物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう

maricaみかん

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15章 作られる未来

524話 ジュリアの学び

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 学校もどきの生徒として、僕の実力は飛び抜けているんだと思う。レックス様に目をかけられているのは、シュテルとサラ。どっちも強いけど、僕と勝負になるほどじゃない。

 だから、ふたりは戦いじゃなくて工作を任された。僕は、学校もどきの価値も背負っているんだ。レックス様が育てた中には、力で支えられる存在も居るんだってことを示さないといけない。

 もちろん、単純に今回の戦いでレックス様を助けることだって大事だけど。僕の戦場は、レックス様が望む場所だから。

 つまり、勝利は前提条件。どこまで完璧に勝てるかが、僕の勝負どころなんだ。

 転移した先は、敵陣のど真ん中。周囲の注目が、僕に集まった。僕は、剣を抜いていく。

「さて、僕もやろうか。レックス様のために、1秒でも早く」

 周囲を見回しながら、どこから仕留めていくかを考える。敵は、どこか緩んだ雰囲気を出していた。たったひとりだと、甘く見ているんだと思う。

 魔法使いなんて、個人で軍を滅ぼせる存在ばかりなんだけどね。レックス様やフィリス先生が代表的な存在。

 だから、この敵は優秀ではないんだと思う。僕なら、たったひとりで現れた魔法使いなんて、どうしても警戒してしまうから。

 でも、油断は禁物。エリナ先生やカミラ様、フェリシア様みたいな存在も居るんだから。本来才能を持たないとされていても、壁を超えた人が。つまり、確実に殺しきらないとね。

