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存在X
告白
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目を覚ますと、麗さんの胸の中にあったはずの僕の頭は、麗さんの膝の上にあった。
そして麗さんは僕を見下ろすような体勢で、俯いて寝息を立てていた。
麗さんを起こさないように、頭をゆっくりと退かして体を起こす。
座ったままで回れ右をして、麗さんの左隣で同じ向きで座り直すと。
「うーん……」
「あ、ごめん、起こした?」
「いや……あ、やべっ、今何時だ」
麗さんは慌ててスマホを取り出しチェックした。
「もう六限が終わる時間かよ。恵と亜希からラインが来まくってる。げえっ、鈴村からも来てるし。てか今は授業中なのに何やってんだか。とりあえずは『大丈夫』と送信」
麗さんは眠気眼でブツブツと良いながらスマホをいじっていた。
その様子を横から見ていた。
僕の視線に気づいた麗さんは、用のないスマホをスカートのポケットへ押し込んで微笑みかけてきた。
「膝枕してくれてありがとう」
「いいってことよ。それに憧れだっし。授業をサボって好きな男に膝枕をすることが。まぁ、こんなに早く夢が叶うとは思わなかったけどな」
「エ、ユメ? スキ?」
動揺した僕から出たのは片言の日本語。
「あっ……こんな形で告白するはめになるなんてな。失敗したな……最初からやり直していいか?」
「……プッ、アハハッ。なんだよそれ、告白にやり直しなんてないから」
「笑うなよ。好きだってのはマジだからな。凄く至恩が好きだから」
麗さんは照れながら真剣な眼差しを向けた。
決して誤魔化したり、茶化したりするのは失礼だと思った。
僕は真摯に向き合う。
「嬉しいです。ちなみに好きになった理由を聞いていい?」
この質問に麗さんは俯いてはにかむ。
こうして麗さんの女の子らしい所を見た僕はドキドキした。
こんなギャップを見せられたら男子はキュンと来てしまうもの。
こういうのが切っ掛けで恋が芽生えたりするのかなあと思った。
俯いていた麗さんが顔を上げ、いきなりデコピンをしてきた。
「そんな恥ずかしいことを聞くなバカ」
「そうだね、ごめん」
「別に謝らなくていい」
こんな麗さんを見るのも初めてだ。
いつもの男らしさは抜け、所作は女の子そのものでとても可愛いい。
そしてちょっぴり面倒くさくもあった。
麗さんは「それでな」と前置きしてから語り始めた。
「私が至恩に惚れた理由はな、堂々と浜口に立ち向かった姿だったんだ」
「恵さんと白井先生の助けが来るまで何も出来なかったけどね」
麗さんは「違う」と言って首を振り、悲しそうな目でじっと僕を見た。
「私は中学校の陸上部の先輩たちからいじめを受けていた。至恩のように立ち向かう勇気は無かったよ」
「え、麗さんが? 嘘でしょ?」
「嘘じゃない。本当はダメダメな女なんだ。男っぽく振る舞っているのは強がりだ」
僕は首を振り否定する。
「駄目な女の子じゃない。麗さんだって浜口に立ち向かったじゃないか」
麗さんは屋上へ出るドアの小窓の向こう側を遠い目で見た。
薄暗い梅雨空。
なんとなく今の空模様は麗さんの心情を表しているような気がした。
麗さんは淡々と語る。
「全中陸上で一位になった私を先輩たちは良く思ってはいなかったみたい。男には言えないようないじめを受けていた」
どういういじめにあっていたのか容易に想像できる。
こういう時はなんて声をかけていいのか分からない。
何も思い付かず麗さんの辛い過去を聴くことしかできなかった。
「私は陸上部が嫌いになって辞めた。それで中途半端な悪になって荒れた毎日。見た目がアレなもんで、いじめられることは無くなったが、夢と友達を同事に失ったよ」
いじめられる心の痛みはよく理解できる。
麗さんは僕と同じ悩みを抱えていた。
そして僕は気づかされた。
皆も何かを抱えて生きている。
恵さんは僕に会えなかった日々と、目覚めた僕が別人格だったことにショックを受けた事に。
亜希は二重人格である事を言えずに僕を傷つけてはいけないと一人で悩んでいたことに。
母さんは父さんに先立たれ、悲しみを隠しながらも僕と亜希を育てている事に。
そして僕自身は記憶喪失と多重人格の病気を患っている事に。
皆がそれぞれトラウマを抱えている。
不幸なのは僕とバッタもに限ったことじゃない。
皆が辛い過去を背負い、厳しい現実に向き合って生きている。
ならこのトラウマをどう解決するべきか。
一人だけでは難しい。
だから皆で支え合えばいい。
