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2章 捨てるべき迷い
57話 ジュリアの願い
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僕は弱い。それは、分かりきった現実だった。だって、魔法にも目覚められないし、故郷での狩りでも、何人も仲間を失ったから。それに、僕自身も死にかけたことがあったし。
せめてもの救いは、シュテルだけは無事だったこと。僕の幼馴染で、親友で、誰よりも大切な人。今では、レックス様も大切だし、ラナ様やフェリシア様、メアリ様だって、友達だと思う。でも、同じ過去を共有するのはシュテルだけだから。クロノは、ちょっと違うんだよね。僕達ほど飢えていなかったし、死が身近でもなかった。
「僕は、絶対に大切な人を守り抜いてみせる」
その誓いを達成するために、努力を重ねてきたつもりだよ。剣技だって、そこらの傭兵よりも優れていると思う。でも、それだけじゃ足りないって、故郷で思い知らされたんだ。
「レックス様が居なかったら、シュテルは守れなかったかもしれない。だから、頑張るんだ」
だって、シュテルは危うく売られるところだった。どこの誰とも知らない人に。きっと、ろくな未来を迎えることはなかったと思う。それでも、僕にできることなんて、無かった。シュテルの代わりに金を稼ぐことも、僕自身の力で悪人を倒すこともできない。流石に、金持ちの護衛を1人で蹴散らすだけの力はなかったから。だから、僕だけじゃダメだったんだ。
きっと、レックス様に拾ってもらえなかったら、シュテルは死んでいたと思う。金のために売られて、そんな絶望の中で。だって、金で売られた奴隷の扱いなんて、僕でも知っているくらいだから。重労働をさせられたり、危ない仕事をさせられたり。
とにかく、普通の人には無理なことをするのが、奴隷の役割だったんだ。鉱山で働くのが、分かりやすいかな。カナリアを用意できない人が、奴隷が戻ってくるかどうかで危険を測るなんて、ザラだったみたいだし。
だから、僕は強くなりたかった。どんな手段を使っても。シュテルを失わないために。レックス様のおかげで助かったとはいえ、もう1度危険が迫った時に、何もできないのは嫌だったから。
「でも、魔法に目覚めなきゃ、強くなれない。このままじゃ……」
僕に才能がなかったのか。教え方が悪かったのか。レックス様を疑いたくはなかったけど、でも、疑いでもしていないと、心が擦り切れそうで。だって、僕に魔法の才能がないのなら、誰も守れないはずだから。
クロノは土魔法に目覚めていたから、きっと才能なんだと思う。理性では、理解していたよ。でも、諦められなかった。力が手に入るなら、悪魔に魂を売ったかもしれない。それくらいには、力に飢えていたんだ。
だけど、結局僕は魔法に目覚めた。僕達の居場所が盗賊に襲われる、その中で。
「盗賊たちに襲われた時、レックス様は苦しんでいたよね。だから、助けたいと思った。そのはずだよ」
細かいことは覚えていないけど、レックス様は生徒達を守ろうとして、全力で頑張っていた。だけど、手が足りなさそうで。1人だけなら最強なレックス様も、誰かを守ることは苦手なんだって、その時知ったよ。
そして、レックス様の焦りが、苦しみが、僕に伝わった気がしたんだ。このままじゃ、何も守れないって。僕と同じ気持ちを持っているって。同時に、とても追い詰められているって。心が張り裂けそうだって。だから、レックス様を助けるんだって思ったんだ。
気づいたら、僕の中から魔力があふれていた。きっと、レックス様を助けたいって思いが、きっかけだったと思う。結果としては、みんなを守れたんだ。
「まあ、理由なんて何でも良いよね。今の僕には力がある。それを磨くだけだよ」
きっと、僕の感情が爆発したのが理由だとは思う。でも、大事なことじゃない。今の僕にとって重要なのは、みんなを守るための力があること。誰かを助けられること。特に、レックス様やシュテルを。他の友達も。
「でも、僕の魔法は普通とは違う気がする。ラナ様とも、フェリシア様とも、メアリ様とも、レックス様とも似ていないから」
みんなの魔法は、とてもすごかった。天まで届きそうな火柱だったり、岩をも吹き飛ばす竜巻だったり、全てを飲み込みそうな闇だったり。
僕の魔法は、ただの力って感じ。特別感は何もない。単に魔力を集めて、ぶつけるだけ。それだけでも、魔法を使えない人なんて、一方的に倒せそうだったけど。
というか、実際に盗賊たちは僕に手も足も出なかった。矢が当たっても、どうということはなかったし。いや、レックス様に守られていたのは知っていたけど。それも必要無さそうだった。気合を入れただけで、矢や剣から体を守れると思うんだよね。
