転生令嬢は覆面ズをゆく

唄宮 和泉

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第四章 魔導王国

#110 器と中身

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「わかったわ。アウラが折れてくれるんだもの、こっちも折れないとね」
 フェーリエはため息をつきながらアウラを見た。アウラはフェーリエの言葉に安堵の表情を見せつつも、緊張感を感じたようで、頬は強張らせた。
『作戦だが、俺とアウラが魔神を抑えるので良いか?俺の力量では倒すことは出来ない』
「そうですね。あれは誰にも倒せないと思います」
『では、どうなさるおつもりですか?』
 アウラとユースは、不思議そうにフェーリエを見た。抑えるだけで、倒さない。ではどう対処するのか。そう疑問に思っているのだろう。
「どうしましょ」
 残念ながら、フェーリエは答えを持っていなかった。
 フェーリエの答えを聞いた二人は、ズルッと肩を落とした。ユースに至っては、何だそれは、と言わんばかりの目をしていた。獣姿で表情か分かりずらいというのに、その目は気持ちを雄弁に語っている。
『ルナ様……作戦なく足止めは無謀ですよ』
「あはは、やっぱりそうよね。でも魔神がどう出るか分からないし、無知の状態で作戦を練るのもアレだから」
 フェーリエは乾いた笑いをした。かなり未知数の相手に、どう対応すべきか。
『そうですけど、自信満々に答えるから何か策があるのかと……期待して損しました』
『同感だ。無謀にも程がある』
「うう……ごめんなさい」
 二人から冷たい目で見つめられ、フェーリエは顔を伏せた。
『はぁ……アウラ、魔神の情報を教えてくれ。あれは今どういう状態なんだ?』
 ため息をついたユースは、アウラに目線を向け冷静に問う。この中で魔神に詳しいのはアウラしか居ないのだから、その行為は正しい。
『詳しくは分かりませんが、ウルティムと言う人物は存在していました。ドルミート町で分かっていますので、それは間違いないでしょう。なので、魔神の器とされている可能性が高いでしょうね』
「器?........なるほど、そういう事ね」
『何を納得したんだ?俺が分かるように説明してくれ』
 普段語るだけ語ってしまうフェーリエに、彼が分かるように話を砕いてくれとユースは頼む。いつもの説明では分からないのだろうか。それは悪い事をした。
「えっと........仮契約をした時にちょっと違和感を感じまして。アウラとは直ぐに本契約を結んだので気のせいかと思ってたんですけど........」
『違和感?』
「はい。結ぶ縁が薄い気がしたんです。真名では無く実名だったので薄いのは当たり前なんですけど、糸が薄くてほとんど無いようなもので。やっと納得出来ました。器に宿っている者の名前じゃないからだったんですね」
 スッキリした顔で笑うフェーリエに、ユースは言葉を付け足した。
『つまり、ウルティムの中身が魔神で、契約時に使った名前と中身がそぐわないから違和感があったと』
「はい!そういう事です。糸が弱いと暴走した時とか制御しきれなくなるので、どうにかしようと思ってた矢先がこれですよ」
 ヤレヤレ、とフェーリエは肩を竦め首を振る。
 そしてユースは、何故それを早く言わなかった、と言いたげな目をしていた。

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