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12章 未来のために
401話 熱意の核
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俺たちは、マリンと細かい話をすることになった。ひとまずは、お互いについて知っていこうという流れだな。そこで、研究の題材についてを聞いていく。
その間、ミルラはアカデミーで他の人達と話をしていくようだ。マリンをスカウトするのなら、通すべき筋はあるだろうからな。まだ確定ではないとはいえ、先に動いてくれるのはありがたい。やはり、ミルラは頼れる。あらためて、実感できた。
俺たちは、マリンの授業を受けるような形だな。教師ではないらしいから、話がうまいとは限らないが。とりあえず、マリンは真剣な顔で話をしている。
「私の研究している題材は、魔力粒子の運用なのです」
なるほどな。いわば、魔法を科学に変えるための研究ということか。個人の才覚によって運用される特別な技術ではなく、誰でも使える道具のように落とし込む。前に言っていたこととも一致するな。
それが高度に実現されれば、俺の役割は無くなってしまうかもしれない。まあ、現実的には、数代をまたぐくらいの期間は必要だとは思うが。とはいえ、大事な題材だ。
「つまり、それぞれの属性の基礎となる粒子ということか?」
「レックス様、粒子ってなに?」
ジュリアはこちらに質問をしてくる。サラやシュテルも、頭をひねっている様子だ。実際、勉強しなければ分からないことではあるからな。
ひとまず、正しい理解は置いておこう。俺だって、ちゃんと分かっているかは怪しいのだし。なんとなく感覚で分かるくらいを目指して説明するのが正しいはずだ。
「魔法を構築する、目に見えないほど小さい粒のことだ。それを動かすことで、魔法としているはずだ」
「正確には、魔力粒子だけではないのですが。分子に影響を与えることで、魔法となるのです」
原子の話が出ないのは、見つかっていないからなのか、あるいは原子に魔力粒子が影響を与えることはないからなのか。いずれにせよ、気になることができた。原子どうしが結合するような形で、魔力も分子を作るのだろうか。
「それは、硫酸と水酸化ナトリウムを混ぜた変化と同質のものか?」
「レックス様、全然わからない」
サラはメモを取る手が止まっている。どう書いたら良いのか、分からないのだろうな。ひとまず、最低限の理解をできる形で説明をしよう。厳密な話は、マリンだけが分かっていれば良いんだ。
「物を燃やすと、灰になる。そういう変化が、魔力で起きているのかという話だな」
「魔力粒子は、基本的には結合しないのです。魔力粒子が分子を動かしているという実情なのです」
「つまり、魔法とは魔力粒子が分子の動きに干渉して起こるものということか?」
「どうにも、空間を超えて干渉する場合もあるようなのです。乾燥していても、水魔法が使えるように」
「確かに、燃えるものがないのに火が起こっているのなら、不思議ですね」
シュテルの疑問も、よく分かる話だ。当たり前にあるから違和感はなかったが、よく考えるとおかしい。空気中に水が十分にないのに、どうして水が出てくるというのか。強い魔法なんて、天変地異を起こせるからな。どう考えても、物理法則とは噛み合っていない。
魔法というのはそういうものだという考えでも、まあ使えるものではあるのだが。研究という観点なら、正しく知るべきことだな。
それにしても、マリンの知識は、ある意味ではフィリスを超えているんじゃないだろうか。最強の魔法使いとして、長命なエルフとして、フィリスはとんでもない知識を持っている。とはいえ、魔法の運用に関してという話で、ようは魔法の使い道に詳しいわけだ。
マリンは、魔法そのものがどういう仕組かというところに、かなり踏み込んでいる。これは、フィリスと議論させてみたくもある。まあ、機会を用意するのは難しいだろうが。
「はいです。魔力粒子は、空間と分子に影響を与えるものなのではないかと」
下手をしたら、この星じゃないところから引っ張り出している可能性もあるのだろう。そうじゃないと、大規模な水魔法を使ったら湖が枯れたみたいな現象が発生しているはず。民間の伝承で怪奇現象が残っていないとおかしいんだよな。
まあ、俺が知らないだけで、実際には伝承があるのかもしれないが。そういうところも、いずれ調べてみても良いかもしれない。まあ、先の話にはなるだろうが。
というか、その説明だと矛盾が起こる現象があるんだよな。まあ、希少価値を考えれば当たり前ではあるのだが。
「無属性に関しては、どうにも当てはまらないような気がするが。ジュリア、どう思う?」
「確かに、僕の魔法は魔力を放出するだけだもんね。なにかに影響を与えている感じはしないかな」
「ジュリアさんは、無属性魔法を使えるのですか? ぜひとも、手伝ってもらいたい実験があるのです」
「レックス様、どうかな? 僕としては、レックス様のお役に立てるのなら良いと思うけれど」
