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16章 皇帝への道
555話 見つかる違和感
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まずは、カミラとフェリシアと共に先陣を切ることになった。目標は、国境沿いにまで近づいてきている敵部隊。事前に侵食した魔力を使って、待ち伏せと共に強襲も行うという感じ。
とにかく、先遣部隊であることから、最低限の戦力は持っているはずだ。最高戦力かは、怪しいが。まあ、油断は禁物。最強の敵であるつもりで心構えをしておくのが、戦闘に挑む極意のはずだ。
俺たちは三人で集まって、これから転移をするところ。最後に、確認をしておこうか。
「さて、ふたりとも。念の為に聞いておくが、準備はいいか?」
「当たり前よ。戦いのために調子を合わせるなんてこと、あたしはしないわ」
「常在戦場の心得ですわね。わたくしは、準備万端ですわよ」
カミラは腕を組みながらそっぽを向いて、フェリシアは優雅に微笑みながら頷いている。
さて、いつも通りのコンディションではありそうだ。お互いの意見は対立しているが、内容としては同じ。戦いの備えはできているということ。
なら、あとは本番を待つだけだな。見た感じ、異常もなさそうだし。
「ふーん、あんたはそうするのね。ま、いいわ。立場も何もかも、違うんだもの」
「わたくしは、レックスさんと合わせるのが務めですもの。ねえ、レックスさん」
ちょっとだけ、ふたりは目線を交わしあっている。そこまでバチバチはしていない、軽い鞘当てという感じ。
流石に、戦闘前に本気でいがみ合うようなふたりじゃない。そこは、安心できるところだ。
「今回は、俺はギリギリまで戦わない。そこは、謝っておくべきだな」
「分かっておりますわ。レックスさんは、私達の命綱。託しますわよ」
「バカ弟に任せるってのも、困ったものね。ま、他に手段はないんだけど」
俺の転移があれば、とにかく逃げられる。回復の手段もあるし、死にさえしなければ大丈夫だろう。
本当に保険ではあるのだが、用意するかどうかで大きく違う。予定外のことが起こる可能性は、いつだってあるのだから。
しっかりと、札の切りどころを考えないとな。俺の、大事な役割だ。
「仕方ないから、諦めてくれ。じゃあ、そろそろ行くか」
ということで、転移していく。前回にも来たことのある、平原のような場所だ。隠れる場所は特にないので、すでに敵に見つかっているだろう。
つまり、後は戦うだけ。おそらく、ほとんどを殺すことになるだろうな。
「さて、よりどりみどりね。フェリシア、あたしについて来れるかしら?」
「ふふっ、負けませんわよ。わたくしも、さらなる力を身に着けたのです」
お互いに武器を持って、ちらりと目を合わせている。競争でもしようかという雰囲気だ。まあ、足の引っ張り合いにならないのなら良い。
高度な連携が理想ではあるものの、そういうのは日頃からの訓練が必須だからな。まあ、高望みは良くない。
敵は俺達を見つけたようで、武器を構えて突き進んできそうな姿が見えた。
「お前達、かかれ! 明らかに、敵襲だ!」
さっそく、号令が出ているのが聞こえる。敵は雪崩を打って襲いかかってくる。
カミラもフェリシアも、笑みを浮かべながら前に進んでいった。
「さて、行くわよ。置いていかれたくないのなら、気張ることね! 迅雷剣!」
カミラは、いきなり目にも止まらぬ早さで敵を切り刻んでいく。反応できずに死んでいるものも、珍しくない。
属性云々も、防御すら間に合わないなら無意味なこと。それを、強く思い知らされる光景だ。
「まったく、好き勝手に動いてくれますこと。では、わたくしも! 舞炎!」
フェリシアは雨あられと炎を飛ばしていく。カミラを気にした様子もないが、普通にカミラは避けながら敵を切り刻み続けている。
敵だけが、燃え尽きていく。灰が散らばる姿が、視界の多くを埋め尽くしていた。
「ぎゃあああっ!」
「このっ、貴様ら! 三重反発陣!」
「獄炎。その程度で、わたくしに届くとでも?」
敵の中にいた魔法使いが、魔力を圧縮した玉を飛ばしてくる。フェリシアが炎で打ち消した。
そのまま、敵まで燃やしていく。完全に黒焦げにはならなかったものの、やけどまみれだ。そう遠くないうちに死ぬ。見て明らかだった。
「たかが一属性が……なぜ……」
そう言い残して、敵は事切れていく。まあ、理不尽に思えるのかもしれない。俺の周辺が外れ値まみれなだけで、普通は属性の数に差があれば、まず勝てないからな。
