17 / 27
2018年 5月 鬼母日記
しおりを挟む
・5月3日 かあさん、何様ですか
介護度変更の調査の後、精神科のドクターの話があると言われ、病院に行った。
かあさんは部屋にいなかった。
夫がドクターの話を聞きに行って、話が終わって戻ってきてもかあさんが部屋に戻らないので、看護師詰所で聞いたら、食堂にいるのでは?と言うので、夫が迎えに行った。
私がかあさんの部屋で待っていると、親子揃って戻って来た。
夫はかあさんと手なんかつなぎたくない。
だけど、かあさんがよろけると困るから、かあさんの服の袖をつかんで戻ってきた。
かあさんは、
もう晩ごはん食べたかいな~
とつぶやいていた。
まだ4時前だけど。
部屋に戻る途中、他の人の部屋に入って行こうとしたらしい。
夫が、
違うで!他の人の部屋やで
と言うと、かあさん、
ああそうやで
部屋の前に名前が書いてあるがな
とすぐに答えたらしい。
いつものことだけど、よく瞬時にそんな言葉が出てくるな~
と思う。
たった今自分が間違えて入って行こうとしたばかりなのに。
かあさん、元気そう。
部屋に戻ると私に、
なんで立ってるんや、そこに座り
と言う。
部屋に椅子は一つしかない。
私が夫に、
座ろか
椅子大きいから2人座れるかも
と言ったら、
かあさん、
あんたここに座り
と、夫に自分のベッドを指差す。
で、自分はベッドの横に立ってる。
私になんで立ってるんや?
と言うかあさんは、なんで立ってるんだか。
どういうつもり。
自分を何様だと思ってるのか。
患者様ですよ!
それも90過ぎた高齢者様ですよ!
ここに座りやあらへんがな
あんたここで寝ときや
あんたが病人やねんで
夫が呆れ顔で言った。
早く入居できる所を探した方がいいですよ
と、夫はドクターに言われたらしい。
一緒に暮らすのは無理ですよ
共倒れになりますよ
と言われたと言う。
本当にそう思う。
・5月5日 休日の朝が毎朝ほしい
ゴールデンウィーク、あともう少し。
夜更かしをしたから、朝寝坊する。
目覚まし時計に起こされることもなく。
あ~ しあわせだな~
年金だけで暮らしていける人は、毎朝こんな思いができるんだろうなぁ
でも、うちは違う。
月曜になったら目覚まし時計に叩き起こされ、睡眠不足の頭を持ち上げてバイトに行かないと。
年金だけじゃ、全然足りないんだから。
私の年金は、かあさんよりも少ない。
多分、かあさんの年金は、夫よりも私よりも多い。
なのに、かあさんの生活のために、かあさんの年金で足りない分を補わないといけない。
どういうこと?
かあさんが私の夫を産んだのだから、仕方ないのかな。
老後のために最低限の貯金をしないと。
と思って働いてきた私だけど、かあさんのおかげで計算通りに行かなくなった。
私は60をすぎた。
あと、どんだけ働ける?
70を過ぎた夫は、お金のこと、さほど気にしてない。
どこか物価の安い国に行って暮らすから、心配いらないんだって。
そうしたら私はもう稼げない。
かあさんの未来はまだ続くのかしら。
あとどんだけ続くのかしら。
私は、かあさんのために、私たちの未来を削ってるような気がしてならない。
かあさんみたいに長生きしたら悲惨なことになるかも。
頼る親族もいないし。
あ~
またぼやいてしまった。
考えないようにしよう。
ずっと楽しい夢を見て、眠っていたいなぁ
休日の朝のように。
・5日7日 物を溜め込む癖
台所を片付けようと思って、流し台の下の扉を開けた。
かあさんが物を捨てずにため込む人だとは知っていた。
だけど、なんでこんなに食料品をため込んでるんだろう。
10年以上前の缶詰、瓶詰め、食用油。
インスタント食品。
鏡餅が何年分も出てきた。
もしかしたら、レトルトの鏡餅がこの世に出現してからずっと、毎年の分があるんじゃないかと思うほど。
あと、食品が入ってたパッケージ。
スーパーのお弁当の容器とか、お肉のトレーとか、そういうのがぎゅうぎゅう詰め込まれている。
パンが入ってる袋も捨てずに棚の中とかに詰め込んでたので、それは気がついた時に引っ張り出して捨ててたんだけど。
そういうのは、認知症になる以前からだ。
使用済みの殺虫剤やスプレー缶を捨てずにため込んでたから、捨て方がわからないとか、面倒だとか、そういう理由だと思ってた。
でも、古い食品とかパッケージは、燃えるゴミで捨てられるのに。
そう言えば、2階に積み上げられた箱があって、開けてみたら多くは新品のタオルとかバスマットだったけど、中には高級な佃煮の詰め合わせや、海苔なんかもあった。
10年以上前のもの。
もったいなすぎる。
瓶詰めの栗の甘露煮は茶色に変色してる。
食品は消費すればいいのに。
まだまだ流し台の下から出てくるガラクタを見てると、
かあさん、ちょっとおかしいな。
って思う。
私もなかなか物が捨てられなくて、片付けられない人間だけど、いくらなんでもここまでじゃない。
かあさん、ちょっと異常だ。
そして、何かを捨てようとしたら、かあさんはすごく怒るのだ。
なんでそこまで物を持っていたいのだろう。
自分が死んだ後、誰かが片付けないといけないこと、考えもしないようだ。
ここまで来ると、ゴミ屋敷になりそうなもんだけと、この家は見かけは片付いている。
この家に来るお客さんはみんな、
きれいにしてますね~
って言うんだから。
幸い、この家には収納スペースがたくさんあった。
そして、長いあいだこの一軒家にかあさん1人で暮らしてた。
だから、見えない所になんでも詰め込んじゃえば見かけは片付いて見える。
この家は、見かけばかり気にしてたかあさんそのもの。
見た目はきれいにしてるけど、内側は汚い。
・5月8日 グループホームは無理でしょ
連休の合間の平日にケアマネさんが来て、近辺の高齢者福祉施設、高齢者住宅のリストを置いて行った。
ケアマネさんとは夫が話をした。
ケアマネさんはグループホームを奨めてくれたと言う。
グループホームなら、生涯暮らせるからと。
だけど、ケアマネさんはかあさんの実態を知らないと思う。
今のケアマネさんは、以前のケアマネさんが退職して3月からお世話になってる新しいケアマネさん。
ちょっと若い。
かあさんは若い人が好きだ。
このケアマネさんがうちに挨拶にやって来た時、いつも不機嫌なかあさんが、どれだけ上機嫌な顔してやさしげなかわいい声を出したか。
夫も私もぶっ飛びそうになった。
そんなかあさんの普段の様子は、あの時の様子からは想像できないに違いない。
グループホームは無理だと思う。
グループホームって、グループで共同生活するんだよね?
