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第二章 ギルド要請冒険者
#22 遂にあのヒトが!?
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「ここが、ルシオラ村……ですか?」
「随分と酷い有様だな」
フェーリエとユースは、自分の見た光景に戸惑いの声を出した。
王都から南西にあるメルギー沼地。その端に位置するルシオラ村が、今回の依頼主と聞いてやってきたのだが。
家という家は何かの液でドロドロに溶け、ヒトの文明の影も形もない。そこに村はなかった。
「……ヒトが居ないか探してみよう」
「……はい」
沈んだ面持ちのまま、フェーリエ達は村を探索した。見れば見るほどに無残だった。
村の奥を探索していると、ユースが何かに気付いたようだった。
「向こうにヒトの気配がする」
剣士が指さす先には、人工的に掘られた横穴があった。
近寄ると、そこには結界が張られていた。
「……結界?」
フェーリエが手を伸ばすと、横穴から複数の火球が飛び出してきた。
「うぇっ!?」
驚いて声を上げたフェーリエだが、即座に優位属性である水球を作り、火球にぶつけ、相殺した。
(こ、れは……)
探知し慣れた魔力。それが意味するのは……。
考えようとした矢先、かまいたちがフェーリエに向けて飛んできた。
よけるために右に飛んだフェーリエは、何かを踏んだ。
「へ?……うそぉ~!?」
糸が踏まれたことにより、設置されていた魔法が発動。フェーリエの着地した地面が消えた。正確には、穴が出来た。
「……痛ったぁ」
「大丈夫か?」
穴に落ちたフェーリエを、剣士が上から覗き込んでくる。少しも焦ったように見えないのはどうなのだろうか。
「聞くなら助けてくださいよ」
穴はフェーリエの身長の倍はある。抜け出せるだろうか。
「君は魔法で飛べるだろう」
「あ、そう言えばそうでした。つい癖で」
「……癖?」
聞き返してきた剣士に、言葉を返そうとしたフェーリエは叫んでしまった。
「け、剣士さん!後ろ!」
「っ!?」
「ヒトをバケモノみたいに……失礼な弟子だねぇ」
少しハスキーな声がフェーリエの動きを止める。慣れた声だ。
「で?こんな簡単な罠に引っ掛かるような、腑抜けに育てた覚えはないんだが?」
「えっと、それはぁ」
しどろもどろに話すフェーリエは、ひたすらに冷や汗を流していた。
一人状況について行けていないユースは、少し後ろに下がって、二人の様子を観察することにした。
「どうやら鍛え方が足りていないらしいねぇ」
「ひぇっ!い、今はそれどころじゃないんで!とりあえずこの穴から出させてください」
浅黒い肌に、尖った耳、黒い髪を無造作に束ねただけの女性は、にやにやと、恐怖を感じる笑いを浮かべている。
「罠に引っ掛かったあんたが悪い。しばらくはその穴で過ごしな」
「ええぇ~そんなぁ~」
情けない声を出すフェーリエに、助けの声が掛かった。
「……貴女は、誰なんですか?」
ユースが救いの神に見えてきた。いや、穴から遠ざかったようだから姿は見えないが。
「ん?あんた、面白い仮面つけてるねぇ。こいつのお仲間かい?」
「……はい」
「あたしはこいつの師匠だよ」
師匠は穴の下で喚くフェーリエを親指で指さしながら、ユースに告げた。
「随分と酷い有様だな」
フェーリエとユースは、自分の見た光景に戸惑いの声を出した。
王都から南西にあるメルギー沼地。その端に位置するルシオラ村が、今回の依頼主と聞いてやってきたのだが。
家という家は何かの液でドロドロに溶け、ヒトの文明の影も形もない。そこに村はなかった。
「……ヒトが居ないか探してみよう」
「……はい」
沈んだ面持ちのまま、フェーリエ達は村を探索した。見れば見るほどに無残だった。
村の奥を探索していると、ユースが何かに気付いたようだった。
「向こうにヒトの気配がする」
剣士が指さす先には、人工的に掘られた横穴があった。
近寄ると、そこには結界が張られていた。
「……結界?」
フェーリエが手を伸ばすと、横穴から複数の火球が飛び出してきた。
「うぇっ!?」
驚いて声を上げたフェーリエだが、即座に優位属性である水球を作り、火球にぶつけ、相殺した。
(こ、れは……)
探知し慣れた魔力。それが意味するのは……。
考えようとした矢先、かまいたちがフェーリエに向けて飛んできた。
よけるために右に飛んだフェーリエは、何かを踏んだ。
「へ?……うそぉ~!?」
糸が踏まれたことにより、設置されていた魔法が発動。フェーリエの着地した地面が消えた。正確には、穴が出来た。
「……痛ったぁ」
「大丈夫か?」
穴に落ちたフェーリエを、剣士が上から覗き込んでくる。少しも焦ったように見えないのはどうなのだろうか。
「聞くなら助けてくださいよ」
穴はフェーリエの身長の倍はある。抜け出せるだろうか。
「君は魔法で飛べるだろう」
「あ、そう言えばそうでした。つい癖で」
「……癖?」
聞き返してきた剣士に、言葉を返そうとしたフェーリエは叫んでしまった。
「け、剣士さん!後ろ!」
「っ!?」
「ヒトをバケモノみたいに……失礼な弟子だねぇ」
少しハスキーな声がフェーリエの動きを止める。慣れた声だ。
「で?こんな簡単な罠に引っ掛かるような、腑抜けに育てた覚えはないんだが?」
「えっと、それはぁ」
しどろもどろに話すフェーリエは、ひたすらに冷や汗を流していた。
一人状況について行けていないユースは、少し後ろに下がって、二人の様子を観察することにした。
「どうやら鍛え方が足りていないらしいねぇ」
「ひぇっ!い、今はそれどころじゃないんで!とりあえずこの穴から出させてください」
浅黒い肌に、尖った耳、黒い髪を無造作に束ねただけの女性は、にやにやと、恐怖を感じる笑いを浮かべている。
「罠に引っ掛かったあんたが悪い。しばらくはその穴で過ごしな」
「ええぇ~そんなぁ~」
情けない声を出すフェーリエに、助けの声が掛かった。
「……貴女は、誰なんですか?」
ユースが救いの神に見えてきた。いや、穴から遠ざかったようだから姿は見えないが。
「ん?あんた、面白い仮面つけてるねぇ。こいつのお仲間かい?」
「……はい」
「あたしはこいつの師匠だよ」
師匠は穴の下で喚くフェーリエを親指で指さしながら、ユースに告げた。
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