「くくっ、お嬢ちゃん。戦争ごっこをする場所を、間違えたみてえだな」

 半笑いで、敵は僕に告げてくる。時間稼ぎをしているのか、あるいは油断しているのか。締まりの無い顔からして、後者に思えるけれど。

 とにかく、敵に時間を与えても良いことなんて何もない。まずは、さっさと動かないとね。

「問答をする気はないよ。収束剣ブレイブブレイド

 僕は無属性の魔力を剣に集めて、ただ叩きつけていく。無属性魔法は、本当に単純。魔力量の暴力をぶつけるだけの、応用の効かない技。

 だけど、だからこそ威力は折り紙付き。それこそ、レックス様に認められるほどに。

「ぐっ……」

 まずは、目の前の敵を切る。そして、続けて周囲も切り刻んでいく。適度に魔力を放出して、加速したりしながら。

 それだけで、僕に近づこうとする敵兵は目の前からは消えた。とはいえ、周囲から騒がしい音が聞こえる。増援が近づいているみたいだね。

「こんな魔法、知らねえぞ! なんだ、これは!」

 困惑している敵もいるみたい。遠くにいたから、まだ死ななくて済んだみたいだね。とはいえ、そろそろ次の動きに移るべき。もう、さようならかな。

 あんまり時間をかけても、レックス様だって困るだろうし。遅れちゃったら、悪いもんね。

「さて、まずは派手に荒らそうか。拡散剣カレッジブレイド

 収束した魔力を一気に開放して、叩きつける。爆発のように魔力が広がって、敵兵の多くを巻き込んでいった。

 とはいえ、さすがに全滅まではさせられない。僕はまだ、フィリス先生やレックス様の領域にはたどり着けていないね。

 それならそれで、何度も何度も撃つだけだけど。結果が同じ全滅なら、過程なんてどうでもいい。レックス様の求める戦果を出すことが、一番大事なんだから。

「お前ら、死んでも足止めしろ! 時間を稼げ!」

 隊長らしき人の指示と同時に、敵兵たちが一気に突撃してくる。こうなると、拡散剣カレッジブレイドは不便になってくる。敵も、結構分かっているみたい。

 だけど、それが勝敗を左右することはなさそうだね。敵が何人か、魔力を収束しているのを感じた。それが、策なんだと思う。真正面から、打ち破るだけだよ。

「さあ、皆殺しの時間だよ。せいぜい、抵抗してくれ」

 近場の敵から、順番に斬り殺していく。さすがに、囲まれた状態で周囲を吹き飛ばそうとすると、僕まで巻き込まれちゃうからね。

 だから、確かに時間稼ぎは成功していた。これは、今後の課題になってくるはず。フィリス先生が敵にいたら、大変なことになっていたからね。

 ただ、今回はそうじゃない。だから、落ち着いて動くことができた。

「よし、いくぞ! 三重反発陣トライマジック!」
三重反発陣トライマジック!」
「ま、俺達も……ぎゃああああ!」

 僕を囲んでいる敵ごと巻き込みながら、3属性の爆発魔法が飛んでくる。魔力を僕の周囲にまとって、耐えていく。

 結局、僕に届くことはなかった。けれど、見事な戦術だったよ。油断していたのは、僕の方だったかもね。しっかり、反省しないと。

 次からは、ちゃんと周囲を皆殺しにできる魔法を作っていかないとね。たぶん、収束剣ブレイブブレイドの応用で行けると思う。検証から、初めていこう。

「よし、やったか?」
収束剣ブレイブブレイド。ふふっ、狙いは悪くなかったよ」

 そういうわけで、まずは魔法使いをひとり仕留める。敵は、目を白黒させているみたいだったよ。

 まあ、渾身の策が潰れたとなれば、無理もないよね。でも、それが死を招くんだけど。いや、最初から決まっていたかな。戦力差が、大きすぎたみたいだし。

「なんで、無傷……」

 敵が、一歩下がったのが見えた。怯えが、無意識に出ちゃったのかな。どういう感情をしていたところで、僕のやることは変わらないんだけど。ただ、皆殺しにするだけ。

 ただ、敵が弱ってくれるのなら、楽に素早く殺せる。そっちの方が、ありがたくはあるかな。

 そういうことで、種明かしをしていく。絶望を運んでくれたら、ちょうど良いかなって。

「まあ、僕の魔力を貫けなかっただけ。あの程度の火力なら、何をしても無駄だよ」
「ハッタリに決まってる! お前たち、俺ごとやれ!」

 敵は、僕に組み付こうとしてくる。それを斬り殺そうとして、かわされる。次に当てることはできるけれど、時間稼ぎには成功されたみたい。

 本当に、良い戦術を使ってくる。腕前さえ伴っていれば、僕は危なかっただろうね。本当に、世界は広い。今回学べたことを、しっかりと活かしていこう。レックス様の役に立つために、もっともっと。

三重反発陣トライマジック!」

 そして、また味方ごと僕に魔法を当ててきた。今回も、僕の魔力を超えることはできなかった。

 あんまりこの戦い方に慣れてしまうと、強敵に勝てなくなっちゃいそうだよね。もうちょっと、ちゃんとした立ち回りを覚えるのも大事かも。

 また、フィリス先生に付き合ってもらうのも良いかもね。レックス様のためなら、協力してくれるだろうし。他には、ジャン様やミルラさんとか。終わったら、考えてみよう。

「だから、無駄だって言っているんだけどな。まあ、仕方ないか。収束剣ブレイブブレイド
「あっ、が……」

 敵を斬り殺した段階で、心が折れる音が聞こえたような気がした。積極的な策は、何も使ってこない。ただ、こちらに武器をむけるというだけ。

 たぶん、逃げる気力すらなくなっちゃったんだろうね。だったら、話は早いかな。

「ひとりずつ斬っていくんじゃ、時間がかかりすぎるよね。拡散剣カレッジブレイド
「ま、まて……。がああああ!」

 ということで、爆発を使って一気に更地にしていく。一撃では無理でも、何度も何度も打てばそれで十分。

 今回は伸びしろも見つかったし、かなり良い感じだったと思う。後は、仕上げだけだね。

「さて、打ち漏らしの無いようにしないとね。もう一度かな。拡散剣カレッジブレイド

 一通り潰し終わった段階で、周囲の気配を探っていく。打ち漏らしが居れば、ちゃんと殺さないといけないからね。

「反応は、見当たらないね。ひとまず、終わりかな。さて、レックス様はどうしているかな……?」

 ひとまず、僕の役目は果たせた。次にどう動くか、レックス様の指示を待とう。
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