マリンは興味深そうにジュリアを見ている。実際、無属性魔法はかなり希少だ。原作でも、主人公しか使えなかった。下手をしたら、闇魔法や光魔法よりも見る機会が少ない。
そうなると、かなり意義のある実験になるだろう。とはいえ、絶対に抑えておくべきところはある。
「マリン。確認するが、ジュリアへの危険は排除されているのか?」
「もちろんです。信用できないのならば、見ていかれますか?」
マリンは軽く流しているが、俺の言い回しだと信用ができないと言っているとも取れるのか。気をつけるべきところだな。ただ、そこで悪しざまに取ってくる相手だと、あまり仲良くできない気もするが。
ひとまずは、疑っているわけではないと伝えておきたい。とはいえ、無条件の信頼も、それはそれで気味が悪いとは思う。どういう言い回しが適切だろうな。まあ、なるようになるか。ミルラだって、俺の言動くらい分かって紹介しているのだろうし。
「ミルラの紹介だから、信じるつもりだ。とはいえ、俺の闇魔法もあれば便利かもな」
「闇魔法まで実験できるのならば、研究が進むのです。ありがとうございます」
そう言って、マリンは頭を下げてくる。お礼を言われるような話をしていないというか、むしろ相手から見れば失礼まである話だっただろうに。ジュリアとマリンなら、当然ジュリアを優先する。だから、後悔はしていないが。
とはいえ、好意的に受け取ってくれているのなら、普通に話を進めておくか。あまり蒸し返しても、それはそれで失礼な話だからな。
「ということは、すでに大気中に闇の粒子は発見されているのか?」
「そこに考えが至るのは、流石ですね。ただ、うまく干渉できなくて……」
ふむ。闇の粒子を動かす手段がないということだろうな。特別な属性ということが、よく分かる。ただ、それを単なる技術に落とし込めるのならば、大きく進歩するのだろうな。
やはり、マリンの実験は興味深い。実際に参加できるのならば、きっと得るものがあるはずだ。
「なるほどな。闇の粒子が実際に動く姿があれば、当たりをつけられるということか」
「はいです。先ほどはああ言いましたが、レックスさんも見ていってください。あなたの意見は、参考になりそうなのです」
「分かった。俺で役に立てるのなら、存分に使ってくれ」
「感謝するのです、レックスさん。その分の成果は、必ず出してみせるのです」
そう言って、再びマリンは頭を下げる。そして、胸の前で両手を握っていた。どうにも、感謝の理由が分からない。いや、貴重な機会を提示しているとは思うのだが。
なんか、妙に気合いが入っている気がするんだよな。大げさと言っても良いかもしれない。まあ、気のせいかもしれない。ひとまずは、実験に付き合えばいいだろう。
「ああ、期待している。お前の技術、見せてくれ」
「もちろんです。私の研究を、しっかり示してみせるのです」
マリンは強く頷いていた。さて、どんな結果が出るのだろうな。楽しみにしておこう。
その間、ミルラはアカデミーで他の人達と話をしていくようだ。マリンをスカウトするのなら、通すべき筋はあるだろうからな。まだ確定ではないとはいえ、先に動いてくれるのはありがたい。やはり、ミルラは頼れる。あらためて、実感できた。
俺たちは、マリンの授業を受けるような形だな。教師ではないらしいから、話がうまいとは限らないが。とりあえず、マリンは真剣な顔で話をしている。
「私の研究している題材は、魔力粒子の運用なのです」
なるほどな。いわば、魔法を科学に変えるための研究ということか。個人の才覚によって運用される特別な技術ではなく、誰でも使える道具のように落とし込む。前に言っていたこととも一致するな。
それが高度に実現されれば、俺の役割は無くなってしまうかもしれない。まあ、現実的には、数代をまたぐくらいの期間は必要だとは思うが。とはいえ、大事な題材だ。
「つまり、それぞれの属性の基礎となる粒子ということか?」
「レックス様、粒子ってなに?」
ジュリアはこちらに質問をしてくる。サラやシュテルも、頭をひねっている様子だ。実際、勉強しなければ分からないことではあるからな。
ひとまず、正しい理解は置いておこう。俺だって、ちゃんと分かっているかは怪しいのだし。なんとなく感覚で分かるくらいを目指して説明するのが正しいはずだ。
「魔法を構築する、目に見えないほど小さい粒のことだ。それを動かすことで、魔法としているはずだ」
「正確には、魔力粒子だけではないのですが。分子に影響を与えることで、魔法となるのです」
原子の話が出ないのは、見つかっていないからなのか、あるいは原子に魔力粒子が影響を与えることはないからなのか。いずれにせよ、気になることができた。原子どうしが結合するような形で、魔力も分子を作るのだろうか。
「それは、硫酸と水酸化ナトリウムを混ぜた変化と同質のものか?」
「レックス様、全然わからない」
サラはメモを取る手が止まっている。どう書いたら良いのか、分からないのだろうな。ひとまず、最低限の理解をできる形で説明をしよう。厳密な話は、マリンだけが分かっていれば良いんだ。
「物を燃やすと、灰になる。そういう変化が、魔力で起きているのかという話だな」
「魔力粒子は、基本的には結合しないのです。魔力粒子が分子を動かしているという実情なのです」
