転生令嬢は覆面ズをゆく

唄宮 和泉

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第三章 未開発の森

#77 魔獣との戦い

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 魔獣を倒すには、体のどこかにある核を壊すか、再生エネルギーを使い果たすまで傷を与え続けるしかない。
 前者は、核の場所を探し事も困難だが、大体が厳重に守られているため壊すことも困難である。
 後者は、そもそも果てしないエネルギーを持っているからこそ魔獣なのであり、現実的では無い。
 よって、今回の作戦も、核を破壊することが目標である。
 ウィクトールがそう説明した一時間後。討伐隊は窮地に立たされていた。
「体勢をを立て直せ!このままでは全滅するぞ!!」
 肩の傷を押さえながら、ウィクトールは隊長らしく隊を鼓舞する。しかし、一度崩れた体勢は崩れたままだ。
 多くの魔物に囲まれる。中には逃げ惑うものもいたが、逃げたくても怪我を負い動けないものもいた。

 魔獣の元まで移動した討伐隊の面々は、魔獣の姿を見て少なからず恐怖を抱いていた。
 されど歴戦の冒険者。恐怖をすぐに追い払い、各々の獲物を構えた。
 ウィクトールに目で合図され、フェーリエは自らが張った結界を解除すべく魔法を使う。『無限インフィニティ』は万能だ。使用者以外に解除出来ないのは利点である。
『オオオオオォォォ!!!!』
 解放された魔獣が雄叫びを上げる。
 初めは好調だった。Aランクであるウィクトールの存在が士気を上げていた。そして、彼自身も魔獣を相手に一歩も引かず、前線を維持していた。
(相変わらず真っ直ぐな剣筋ね。実践でも使うなんて、頭が固い)
 貴族が習う美しさを兼ね備えた剣術。それに沿った型しか、ウィクトールは使用していない。
(それでも、Aランクまで上り詰めた……相当な執念だわ)
 ユースが使う実践的な剣技とはまた違うそれは、確かに魔獣にダメージを与えていた。
 ウィクトールは魔獣の太い腕を一太刀で切り落とす。直ぐさま腕が生え替わるが、一時の隙は稼げる。
 その隙の間に、まだ攻撃を加えられていない箇所に他が攻撃を加える。連携は取れていた。
 フェーリエは適度に魔獣の目を氷の槍で潰す補助役に徹していた。魔法使いを信用していないウィクトールらしい配役だった。剣士であるユースは、フェーリエよりも前線で戦っている。心配で仕方が無いが、今は彼を信じるしかない。
 前線が崩れたのは、そう考えたすぐ後だった。
 それまでの魔獣の攻撃は体当たり、爪、腕でなぎ払う。その三つだった。しかしこの時までフェーリエ達は忘れてしまっていた。魔獣とは、特殊な力を持って進化した魔物であるということを。
 魔獣が咆吼を上げる。すると、周囲から魔物が集まり出したのだ。
(魔物寄せの咆吼!?)
 魔獣を相手することに精一杯のこの隊で、この森の魔物を相手に出来るのだろうか。
 フェーリエの悪い予想は当たり、前線は崩れ、戦場は見るも無惨な様に変わる。
 それでも、魔獣にだけ攻撃を加え続ける男がいた。肩に深い傷を負いながらも、彼は剣を振るう。しかし、近くの魔物に足を攻撃され、体勢が崩れる。魔獣の攻撃が彼に襲いかかる。
 躊躇ったのは一瞬。それも直ぐに振り払い、フェーリエは走る。
「ウィクトール!!」
 足を負傷した彼を背に庇う。魔獣の爪を防ぐ、一方面を厚くした魔法障壁を展開する。
 ガキィン、と音が響き、魔獣の攻撃はフェーリエの目の前で止まる。
 苦手な奴だが、目の前で死なれても目覚めが悪い。フェーリエは黒雲を呼び寄せた。
 
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