転生令嬢は覆面ズをゆく

唄宮 和泉

文字の大きさ
105 / 185
第四章 魔導王国

#103 あいつ

しおりを挟む
『少女の頼みを聞いたガイアは、彼らに知性を与えた。そして彼らは与えられた知性を使い、文明を築いていった。やがてガイアを神と崇め、ガイアとともに居る少女を神の巫女とした。そこまでは、まだよかったんだが、人間は欲深い生物だ。次第に少女を通じて、ガイアに願いを叶えてもらうようになった。豊かな土地がほしい、力がほしい。醜い欲を、少女は疑うことなくガイアに頼んだ。少女と人間とでは、生まれが違う。少女には欲というモノがなかった。純真無垢で、疑うことを知らない愚かな少女。人間が魔法を、ガイアの力を使うようになったのも、彼女のせいだ。君は、魔力はどこから来ていると思う?』
 女王は真っ直ぐにフェーリエを見つめる。女王の言い方では、ヒトは、魔法を使ってはいけないように聞こえる。
「……魔力は生命エネルギー。ヒトが自分自身で生成するもの、そう習いました」
『なるほど、今はそういう風に定義されているのか。では、答えを教えよう……』
『グオオオオォォオオオオ!!!!!』
 また、あの叫び声が響いた。
『またあいつか。時間が無いな』
 これ程近くで声が聞こえるのに、不思議と圧は感じない。女王も、慣れたような顔をしている。
『ん?ああ、ここは私が張った結界が残っているからね。あいつの圧は届かないよ』
 フェーリエの心の中を読んだのか、女王は疑問に答える。そして思案顔になり、ふむ、と呟いた。
『どうやらゆっくり話している時間はなさそうだ。まずはあいつを倒してからだな』
「あいつを、倒す!?」
 フェーリエは素っ頓狂な声を上げた。上に居るときに受けた圧を思い出す。あれほど強力な力を放つモノを、倒す?無理な話だ。
「無理、無理です。あんなの倒せるわけ無い」
 フェーリエはぶんぶんと首を振って否定した。しかし、女王はふふ、と笑いながら、君ならできるよ、と言った。そして、『ガイアの愛し子ならば、あいつと戦える』そう宣ったのだ。
「が、がい、ガイア、の愛し子って、誰のこと……」
『勿論君に決まっているじゃないか。なんだ、CPU2はそれすら教えてなかったのか』
 女王は眉をハの字にして困った表情をする。いや、困ってるのはこっちの方だ。
(あの時の反応とか、女王の口ぶりから、なんとなくそうじゃないのかって思ってたけど……いきなりそうです、って言われても、わかりました倒してきますにはならないわよ!!??)
 フェーリエは心の中で絶叫した。
『時間も無いことだし、短くあいつの特徴を説明しておこう』
「まだ行くって言ってません……」
 今にも泣き出しそうなフェーリエの声に、女王は仕方が無い、君しか倒せないのだから、と笑い、とんでもない爆弾を落としてきた。
『それに、あいつをこれ以上放っておくと世界が滅びかねない』
『「「!?!?」」』
 フェーリエとユース、そしてアウラは、声にならない叫びを上げた。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました

藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。 逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、 “立て直す”以外の選択肢を持たなかった。 領地経営、改革、そして予想外の縁。 没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。 ※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。

【完結済】悪役令嬢の妹様

ファンタジー
 星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。  そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。  ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。  やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。  ―――アイシアお姉様は私が守る!  最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する! ※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>  既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

処理中です...