かあさん、すぐに嫌われ者になっちゃうと思う。
ま、どこに行ってもそうなるだろうけど。
かあさんは年寄りがきらいだし、自分が年寄りと思ってない。
絶対に人の言うことを聞かずにえらそうにすると思う。
そのうち誰かにイジメられたとか物を取られたとか言い出して、きつい大きな声で誰かをせめたてるに決まってる。
かあさんに共同生活は無理。
かあさんは、グループには入れないと思う。
・5月10日 かあさんの息子と娘の長電話
夫が、夫の妹と電話で話している。
かれこれ、1時間以上。
話題は、彼らの母親、かあさんのこと。
そりゃあ色々相談することもあるのだろう。
それにしても、話がつきないんだな~
耳を傾けると、かあさんがどんなにひどい人かを話してるみたい。
夫が、子供の頃からかあさんが何もしてくれなかったこと、どんなに冷たくされたかを延々と話している。
多分、夫の妹も同じ。
かあさんの悪口を言ってる。
それにしても、妹の方は、兄である私の夫に比べたらはるかにかあさんに大切にされてたんじゃないのかな。
結婚する時に、かあさんが大金をかけて嫁入り道具を用意したと聞いてる。
でも、かあさんは時々、
お嫁にやる時もあんなにお金をかけたのに
なんや、電話もかけてこんと!
と怒っていた。
かあさんは、息子じゃなくて娘の方を当てにしていて、娘に大切にしてもらいたくて娘にお金をかけたのかもしれない。
当ては外れたけど。
電話の長話は続く。
かあさんの話で、ようそんだけ盛り上がれるな~
ええっ、そんなこと言ったんか!
ひどいなー!
初めて聞いたわ、その話
今まで言ってなかったな?
そらひどいわ
と、夫。
どんなひどい話なんだか。
その後、電話を切ってからも、夫はぶつぶつ言い続けていた。
ひどいこと言うわ
やっぱりかあさん、ゾンビやな
なんでも、夫の妹は若い時、かあさんにかなりひどいことを言われたらしい。
ひどい話って何なん?
あまりにもひどいから言われへん
聞いたら夜、うなされるで
ええっ?!
夜うなされるほどひどいことって、いったい?
ま、いいわ。
とにかく、夫は私には言わない。
で、ひどいな~
とぶつぶつ言い続けている夫。
妹、かあさんの顔見たら、吐き気するって言ってたやろ
そら、そうなるのも無理ないわ
ふーん、そんなひどいこと言われたんや
なんかわからんけど、かあさんが飛び抜けてひどい人だってことは、わかったよ
多分、自分の子供を愛することができなかったかあさん。
母親に愛されなかった兄と妹、2人の絆は強いみたいね。
・5月11日 ホイホイ足を上げたかあさんの要介護度は?
かあさんの介護度変更の認定、まだ出ない。
今要介護1だけど、せめて2になることを期待してる。
だけど、同じように介護度が上がることを期待したけど上がらなかった前歴あり。
その理由は多分、身体の機能がさほど衰えてなかったこと。
認知症は進んでいたのに。
今回だって、身体の状態はあまり変わらない。
だけど、色んなことができないのは、身体が動かないせいじゃなくて頭ん中がちゃんと働かないから。
調査の時、歩いてと言えば、元気そうに歩く。
ベッドの上で足上げてと言えば、ホイホイ足上げた。
でも足上がったからって何?
何のために足上げさせる?
足が上がったって、掃除も料理も洗濯もできない。
着替えだって満足にできない。
それだけ動けると、時として却って困る。
夜中にゴソゴソするし、玄関から出て行こうとするし。
もし、足上がるからって介護度が上がらないとしたら、こっちの身にもなってみて!と言いたくなる。
介護度を上げたいのは、特養に入ってほしいから。
なんで特養かと言うと、経済的負担を軽減させたいから。
あちこち老人ホームを見学し、話を聞く度にため息。
毎回思う。
お金持ちって、いいよね。
お金がたくさんあれば、いくらでもいい老人ホームに入れてあげられる。
すると、自分は介護から開放され、働く時間が確保できる。
まぁ、お金持ちはトシとってから働く必要ないかもしれないけど。
お金がなくて、トシとった親を老人ホームには入れられない家は、自分で面倒を見るしかない。
そうすると働く時間がなくなってしまう。
稼げない。
自分たちも高齢になって、いつまでも働けるわけじゃないのに。
未来はあまりにもお寒い状況になってしまう。
立ち行かなくなって介護度が上がらなくても特養に入れてもらえる状況になるまでがんばる?
あか~ん!
がんばれない!
特養に入ってもらえるよう、介護度を上げてもらわねば。
そのためには、トシとった親がもっと動けなくなるように願わないといけないの?
理不尽な話だな。
・5月13日 夜中のゴソゴソは頭の体操?
今かあさんは、精神科の病院に入院中。
夜は静かになり、動き回って音を立てるかあさんに悩まされることもなくなった。
おかげで、しばらくは割と眠れていた。
だけどここ1週間ほど、うまく眠れない。
ほとんど眠れない夜もある。
夜中に起き出して、ついスマホを手に取ってしまう。
ゲームとか、やってしまう。
あかんわ~
と思う。
これでは、昼間居眠りして夜ゴソゴソ活動してたかあさんと一緒だ。
なんか認知症に近づいてしまってる気がして焦る。
でも、ゲームは頭の体操になるからいいんだよ!
と自分で自分に言い訳する。
ふと、夜中にゴソゴソ色んな物をあっちにこっちに隠したり移動させたりするかあさんのことを思った。
以前、冷蔵庫を開けてゴソゴソしてるかあさんをこっそり観察したことがある。
かあさんは私が見てるのに気づかず、10分以上冷蔵庫開けっ放しでゴソゴソしてた。
私が冷凍してた食パンをフリーザーから出して中ほどに入れたり、野菜室に入れたり、また上に戻したり。
豆腐を上に入れたりまた下に移したり、バナナを野菜の下に詰め込んだり。
それはまるでパズルのよう。
あれをこっちに、これをあっちに。
そんなに冷蔵庫のドア開けっ放しじゃ、食べ物が傷んじゃうよ。
かあさんは昼夜問わず、特に夜中にそういう作業をする。
何考えながらそんなことしてるんだろう。
脳はかなり壊れているのに、それでも色々考えてそんなことしてるんだろうな~
ある意味、それはかあさんの頭の体操かな?
