転生令嬢は覆面ズをゆく

唄宮 和泉

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第一章 覆面ズが出来るまで

#6 勘違い

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 初心者の森にやってきたフェーリエは、受付のお姉さんから聞いた事を思い出していた。
 曰く、初心者狩りが起こっている、と。おそらくグループによる犯行で、身ぐるみをはがされ、中には行方不明になったヒトも居るのだとか。
(随分と物騒だけど、冒険者になるなら危険は承知の上。もし来てもたたきのめしてやるわ)
 決意を新たに、最初のクエストの依頼品、薬草と初級魔物の毛皮をとることに専念する。
 薬草はそこら辺に生えている。初級魔物……イノシシのような姿で名前は『ボア』。あちこちで徘徊している。
 まずは薬草を採ろうと開けた場所に出る。開けた空を見上げたとき、背後から何かが叩き付けられた。
 幸い、普段から張っている防御魔法が発動し、パリンと割れただけだった。
 後ろを振り向けば、仮面をつけた怪しいヒトが鞘に入ったままの剣を構えていたのである。
 手始めに警告の意味で斬りつけてきたように見える。
(……初心者狩り?でも、警告なんてしないはず……)
 相手は未だ鞘に入った剣を持ち、こちらを見ている。鈍い銀の仮面に灰色のマント、地味で実用的な服装をしている。他に人が居そうな気配はない。初心者狩りはグループではなかったのか……。
 悩んでいると、仮面剣士が口を開いたあ。
「君が、初心者狩り……か?」
(……何言ってんの?このヒト)
 フェーリエは怪訝そうに眉をひそめた。この状況でそう問いかけるべきは自分の方じゃないのか、と。
「無言は肯定と捉えるが……」
「ち、違うわ!私は正真正銘の初心者よ!むしろ狩られる側!」
 剣士が言葉と共に剣を抜こうとしたので、フェーリエは焦りながら緑の冒険者証を見せる。
「……そうなのか?……初心者狩りが出現したせいで今の時期に初心者はいないはずだ。その上顔を隠している。疑わしいと思うが……」
 少し顔を傾け、考えを口にする剣士。一つ、言っても良いだろうか。
「顔隠してて怪しいのは貴方も一緒じゃない!!ていうか!仮面だし、いきなり斬りつけてきたんだから!貴方の方が余計怪しいじゃないのよぉ!!!」
 剣士を指さし、フェーリエは叫んだ。あまり怒らないフェーリエが、今ばかりはキレていた。
「貴方が、初心者狩りなんじゃないの!!??」
 フェーリエの叫びに、剣士が間髪を入れずに返す。
「俺はそんな卑怯な事はしない」
 失礼な、と口にする剣士を前に、ふつふつと怒りが沸き立つ。
「私に対しても失礼なんですけど!?」
 森にフェーリエの叫びが木霊した。
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