でも、レックス様の魔法みたいに、特別って感じはしない。あの人の魔法は、何でも破壊できそうだったり、何でも守れそうだったり、とにかくすごい。だから、それと違うのは残念でもあった。
「ううん。違うのなら、それを利用するだけだよ。レックス様でもできないことが、できるってことなんだから」
闇属性が特別なのは、ただの民衆でも知っていること。そんな属性の魔法でも、僕の魔法とは違う。いや、当たり前なんだけどね。特別な闇魔法が他と違うのは。
でも、僕の魔法なら、他の魔法よりも威力に優れているらしい。だったら、レックス様が勝てない敵にも、勝てる可能性があるってこと。なら、全力で鍛えるべきだよね。
「シュテルも、レックス様も、みんなも、この力で守るだけだよ」
僕にとっての日常を。僕にとっての平穏を。僕にとっての幸福を。魔法の力で守るだけ。簡単なように見えて、とても難しいこと。だって、シュテル以外、みんな強いから。そんな人でも苦戦する相手から、僕はみんなを守らなきゃいけないんだ。
「レックス様は、僕の魔法にも詳しいよね。調べてくれたのかな?」
魔力の操作が重要とか、単純な魔力量が大事とか、色々教えてくれた。そのおかげで、確かに成長できているって感じるんだ。どうして知っているのかは、少しだけ疑問だけどね。
「何でも良いか。レックス様は、僕の成長を喜んでくれる。僕は力を手に入れられる。それで良いんだ」
大切な誰かを守るために、僕の力を使う。それだけで良い。みんなと同じ未来を生きるために、全力を尽くすだけだよ。
「この力で、どんな敵も倒してみせるよ。僕の大切な人を傷つけるやつは、絶対に許さない」
今度こそ、僕自身の力で守り抜いてみせる。仮にレックス様が居なくても、シュテルを守ってみせる。レックス様が苦戦するなら、僕が助ける。他の友達も、絶対に死なせたりしない。
「レックス様も、期待してくれているんだからね。アストラ学園でも、戦うだけだ」
そばにいれば、より守りやすいだろうからね。できれば、シュテルも一緒だと最高なんだけど。魔法に目覚めないと、難しいだろうけどね。
「仮に神様が敵になったとしても、僕は大切な人のために戦う。それだけなんだから」
単純なことだ。誰が敵かなんて、関係ない。僕の大切な人を傷つけるなら、殺すだけ。どんな手を使っても、守り切ってみせるんだから。
「レックス様、見ててよね。必ず、お役に立ってみせるから!」
僕達を救ってくれた恩を返すために。それに、レックス様のことが大切だから。シュテルとも協力して、必ず理想の未来を手に入れてみせるよ。
だから、僕達が役に立ったら、うんと褒めてほしいな。そうすれば、もっと嬉しくなれるはずだから。
せめてもの救いは、シュテルだけは無事だったこと。僕の幼馴染で、親友で、誰よりも大切な人。今では、レックス様も大切だし、ラナ様やフェリシア様、メアリ様だって、友達だと思う。でも、同じ過去を共有するのはシュテルだけだから。クロノは、ちょっと違うんだよね。僕達ほど飢えていなかったし、死が身近でもなかった。
「僕は、絶対に大切な人を守り抜いてみせる」
その誓いを達成するために、努力を重ねてきたつもりだよ。剣技だって、そこらの傭兵よりも優れていると思う。でも、それだけじゃ足りないって、故郷で思い知らされたんだ。
「レックス様が居なかったら、シュテルは守れなかったかもしれない。だから、頑張るんだ」
だって、シュテルは危うく売られるところだった。どこの誰とも知らない人に。きっと、ろくな未来を迎えることはなかったと思う。それでも、僕にできることなんて、無かった。シュテルの代わりに金を稼ぐことも、僕自身の力で悪人を倒すこともできない。流石に、金持ちの護衛を1人で蹴散らすだけの力はなかったから。だから、僕だけじゃダメだったんだ。
きっと、レックス様に拾ってもらえなかったら、シュテルは死んでいたと思う。金のために売られて、そんな絶望の中で。だって、金で売られた奴隷の扱いなんて、僕でも知っているくらいだから。重労働をさせられたり、危ない仕事をさせられたり。
とにかく、普通の人には無理なことをするのが、奴隷の役割だったんだ。鉱山で働くのが、分かりやすいかな。カナリアを用意できない人が、奴隷が戻ってくるかどうかで危険を測るなんて、ザラだったみたいだし。
だから、僕は強くなりたかった。どんな手段を使っても。シュテルを失わないために。レックス様のおかげで助かったとはいえ、もう1度危険が迫った時に、何もできないのは嫌だったから。
「でも、魔法に目覚めなきゃ、強くなれない。このままじゃ……」
僕に才能がなかったのか。教え方が悪かったのか。レックス様を疑いたくはなかったけど、でも、疑いでもしていないと、心が擦り切れそうで。だって、僕に魔法の才能がないのなら、誰も守れないはずだから。