「つまり、魔法とは魔力粒子が分子の動きに干渉して起こるものということか?」
「どうにも、空間を超えて干渉する場合もあるようなのです。乾燥していても、水魔法が使えるように」
「確かに、燃えるものがないのに火が起こっているのなら、不思議ですね」
シュテルの疑問も、よく分かる話だ。当たり前にあるから違和感はなかったが、よく考えるとおかしい。空気中に水が十分にないのに、どうして水が出てくるというのか。強い魔法なんて、天変地異を起こせるからな。どう考えても、物理法則とは噛み合っていない。
魔法というのはそういうものだという考えでも、まあ使えるものではあるのだが。研究という観点なら、正しく知るべきことだな。
それにしても、マリンの知識は、ある意味ではフィリスを超えているんじゃないだろうか。最強の魔法使いとして、長命なエルフとして、フィリスはとんでもない知識を持っている。とはいえ、魔法の運用に関してという話で、ようは魔法の使い道に詳しいわけだ。
マリンは、魔法そのものがどういう仕組かというところに、かなり踏み込んでいる。これは、フィリスと議論させてみたくもある。まあ、機会を用意するのは難しいだろうが。
「はいです。魔力粒子は、空間と分子に影響を与えるものなのではないかと」
下手をしたら、この星じゃないところから引っ張り出している可能性もあるのだろう。そうじゃないと、大規模な水魔法を使ったら湖が枯れたみたいな現象が発生しているはず。民間の伝承で怪奇現象が残っていないとおかしいんだよな。
まあ、俺が知らないだけで、実際には伝承があるのかもしれないが。そういうところも、いずれ調べてみても良いかもしれない。まあ、先の話にはなるだろうが。
というか、その説明だと矛盾が起こる現象があるんだよな。まあ、希少価値を考えれば当たり前ではあるのだが。
「無属性に関しては、どうにも当てはまらないような気がするが。ジュリア、どう思う?」
「確かに、僕の魔法は魔力を放出するだけだもんね。なにかに影響を与えている感じはしないかな」
「ジュリアさんは、無属性魔法を使えるのですか? ぜひとも、手伝ってもらいたい実験があるのです」
「レックス様、どうかな? 僕としては、レックス様のお役に立てるのなら良いと思うけれど」
マリンは興味深そうにジュリアを見ている。実際、無属性魔法はかなり希少だ。原作でも、主人公しか使えなかった。下手をしたら、闇魔法や光魔法よりも見る機会が少ない。
そうなると、かなり意義のある実験になるだろう。とはいえ、絶対に抑えておくべきところはある。
「マリン。確認するが、ジュリアへの危険は排除されているのか?」
「もちろんです。信用できないのならば、見ていかれますか?」
マリンは軽く流しているが、俺の言い回しだと信用ができないと言っているとも取れるのか。気をつけるべきところだな。ただ、そこで悪しざまに取ってくる相手だと、あまり仲良くできない気もするが。
ひとまずは、疑っているわけではないと伝えておきたい。とはいえ、無条件の信頼も、それはそれで気味が悪いとは思う。どういう言い回しが適切だろうな。まあ、なるようになるか。ミルラだって、俺の言動くらい分かって紹介しているのだろうし。
「ミルラの紹介だから、信じるつもりだ。とはいえ、俺の闇魔法もあれば便利かもな」
「闇魔法まで実験できるのならば、研究が進むのです。ありがとうございます」
そう言って、マリンは頭を下げてくる。お礼を言われるような話をしていないというか、むしろ相手から見れば失礼まである話だっただろうに。ジュリアとマリンなら、当然ジュリアを優先する。だから、後悔はしていないが。
とはいえ、好意的に受け取ってくれているのなら、普通に話を進めておくか。あまり蒸し返しても、それはそれで失礼な話だからな。
「ということは、すでに大気中に闇の粒子は発見されているのか?」
「そこに考えが至るのは、流石ですね。ただ、うまく干渉できなくて……」
ふむ。闇の粒子を動かす手段がないということだろうな。特別な属性ということが、よく分かる。ただ、それを単なる技術に落とし込めるのならば、大きく進歩するのだろうな。
やはり、マリンの実験は興味深い。実際に参加できるのならば、きっと得るものがあるはずだ。
「なるほどな。闇の粒子が実際に動く姿があれば、当たりをつけられるということか」
「はいです。先ほどはああ言いましたが、レックスさんも見ていってください。あなたの意見は、参考になりそうなのです」
「分かった。俺で役に立てるのなら、存分に使ってくれ」
「感謝するのです、レックスさん。その分の成果は、必ず出してみせるのです」
そう言って、再びマリンは頭を下げる。そして、胸の前で両手を握っていた。どうにも、感謝の理由が分からない。いや、貴重な機会を提示しているとは思うのだが。
なんか、妙に気合いが入っている気がするんだよな。大げさと言っても良いかもしれない。まあ、気のせいかもしれない。ひとまずは、実験に付き合えばいいだろう。
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