、店主が仏のような顔で俺に頷きかけているではないか。
「こいつぁまけてやるから、ちゃんと読めよ兄ちゃん」
「……うぃーっす」
植物図鑑と一緒にリングノート諸々の代金を支払うと、店主は銅貨を親指で弾きながらエトロへ目を配った。
「んで、お嬢ちゃんは?」
「これだけでいい」
すっと掲げられたのは手のひらサイズの日記だった。
「あいよ。銅貨四十枚だ」
四百円か。日記にしてはかなり安い。エトロが日記に何を書いているのか興味がそそられたが、真剣な横顔を見ていると問うのは憚られた。
会計が終わり、店主と別れた後、俺とエトロは示し合わせるでもなく揃って洞窟の外へ出た。その間、二人の間に全く会話がなかったが、不思議ともう息苦しくなかった。
俺はこのままエトロと別れるのが勿体無い気がして、階段に差し掛かったあたりで思い切って声をかけた。
「あのさ、ちょっと付き合ってくれないか?」
エトロは階段に足を掛けたままぴたりと止まり、微かに俺の方を振り返った。
「……手短に」
意外と好感触だ。俺は軽く喜んですぐ、その後の誘い文句を何も考えていなかったことに今更気づいた。
この機を利用してエトロと仲直りしたいが、下心込みで嘘をついたら絶対にバレて、余計に関係がこじれてしまうだろう。
俺は逡巡した後、馬鹿正直に言った。
「女の子の必需品を教えてくれ」
「…………は?」
「変態を見るような目はやめてくれ! 真面目な話、シャルのためだよ!」
慌てて目的を伝えると、エトロの胡乱な目つきが和らいだ。
「なんだ。そういえば、お前があの子の面倒を見るんだったな」
誤解が解けて何よりである。俺は変な汗を掻きながら、しどろもどろに言葉を重ねた。
「服はオリヴィアさんが選んでくれてるんだけど、他のものが全然思いつかなくてさ。いや、用事があるんだったら断ってくれていいから」
「……分かった。早く終わらせるぞ」
エトロは俺のポケットから勝手にメモを引っ張り出すと、ミミズがのたくったような文字をすぐに解読し、早速商店街の一階へと歩き出した。
口では色々と手厳しいエトロだが、なんだかんだ言って面倒見がいい奴である。彼女の優しさにつけ込んでいる罪悪感を抱きながら、俺はエトロの水色の髪を追いかけた。
・・・―――・・・
「お、終わった……」
俺は直立体制を保ちながら自室のベッドに倒れ込み、固い枕に顔面をうずめた。すると、部屋の中央にある椅子からエトロの呆れ返った声がした。
「この程度で根を上げるな。先が思いやられる」
ベッドフレームを一人で軽々と持ち上げた女性の言葉だ。重みが違う。
いつもなら言い返してやるところだが、普段使わない筋肉を酷使したせいで、俺は憎まれ口すら吐けなかった。
家具を運ぶために階段を五往復。エトロから内装のダメ出しを食らい、買う予定でなかったカーペット類も担いで、さらに二往復。
苦行はそれだけで終わらない。俺が家具を組み立てている最中、エトロから延々と女子の生活講座を聞かされた。女の子が如何にお洒落に気を使うか、肌の保湿や髪の手入れがどれほど重要かを叩き込まれ、すべての作業が終わる頃には、俺の頭は見事にパンクした。
かわいいは作るもの。栄養バランス、適度な運動、清潔を維持するあれやそれ。かわいいを構成する内容成分が俺の頭の中でエンドレスだ。
「ほら」
ベッドでうだうだ寝転がっていると、ちゃぷりと耳元に水筒を差し出された。俺はベッドの上に座り直しながらそれを受け取り、コルクを引き抜いて一口煽った。
「酸っぺー」
中身はただの水ではなく、一階のフルーツバーで売られているレモンシトラスジュースだった。俺が組み立て作業に勤しんでいる間にわざわざ買ってきてくれたらしい。
俺は一気に半分ほど飲み干した後、酸味で少し咽てからエトロを拝むように手を合わせた。
「マジ助かった。ありがとう。この通り」
「次は一人でやるんだな」
エトロはふんと鼻を鳴らすと、我が物顔で椅子に座り直した。
弛緩し切った空気が俺の部屋に漂い始める。
