転生令嬢は覆面ズをゆく

唄宮 和泉

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第二章 ギルド要請冒険者

#29 キングスライム

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「あっちに本体がいるみたいです」
 崖上から、キングスライムがいる高さまで降りてきたフェーリエ達は、少しずつキングに近づいていった。
「便利だな、索敵魔法は」
「本来はこんなに便利なもんじゃないんだけどねぇ」
 ユースの言葉に、師匠は苦笑いを浮かべて返す。どういうことかと表情で聞き返す剣士に、親切に師匠が語って聞かせる。
「索敵は魔力を辺りに漂わせて、それで反応を見るのが定石だ。だが、それだと時間が掛かる上に無駄に魔力を消費する。想像がしづらいから、なかなか習得できない魔法なんだよ。それをこいつはレーダーがどうのって、かなり広範囲の索敵が出来てねぇ」
 バケモノなんだよこいつは、と言いながら、師匠はフェーリエの頭を叩く。
「師匠、それはちょっと酷いですよ」
「何?事実だろう」
 ムッとしながら、フェーリエは岩陰からキングの様子を伺う。怒りは別になく、ただただそう言うやり取りを交わすのが好きなのだ。
「……普通のスライムはさすがに焼けてますね」
「焼けてないと困るわ」
 仲良く三人で様子を伺う。
 キングは岩壁に丸く囲まれた場所に鎮座していた。一軒家以上はあるだろう。普通に大きい。
「あ、あれが核ですか?」
「ああ、わかりやすいねぇ。的が大きいのは良いことだよ」
 うねうねと動く身体の中央に、これ見よがしに赤く丸いモノが浮かんでいる。
「あれを、斬れば良いんだな」
 ユースは剣を握りながら言った。
「剣士さん。キングスライムが何をしてくるか分かりませんが、剣士さんは私が守りますからね!」
 防御魔法は得意だ。結界魔法の応用も出来る。そう言う想いで、拳をぐっと握り、剣士を見つめる。
「あ、ああ」
「はぁ……そういうのは男の台詞だろうに」
 師匠が呆れたように何か呟いたが、上手く聞き取れなかった。


「それじゃあ行きましょう!」
 ルナの先導に、ユース達は走り出す。
 それに気付いたスライムが、早速触手を伸ばしてくる。それを避けつつ、キングスライムに斬りかかる。
(届く……っ)
 剣の長さからすれば、絶対に核に攻撃が届くはずだ。
 しかし、ユースの剣は、核の手前を切り裂いた。切り裂いたところもすぐに塞がり、飛び出してきた触手を避けて、ユースは一度距離を取った。
「剣士さん、どうしたんですか!?」
 魔法で触手を止めながら、ルナが叫ぶ。
「核が移動した!」
「なるほどねぇ。危機を感じた際の身を守る術、か」
 アンジェリカの言葉に、改めて進化のすごさを思い知る。
 しかい、諦めるわけにはいかない。
 ユースはもう一度斬りかかる。また、核が移動した。次は、間髪を入れず突き技を繰り出す。
(っ……!?)
 核に届きそうになったとき、スライムの身体が膨らんだ。それにより、剣は核を掠めることが出来ずに終わった。
 急いで剣を引き抜き、距離を取る。今のは……。
「攻撃されている側の身体を厚くした……?」
 ルナの言葉は正しかった。自身の身体を一部分に集め、剣を核から離したのだ。
(……?なぜ核を動かさなかった?)
 ユースは、確かめるためにもう一度剣を構えた。
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