「聞き飽きた文句ね。まったく、つまらないものね。もう少し、歯ごたえはないのかしら」
カミラは鼻を鳴らす。本当に退屈そうな顔をしていた。まあ、あっけなく倒れる敵ばかりではある。無双者みたいな状態になっているし、つまらなく感じる部分はあるのだろう。
まあ、そもそも殺し合いが楽しいという考え方があんまり分からないのだが。
「五重反発陣!」
敵の方から、カミラとフェリシアに向けて大きな魔力の塊が飛んでいく。カミラはすぐに避けて、フェリシアは杖を構えていた。
大きな煙が舞い上がり、視界が灰色に染まっていく。
「ふーん。少しはマシな相手がいそうね。フェリシア、この程度で終わったりしないわよね?」
「当たり前ですわよ。しっかりと、炎で相殺しましたわ。あなたにも、できるでしょう?」
カミラもフェリシアも、余裕そうに笑っていた。唱えられた魔法の名前からして、五属性使いが相手だろうに。
かつてのふたりなら、手も足も出なかっただろう。間違いなく、大きく進歩しているな。
「ならば、まだ続けるまで! 五重反発陣!」
「どっちが先に殺すか、勝負でもしましょうか。電磁融解!」
「でしたら、お望み通りにいたしますわよ。暁炎舞踏!」
カミラは自身を雷に変え、フェリシアは炎へと変化していく。そして、暴れ狂うように敵へ向かって周囲を焦がしながら突き進んでいく。
敵から放たれた魔法ごと、二人の魔法が飲み込んでいった。
「あっ、が……」
敵はボロボロという有り様で、体も一部がなくなっている始末。もう何もしなくとも、助かることはない。
ただ、まだ死んでいないようだ。最悪、何かをされる可能性もある。
「虫の息のようですわね。どういたしますか、カミラさん?」
「迅雷剣。これで、終わりよ」
カミラは一瞬で敵の首を跳ね飛ばし、それで終わった。もう、敵は残っていなかった。
一応周囲を探ったが、本当に何もいない。ということで、ふたりをねぎらいに向かう。
「ふたりとも、お疲れ様。しかし、五属性が現れたか。よほど、重要な拠点だったのか?」
「そんな感じはしないけれど。確かに、普通ならおかしいか」
「わたくしたちでも倒せる程度ではありますから、脅威ではないですわよ」
ふたりの返答は、おそらくどちらも正しい。勝つだけなら、同じ戦力が現れても問題ないだろう。
「ああ、そうだな。だが……」
ただの先遣部隊に、五属性の魔法使いがいる。それはつまり、他の部隊にも居るということではないのだろうか。
そして何より、皇帝はそれらの存在を従えている。何かある。そんな気がしていた。
とにかく、先遣部隊であることから、最低限の戦力は持っているはずだ。最高戦力かは、怪しいが。まあ、油断は禁物。最強の敵であるつもりで心構えをしておくのが、戦闘に挑む極意のはずだ。
俺たちは三人で集まって、これから転移をするところ。最後に、確認をしておこうか。
「さて、ふたりとも。念の為に聞いておくが、準備はいいか?」
「当たり前よ。戦いのために調子を合わせるなんてこと、あたしはしないわ」
「常在戦場の心得ですわね。わたくしは、準備万端ですわよ」
カミラは腕を組みながらそっぽを向いて、フェリシアは優雅に微笑みながら頷いている。
さて、いつも通りのコンディションではありそうだ。お互いの意見は対立しているが、内容としては同じ。戦いの備えはできているということ。
なら、あとは本番を待つだけだな。見た感じ、異常もなさそうだし。
「ふーん、あんたはそうするのね。ま、いいわ。立場も何もかも、違うんだもの」
「わたくしは、レックスさんと合わせるのが務めですもの。ねえ、レックスさん」
ちょっとだけ、ふたりは目線を交わしあっている。そこまでバチバチはしていない、軽い鞘当てという感じ。
流石に、戦闘前に本気でいがみ合うようなふたりじゃない。そこは、安心できるところだ。
「今回は、俺はギリギリまで戦わない。そこは、謝っておくべきだな」
「分かっておりますわ。レックスさんは、私達の命綱。託しますわよ」
「バカ弟に任せるってのも、困ったものね。ま、他に手段はないんだけど」
俺の転移があれば、とにかく逃げられる。回復の手段もあるし、死にさえしなければ大丈夫だろう。
本当に保険ではあるのだが、用意するかどうかで大きく違う。予定外のことが起こる可能性は、いつだってあるのだから。
しっかりと、札の切りどころを考えないとな。俺の、大事な役割だ。
「仕方ないから、諦めてくれ。じゃあ、そろそろ行くか」
ということで、転移していく。前回にも来たことのある、平原のような場所だ。隠れる場所は特にないので、すでに敵に見つかっているだろう。