クロノは土魔法に目覚めていたから、きっと才能なんだと思う。理性では、理解していたよ。でも、諦められなかった。力が手に入るなら、悪魔に魂を売ったかもしれない。それくらいには、力に飢えていたんだ。
だけど、結局僕は魔法に目覚めた。僕達の居場所が盗賊に襲われる、その中で。
「盗賊たちに襲われた時、レックス様は苦しんでいたよね。だから、助けたいと思った。そのはずだよ」
細かいことは覚えていないけど、レックス様は生徒達を守ろうとして、全力で頑張っていた。だけど、手が足りなさそうで。1人だけなら最強なレックス様も、誰かを守ることは苦手なんだって、その時知ったよ。
そして、レックス様の焦りが、苦しみが、僕に伝わった気がしたんだ。このままじゃ、何も守れないって。僕と同じ気持ちを持っているって。同時に、とても追い詰められているって。心が張り裂けそうだって。だから、レックス様を助けるんだって思ったんだ。
気づいたら、僕の中から魔力があふれていた。きっと、レックス様を助けたいって思いが、きっかけだったと思う。結果としては、みんなを守れたんだ。
「まあ、理由なんて何でも良いよね。今の僕には力がある。それを磨くだけだよ」
きっと、僕の感情が爆発したのが理由だとは思う。でも、大事なことじゃない。今の僕にとって重要なのは、みんなを守るための力があること。誰かを助けられること。特に、レックス様やシュテルを。他の友達も。
「でも、僕の魔法は普通とは違う気がする。ラナ様とも、フェリシア様とも、メアリ様とも、レックス様とも似ていないから」
みんなの魔法は、とてもすごかった。天まで届きそうな火柱だったり、岩をも吹き飛ばす竜巻だったり、全てを飲み込みそうな闇だったり。
僕の魔法は、ただの力って感じ。特別感は何もない。単に魔力を集めて、ぶつけるだけ。それだけでも、魔法を使えない人なんて、一方的に倒せそうだったけど。
というか、実際に盗賊たちは僕に手も足も出なかった。矢が当たっても、どうということはなかったし。いや、レックス様に守られていたのは知っていたけど。それも必要無さそうだった。気合を入れただけで、矢や剣から体を守れると思うんだよね。
でも、レックス様の魔法みたいに、特別って感じはしない。あの人の魔法は、何でも破壊できそうだったり、何でも守れそうだったり、とにかくすごい。だから、それと違うのは残念でもあった。
「ううん。違うのなら、それを利用するだけだよ。レックス様でもできないことが、できるってことなんだから」
闇属性が特別なのは、ただの民衆でも知っていること。そんな属性の魔法でも、僕の魔法とは違う。いや、当たり前なんだけどね。特別な闇魔法が他と違うのは。
でも、僕の魔法なら、他の魔法よりも威力に優れているらしい。だったら、レックス様が勝てない敵にも、勝てる可能性があるってこと。なら、全力で鍛えるべきだよね。
「シュテルも、レックス様も、みんなも、この力で守るだけだよ」
僕にとっての日常を。僕にとっての平穏を。僕にとっての幸福を。魔法の力で守るだけ。簡単なように見えて、とても難しいこと。だって、シュテル以外、みんな強いから。そんな人でも苦戦する相手から、僕はみんなを守らなきゃいけないんだ。
「レックス様は、僕の魔法にも詳しいよね。調べてくれたのかな?」
魔力の操作が重要とか、単純な魔力量が大事とか、色々教えてくれた。そのおかげで、確かに成長できているって感じるんだ。どうして知っているのかは、少しだけ疑問だけどね。
「何でも良いか。レックス様は、僕の成長を喜んでくれる。僕は力を手に入れられる。それで良いんだ」
大切な誰かを守るために、僕の力を使う。それだけで良い。みんなと同じ未来を生きるために、全力を尽くすだけだよ。
「この力で、どんな敵も倒してみせるよ。僕の大切な人を傷つけるやつは、絶対に許さない」
今度こそ、僕自身の力で守り抜いてみせる。仮にレックス様が居なくても、シュテルを守ってみせる。レックス様が苦戦するなら、僕が助ける。他の友達も、絶対に死なせたりしない。
「レックス様も、期待してくれているんだからね。アストラ学園でも、戦うだけだ」
そばにいれば、より守りやすいだろうからね。できれば、シュテルも一緒だと最高なんだけど。魔法に目覚めないと、難しいだろうけどね。
「仮に神様が敵になったとしても、僕は大切な人のために戦う。それだけなんだから」
単純なことだ。誰が敵かなんて、関係ない。僕の大切な人を傷つけるなら、殺すだけ。どんな手を使っても、守り切ってみせるんだから。
「レックス様、見ててよね。必ず、お役に立ってみせるから!」
僕達を救ってくれた恩を返すために。それに、レックス様のことが大切だから。シュテルとも協力して、必ず理想の未来を手に入れてみせるよ。
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