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第二章 ギルド要請冒険者
#28 溶ける獲物
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斧をしまった師匠は、スライムに向けて『ウィンドカッター』を放つ。初歩的な魔法だが、その威力はすさまじい。実際に防御魔法で防いだ事のあるフェーリエは、それをよく知っている。
「ちっ……風も駄目か」
風は弾かれ、スライムはまだこちらに向かってきている。
「では!水を!」
フェーリエはスライムを水球に閉じ込めた。効かなくとも、足止めぐらいにはなるだろう。
続けて、水球に雷を落とす。
(感電ぐらいは……しない、か)
スライムに変化はない。
「どうやら、魔法は効かないようだねぇ」
「でも、物理も全部効くわけじゃないみたいですけど……」
師匠に困ったと視線を送ったフェーリエは、師匠が持っているモノを見て目を見開いた。
「師匠……斧だけじゃなくて、槍も持ってたんですか?」
無駄な装飾がなく、無骨なだけの槍を握るアンジェリカは、とても魔法使いには見えない。
「ん、これにはユースと同じ防腐剤が塗ってある。条件的には、一緒だろうな」
そう言ってスライムに向けて踏み込んだ師匠は、素早くスライムを細切れにする。
いとも簡単にすぱすぱと切られるスライムを見て、フェーリエは思う。
(魔法の出番が……ない)
斬られたスライムは、地面に落ち、溶けて消えた。
「ある程度の大きさになったら、制御を失うみたいだな」
槍を一回払い、その後に袋にしまった師匠が言った。
「やはり、防腐剤が鍵だったんですね」
ユースが二人に近づいてきて話に加わる。
「普通、スライムは弾力があるから物理攻撃が効きにくい。今回のキングスライムは魔法耐性が上がった代わりに、物理耐性自体は下がってるようだねぇ」
「見たところ、スライムの体液が腐食液で、強力すぎて斬ったそばから溶かされてるみたいですね」
スライムの表皮を斬った下は腐食液。そこに斬撃が通ると、獲物が溶け、再生したスライムの弾力に弾かれる。結果だけを見ると、攻撃が通らない様に見えるのだ。
「溶かされない分、斬撃が通った……そう言うことか」
「さっきの奴は核がなかった。キングの核を仕留めるのは大変だろうねぇ」
スライムには核が存在する。それを破壊すると、液体だけになって溶けて消える。
「防腐剤はもう無いし、ここは少年の出番だねぇ」
「では、今回の主役は剣士さんと言うことで。私たちはサポートに回ります!」
二人には分からないであろう敬礼をする。その動作はスルーされ、話は続いた。
「魔法は効かないが、足止めは出来る。後ろは任せときなよ、剣士さん?」
師匠がにやにやしている。不味い。剣士さんが師匠の餌食になってしまう。
「け、剣士さん。剣士さん」
剣士に近づき、その袖を引っ張る。
「?どうしたんだ」
「師匠につけ込まれると大変ですよ。隙を見せたら……」
自分の過去を思い出し、背筋が震える。よく耐えたな、自分。
「と、とにかく。苦しい目に会いたくなければ、修行つけて欲しいとか絶対に言っちゃ駄目ですよ」
「わ、わかった」
戸惑いながら頷いた剣士に満足したフェーリエは、背後の師匠が拳を振るう準備している事を知らない。
「ちっ……風も駄目か」
風は弾かれ、スライムはまだこちらに向かってきている。
「では!水を!」
フェーリエはスライムを水球に閉じ込めた。効かなくとも、足止めぐらいにはなるだろう。
続けて、水球に雷を落とす。
(感電ぐらいは……しない、か)
スライムに変化はない。
「どうやら、魔法は効かないようだねぇ」
「でも、物理も全部効くわけじゃないみたいですけど……」
師匠に困ったと視線を送ったフェーリエは、師匠が持っているモノを見て目を見開いた。
「師匠……斧だけじゃなくて、槍も持ってたんですか?」
無駄な装飾がなく、無骨なだけの槍を握るアンジェリカは、とても魔法使いには見えない。
「ん、これにはユースと同じ防腐剤が塗ってある。条件的には、一緒だろうな」
そう言ってスライムに向けて踏み込んだ師匠は、素早くスライムを細切れにする。
いとも簡単にすぱすぱと切られるスライムを見て、フェーリエは思う。
(魔法の出番が……ない)
斬られたスライムは、地面に落ち、溶けて消えた。
「ある程度の大きさになったら、制御を失うみたいだな」
槍を一回払い、その後に袋にしまった師匠が言った。
「やはり、防腐剤が鍵だったんですね」
ユースが二人に近づいてきて話に加わる。
「普通、スライムは弾力があるから物理攻撃が効きにくい。今回のキングスライムは魔法耐性が上がった代わりに、物理耐性自体は下がってるようだねぇ」
「見たところ、スライムの体液が腐食液で、強力すぎて斬ったそばから溶かされてるみたいですね」
スライムの表皮を斬った下は腐食液。そこに斬撃が通ると、獲物が溶け、再生したスライムの弾力に弾かれる。結果だけを見ると、攻撃が通らない様に見えるのだ。
「溶かされない分、斬撃が通った……そう言うことか」
「さっきの奴は核がなかった。キングの核を仕留めるのは大変だろうねぇ」
スライムには核が存在する。それを破壊すると、液体だけになって溶けて消える。
「防腐剤はもう無いし、ここは少年の出番だねぇ」
「では、今回の主役は剣士さんと言うことで。私たちはサポートに回ります!」
二人には分からないであろう敬礼をする。その動作はスルーされ、話は続いた。
「魔法は効かないが、足止めは出来る。後ろは任せときなよ、剣士さん?」
師匠がにやにやしている。不味い。剣士さんが師匠の餌食になってしまう。
「け、剣士さん。剣士さん」
剣士に近づき、その袖を引っ張る。
「?どうしたんだ」
「師匠につけ込まれると大変ですよ。隙を見せたら……」
自分の過去を思い出し、背筋が震える。よく耐えたな、自分。
「と、とにかく。苦しい目に会いたくなければ、修行つけて欲しいとか絶対に言っちゃ駄目ですよ」
「わ、わかった」
戸惑いながら頷いた剣士に満足したフェーリエは、背後の師匠が拳を振るう準備している事を知らない。
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