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第二章 ギルド要請冒険者
#23 師匠
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「お久しぶりですね、師匠」
ようやく穴から出ることを許されたフェーリエは、自らの師匠に挨拶をする。
「ん。生意気にも顔を隠しての活動か。親に似たねぇ」
母の師もしていた師匠は、母の冒険者時代を知っているのだろう。
「そう言えば、どうして師匠はここにいるんですか?」
師匠の家からはかなり離れている。あまり外に出ない師匠が、この村にいるのは不思議だ。
「ああ、ここには薬草を採りに来ててね。昨日も薬草を採りに来ただけだったんだがねぇ」
師匠が来たときにはこの状態だったそうで、横穴も師匠が避難所代わりに作ったそうだ。
「こんなに罠を仕掛けるなんて、師匠以外に考えられませんよ……」
「不用意に結界に触ろうとするからだろう。そんな注意力で冒険者なんて出来るのかねぇ」
やれやれ、と師匠は呆れた表情を浮かべた。
「で、そっちの大きいのはなんて名前なんだい?」
「あれ?手紙読んでないんですか?」
「手紙?いつ書いたやつだい?」
「昨日です……あっ」
「あたしは昨日からここにいるって言っただろ?」
「そうでした」
魔法で手紙を届けると、普通の配達より早い。が、そもそも家に居なくては読める物も読めないだろう。
「あ、話遮ってすみません。どうぞ自己紹介を」
師匠が話を振ったにもかかわらず、蚊帳の外だった剣士に声を掛ける。
「あ、ああ。ユースです。彼女とはパーティーを組んでいて、今回はこの村のクエストを受けに来ました」
「あたしはアンジェリカだ」
「アンジェリカ……なるほど、あの時驚いていたのはそう言うことか」
「ちょっ、剣士さん!?」
顎に手をあて、思案した剣士が呟いた言葉は、鬼師匠の目を光らせた。
「あの時?それはどういう状況だったんだい?」
(め、目が笑ってない……)
恐れおののくフェーリエの横で、聞かれたユースは素直に答え始めた。
「ギルドの受付……今は俺たちの担当になったヒトがアンジェリカという名前で、名乗った時に貴女の弟子がそれに驚いたと言う話です」
「へぇ、あたしと同じ名前だから驚いたのかい?」
「何というか……えっと」
こちらを見てくるアンジェリカの視線から全力で顔を背け、弁明の言葉を探る。
「まぁいい。所で、そのお嬢さんは名前の由来とかは言ってなかったかい?」
師匠がすぐに解放してくれたことに驚きつつ、フェーリエは記憶を探る。
「たしか、お父さんの恩人の名前をつけたとか……まぁ、師匠が人助けなんてしてないでしょうし、関係ないと思いますよ」
「なんであたしが人助けしないって決めつけてるのかな?この駄目弟子は」
「ひいぃ!?すみません」
アンジェリカはフードを被ったフェーリエの頭をわしづかみにしてくる。そんな光景を見ていた剣士は、
「仲が良いんだな」
「どこをどう見たらそう見えるんでしょう……」
そろそろ掴まれたままの頭が割れそうな予感がする。
軽口を叩くが、そのたびに小突かれる。それがいつもの流れだった。それでも家族の次に長い時間を過ごしたヒトだ。仲が良いと言われて嬉しくないはずがない。変わらず頭は痛いが、フェーリエの顔はにやけてしまった。
ようやく穴から出ることを許されたフェーリエは、自らの師匠に挨拶をする。
「ん。生意気にも顔を隠しての活動か。親に似たねぇ」
母の師もしていた師匠は、母の冒険者時代を知っているのだろう。
「そう言えば、どうして師匠はここにいるんですか?」
師匠の家からはかなり離れている。あまり外に出ない師匠が、この村にいるのは不思議だ。
「ああ、ここには薬草を採りに来ててね。昨日も薬草を採りに来ただけだったんだがねぇ」
師匠が来たときにはこの状態だったそうで、横穴も師匠が避難所代わりに作ったそうだ。
「こんなに罠を仕掛けるなんて、師匠以外に考えられませんよ……」
「不用意に結界に触ろうとするからだろう。そんな注意力で冒険者なんて出来るのかねぇ」
やれやれ、と師匠は呆れた表情を浮かべた。
「で、そっちの大きいのはなんて名前なんだい?」
「あれ?手紙読んでないんですか?」
「手紙?いつ書いたやつだい?」
「昨日です……あっ」
「あたしは昨日からここにいるって言っただろ?」
「そうでした」
魔法で手紙を届けると、普通の配達より早い。が、そもそも家に居なくては読める物も読めないだろう。
「あ、話遮ってすみません。どうぞ自己紹介を」
師匠が話を振ったにもかかわらず、蚊帳の外だった剣士に声を掛ける。
「あ、ああ。ユースです。彼女とはパーティーを組んでいて、今回はこの村のクエストを受けに来ました」
「あたしはアンジェリカだ」
「アンジェリカ……なるほど、あの時驚いていたのはそう言うことか」
「ちょっ、剣士さん!?」
顎に手をあて、思案した剣士が呟いた言葉は、鬼師匠の目を光らせた。
「あの時?それはどういう状況だったんだい?」
(め、目が笑ってない……)
恐れおののくフェーリエの横で、聞かれたユースは素直に答え始めた。
「ギルドの受付……今は俺たちの担当になったヒトがアンジェリカという名前で、名乗った時に貴女の弟子がそれに驚いたと言う話です」
「へぇ、あたしと同じ名前だから驚いたのかい?」
「何というか……えっと」
こちらを見てくるアンジェリカの視線から全力で顔を背け、弁明の言葉を探る。
「まぁいい。所で、そのお嬢さんは名前の由来とかは言ってなかったかい?」
師匠がすぐに解放してくれたことに驚きつつ、フェーリエは記憶を探る。
「たしか、お父さんの恩人の名前をつけたとか……まぁ、師匠が人助けなんてしてないでしょうし、関係ないと思いますよ」
「なんであたしが人助けしないって決めつけてるのかな?この駄目弟子は」
「ひいぃ!?すみません」
アンジェリカはフードを被ったフェーリエの頭をわしづかみにしてくる。そんな光景を見ていた剣士は、
「仲が良いんだな」
「どこをどう見たらそう見えるんでしょう……」
そろそろ掴まれたままの頭が割れそうな予感がする。
軽口を叩くが、そのたびに小突かれる。それがいつもの流れだった。それでも家族の次に長い時間を過ごしたヒトだ。仲が良いと言われて嬉しくないはずがない。変わらず頭は痛いが、フェーリエの顔はにやけてしまった。
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