時刻はシャルが出て行ってから一時間ぐらい。逆算すると、今の時刻は午後の二時だと。昼食も食べずに動き回っていたから、時間帯を意識した途端、俺の腹から景気のいい音がした。
と、今度はエトロの方からも空腹の音が聞こえてくる。俺はベッドから降りると、テーブルに水筒を置きながらエトロに笑いかけた。
「折角だし飯食いに行こう。世話になったから俺の奢りで」
本日二度目の出かける準備をしたところで、ぽつりと迷子のような声が部屋に落ちた。
「お前はいいのか。このままで」
俺は浮かれていた気分が一瞬で落ちるのを感じながら、椅子の上で俯くエトロを振り返った。
上手くなあなあに出来そうだと思っていたが、そうは問屋が下さぬらしい。
俺は、エトロから散々嫌いだと言われた後でも、完全に彼女を嫌いになれずにいた。喉元過ぎれば何とやら、文房具店でエトロからまともな反応を返してもらえたから、まだ彼女とやり直せると性懲りも無く思ってしまった。
「やっぱ、俺と一緒は嫌か?」
言った後で、捨てられた男の台詞のようだと自評した。これならエトロに嫌われても仕方ないな、と発言を取り消そうとした時。
「私は別に……」
「…………えっ」
「なんだその反応は。むしろ、私の方がお前に話しかけられて驚いたのに……」
エトロは椅子に座ったまま身体ごと俺に背を向け、恐々と背もたれに寄りかかった。
俺は呆然とエトロの後ろ姿を見つめた後、顔を覆いながら浅く息を止めた。
……何、この、どうすればいい?
さっき飲んだレモンシトラスの匂いが急に鼻の奥から蘇ってくる。それを唾ごと飲み込んで喉の奥を湿らせると、俺は弱々しく声を振り絞った。
「じゃあー……改めて、嫌じゃないなら、ご飯一緒に食こうぜ」
「……うん」
エトロの透明な返事を聞いた瞬間、俺は咄嗟に自分の胸を殴りつけた。不覚にもエトロが可愛いと思ってしまった俺は、童貞を拗らせた末期患者だ。
・・・―――・・・
バルド村の食堂といえばこの二つ。ギルドの向かいの大衆酒場と、最下層に位置する『ヘルモンテ』である。
以前アンリとメルクで飲み食いしたのは大衆酒場だった。あそこはリーズナブルで手軽に食べられるが、今日は少しお高めのヘルモンテへ向かうことにした。
最下層ともなれば、耳を澄ませずとも川のせせらぎがかなり近くに感じられる。川が増水したらあっという間に沈んでしまうのではと心配だが、そこは原住民、しっかり対策を取っているので問題ないらしい。
古臭いドアベルを鳴らしながら食堂ヘルモンテに入ると、洞窟の中と思えぬほど明るい店内に出迎えられた。客席は一階の一般席と二階の予約席に別れ、地下食糧庫のすぐ隣にキッチンがあるという、変わった構造だ。
俺とエトロは一階の窓際の席に座ると、メニューも見ずに店員に注文を取ってもらった。
「はぁーこの硬さ落ち着くー」
俺はクッションの上に腰掛けるや、ぐっと手足を伸ばしてから脱力した。
ヘルモンテの椅子やテーブルは全て花崗岩で作られており、見た目はいかにも座り心地が悪そうである。しかし分厚いクッションが敷かれているため、座ってみれば意外と心地よい。夏場であれば、ひんやり滑らかな石の表面に癒される。
今日も残暑から逃れるべく石材に背中を張り付けていると、エトロが澄まし顔で俺に問いかけてきた。
「リョーホ。この際聞いておくが、どうしてシャルを引き取ろうと思ったんだ? それほど長い間、彼女と一緒にいたわけでもないだろうに」
エトロからの疑問は、レブナやアンリたちから何度もされたものと同じだ。それだけ、俺がシャルに入れ込んでいるのが傍目には意味不明に映るのだろう。俺自身、シャルを助ける理由があるのかと何度も自問自答したぐらいだ。
俺は頭の中を整理して、一言一言確かめるように言葉を紡いだ。
「関わった時間より、そん時の気分を優先しただけだよ。知り合いが困ってたら、できるだけ助けたいって思うから」
「なぜ? 助けたところで、必ず感謝されるわけでもないだろうに」
「うん。でも、感謝されて当然って思って、助けてるわけじゃないんだ。見て見ぬフリするのが気持ち悪いから、放っておけないんだと思う」
