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第四章 魔導王国
#104 落ちる穴
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「もう、もう、もう!!なんでこんなことになってるのよぉ!!!」
「喚いても仕方が無い。それより、口を閉じろ。舌を噛むぞ」
『そうですよ、ルナ様。あんなお話を聞いたら、倒しに行くしかないじゃないですか』
フェーリエはユースに抱えられたまま、大きな穴を落ちていた。比喩ではなく、本当に落ちているのだ。
「何で、ここで魔法使っちゃだめなのよ!」
「それもさっき言われただろう。あいつは魔力に反応するから、近づくまで出来るだけ魔法は使うな、と」
『そうですよ。危ないから口閉じましょうね?』
ユースだけで無くアウラにまで口を閉じろと言われた。自分は子供だったのか?おかしい。中身は十六歳プラス十六歳のはずだ。最も、大人の精神には遠く及ばない。フェーリエはいつまでも子供だ。
なぜフェーリエ達が穴を落ちているのか。その理由は至極簡単だ。深淵に居るあいつを倒しに行くためである。
女王によると、深淵の生物『Abyss』はガイアの魔力を吸収して成長する化け物らしい。魔導王国が出来た時から成長しているため、かなりの怪物だ。それが地上に出れば、間違いなく文明は滅びる。
「なんで昔の人はAbyssを倒してないのよぉ!!」
『なにやら事情があったようですけど、はぐらかされましたからね』
女王は明らかに何かを隠していた。だが、話は『Abyss』を倒した後だと、笑顔で受け流されたのだ。
「事情は後でたっぷり聞くとして。女王の洞窟の下に、こんなに大きな穴が空いてるなんて……」
フェーリエ達が落ちている穴は、未開の森で戦った魔獣が二体ほど余裕で通れる、いや、落ちることが出来る程広い。その端の端を、フェーリエはユースにお姫様だっこされた状態で落ちていた。何故そんな体勢かというと、穴を落ちることを拒否したフェーリエを、ユースが問答無用で抱き上げたことが原因である。
落下しきるまで魔法禁止、そうなれば、空気抵抗も、重力も緩和できない。穴の底は真っ暗闇で見えず、とてもじゃないが飛び降りたくない。そう早口で捲し立てたフェーリエに慈悲を与えず、ユースはそれを行動に移した。思っていた以上に優しく抱き上げられたが、そのすぐ後に飛び降りられたからプラスマイナスゼロだ。
「……そろそろだな」
ユースが小さく呟く。フェーリエにはまだ終わりが見えないが、彼は空間が途切れることがわかっていたようだ。
「わぁっ!?」
体が強く揺れる。黒く見えていた結界を抜け、衝撃が緩和される。その後はさほど衝撃無く、ユースが地面に着地した。
「女王が言っていた通り、この結界を抜けると衝撃がなくなったな」
「緩和されただけですけど」
ユースの腕から降りたフェーリエは、呆れた目で彼を見た。全く衝撃がなかったわけではない。ユースの着地がしっかりしていたからこそ、さほど衝撃がなかっただけだ。
(あの結界から建物三階分ぐらいの高さがあるのに、衝撃を殺すのが上手いなぁ)
天井に張られた結界を見上げる。上から見たのと同じ、黒い結界。深淵を封じるための、強力な結界だ。
フェーリエ達のすぐ近くで、荒れ狂った怒号が響いた。
「喚いても仕方が無い。それより、口を閉じろ。舌を噛むぞ」
『そうですよ、ルナ様。あんなお話を聞いたら、倒しに行くしかないじゃないですか』
フェーリエはユースに抱えられたまま、大きな穴を落ちていた。比喩ではなく、本当に落ちているのだ。
「何で、ここで魔法使っちゃだめなのよ!」
「それもさっき言われただろう。あいつは魔力に反応するから、近づくまで出来るだけ魔法は使うな、と」
『そうですよ。危ないから口閉じましょうね?』
ユースだけで無くアウラにまで口を閉じろと言われた。自分は子供だったのか?おかしい。中身は十六歳プラス十六歳のはずだ。最も、大人の精神には遠く及ばない。フェーリエはいつまでも子供だ。
なぜフェーリエ達が穴を落ちているのか。その理由は至極簡単だ。深淵に居るあいつを倒しに行くためである。
女王によると、深淵の生物『Abyss』はガイアの魔力を吸収して成長する化け物らしい。魔導王国が出来た時から成長しているため、かなりの怪物だ。それが地上に出れば、間違いなく文明は滅びる。
「なんで昔の人はAbyssを倒してないのよぉ!!」
『なにやら事情があったようですけど、はぐらかされましたからね』
女王は明らかに何かを隠していた。だが、話は『Abyss』を倒した後だと、笑顔で受け流されたのだ。
「事情は後でたっぷり聞くとして。女王の洞窟の下に、こんなに大きな穴が空いてるなんて……」
フェーリエ達が落ちている穴は、未開の森で戦った魔獣が二体ほど余裕で通れる、いや、落ちることが出来る程広い。その端の端を、フェーリエはユースにお姫様だっこされた状態で落ちていた。何故そんな体勢かというと、穴を落ちることを拒否したフェーリエを、ユースが問答無用で抱き上げたことが原因である。
落下しきるまで魔法禁止、そうなれば、空気抵抗も、重力も緩和できない。穴の底は真っ暗闇で見えず、とてもじゃないが飛び降りたくない。そう早口で捲し立てたフェーリエに慈悲を与えず、ユースはそれを行動に移した。思っていた以上に優しく抱き上げられたが、そのすぐ後に飛び降りられたからプラスマイナスゼロだ。
「……そろそろだな」
ユースが小さく呟く。フェーリエにはまだ終わりが見えないが、彼は空間が途切れることがわかっていたようだ。
「わぁっ!?」
体が強く揺れる。黒く見えていた結界を抜け、衝撃が緩和される。その後はさほど衝撃無く、ユースが地面に着地した。
「女王が言っていた通り、この結界を抜けると衝撃がなくなったな」
「緩和されただけですけど」
ユースの腕から降りたフェーリエは、呆れた目で彼を見た。全く衝撃がなかったわけではない。ユースの着地がしっかりしていたからこそ、さほど衝撃がなかっただけだ。
(あの結界から建物三階分ぐらいの高さがあるのに、衝撃を殺すのが上手いなぁ)
天井に張られた結界を見上げる。上から見たのと同じ、黒い結界。深淵を封じるための、強力な結界だ。
フェーリエ達のすぐ近くで、荒れ狂った怒号が響いた。
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