少なくとも何かを考えてるんだから。
居眠りしかしないなら、あっと言う間に脳の機能は失われてしまうかもしれない。
・5月16日 かあさんの住処、まだ探してます
サービス付き高齢者向け住宅を何ヶ所か見学したけど、生活費や介護費用を含めると、かあさんの年金だけで収まるサービス付き高齢者向け住宅なんてどこにもない。
そんな中、近所で一番安くつきそうなサービス付き高齢者向け住宅に見学に行った。
入り口入って早速、認知症のおばあさんと遭遇。
今日は外に出てへんなぁ
いいえ、出ましたよ
とスタッフ。
いーや、出てへんよ
出ましたよ
午前中に一緒に散歩に行ったでしょ
ええっ、出かけてへんて
この分じゃ認知症が進んだかあさんでも大丈夫そう。
それじゃ、お部屋をご案内しますねー!
案内してくれたスタッフは若い女の人。
前が保育園なんですよ
賑やかですよー!
にこにこしながら言う。
かあさんは耳が遠いからどんなに賑やかでもOKだ。
その後、料金のこととか色々説明してくれた。
認知症の方、たくさんいらっしゃいます!
看取りも実績あります!
と、にこにこしながら言うスタッフ。
何でも対応できるのが売りかな?
若くてかわいくて元気そうなスタッフ。
こんな人ならかあさん、絶対に気に入って上機嫌になっちゃうにちがいない。
他がダメならここにするかな~
・5月19日 かあさんの要介護が!
かあさんの要介護度が変更された。
その通知を見て、夫も私もぶっ飛んだ。
要介護 1 → 要介護 4
になった!
過去の経験から、過度に期待はしてなかったから、予想外だった。
せいぜい、
要介護 1 → 要介護 2
だと思ってた。
わかってくれた。
と思った。
思えば前回、認知症が進み、身体も弱ってたに関わらず介護度が上がらなかったのは、私たち介護をする側の訴えが足りなかったのかもしれない。
今にしてみれば。
実際のかあさんの状態より、元気そうにふるまうかあさんの様子が際立ってしまっていた。
家事は全部自分でするんですよ!
1人で住んでるんやから、何でも自分でやらなどうするの!
と言い放つかあさん。
夫も私もそれを聞いて、ただただあきれるだけだった。
そして、認知症はそういうものだから、わかってくれると思ってた。
かあさんは何でもできると自分で思い込んでいるけど、家事なんて何もできないこと。
今回もそう。
かあさんはすごく元気そうに歩いて見せて、かん高い声で滑舌よく喋った。
でも、今回は隠しようがなかった。
かあさんがそうとうの困ったさんであること。
だって、精神科に入院してるんだもの。
そして今回、私たちはかなり真剣に訴えた。
どんなに困っているか。
病院に調査に来た時、夫がかあさんの普段の様子を伝え、夜間に外に出ようとしたりトイレに頻繁に行くことを伝えた。
そして、夜間に何回くらいトイレに行くんですか?
と聞かれた時、かあさんがお世話になっている看護師さんが、20回くらい行く、ふらついて転けるかもしれないので一々付き添う。と証言してくれた。
それが効いたと思う。
それに今回は、かあさんの様子、私たちが介護する上で困ってることを紙に書いて調査に来た人に渡した。
そんな風に強く訴えたのは、介護をされている方のブログをたくさん読むようになり、みんなどうしてるかがわかるようになった結果。
介護度を決める上でどのくらい参考にしてもらえたかはわからないけど、話を盛ることなくできることもちゃんと書いたので、嘘偽りのないことはわかってもらえたと思う。
ともかく、これで特養に入れる可能性が出てきた。
そして、私たちが勝手に大変がってるだけじゃなくて、かあさんが世間から見ても介護が大変な状態に達してること、再認識。
と言うか、入院してるかあさんが、どんなにスタッフに大変な思いをさせてるかってことだよね。
お世話になってるスタッフさんには、本当に頭が下がる思い。
・5月23日 忘れられちゃいました
久しぶりに、入院してるかあさんに面会に行った。
2週間以上行ってなかったのだ。
かあさんはベッドで横になり、週刊誌を見ていた。
夫と私が来てるのに気がついて身を起こした。
何も言わない。
夫が、
この人、誰か覚えてるか?
と私のことを指差すと、
今考えてるんや
と、かあさん。
考えても思い出せないみたい。
忘れたんか?
毎晩ご飯作ってくれてたんやで
夫がそう言っても、
そうやったか~?
誰や
あんたの嫁さんか?
忘れられたみたいね。
もう私の名前はすっかり忘れて、思い出せないんだろうな。
晩ごはんだって、わかってるのは一瞬で、食べ終わったら誰に作ってもらったかどころか、食べたことさえ忘れちゃう毎日だったんだから仕方ない。
わしは誰かわかるか?
夫が自分で自分を指差すと、
え、何や
と、何でそんなこと聞くのかという顔。
わしや、覚えてるか?
かあちゃんの息子やろ
はははは、はは
と笑うかあさん。
こっちはさすがに覚えてるみたい。
そりゃ、そうだよね。
曲がりなりにも、70年の歴史があるんだもんね。
あんた、えらい背が伸びたな
と自分の息子を見て言うかあさん。
前回来た時は、えらい肥ったな
と言ってた。
それは間違いではない。
最近、お腹がかなり出てきた夫。
でも、夫の背は1ミリだって伸びてないと思う。
いったい、いつの頃と比べてるんだろう。
あ~あ、ついに私を忘れたな。
かあさん。
でも、いいよ。
どうせじきに忘れると思ったし、どっちにしろ、私がかあさんのためにしたことは、以前から何一つも覚えていてはくれなかった。
かあさんを追い出すように入院させて、その後かあさんのいない家でのびのび暮らしてることは、実際ちょっぴり後ろめたい気がしてた。
だから、私のこと、忘れてくれて幸いだ。
入院した日、自分の名前は言えたけど、書いてと言われたらちゃんとは書けなかったかあさん。
そのうち、息子の名前も、自分の名前も忘れちゃうのかな。
・5月25日 要介護度4になってからの混乱
かあさんが要介護4になった。
それはいいのだけど、そこまで上がることを考えてなかったので、混乱中。
実は、あちこち見学したサービス付き高齢者向け住宅の内の1ヶ所に入居を決めて、話を進めていた。
保証人の記入もお願いしに行って、申し込み用紙等の書類は提出するだけだった。
入居日を決めて、入院している病院に退院の日も告げていた。
そこに介護度アップの知らせ。
さっそく特養も決めて順番待ちをしないと。
と思ってケアマネさんに連絡し、あちこち検討した。
すると、
比較的近所に、2~3ヶ月で入居できそうな特養と、今建設中だけど2ヶ月待てば入居できそうな特養が見つかった。
さっそく見学に行ったけど、なかなかよさそう。
だけど…
入居を決めたサービス付き高齢者向け住宅はどうする?
1~2ヶ月だけの入居になってもかまわないとは言ってくれてるけど…
今入院してる病院でそのまま待機できればいいけど、もう6月の初めに退院すると伝えてしまっている。
引き延ばせないのか聞いてみたら、最長3ヶ月しか入院できない決まりだし、退院を3ヶ月以内で引き伸ばすにしても、次に入居できる所の入居日が決まっていないとダメだと言う。
どうするどうする?
