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第四章 魔導王国
#101 女王の住まい
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「ここは……」
目を開けると、幻想的な森の中にいた。空は霞がかっており、より儚さを感じる。
木は等間隔に並び、一本の道を作っている。
(この先に、何かあるの?)
道の先は見えない。かなり長い道のりのようだ。
「今更ですけど、付いてきてよかったんですか?」
今なら送り返せる。そう思ったフェーリエは後ろのユースに話しかける。
「本当に今更だな。問題ない。君を一人では行かせられないだろう」
「でも……」
「深淵に、近づくからか?君が俺を帰したいと思うのは」
「……」
CPU2は確かに深淵と言った。そして、ウルティムも、深淵と言ったのだ。
「私に、無理に付き合う必要はありませんよ。私がこの先に行きたいのは、知らなければいけない、そんな気がするだけで、明確な理由はありません。この先には、危険しかない。それだけは確かです。だから……」
「それでも俺は君と行こう。俺も、この国の末路が気になる。それに、パーティだからな。行かない理由はない」
フェーリエの弱々しい言葉を断ち切り、ユースは真っ直ぐな目をフェーリエに向ける。
「っ……わかりました。一緒に、行きましょう」
「ああ」
ユースは優しく笑った。釣られてフェーリエも笑った。二人は作られた道を歩いた。生きる事を願って。
道の先には、小さな小屋が建てられていた。女王が住むには相応しくない、質素な小屋だ。しかし、それが女王の人柄を表しているようだった。
「剣士さん。こっちに、階段があります。多分、この下に」
小屋の脇に、石畳の階段が置かれていた。地下から、更なる地下へ向かうための階段。
「小屋の中は見なくても大丈夫か?」
「……ゆっくりしている暇はありませんから」
フェーリエの言葉にユースは頷き、階段に近寄る。
「感じるか?」
「はい。こんなに圧があるのに、無視は出来ませんよ」
ウルティムの言葉を借りるならば、深淵の生物、それが発する圧が、二人の体にのし掛かっていた。だが、部屋で受けた圧よりもまだ柔らかい。
「ここは女王の住まいですし、防御魔法が働いているんでしょうね。まだ可愛らしいものです」
「そうだな。だが、こんなものが側にある状態で生活していたのか」
いつからなのかはわからない。だが、この防御魔法の強靱さから、女王はこれが日常だったのだろう。
「降りましょう」
フェーリエの言葉を受け、ユースが先に階段を降り始める。
階段には明かりが灯っており、難なく降りることが出来た。開けた視界には、ごつごつとした岩の空洞、その壁に描かれた壁画がうつった。
『君達が、CPU2が導いた子達だね?』
中央に位置する、上で見たCPU2と同じだがよりスリムな形をした機材、いや、魔導具から声が発せられた。
魔導具が光ったかと思うと、光が揺らぎつつ、目の前に人が現れた。
「ホロ、グラム?」
『こんにちは、それとも、こんばんわ、かな?』
紫の質素なローブに、白いワンピースを着た女性が、フェーリエ達に笑いかける。髪は金髪、腰まで結わずに垂らし、柔らかそうにウェーブを描いている。瞳は海よりも深い蒼。髪も目もフェーリエと同じ色素をしている。
『ようこそ、生者のいない深淵へ』
女王は、寂しそうに笑った。
目を開けると、幻想的な森の中にいた。空は霞がかっており、より儚さを感じる。
木は等間隔に並び、一本の道を作っている。
(この先に、何かあるの?)
道の先は見えない。かなり長い道のりのようだ。
「今更ですけど、付いてきてよかったんですか?」
今なら送り返せる。そう思ったフェーリエは後ろのユースに話しかける。
「本当に今更だな。問題ない。君を一人では行かせられないだろう」
「でも……」
「深淵に、近づくからか?君が俺を帰したいと思うのは」
「……」
CPU2は確かに深淵と言った。そして、ウルティムも、深淵と言ったのだ。
「私に、無理に付き合う必要はありませんよ。私がこの先に行きたいのは、知らなければいけない、そんな気がするだけで、明確な理由はありません。この先には、危険しかない。それだけは確かです。だから……」
「それでも俺は君と行こう。俺も、この国の末路が気になる。それに、パーティだからな。行かない理由はない」
フェーリエの弱々しい言葉を断ち切り、ユースは真っ直ぐな目をフェーリエに向ける。
「っ……わかりました。一緒に、行きましょう」
「ああ」
ユースは優しく笑った。釣られてフェーリエも笑った。二人は作られた道を歩いた。生きる事を願って。
道の先には、小さな小屋が建てられていた。女王が住むには相応しくない、質素な小屋だ。しかし、それが女王の人柄を表しているようだった。
「剣士さん。こっちに、階段があります。多分、この下に」
小屋の脇に、石畳の階段が置かれていた。地下から、更なる地下へ向かうための階段。
「小屋の中は見なくても大丈夫か?」
「……ゆっくりしている暇はありませんから」
フェーリエの言葉にユースは頷き、階段に近寄る。
「感じるか?」
「はい。こんなに圧があるのに、無視は出来ませんよ」
ウルティムの言葉を借りるならば、深淵の生物、それが発する圧が、二人の体にのし掛かっていた。だが、部屋で受けた圧よりもまだ柔らかい。
「ここは女王の住まいですし、防御魔法が働いているんでしょうね。まだ可愛らしいものです」
「そうだな。だが、こんなものが側にある状態で生活していたのか」
いつからなのかはわからない。だが、この防御魔法の強靱さから、女王はこれが日常だったのだろう。
「降りましょう」
フェーリエの言葉を受け、ユースが先に階段を降り始める。
階段には明かりが灯っており、難なく降りることが出来た。開けた視界には、ごつごつとした岩の空洞、その壁に描かれた壁画がうつった。
『君達が、CPU2が導いた子達だね?』
中央に位置する、上で見たCPU2と同じだがよりスリムな形をした機材、いや、魔導具から声が発せられた。
魔導具が光ったかと思うと、光が揺らぎつつ、目の前に人が現れた。
「ホロ、グラム?」
『こんにちは、それとも、こんばんわ、かな?』
紫の質素なローブに、白いワンピースを着た女性が、フェーリエ達に笑いかける。髪は金髪、腰まで結わずに垂らし、柔らかそうにウェーブを描いている。瞳は海よりも深い蒼。髪も目もフェーリエと同じ色素をしている。
『ようこそ、生者のいない深淵へ』
女王は、寂しそうに笑った。
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