「そういう風に、両親から教わったのか?」
「……どうだろうな」
俺にはこれと言って、両親に教わった道徳観とやらは何も思い浮かばない。今では両親の顔が思い出せず、日本での記憶も急速に薄れ始めている。もはや、俺が異世界に来た瞬間から記憶喪失だったのではと思うほど、自分の過去の手掛かりはほとんどなかった。
それでも目を閉じて両親のことを思い出そうとすると、薄らと温もりが蘇ったような気がした。
「……両親がどうだったか知らないけど、身近な人だけでも大切にしたい。それが俺の本心だと思う」
時間をかけて答えると、エトロの方からため息にも似た吐息が聞こえた。
「お前は、きっと家族に愛されていたんだろうな」
唐突に聞こえた言葉に俺は目を開け、少々訝しげな顔になってしまった。
「エトロは違うのか? 十二年前、スタンピードから真っ先にお前を逃がしてくれたんだろ」
「ああ。だが、あれは親としての義務というより、一族の義務だった」
「それは愛情とは別なのか?」
エトロは無言で頷いた後、テーブルの上で両手を握りしめながら、訥々と身の上を語った。
「私の血筋は代々、ヨルドの里の海守をしていた。必ず血を絶やさずに、いつか来る日のために備えよ、という掟があったのだ。その掟を守るためだけに、両親は私を生んだ」
「……なら、ご両親がエトロを逃したのも、掟を守るため?」
「その通りだ。私を里から逃した時も、生きて役目を果たせと叫んでいた」
「そう、か……」
俺は、エトロの両親に会ったこともなければ、別れ際の姿を見たわけではない。そのため、エトロの考えを真っ向から否定することができなかった。それに、エトロ本人がそう感じているのなら、彼女にとっては本当に違いないのだから。
俺は迷いに迷った後、少々的外れな回答をした。
「俺は、その……海守の役目とか全く知らないけどさ、エトロに会えて良かったって思ってる。だから、なんて言うか……お前は嫌だろうけど、エトロの両親にも、お前が生まれたことを感謝しておく」
「……ふふ、お前が感謝する話じゃないのに」
エトロの笑顔を見て、俺は内心でほっとした。
しばらくすると、店員が俺たちのテーブルへ料理を運んできた。コッテリとしたシチューとパンに、骨付き肉とサラダが目の前に並べられていく。
ごゆっくり、今日もお疲れ様です、と顔見知りの店員が去ったところで、俺たちは料理に向けて両手を合わせた。
異世界に頂きますを言う文化はない。だが、俺が毎日使っているうちに、仲間内で使うのが当たり前になった習慣だ。
律儀にその習慣を続けているエトロにくすぐったい気持ちを抱きながら、俺はサラダを口に運んだ。塩味の効いたドレッシングが絡まり、レタスの瑞々しい音が歯から伝わってくる。
次に骨付き肉に齧り付けば、筋張った肉から香ばしい汁が溢れて、顎の根本からじゅわりと唾液が出てきた。
美味しい料理を夢中になって食べ進めていると、ふとエトロからやんちゃな子供を見るような視線を向けられていることに気づいた。
「な、なんだよ」
「お前はいつも料理を美味そうに食べるな」
「美味しいから仕方ないだろ」
少々恥ずかしく思いながら塵紙で口を拭うと、エトロは心なしか楽しそうに目を細めた。
「私もお前ぐらい単純になれたらよかったのにな」
「褒めてるのかそれ」
「さあ?」
エトロは口角を緩めると、小さな口でシチューの染み込んだパンを齧った。それから、昔を思い出すように目を伏せて囁いた。
「シャルもまた、親に捨てられた子だ。お前がしっかり面倒を見るんだぞ」
それはごく普通の、裏表のない気遣いだった。ただ、ベアルドルフに並々ならぬ憎しみを抱く彼女から聞けただけで、俺は胸が熱くなるほど嬉しかった。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
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