どんな困難も協力しあえば乗り越えて行けるはず。
僕はここまで来れたのは皆の協力があってこそ。
だからその恩に報いたい。
今やるべきことは、隣の麗さんに励ますこと。
僕は浮かんでくるありのままの言葉を麗さんへ伝えた。
「誰だって悩みやトラウマを抱えて生きているんだ。つらい過去があってこれから先も大変なことが待ち受けているかもしれない。それでも人は必死に生きていくんだ。過去の悲しみや苦しみを振り払え。麗さんは走って、走って、走りまくって過去を置いてきぼりにすればいいんだ。麗さんは足が速いからこのまま人生を駆け抜けて。そして金メダルを掴み獲ればいい。金メダルが麗さんの辛い過去を栄光へ塗り替えてくれる。僕は麗さんを応援する。勝手な僕の期待だけど麗さんならやれる。頑張れ」
麗さんはドアの小窓から視線を僕へ移す。
一瞬驚いたような表情を見せる。
けれどすぐに無邪気にシシシと笑った。
「こんなにも情熱的に励まされたのは初めてだ」
「あ……いや、ごめん。興奮していたせいで、言ったことを全然覚えてない」
「凄かったさ」
「僕は凄いことを言ったかな?」
「少なくてもこの私には響いた。ありがとう至恩。まったく参ったよ。至恩を励ますつもりが逆に励まされたな」
麗さんの声は微かに震え、目からは涙が溢れ落ちそうになっていた。
憂いの表情に扉の小窓から差し込む光があたる。
雲間から射す光芒だった。
潤む麗さんの目は輝く。
僕を見つめる麗さんの目は、いつものような強気で勇ましさはない。
目尻からは一粒の涙が零れ落ちていった。
「なあ至恩、突然だけど肩を貸してくれ」
麗さんの頭が僕の肩へ。
髪から香るフローラルの匂い。
この甘い匂いが僕の理性を狂わせる。
麗さんの腰へ右手をまわそうとしたら、六限の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「そろそろ部室へ行くか。至恩の元気な姿を見せてやらねえと、皆が不安がるからな」
「そうだね」
安心した半面、少し残念な気持ちもあった。
複雑な感情を抱えたまま階段を下り始めると、麗さんから呼び止められて振り返った。
「膝枕、肩への寄りかかり、私の腰に手を回そうとしたことは、恵には黙っててやる。感謝しろよ至恩」
麗さんは白い歯を見せて「シシシ」と笑う。
愛嬌のある笑顔が僕の心を揺さぶった。
扉の小窓から差し込む陽光が踊り場に立つ麗さんの背を照らす。
後光を纏う麗さんは天使のようだった。
そして麗さんは僕を見下ろすような体勢で、俯いて寝息を立てていた。
麗さんを起こさないように、頭をゆっくりと退かして体を起こす。
座ったままで回れ右をして、麗さんの左隣で同じ向きで座り直すと。
「うーん……」
「あ、ごめん、起こした?」
「いや……あ、やべっ、今何時だ」
麗さんは慌ててスマホを取り出しチェックした。
「もう六限が終わる時間かよ。恵と亜希からラインが来まくってる。げえっ、鈴村からも来てるし。てか今は授業中なのに何やってんだか。とりあえずは『大丈夫』と送信」
麗さんは眠気眼でブツブツと良いながらスマホをいじっていた。
その様子を横から見ていた。
僕の視線に気づいた麗さんは、用のないスマホをスカートのポケットへ押し込んで微笑みかけてきた。
「膝枕してくれてありがとう」
「いいってことよ。それに憧れだっし。授業をサボって好きな男に膝枕をすることが。まぁ、こんなに早く夢が叶うとは思わなかったけどな」
「エ、ユメ? スキ?」
動揺した僕から出たのは片言の日本語。
「あっ……こんな形で告白するはめになるなんてな。失敗したな……最初からやり直していいか?」
「……プッ、アハハッ。なんだよそれ、告白にやり直しなんてないから」
「笑うなよ。好きだってのはマジだからな。凄く至恩が好きだから」
麗さんは照れながら真剣な眼差しを向けた。
決して誤魔化したり、茶化したりするのは失礼だと思った。
僕は真摯に向き合う。
「嬉しいです。ちなみに好きになった理由を聞いていい?」
この質問に麗さんは俯いてはにかむ。
こうして麗さんの女の子らしい所を見た僕はドキドキした。
こんなギャップを見せられたら男子はキュンと来てしまうもの。
こういうのが切っ掛けで恋が芽生えたりするのかなあと思った。
俯いていた麗さんが顔を上げ、いきなりデコピンをしてきた。
「そんな恥ずかしいことを聞くなバカ」
「そうだね、ごめん」
「別に謝らなくていい」
こんな麗さんを見るのも初めてだ。
いつもの男らしさは抜け、所作は女の子そのものでとても可愛いい。
そしてちょっぴり面倒くさくもあった。
