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第二章 ギルド要請冒険者
#18 魔法
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「これで依頼は済んだな」
ルナが魔法で魔物の死骸を集める作業を見ながら、ユースはぽつりと呟いた。
「今回はどういう魔法を使ったんだ?」
二回ほど岩が動くような音がした様だが。
(いつもなら、全体の状況を把握しながら動くのだが……)
不思議と気にならなかった。安心感、と言うのだろうか。
(会ってまだ3日だが、なかなか良い相手で良かったな……)
ソロでも良かった。条件が合いそうな相手がいれば、打算でパーティーを組めば良い。そう思っていた。
(まさか一日目にしてあんな出会い方をするとはな)
いきなり斬りつけてきた相手に、こうして気さくに話しているこの少女の器は広い、と思う。
「索敵魔法と土魔法の合わせ魔法ですよ」
考えていたユースは、質問に答えたルナが実践して見せた魔法を見て、呆れを通り越して感心した。最早彼女がどんな魔法を使っても気にしないようにしよう。考えてはいけない。こんな辺境の地……ばれないと信じよう。
「なるほど……魔にあらがう方法とはよく言ったものだな」
「ああ、魔法の定義ですか?」
そう言ったルナは考え込み、一つの質問を投げかけてきた。
「昔は、なんて言われていたか知っていますか?」
雰囲気から、ルナは答えを知っているようだ。隠すことでもない。正直に答えよう。
「魔術……魔に従う者の術、だな」
「意外と知られてないんですけど、よく知ってますね。」
「まだ根付いている地域もある。昔に比べればだいぶ減っただろうが」
「魔の賢者様々ですね」
女神とともに魔神と戦った三賢者。その一人が魔法使いだった事もあり、今では魔法は逆の意味を持つようになった。昔は魔法は迫害の対象だったと言われている。
「自分が理解出来ない事だからって、迫害するなんて酷いですよねぇ」
「実際、ヒトとはそう言うものだ」
「私だったら、迫害してきた奴らを守りたい、なぁんて思いませんね」
「……」
同意できれば楽なのに、ユースにはそれが出来なかった。同意することを、自らに流れる血が拒絶する。
(もう少し、楽に生きたんだがな)
心の中で溜息をつく。
「剣士さん?どうかしましたか」
「いや、何でも無い」
ルナがこちらの顔色をうかがうように近づく。どれほど近寄られても、彼女の素顔は霞がかっていて、見ることは出来なかった。特殊な魔法だ。
「そう言えば、君はいつまでそう呼ぶつもりだ」
名前は名乗ったはずだが、彼女の口からその名前が出てきたためしがない。
「剣士さんだって、私の事『君』としか呼ばないじゃないですか」
ルナは少しすねたように答えを返してきた。
「……そうだな」
彼女のことも、確かに名前で呼んだことがなかった。
機会があれば、呼んでみよう。ユースはそう思った。
ルナが魔法で魔物の死骸を集める作業を見ながら、ユースはぽつりと呟いた。
「今回はどういう魔法を使ったんだ?」
二回ほど岩が動くような音がした様だが。
(いつもなら、全体の状況を把握しながら動くのだが……)
不思議と気にならなかった。安心感、と言うのだろうか。
(会ってまだ3日だが、なかなか良い相手で良かったな……)
ソロでも良かった。条件が合いそうな相手がいれば、打算でパーティーを組めば良い。そう思っていた。
(まさか一日目にしてあんな出会い方をするとはな)
いきなり斬りつけてきた相手に、こうして気さくに話しているこの少女の器は広い、と思う。
「索敵魔法と土魔法の合わせ魔法ですよ」
考えていたユースは、質問に答えたルナが実践して見せた魔法を見て、呆れを通り越して感心した。最早彼女がどんな魔法を使っても気にしないようにしよう。考えてはいけない。こんな辺境の地……ばれないと信じよう。
「なるほど……魔にあらがう方法とはよく言ったものだな」
「ああ、魔法の定義ですか?」
そう言ったルナは考え込み、一つの質問を投げかけてきた。
「昔は、なんて言われていたか知っていますか?」
雰囲気から、ルナは答えを知っているようだ。隠すことでもない。正直に答えよう。
「魔術……魔に従う者の術、だな」
「意外と知られてないんですけど、よく知ってますね。」
「まだ根付いている地域もある。昔に比べればだいぶ減っただろうが」
「魔の賢者様々ですね」
女神とともに魔神と戦った三賢者。その一人が魔法使いだった事もあり、今では魔法は逆の意味を持つようになった。昔は魔法は迫害の対象だったと言われている。
「自分が理解出来ない事だからって、迫害するなんて酷いですよねぇ」
「実際、ヒトとはそう言うものだ」
「私だったら、迫害してきた奴らを守りたい、なぁんて思いませんね」
「……」
同意できれば楽なのに、ユースにはそれが出来なかった。同意することを、自らに流れる血が拒絶する。
(もう少し、楽に生きたんだがな)
心の中で溜息をつく。
「剣士さん?どうかしましたか」
「いや、何でも無い」
ルナがこちらの顔色をうかがうように近づく。どれほど近寄られても、彼女の素顔は霞がかっていて、見ることは出来なかった。特殊な魔法だ。
「そう言えば、君はいつまでそう呼ぶつもりだ」
名前は名乗ったはずだが、彼女の口からその名前が出てきたためしがない。
「剣士さんだって、私の事『君』としか呼ばないじゃないですか」
ルナは少しすねたように答えを返してきた。
「……そうだな」
彼女のことも、確かに名前で呼んだことがなかった。
機会があれば、呼んでみよう。ユースはそう思った。
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