つまり、後は戦うだけ。おそらく、ほとんどを殺すことになるだろうな。
「さて、よりどりみどりね。フェリシア、あたしについて来れるかしら?」
「ふふっ、負けませんわよ。わたくしも、さらなる力を身に着けたのです」
お互いに武器を持って、ちらりと目を合わせている。競争でもしようかという雰囲気だ。まあ、足の引っ張り合いにならないのなら良い。
高度な連携が理想ではあるものの、そういうのは日頃からの訓練が必須だからな。まあ、高望みは良くない。
敵は俺達を見つけたようで、武器を構えて突き進んできそうな姿が見えた。
「お前達、かかれ! 明らかに、敵襲だ!」
さっそく、号令が出ているのが聞こえる。敵は雪崩を打って襲いかかってくる。
カミラもフェリシアも、笑みを浮かべながら前に進んでいった。
「さて、行くわよ。置いていかれたくないのなら、気張ることね! 迅雷剣!」
カミラは、いきなり目にも止まらぬ早さで敵を切り刻んでいく。反応できずに死んでいるものも、珍しくない。
属性云々も、防御すら間に合わないなら無意味なこと。それを、強く思い知らされる光景だ。
「まったく、好き勝手に動いてくれますこと。では、わたくしも! 舞炎!」
フェリシアは雨あられと炎を飛ばしていく。カミラを気にした様子もないが、普通にカミラは避けながら敵を切り刻み続けている。
敵だけが、燃え尽きていく。灰が散らばる姿が、視界の多くを埋め尽くしていた。
「ぎゃあああっ!」
「このっ、貴様ら! 三重反発陣!」
「獄炎。その程度で、わたくしに届くとでも?」
敵の中にいた魔法使いが、魔力を圧縮した玉を飛ばしてくる。フェリシアが炎で打ち消した。
そのまま、敵まで燃やしていく。完全に黒焦げにはならなかったものの、やけどまみれだ。そう遠くないうちに死ぬ。見て明らかだった。
「たかが一属性が……なぜ……」
そう言い残して、敵は事切れていく。まあ、理不尽に思えるのかもしれない。俺の周辺が外れ値まみれなだけで、普通は属性の数に差があれば、まず勝てないからな。
「聞き飽きた文句ね。まったく、つまらないものね。もう少し、歯ごたえはないのかしら」
カミラは鼻を鳴らす。本当に退屈そうな顔をしていた。まあ、あっけなく倒れる敵ばかりではある。無双者みたいな状態になっているし、つまらなく感じる部分はあるのだろう。
まあ、そもそも殺し合いが楽しいという考え方があんまり分からないのだが。
「五重反発陣!」
敵の方から、カミラとフェリシアに向けて大きな魔力の塊が飛んでいく。カミラはすぐに避けて、フェリシアは杖を構えていた。
大きな煙が舞い上がり、視界が灰色に染まっていく。
「ふーん。少しはマシな相手がいそうね。フェリシア、この程度で終わったりしないわよね?」
「当たり前ですわよ。しっかりと、炎で相殺しましたわ。あなたにも、できるでしょう?」
カミラもフェリシアも、余裕そうに笑っていた。唱えられた魔法の名前からして、五属性使いが相手だろうに。
かつてのふたりなら、手も足も出なかっただろう。間違いなく、大きく進歩しているな。
「ならば、まだ続けるまで! 五重反発陣!」
「どっちが先に殺すか、勝負でもしましょうか。電磁融解!」
「でしたら、お望み通りにいたしますわよ。暁炎舞踏!」
カミラは自身を雷に変え、フェリシアは炎へと変化していく。そして、暴れ狂うように敵へ向かって周囲を焦がしながら突き進んでいく。
敵から放たれた魔法ごと、二人の魔法が飲み込んでいった。
「あっ、が……」
敵はボロボロという有り様で、体も一部がなくなっている始末。もう何もしなくとも、助かることはない。
ただ、まだ死んでいないようだ。最悪、何かをされる可能性もある。
「虫の息のようですわね。どういたしますか、カミラさん?」
「迅雷剣。これで、終わりよ」
カミラは一瞬で敵の首を跳ね飛ばし、それで終わった。もう、敵は残っていなかった。
一応周囲を探ったが、本当に何もいない。ということで、ふたりをねぎらいに向かう。
「ふたりとも、お疲れ様。しかし、五属性が現れたか。よほど、重要な拠点だったのか?」
「そんな感じはしないけれど。確かに、普通ならおかしいか」
「わたくしたちでも倒せる程度ではありますから、脅威ではないですわよ」
ふたりの返答は、おそらくどちらも正しい。勝つだけなら、同じ戦力が現れても問題ないだろう。
「ああ、そうだな。だが……」
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