麗さんは「それでな」と前置きしてから語り始めた。
「私が至恩に惚れた理由はな、堂々と浜口に立ち向かった姿だったんだ」
「恵さんと白井先生の助けが来るまで何も出来なかったけどね」
麗さんは「違う」と言って首を振り、悲しそうな目でじっと僕を見た。
「私は中学校の陸上部の先輩たちからいじめを受けていた。至恩のように立ち向かう勇気は無かったよ」
「え、麗さんが? 嘘でしょ?」
「嘘じゃない。本当はダメダメな女なんだ。男っぽく振る舞っているのは強がりだ」
僕は首を振り否定する。
「駄目な女の子じゃない。麗さんだって浜口に立ち向かったじゃないか」
麗さんは屋上へ出るドアの小窓の向こう側を遠い目で見た。
薄暗い梅雨空。
なんとなく今の空模様は麗さんの心情を表しているような気がした。
麗さんは淡々と語る。
「全中陸上で一位になった私を先輩たちは良く思ってはいなかったみたい。男には言えないようないじめを受けていた」
どういういじめにあっていたのか容易に想像できる。
こういう時はなんて声をかけていいのか分からない。
何も思い付かず麗さんの辛い過去を聴くことしかできなかった。
「私は陸上部が嫌いになって辞めた。それで中途半端な悪になって荒れた毎日。見た目がアレなもんで、いじめられることは無くなったが、夢と友達を同事に失ったよ」
いじめられる心の痛みはよく理解できる。
麗さんは僕と同じ悩みを抱えていた。
そして僕は気づかされた。
皆も何かを抱えて生きている。
恵さんは僕に会えなかった日々と、目覚めた僕が別人格だったことにショックを受けた事に。
亜希は二重人格である事を言えずに僕を傷つけてはいけないと一人で悩んでいたことに。
母さんは父さんに先立たれ、悲しみを隠しながらも僕と亜希を育てている事に。
そして僕自身は記憶喪失と多重人格の病気を患っている事に。
皆がそれぞれトラウマを抱えている。
不幸なのは僕とバッタもに限ったことじゃない。
皆が辛い過去を背負い、厳しい現実に向き合って生きている。
ならこのトラウマをどう解決するべきか。
一人だけでは難しい。
だから皆で支え合えばいい。
どんな困難も協力しあえば乗り越えて行けるはず。
僕はここまで来れたのは皆の協力があってこそ。
だからその恩に報いたい。
今やるべきことは、隣の麗さんに励ますこと。
僕は浮かんでくるありのままの言葉を麗さんへ伝えた。
「誰だって悩みやトラウマを抱えて生きているんだ。つらい過去があってこれから先も大変なことが待ち受けているかもしれない。それでも人は必死に生きていくんだ。過去の悲しみや苦しみを振り払え。麗さんは走って、走って、走りまくって過去を置いてきぼりにすればいいんだ。麗さんは足が速いからこのまま人生を駆け抜けて。そして金メダルを掴み獲ればいい。金メダルが麗さんの辛い過去を栄光へ塗り替えてくれる。僕は麗さんを応援する。勝手な僕の期待だけど麗さんならやれる。頑張れ」
麗さんはドアの小窓から視線を僕へ移す。
一瞬驚いたような表情を見せる。
けれどすぐに無邪気にシシシと笑った。
「こんなにも情熱的に励まされたのは初めてだ」
「あ……いや、ごめん。興奮していたせいで、言ったことを全然覚えてない」
「凄かったさ」
「僕は凄いことを言ったかな?」
「少なくてもこの私には響いた。ありがとう至恩。まったく参ったよ。至恩を励ますつもりが逆に励まされたな」
麗さんの声は微かに震え、目からは涙が溢れ落ちそうになっていた。
憂いの表情に扉の小窓から差し込む光があたる。
雲間から射す光芒だった。
潤む麗さんの目は輝く。
僕を見つめる麗さんの目は、いつものような強気で勇ましさはない。
目尻からは一粒の涙が零れ落ちていった。
「なあ至恩、突然だけど肩を貸してくれ」
麗さんの頭が僕の肩へ。
髪から香るフローラルの匂い。
この甘い匂いが僕の理性を狂わせる。
麗さんの腰へ右手をまわそうとしたら、六限の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「そろそろ部室へ行くか。至恩の元気な姿を見せてやらねえと、皆が不安がるからな」
「そうだね」
安心した半面、少し残念な気持ちもあった。
複雑な感情を抱えたまま階段を下り始めると、麗さんから呼び止められて振り返った。
「膝枕、肩への寄りかかり、私の腰に手を回そうとしたことは、恵には黙っててやる。感謝しろよ至恩」
麗さんは白い歯を見せて「シシシ」と笑う。
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