夫がケアマネさんに相談したら、高くつく高齢者向け住宅に入居して待つより、老健に入居すれば?
と言われた。
で、老健にも見学に行き、申し込むことに。
サービス付き高齢者向け住宅は、すごく心苦しかったけど断ることに。
まだ正式な契約はしていなかった。
ところが老健に入所する日が定まらない。
かあさんが退院する日はもう決めてしまってるけど、その日はダメだとのこと。
少し早めの日を指定されたけど、病院の方が、その日の退院はダメだとのこと。
で、老健に違う日をお願いすると、かあさんが退院する日に来てと言う。
その日は、ダメだと言ってたのに。
夫はちょっとキレた。
夫の妹(かあさんの娘)もかあさんの退院、移動を手伝うために仕事の休みを取っており、それをまた変更してもらったようだけど、そうそう変更ばかりもできない。
特養の方は、順番待ちしても入れるとは限らず、徘徊する可能性があると、断られることがあるらしい。
本人と面会して会議にかけて…うまく行けば早めに入れるかもしれないけど、ダメならもう1ヶ所の方に望みを託さないと。
夫が全て連絡を取って、話を進めていたのだけど、いつもお世話になってるケアマネさんにその都度報告。
で、サービス付き高齢者住宅の担当の人や病院のケアマネさん、老健のケアマネさん、特養のケアマネさん、しょっちゅう夫のケータイに電話がかかり、夫もあちこち連絡を取ってるうち、なんか訳がわからなってくる。
ケアマネさんだって大変だろう。
さらに、夫はあまりにも複雑で面倒くさい入居申し込み用紙や書類を何ヶ所分も用意しなくちゃいけなくなって、ボヤき通し。
夫は、そういうことが嫌いなのだ。
かあさんがこんなに世話焼かすとは夢にも思わなんだ。
とボヤく、嘆く。
かあさんのおかげで大変だよ、ほんとに。
かあさんは何も知らずに、今でも息子(私の夫)は何もしてくれない。何も助けてくれない。と思ってるんだろうな~
息子だけじゃなく、こんなに大勢の人がかあさんのために頑張っているというのに。
かあさん、今日も、朝ごはん食べたことも昼ごはん食べたことも忘れ、朝から何も食べてない、誰も何もしてくれない。
などとボヤいているのかな。
・5月27日 かあさんの宝物の価値
入院してるかあさんと面会して、帰ろうとした時にかあさんが、
なんか聞かなあかんことがあってんけど
と言う。
なんやったやろ、どうしても聞かなあかんと思ってたんやけど
どうしても聞かなあかんことも忘れちゃうんだな。
帰るわ~
じゃあね、かあさん。
思い出すまで待てないし、かあさんがどうしても聞かなあかんことって、面倒くさい話に決まってる。
そして、夫と私は忘れたことを思い出そうとしてるかあさんを残して、その場を後にした。
きっとすぐに、何かを思い出そうとしてたことも忘れるんだから。
多分、財布のことか、着物のことだ。
どうしても聞きたいことって。
財布は持ち込めないし、かあさんのお小遣いのお金は病院に預けてるけど、そんなこと言っても絶対に理解してもらえない。
着物は、かあさんの一番大切な物。
若い頃から、我が子にお小遣いもあげずに自分の着物を買い集めていた。
それが誰かに取られてないか、防虫剤が切れて虫に食われてないか。
かあさんはしょっちゅう気にしていた。
長い間着ていない着物がなんでそんなに大切なんだろう。
形見にしたらありがたがられると思ってるのかな。
かあさんの娘も孫も、かあさんの地味な着物なんか欲しがらないと思うけど。
それとも、高く売れるかな。
気になって、夫が、着物の箱に書いてあった着物の店に電話をかけた。
お宅の店で買った着物がたくさんうちにあって、もう使わないんだけど、どこか買い取ってもらえる所ありますか。
みたいな感じで。
すると、高く買い取ってもらうのは無理と言われた。
お店の人が言うには、着物は着る人に合わせて仕立てると、もう売れる物ではない。
着る本人には価値ある物でも、それ以外の価値はゼロってこと。
確かに、かあさんはかなり小柄だったから、合う人は少なくて売りにくいかも。
そんな、何の価値もない着物が、かあさんの家にはたくさんあって、私が管理してる。
定期的に、防虫剤を入れ替えて。
防虫剤の方が高いよね、きっと。
・5月30日 胃腸が丈夫な親子
ひどくお腹を壊した。
夜中に何度もトイレに行った。
外がうるさくて、その上にお腹が痛いし、気分が悪くて眠れない。
バイクの音がして、新聞配達?もう朝方かと思ったら2時すぎ。
それから4度もバイクがやってきた。
そしてクルマの音、やがてカラス、雀。
朝になって夫に、うるさくて眠れなかった。と言ったら、
あ、窓閉めるの忘れてた。と言う。
こんな体調悪い夜に。
バイト、休みたいけど休むって言いにくい。
電車に乗って座っててもしんどくてたまらない。
到着した駅で歩き出したとたん、ひどい吐き気。
やっぱり、これじゃあ仕事なんて、とてもとても無理だー!
トイレに駆け込み、胃の中のもの全部吐いた。
すると吐き気が止まり、仕事できるかもって気になり、職場に向かった。
しんどくてつらかったけど、なんとか半日のバイトを終えた。
全然食欲がなくて、ポカリスエットだけ飲んで、昼から眠りこけた。
夜、夫がお粥を作ってくれたので、食欲なかったけど無理して食べたら、しばらくして全部吐いてしまった。
なんか、胃腸の機能が停止してしまったようだった。
あたるような物食べたり、食べすぎた記憶もないのに。
でも、疲れがたまってたし、睡眠不足も続いてた。
胃腸がちゃんと動かず、食欲もないなんて、身体が生きることを拒否してしまってるのでは?と思う。
ずーっと昔なら、点滴もポカリスエットもないし、食べられないまま食べずにいたら、死ぬだけかも。
そうしたら、老衰ってことになるのかな?
60すぎの私でも。
でも、昔の人は、こんなに簡単にお腹こわさないのでは?と思う。
かあさんは、とにかく胃腸が丈夫。
昔からよく食べる。
今だって食べたこと忘れて何度でも食べるけど、お腹を壊したなんて聞いたことがない。
風邪も引かない。
私は冬に風邪がなかなか治らず、かあさんに移したらどうしようと、毎日気にしながら暮らしたけど、かあさんが風邪を引くことはなかった。
夫もそうだ。
しょっちゅうしんどい、しんどいって言うくせに、お腹壊したりしないし、風邪もめったに引かない。
血圧は高めだけど。
やっぱり似てる、かあさんとその息子。
介護度変更の調査の後、精神科のドクターの話があると言われ、病院に行った。
かあさんは部屋にいなかった。
夫がドクターの話を聞きに行って、話が終わって戻ってきてもかあさんが部屋に戻らないので、看護師詰所で聞いたら、食堂にいるのでは?と言うので、夫が迎えに行った。
私がかあさんの部屋で待っていると、親子揃って戻って来た。
夫はかあさんと手なんかつなぎたくない。
だけど、かあさんがよろけると困るから、かあさんの服の袖をつかんで戻ってきた。
かあさんは、
もう晩ごはん食べたかいな~
とつぶやいていた。
まだ4時前だけど。
部屋に戻る途中、他の人の部屋に入って行こうとしたらしい。
夫が、
違うで!他の人の部屋やで
と言うと、かあさん、
ああそうやで
部屋の前に名前が書いてあるがな
とすぐに答えたらしい。
いつものことだけど、よく瞬時にそんな言葉が出てくるな~
と思う。
たった今自分が間違えて入って行こうとしたばかりなのに。
かあさん、元気そう。
部屋に戻ると私に、
なんで立ってるんや、そこに座り
と言う。
部屋に椅子は一つしかない。
私が夫に、
座ろか
椅子大きいから2人座れるかも
と言ったら、
かあさん、
あんたここに座り
と、夫に自分のベッドを指差す。
で、自分はベッドの横に立ってる。
私になんで立ってるんや?
と言うかあさんは、なんで立ってるんだか。
どういうつもり。
自分を何様だと思ってるのか。
患者様ですよ!
それも90過ぎた高齢者様ですよ!
ここに座りやあらへんがな
あんたここで寝ときや
あんたが病人やねんで
夫が呆れ顔で言った。
早く入居できる所を探した方がいいですよ
と、夫はドクターに言われたらしい。
一緒に暮らすのは無理ですよ
共倒れになりますよ
と言われたと言う。
本当にそう思う。
・5月5日 休日の朝が毎朝ほしい
ゴールデンウィーク、あともう少し。
夜更かしをしたから、朝寝坊する。
目覚まし時計に起こされることもなく。
あ~ しあわせだな~
年金だけで暮らしていける人は、毎朝こんな思いができるんだろうなぁ
でも、うちは違う。
月曜になったら目覚まし時計に叩き起こされ、睡眠不足の頭を持ち上げてバイトに行かないと。
年金だけじゃ、全然足りないんだから。
私の年金は、かあさんよりも少ない。
多分、かあさんの年金は、夫よりも私よりも多い。
なのに、かあさんの生活のために、かあさんの年金で足りない分を補わないといけない。
どういうこと?
かあさんが私の夫を産んだのだから、仕方ないのかな。
老後のために最低限の貯金をしないと。
と思って働いてきた私だけど、かあさんのおかげで計算通りに行かなくなった。
私は60をすぎた。
あと、どんだけ働ける?
70を過ぎた夫は、お金のこと、さほど気にしてない。
どこか物価の安い国に行って暮らすから、心配いらないんだって。
そうしたら私はもう稼げない。
かあさんの未来はまだ続くのかしら。
あとどんだけ続くのかしら。
私は、かあさんのために、私たちの未来を削ってるような気がしてならない。
かあさんみたいに長生きしたら悲惨なことになるかも。
頼る親族もいないし。
あ~
またぼやいてしまった。
考えないようにしよう。
ずっと楽しい夢を見て、眠っていたいなぁ
休日の朝のように。
・5日7日 物を溜め込む癖
台所を片付けようと思って、流し台の下の扉を開けた。
かあさんが物を捨てずにため込む人だとは知っていた。
だけど、なんでこんなに食料品をため込んでるんだろう。
10年以上前の缶詰、瓶詰め、食用油。
インスタント食品。
鏡餅が何年分も出てきた。
もしかしたら、レトルトの鏡餅がこの世に出現してからずっと、毎年の分があるんじゃないかと思うほど。
あと、食品が入ってたパッケージ。
スーパーのお弁当の容器とか、お肉のトレーとか、そういうのがぎゅうぎゅう詰め込まれている。
パンが入ってる袋も捨てずに棚の中とかに詰め込んでたので、それは気がついた時に引っ張り出して捨ててたんだけど。
そういうのは、認知症になる以前からだ。
使用済みの殺虫剤やスプレー缶を捨てずにため込んでたから、捨て方がわからないとか、面倒だとか、そういう理由だと思ってた。
でも、古い食品とかパッケージは、燃えるゴミで捨てられるのに。
そう言えば、2階に積み上げられた箱があって、開けてみたら多くは新品のタオルとかバスマットだったけど、中には高級な佃煮の詰め合わせや、海苔なんかもあった。
10年以上前のもの。
もったいなすぎる。
瓶詰めの栗の甘露煮は茶色に変色してる。
食品は消費すればいいのに。
まだまだ流し台の下から出てくるガラクタを見てると、
かあさん、ちょっとおかしいな。
って思う。
私もなかなか物が捨てられなくて、片付けられない人間だけど、いくらなんでもここまでじゃない。
かあさん、ちょっと異常だ。
そして、何かを捨てようとしたら、かあさんはすごく怒るのだ。
なんでそこまで物を持っていたいのだろう。
自分が死んだ後、誰かが片付けないといけないこと、考えもしないようだ。
ここまで来ると、ゴミ屋敷になりそうなもんだけと、この家は見かけは片付いている。
この家に来るお客さんはみんな、
きれいにしてますね~
って言うんだから。
幸い、この家には収納スペースがたくさんあった。
そして、長いあいだこの一軒家にかあさん1人で暮らしてた。
だから、見えない所になんでも詰め込んじゃえば見かけは片付いて見える。
この家は、見かけばかり気にしてたかあさんそのもの。
見た目はきれいにしてるけど、内側は汚い。
・5月8日 グループホームは無理でしょ
連休の合間の平日にケアマネさんが来て、近辺の高齢者福祉施設、高齢者住宅のリストを置いて行った。
ケアマネさんとは夫が話をした。
ケアマネさんはグループホームを奨めてくれたと言う。
グループホームなら、生涯暮らせるからと。
だけど、ケアマネさんはかあさんの実態を知らないと思う。
今のケアマネさんは、以前のケアマネさんが退職して3月からお世話になってる新しいケアマネさん。
ちょっと若い。
かあさんは若い人が好きだ。
このケアマネさんがうちに挨拶にやって来た時、いつも不機嫌なかあさんが、どれだけ上機嫌な顔してやさしげなかわいい声を出したか。
夫も私もぶっ飛びそうになった。
そんなかあさんの普段の様子は、あの時の様子からは想像できないに違いない。
グループホームは無理だと思う。
グループホームって、グループで共同生活するんだよね?
かあさん、すぐに嫌われ者になっちゃうと思う。
ま、どこに行ってもそうなるだろうけど。
かあさんは年寄りがきらいだし、自分が年寄りと思ってない。
絶対に人の言うことを聞かずにえらそうにすると思う。
そのうち誰かにイジメられたとか物を取られたとか言い出して、きつい大きな声で誰かをせめたてるに決まってる。
かあさんに共同生活は無理。
かあさんは、グループには入れないと思う。
・5月10日 かあさんの息子と娘の長電話
夫が、夫の妹と電話で話している。
かれこれ、1時間以上。
話題は、彼らの母親、かあさんのこと。
そりゃあ色々相談することもあるのだろう。
それにしても、話がつきないんだな~
耳を傾けると、かあさんがどんなにひどい人かを話してるみたい。
夫が、子供の頃からかあさんが何もしてくれなかったこと、どんなに冷たくされたかを延々と話している。
多分、夫の妹も同じ。
かあさんの悪口を言ってる。
それにしても、妹の方は、兄である私の夫に比べたらはるかにかあさんに大切にされてたんじゃないのかな。
結婚する時に、かあさんが大金をかけて嫁入り道具を用意したと聞いてる。
でも、かあさんは時々、
お嫁にやる時もあんなにお金をかけたのに
なんや、電話もかけてこんと!
と怒っていた。
かあさんは、息子じゃなくて娘の方を当てにしていて、娘に大切にしてもらいたくて娘にお金をかけたのかもしれない。
当ては外れたけど。
電話の長話は続く。
かあさんの話で、ようそんだけ盛り上がれるな~
ええっ、そんなこと言ったんか!
ひどいなー!
初めて聞いたわ、その話
今まで言ってなかったな?
そらひどいわ
と、夫。
どんなひどい話なんだか。
その後、電話を切ってからも、夫はぶつぶつ言い続けていた。
ひどいこと言うわ
やっぱりかあさん、ゾンビやな
なんでも、夫の妹は若い時、かあさんにかなりひどいことを言われたらしい。
ひどい話って何なん?
あまりにもひどいから言われへん
聞いたら夜、うなされるで
ええっ?!
夜うなされるほどひどいことって、いったい?
ま、いいわ。
とにかく、夫は私には言わない。
で、ひどいな~
とぶつぶつ言い続けている夫。
妹、かあさんの顔見たら、吐き気するって言ってたやろ
そら、そうなるのも無理ないわ
ふーん、そんなひどいこと言われたんや
なんかわからんけど、かあさんが飛び抜けてひどい人だってことは、わかったよ
多分、自分の子供を愛することができなかったかあさん。
母親に愛されなかった兄と妹、2人の絆は強いみたいね。
・5月11日 ホイホイ足を上げたかあさんの要介護度は?
かあさんの介護度変更の認定、まだ出ない。
今要介護1だけど、せめて2になることを期待してる。
だけど、同じように介護度が上がることを期待したけど上がらなかった前歴あり。
その理由は多分、身体の機能がさほど衰えてなかったこと。
認知症は進んでいたのに。
今回だって、身体の状態はあまり変わらない。
だけど、色んなことができないのは、身体が動かないせいじゃなくて頭ん中がちゃんと働かないから。
調査の時、歩いてと言えば、元気そうに歩く。
ベッドの上で足上げてと言えば、ホイホイ足上げた。
でも足上がったからって何?
何のために足上げさせる?
足が上がったって、掃除も料理も洗濯もできない。
着替えだって満足にできない。
それだけ動けると、時として却って困る。
夜中にゴソゴソするし、玄関から出て行こうとするし。
もし、足上がるからって介護度が上がらないとしたら、こっちの身にもなってみて!と言いたくなる。
介護度を上げたいのは、特養に入ってほしいから。
なんで特養かと言うと、経済的負担を軽減させたいから。
あちこち老人ホームを見学し、話を聞く度にため息。
毎回思う。
お金持ちって、いいよね。
お金がたくさんあれば、いくらでもいい老人ホームに入れてあげられる。
すると、自分は介護から開放され、働く時間が確保できる。
まぁ、お金持ちはトシとってから働く必要ないかもしれないけど。
お金がなくて、トシとった親を老人ホームには入れられない家は、自分で面倒を見るしかない。
そうすると働く時間がなくなってしまう。
稼げない。
自分たちも高齢になって、いつまでも働けるわけじゃないのに。
未来はあまりにもお寒い状況になってしまう。
立ち行かなくなって介護度が上がらなくても特養に入れてもらえる状況になるまでがんばる?
あか~ん!
がんばれない!
特養に入ってもらえるよう、介護度を上げてもらわねば。
そのためには、トシとった親がもっと動けなくなるように願わないといけないの?
理不尽な話だな。
・5月13日 夜中のゴソゴソは頭の体操?
今かあさんは、精神科の病院に入院中。
夜は静かになり、動き回って音を立てるかあさんに悩まされることもなくなった。
おかげで、しばらくは割と眠れていた。
だけどここ1週間ほど、うまく眠れない。
ほとんど眠れない夜もある。
夜中に起き出して、ついスマホを手に取ってしまう。
ゲームとか、やってしまう。
あかんわ~
と思う。
これでは、昼間居眠りして夜ゴソゴソ活動してたかあさんと一緒だ。
なんか認知症に近づいてしまってる気がして焦る。
でも、ゲームは頭の体操になるからいいんだよ!
と自分で自分に言い訳する。
ふと、夜中にゴソゴソ色んな物をあっちにこっちに隠したり移動させたりするかあさんのことを思った。
以前、冷蔵庫を開けてゴソゴソしてるかあさんをこっそり観察したことがある。
かあさんは私が見てるのに気づかず、10分以上冷蔵庫開けっ放しでゴソゴソしてた。
私が冷凍してた食パンをフリーザーから出して中ほどに入れたり、野菜室に入れたり、また上に戻したり。
豆腐を上に入れたりまた下に移したり、バナナを野菜の下に詰め込んだり。
それはまるでパズルのよう。
あれをこっちに、これをあっちに。
そんなに冷蔵庫のドア開けっ放しじゃ、食べ物が傷んじゃうよ。
かあさんは昼夜問わず、特に夜中にそういう作業をする。
何考えながらそんなことしてるんだろう。
脳はかなり壊れているのに、それでも色々考えてそんなことしてるんだろうな~
ある意味、それはかあさんの頭の体操かな?
少なくとも何かを考えてるんだから。
居眠りしかしないなら、あっと言う間に脳の機能は失われてしまうかもしれない。
・5月16日 かあさんの住処、まだ探してます
サービス付き高齢者向け住宅を何ヶ所か見学したけど、生活費や介護費用を含めると、かあさんの年金だけで収まるサービス付き高齢者向け住宅なんてどこにもない。
そんな中、近所で一番安くつきそうなサービス付き高齢者向け住宅に見学に行った。
入り口入って早速、認知症のおばあさんと遭遇。
今日は外に出てへんなぁ
いいえ、出ましたよ
とスタッフ。
いーや、出てへんよ
出ましたよ
午前中に一緒に散歩に行ったでしょ
ええっ、出かけてへんて
この分じゃ認知症が進んだかあさんでも大丈夫そう。
それじゃ、お部屋をご案内しますねー!
案内してくれたスタッフは若い女の人。
前が保育園なんですよ
賑やかですよー!
にこにこしながら言う。
かあさんは耳が遠いからどんなに賑やかでもOKだ。
その後、料金のこととか色々説明してくれた。
認知症の方、たくさんいらっしゃいます!
看取りも実績あります!
と、にこにこしながら言うスタッフ。
何でも対応できるのが売りかな?
若くてかわいくて元気そうなスタッフ。
こんな人ならかあさん、絶対に気に入って上機嫌になっちゃうにちがいない。
他がダメならここにするかな~
・5月19日 かあさんの要介護が!
かあさんの要介護度が変更された。
その通知を見て、夫も私もぶっ飛んだ。
要介護 1 → 要介護 4
になった!
過去の経験から、過度に期待はしてなかったから、予想外だった。
せいぜい、
要介護 1 → 要介護 2
だと思ってた。
わかってくれた。
と思った。
思えば前回、認知症が進み、身体も弱ってたに関わらず介護度が上がらなかったのは、私たち介護をする側の訴えが足りなかったのかもしれない。
今にしてみれば。
実際のかあさんの状態より、元気そうにふるまうかあさんの様子が際立ってしまっていた。
家事は全部自分でするんですよ!
1人で住んでるんやから、何でも自分でやらなどうするの!
と言い放つかあさん。
夫も私もそれを聞いて、ただただあきれるだけだった。
そして、認知症はそういうものだから、わかってくれると思ってた。
かあさんは何でもできると自分で思い込んでいるけど、家事なんて何もできないこと。
今回もそう。
かあさんはすごく元気そうに歩いて見せて、かん高い声で滑舌よく喋った。
でも、今回は隠しようがなかった。
かあさんがそうとうの困ったさんであること。
だって、精神科に入院してるんだもの。
そして今回、私たちはかなり真剣に訴えた。
どんなに困っているか。
病院に調査に来た時、夫がかあさんの普段の様子を伝え、夜間に外に出ようとしたりトイレに頻繁に行くことを伝えた。
そして、夜間に何回くらいトイレに行くんですか?
と聞かれた時、かあさんがお世話になっている看護師さんが、20回くらい行く、ふらついて転けるかもしれないので一々付き添う。と証言してくれた。
それが効いたと思う。
それに今回は、かあさんの様子、私たちが介護する上で困ってることを紙に書いて調査に来た人に渡した。
そんな風に強く訴えたのは、介護をされている方のブログをたくさん読むようになり、みんなどうしてるかがわかるようになった結果。
介護度を決める上でどのくらい参考にしてもらえたかはわからないけど、話を盛ることなくできることもちゃんと書いたので、嘘偽りのないことはわかってもらえたと思う。
ともかく、これで特養に入れる可能性が出てきた。
そして、私たちが勝手に大変がってるだけじゃなくて、かあさんが世間から見ても介護が大変な状態に達してること、再認識。
と言うか、入院してるかあさんが、どんなにスタッフに大変な思いをさせてるかってことだよね。
お世話になってるスタッフさんには、本当に頭が下がる思い。
・5月23日 忘れられちゃいました
久しぶりに、入院してるかあさんに面会に行った。
2週間以上行ってなかったのだ。
かあさんはベッドで横になり、週刊誌を見ていた。
夫と私が来てるのに気がついて身を起こした。
何も言わない。
夫が、
この人、誰か覚えてるか?
と私のことを指差すと、
今考えてるんや
と、かあさん。
考えても思い出せないみたい。
忘れたんか?
毎晩ご飯作ってくれてたんやで
夫がそう言っても、
そうやったか~?
誰や
あんたの嫁さんか?
忘れられたみたいね。
もう私の名前はすっかり忘れて、思い出せないんだろうな。
晩ごはんだって、わかってるのは一瞬で、食べ終わったら誰に作ってもらったかどころか、食べたことさえ忘れちゃう毎日だったんだから仕方ない。
わしは誰かわかるか?
夫が自分で自分を指差すと、
え、何や
と、何でそんなこと聞くのかという顔。
わしや、覚えてるか?
かあちゃんの息子やろ
はははは、はは
と笑うかあさん。
こっちはさすがに覚えてるみたい。
そりゃ、そうだよね。
曲がりなりにも、70年の歴史があるんだもんね。
あんた、えらい背が伸びたな
と自分の息子を見て言うかあさん。
前回来た時は、えらい肥ったな
と言ってた。
それは間違いではない。
最近、お腹がかなり出てきた夫。
でも、夫の背は1ミリだって伸びてないと思う。
いったい、いつの頃と比べてるんだろう。
あ~あ、ついに私を忘れたな。
かあさん。
でも、いいよ。
どうせじきに忘れると思ったし、どっちにしろ、私がかあさんのためにしたことは、以前から何一つも覚えていてはくれなかった。
かあさんを追い出すように入院させて、その後かあさんのいない家でのびのび暮らしてることは、実際ちょっぴり後ろめたい気がしてた。
だから、私のこと、忘れてくれて幸いだ。
入院した日、自分の名前は言えたけど、書いてと言われたらちゃんとは書けなかったかあさん。
そのうち、息子の名前も、自分の名前も忘れちゃうのかな。
・5月25日 要介護度4になってからの混乱
かあさんが要介護4になった。
それはいいのだけど、そこまで上がることを考えてなかったので、混乱中。
実は、あちこち見学したサービス付き高齢者向け住宅の内の1ヶ所に入居を決めて、話を進めていた。
保証人の記入もお願いしに行って、申し込み用紙等の書類は提出するだけだった。
入居日を決めて、入院している病院に退院の日も告げていた。
そこに介護度アップの知らせ。
さっそく特養も決めて順番待ちをしないと。
と思ってケアマネさんに連絡し、あちこち検討した。
すると、
比較的近所に、2~3ヶ月で入居できそうな特養と、今建設中だけど2ヶ月待てば入居できそうな特養が見つかった。
さっそく見学に行ったけど、なかなかよさそう。
だけど…
入居を決めたサービス付き高齢者向け住宅はどうする?
1~2ヶ月だけの入居になってもかまわないとは言ってくれてるけど…
今入院してる病院でそのまま待機できればいいけど、もう6月の初めに退院すると伝えてしまっている。
引き延ばせないのか聞いてみたら、最長3ヶ月しか入院できない決まりだし、退院を3ヶ月以内で引き伸ばすにしても、次に入居できる所の入居日が決まっていないとダメだと言う。
どうするどうする?
夫がケアマネさんに相談したら、高くつく高齢者向け住宅に入居して待つより、老健に入居すれば?
と言われた。
で、老健にも見学に行き、申し込むことに。
サービス付き高齢者向け住宅は、すごく心苦しかったけど断ることに。
まだ正式な契約はしていなかった。
ところが老健に入所する日が定まらない。
かあさんが退院する日はもう決めてしまってるけど、その日はダメだとのこと。
少し早めの日を指定されたけど、病院の方が、その日の退院はダメだとのこと。
で、老健に違う日をお願いすると、かあさんが退院する日に来てと言う。
その日は、ダメだと言ってたのに。
夫はちょっとキレた。
夫の妹(かあさんの娘)もかあさんの退院、移動を手伝うために仕事の休みを取っており、それをまた変更してもらったようだけど、そうそう変更ばかりもできない。
特養の方は、順番待ちしても入れるとは限らず、徘徊する可能性があると、断られることがあるらしい。
本人と面会して会議にかけて…うまく行けば早めに入れるかもしれないけど、ダメならもう1ヶ所の方に望みを託さないと。
夫が全て連絡を取って、話を進めていたのだけど、いつもお世話になってるケアマネさんにその都度報告。
で、サービス付き高齢者住宅の担当の人や病院のケアマネさん、老健のケアマネさん、特養のケアマネさん、しょっちゅう夫のケータイに電話がかかり、夫もあちこち連絡を取ってるうち、なんか訳がわからなってくる。
ケアマネさんだって大変だろう。
さらに、夫はあまりにも複雑で面倒くさい入居申し込み用紙や書類を何ヶ所分も用意しなくちゃいけなくなって、ボヤき通し。
夫は、そういうことが嫌いなのだ。
かあさんがこんなに世話焼かすとは夢にも思わなんだ。
とボヤく、嘆く。
かあさんのおかげで大変だよ、ほんとに。
かあさんは何も知らずに、今でも息子(私の夫)は何もしてくれない。何も助けてくれない。と思ってるんだろうな~
息子だけじゃなく、こんなに大勢の人がかあさんのために頑張っているというのに。
かあさん、今日も、朝ごはん食べたことも昼ごはん食べたことも忘れ、朝から何も食べてない、誰も何もしてくれない。
などとボヤいているのかな。
・5月27日 かあさんの宝物の価値
入院してるかあさんと面会して、帰ろうとした時にかあさんが、
なんか聞かなあかんことがあってんけど
と言う。
なんやったやろ、どうしても聞かなあかんと思ってたんやけど
どうしても聞かなあかんことも忘れちゃうんだな。
帰るわ~
じゃあね、かあさん。
思い出すまで待てないし、かあさんがどうしても聞かなあかんことって、面倒くさい話に決まってる。
そして、夫と私は忘れたことを思い出そうとしてるかあさんを残して、その場を後にした。
きっとすぐに、何かを思い出そうとしてたことも忘れるんだから。
多分、財布のことか、着物のことだ。
どうしても聞きたいことって。
財布は持ち込めないし、かあさんのお小遣いのお金は病院に預けてるけど、そんなこと言っても絶対に理解してもらえない。
着物は、かあさんの一番大切な物。
若い頃から、我が子にお小遣いもあげずに自分の着物を買い集めていた。
それが誰かに取られてないか、防虫剤が切れて虫に食われてないか。
かあさんはしょっちゅう気にしていた。
長い間着ていない着物がなんでそんなに大切なんだろう。
形見にしたらありがたがられると思ってるのかな。
かあさんの娘も孫も、かあさんの地味な着物なんか欲しがらないと思うけど。
それとも、高く売れるかな。
気になって、夫が、着物の箱に書いてあった着物の店に電話をかけた。
お宅の店で買った着物がたくさんうちにあって、もう使わないんだけど、どこか買い取ってもらえる所ありますか。
みたいな感じで。
すると、高く買い取ってもらうのは無理と言われた。
お店の人が言うには、着物は着る人に合わせて仕立てると、もう売れる物ではない。
着る本人には価値ある物でも、それ以外の価値はゼロってこと。
確かに、かあさんはかなり小柄だったから、合う人は少なくて売りにくいかも。
そんな、何の価値もない着物が、かあさんの家にはたくさんあって、私が管理してる。
定期的に、防虫剤を入れ替えて。
防虫剤の方が高いよね、きっと。
・5月30日 胃腸が丈夫な親子
ひどくお腹を壊した。
夜中に何度もトイレに行った。
外がうるさくて、その上にお腹が痛いし、気分が悪くて眠れない。
バイクの音がして、新聞配達?もう朝方かと思ったら2時すぎ。
それから4度もバイクがやってきた。
そしてクルマの音、やがてカラス、雀。
朝になって夫に、うるさくて眠れなかった。と言ったら、
あ、窓閉めるの忘れてた。と言う。
こんな体調悪い夜に。
バイト、休みたいけど休むって言いにくい。
電車に乗って座っててもしんどくてたまらない。
到着した駅で歩き出したとたん、ひどい吐き気。
やっぱり、これじゃあ仕事なんて、とてもとても無理だー!
トイレに駆け込み、胃の中のもの全部吐いた。
すると吐き気が止まり、仕事できるかもって気になり、職場に向かった。
しんどくてつらかったけど、なんとか半日のバイトを終えた。
全然食欲がなくて、ポカリスエットだけ飲んで、昼から眠りこけた。
夜、夫がお粥を作ってくれたので、食欲なかったけど無理して食べたら、しばらくして全部吐いてしまった。
なんか、胃腸の機能が停止してしまったようだった。
あたるような物食べたり、食べすぎた記憶もないのに。
でも、疲れがたまってたし、睡眠不足も続いてた。
胃腸がちゃんと動かず、食欲もないなんて、身体が生きることを拒否してしまってるのでは?と思う。
ずーっと昔なら、点滴もポカリスエットもないし、食べられないまま食べずにいたら、死ぬだけかも。
そうしたら、老衰ってことになるのかな?
60すぎの私でも。
でも、昔の人は、こんなに簡単にお腹こわさないのでは?と思う。
かあさんは、とにかく胃腸が丈夫。
昔からよく食べる。
今だって食べたこと忘れて何度でも食べるけど、お腹を壊したなんて聞いたことがない。
風邪も引かない。
私は冬に風邪がなかなか治らず、かあさんに移したらどうしようと、毎日気にしながら暮らしたけど、かあさんが風邪を引くことはなかった。
夫もそうだ。
しょっちゅうしんどい、しんどいって言うくせに、お腹壊したりしないし、風邪もめったに引かない。
血圧は高めだけど。
やっぱり似てる、かあさんとその息子。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる