134 / 185
第五章 武闘会?いいえ舞踏会です
#132 社交界と言う名の戦場
しおりを挟む
フェーリエが住むウァリエタース王国は、貴族制が設けられている。
序列の上から公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士爵と言う名称が付いている。それぞれ、前世でよく読んだ小説と同じような役割が降られている。勿論、その役割の重要度によって同じ爵位の中でも序列が決まってくる。
かく言うクラヴィス伯爵家は領地を治めてはいるが、本来の仕事は別にあり、伯爵の中でも序列が高い。その理由は詳しくは教えて貰っていないが、王家がらみであるらしい。
それ故、秘密裏な役目を与えられているクラヴィス家を、グラディス伯爵家は敵視している。名前も似ているし。
グラディス家は武官の家だ。クラヴィス家とは領地が隣り合わせで、子だくさんのグラディス家の子供達は、よくクラヴィス家を訪れては何かと貶していった事を覚えている。
そんな中でも、ウィクトールは兄弟で来ることはなく、いつも一人だった。いつも一人で、胸に空いた穴を必死に埋めるかのように、クロリネを貶した。家ではなく、その家の跡取りを貶したのは、彼の歪んだプライドだったのだろうか。何を言われても兄はけろりとしていた。それがまた、ウィクトールの胸の穴を広げていたが、興味が無かったフェーリエは相手にしなかった。
そんな彼と、王城に入城しているフェーリエは、人生は何があるか分からないモノだと息を付いた。そもそも転生して記憶を持っている時点で、何があるか分からない。
馬車が止まる。付いたようだ。
外から賑やかな声が聞こえてくる。華やかな音楽の調べと、汚い噂を談笑する馬鹿な貴族達。
兄が扉を開けて一番に馬車を降りる。続いてウィクトールが降りると、外がざわつき出す。ウィクトールに差し出された手に、己の手を重ね、優雅な所作で馬車を降りる。
さあ、ここからは戦場だ。決して皮を脱がないように、隙を見せないようにしなければ。
「あれは、クラヴィス令嬢とグラディス家の……」
「まさか、婚約を?」
くだらない勘繰りをし始める婦人方に、飛び切りの笑顔を向け、膝を折る。
「ご機嫌よう」
「ご、ご機嫌よう」
婦人方はたじろぎ、声を詰まらせて上ずらせて挨拶を返した。咎められると思ったのだろうか。
社交界では、序列が下の者から上の者に声を掛けてはいけないという暗黙のルールがある。彼女たちは子爵以下の婦人。当然、伯爵家の方が序列が上だ。面倒だが、話しかけられないだけましだ。
「行きましょう、ウィクトール様」
「ああ」
ウィクトールに仮初めの笑顔を向け、長い階段を上る。
パーティー会場に足を踏み入れると、最も面倒臭い人物が声を掛けてきた。
「ご機嫌よう、フェーリエ様。随分とお久しぶりですわね」
フェーリエは笑顔が崩れないように意識しながら、声を掛けてきた人物に挨拶を返す。
「ご機嫌よう、イザベラ様。学院を卒業して以来屋敷から出ていないものですから……」
学院という言葉に、イザベラは眉を寄せて此方を睨む。
イザベラ=コンスルディア。コンスルディア侯爵家の次女であり、貴族学院の頃からフェーリエが最も苦手な人物である。
(さーて、戦いの始まりね)
フェーリエは心の中で悪い笑みを浮かべた。
序列の上から公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士爵と言う名称が付いている。それぞれ、前世でよく読んだ小説と同じような役割が降られている。勿論、その役割の重要度によって同じ爵位の中でも序列が決まってくる。
かく言うクラヴィス伯爵家は領地を治めてはいるが、本来の仕事は別にあり、伯爵の中でも序列が高い。その理由は詳しくは教えて貰っていないが、王家がらみであるらしい。
それ故、秘密裏な役目を与えられているクラヴィス家を、グラディス伯爵家は敵視している。名前も似ているし。
グラディス家は武官の家だ。クラヴィス家とは領地が隣り合わせで、子だくさんのグラディス家の子供達は、よくクラヴィス家を訪れては何かと貶していった事を覚えている。
そんな中でも、ウィクトールは兄弟で来ることはなく、いつも一人だった。いつも一人で、胸に空いた穴を必死に埋めるかのように、クロリネを貶した。家ではなく、その家の跡取りを貶したのは、彼の歪んだプライドだったのだろうか。何を言われても兄はけろりとしていた。それがまた、ウィクトールの胸の穴を広げていたが、興味が無かったフェーリエは相手にしなかった。
そんな彼と、王城に入城しているフェーリエは、人生は何があるか分からないモノだと息を付いた。そもそも転生して記憶を持っている時点で、何があるか分からない。
馬車が止まる。付いたようだ。
外から賑やかな声が聞こえてくる。華やかな音楽の調べと、汚い噂を談笑する馬鹿な貴族達。
兄が扉を開けて一番に馬車を降りる。続いてウィクトールが降りると、外がざわつき出す。ウィクトールに差し出された手に、己の手を重ね、優雅な所作で馬車を降りる。
さあ、ここからは戦場だ。決して皮を脱がないように、隙を見せないようにしなければ。
「あれは、クラヴィス令嬢とグラディス家の……」
「まさか、婚約を?」
くだらない勘繰りをし始める婦人方に、飛び切りの笑顔を向け、膝を折る。
「ご機嫌よう」
「ご、ご機嫌よう」
婦人方はたじろぎ、声を詰まらせて上ずらせて挨拶を返した。咎められると思ったのだろうか。
社交界では、序列が下の者から上の者に声を掛けてはいけないという暗黙のルールがある。彼女たちは子爵以下の婦人。当然、伯爵家の方が序列が上だ。面倒だが、話しかけられないだけましだ。
「行きましょう、ウィクトール様」
「ああ」
ウィクトールに仮初めの笑顔を向け、長い階段を上る。
パーティー会場に足を踏み入れると、最も面倒臭い人物が声を掛けてきた。
「ご機嫌よう、フェーリエ様。随分とお久しぶりですわね」
フェーリエは笑顔が崩れないように意識しながら、声を掛けてきた人物に挨拶を返す。
「ご機嫌よう、イザベラ様。学院を卒業して以来屋敷から出ていないものですから……」
学院という言葉に、イザベラは眉を寄せて此方を睨む。
イザベラ=コンスルディア。コンスルディア侯爵家の次女であり、貴族学院の頃からフェーリエが最も苦手な人物である。
(さーて、戦いの始まりね)
フェーリエは心の中で悪い笑みを浮かべた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
【完結済】悪役令嬢の妹様
紫
ファンタジー
星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。
そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。
ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。
やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。
―――アイシアお姉様は私が守る!
最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する!
※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる