悪役令嬢?ええ、喜んで地獄の底から幸せを掴みますけど何か?

タマ マコト

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第3話 黎明の誓い

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 夜の底が、わずかに薄まっていく。
 王都の南門はまだ半分眠っていて、見張り台の火は煤けた橙色を揺らすだけだ。石畳は夜露を吸って暗く光り、馬の鼻息が白くほどける。鐘は鳴らない。断罪者の出立に、祝砲は要らないという配慮。静けさは礼儀、沈黙は作法。

 私は扉の前で立ち止まり、息を吐いた。冷たい空気が胸の奥を洗う。
 机が持ち込まれ、役人が二人。帳簿と封蝋、木札。彼らの瞳は眠たげで、感情に布を被せたように鈍い。徹夜明けの誠実さ、とでも呼ぶべき疲労。

「氏名」

「……セリーヌ」

「姓は不要。追放者は単名で記録する」

 淡々とした言葉に、胸のどこかが乾いた音を立てて剥がれる。——結構。軽くなる。

「持ち出し品は二点。確認」

 布をかけた盆が私の前に差し出される。私は指先で布端を持ち上げた。中には、母の宝石箱と、書簡束。箱の留め金は真珠母貝、書簡は青い紐で束ねられている。どちらも、手のひらの温度をすぐ覚える品。

「宝石箱の中身は?」

「母の耳飾り、指輪、香水瓶がひとつ。価値は、私にとってだけ」

 役人は頷き、封蝋の色を確かめる。
 もう一人が書簡束を持ち上げ、重さを手で量るふりをした。

「書簡は誰から?」

「母から。全部」

 彼は一瞬だけ目を上げた。そこに、微かな人間の色が通り過ぎた——羨望か、同情か、ただの興味か。判断しない。感情の種類を仕分ける時間を、今は持ち合わせない。

「規則により、貴金属と紙類の持ち出しを許可。武具・薬品は不可」

「毒はそちらの台本に足りているでしょう?」

 冗談に聞こえるように、少しだけ口角を上げた。役人は反応を見せず、木札を二枚、私に渡す。『持ち出し許』と刻まれた粗い札。これを門番に見せ、国境の関で再び提示せよ、ということらしい。

 石段に降りると、城壁の影が背を撫でた。夜が最後の手つきをするみたいに、髪の毛を一本、静かに引く。振り向かない。振り向けば、昔の私も振り向いてしまうから。

 御者台で、若い男が立ち上がった。背は高くないが、手足がよく動きそうな筋肉。煤けた帽子の下、眠気と緊張が交互に瞳を叩いている。

「お、お迎えにあがりました。南の街道、古都ルヴァンまで」

「名は?」

「ピエールです。家令の……いや、今はただの御者です」

「ピエール。よろしく」

 私は宝石箱と書簡束を抱え、荷台に上がった。クッションのない板の硬さが、これからの道の質を正直に語る。布袋ひとつ、予備の外套ひとつ。王都が許した“追放のための最低限”。最低限は、自由への最短距離でもある。

 車輪がきしみ、馬が足を踏み出した。南門の巨大な扉は、巨人の肩のように重く、静かに開く。門番が木札を確かめ、無言で頷き、手袋の手で空気を押すように合図する。私は礼をし、石の境界を越えた。

 城壁の外は、夜と朝のあいだ。光がまだ色を選びきれず、世界の輪郭だけを鉛筆で描いたみたいに曖昧だ。畑は霜の薄い膜を被り、川の表面には灰色の光がぺたりと貼り付いている。鳥が一羽、低く飛び、私たちの影を跨いだ。

「寒くはありませんか」

 ピエールが振り返らずに言う。
「寒いわ。でも動けば温まる」

「……ここから先は、起伏が多いです。揺れます。酔うかも」

「香に酔うよりはまし」

 それを聞いたピエールが、ふ、と笑った。
「王都の香は、強すぎますから」

「酔わせるための香は、政治と同じ。強くして、鈍くする」

 私がそう言うと、彼は少しだけ首を傾けた。理解しようとする誠実さ。若いということは、誠実さをもてあますことでもある。悪くない。

 荷台の板に背を当て、私は宝石箱の留め金に指をかけた。金属が小さく鳴り、蓋が開く。白い内張りに、真珠の耳飾りが二つ、銀の指輪がひとつ。母の香水瓶は、薄い青。匂いを嗅ぐと、柑橘と白い花の気配が、ほんの少しだけ残っていた。——記憶の匂い。時間のほうが先に蒸発してしまった香り。

 書簡束の一番上をめくる。見慣れた筆跡が踊る。
《セリーヌ。誇りは、誰にも渡さないのよ。たとえ愛している人であっても——いいえ、愛している人にこそ》
 紙の手触りは乾いていて、指の腹にささくれみたいなざらつきを残す。私は息を吸い、紙に頬を寄せた。

 馬車の窓枠はない。ただ、荷台の縁に手をかければ、世界が流れていくのが見える。私は板の隙間に指を入れ、磨かれた木に自分の顔を映した。ぼんやりとした輪郭の中で、瞳だけがはっきりしている。氷のように静かで、炎のように明るい。燃えているのに、熱は内側へ巻き込んでいる。

 ——許さない。
 言葉は、唇の内側で形になり、喉を通らず、血に溶ける。
 許さないのは、誰? 王太子? 聖女? 役人たち? いいえ、世界。その全体。私を台本に押し込み、用意された役以外を演じる自由を“悪”と呼んだ世界。
 私は世界を“美しく”壊す。
 美しい、は嗜好ではない。方法論。乱暴に蹴倒すのではなく、切断面が光るように切ること。壊れた後に、新しい形が自然に立ち上がるように、余白を残すこと。血で字を書かないこと。血を隠さないこと。

「セリーヌさん」

「呼び捨てでいいわ」

「……セリーヌ。どこまで行くんです?」

「とりあえず、ルヴァン。そこから先は、私の足で決める」

「戻ってくるんですか、いつか」

「戻るわ。舞台を組み替えて、別の曲で踊れるようにしてから」

 ピエールは頷き、手綱を軽く鳴らす。馬の耳がぴくりと動く。道は緩く下り、両脇の林は密度を増す。梢の影が編み目になって車上にかかる。影の線の中に、私は自分の骨組みを重ねた。
 頭蓋に、計算の歯車がはまり込む。眠っていた部位が、やわらかく目を覚ます感覚。怖くはない。懐かしい。
 宮廷に入る前の、あの頃。私は計算が得意だった。人の声のテンポ、仕草のアール、視線の滑り。すべてが数値に見えて、最適解が自然に浮かび上がる。婚約者として“感じのいい人”を演じるために、それを使った。
 今日からは、別のために使う。
 復讐のために。
 破壊のために。
 再生のために。

 道端で、老婆が干し草の束を背負って立っていた。歯のない口で「王都はどうだい」と言う。
「香りが強すぎる」と答えると、彼女は喉を鳴らして笑った。
「鼻が馬鹿になっちまうね」
「だから、外に出る」
「外の空気は、腹が減るよ」
「働けばいい」
 老婆は満足げに頷き、干し草を背負い直して、畑の小道へ消えた。ピエールが肩をすくめる。

「珍しい会話だ」

「そう? 王都では珍しいでしょうけれど、世界には普通よ」

「世界……か」

 彼の呟きが、足元の石に吸い込まれていく。
 やがて、空がうっすらと色を持ち始めた。夜の青に、桃色が差し、線香花火の最後の粒みたいに、金がひとつ、ふたつ散る。鳥が本格的に鳴き出し、遠くで犬が応える。
 私は書簡束の別の手紙を開く。
《怒りは、すぐ武器になる。けれど刃こぼれしやすい。磨きなさい。あなたは磨くことができる子》
 母の声が、紙の上から時間を越えて届く。私は頷き、紙を戻す。
 磨く——そう、磨く。
 まずは名前。
 セリーヌ・ド・ベルローズ。——奪われた。ならば、仮名を纏う。
 セラ。
 短く、切れ味の良い音。呼ばれてすぐ振り返れる名。噂に残りやすく、忘れられやすい名。
 私は荷台に指で〈SERA〉と書き、すぐ擦り消した。予行演習。指の腹に木の粉がつく。粉は、芯を削った後のような匂いがする。新しい字を書く匂い。

 街道が川に沿って曲がり、橋が現れた。石造りの古い橋。欄干に苔がつき、そこに朝露が溜まって宝石みたいに光る。ピエールが速度を落とす。

「橋の上は滑ります」

「滑るのは橋だけじゃない」

「え?」

「人の記憶も。昨夜の噂は、今日には滑って形を変える。明日には別の名前にくっつく」

「じゃあ、戻ってきたときは——」

「違う噂で迎えられる」

 橋の中央で、向こうから一台の荷馬車が来た。麦の束を積んでいる。御者は帽子のつばを指で触れて挨拶した。ピエールも同じように返す。
 すれ違いざま、荷馬車の後端から、一本の茎がほどけて風に舞った。細く、緑で、若い。私はそれを指先で掴み、膝の上に置く。
「芽は強い」
「はい?」
「踏まれても、伸びる」

 ピエールは答えの代わりに、手綱を鳴らした。
 橋を渡り切ると、王都の塔はもう背中の遠く、小さな影になっていた。胸の奥で何かが静かに終わり、同時に何かが始まった。それは痛みではなく、筋肉痛に似ている。使っていなかった部位を再び動かし始めた合図。

 道端に祠があり、壊れた祠の前で老婆と子どもが座っている。老婆は布を広げ、その上に薬草を並べている。私は馬車を止めさせ、小さな束を二つ買った。ミントと、ラベンダー。
 老婆が私の手を見て言う。
「都会の手だね」
「今日から田舎の手にする」
「指はきれいに動く。刃物には向いてる」
「刃物も香も、使いよう」
 老婆は笑い、子どもは私の宝石箱をじっと見た。私は蓋を少しだけ開けて、真珠を光らせた。子どもの瞳に小さな星が生まれ、すぐ消えた。
「これはね、昔話の光」
 子どもは首を傾げ、老婆が笑い、私は箱を閉じた。昔話は、今は要らない。

 太陽が完全に顔を出す少し前、空の下側が薄い金に染まった。草の先に乗った露が一斉に白く閃く。世界が息を吸う音が聞こえる気がした。
 私は荷台の板に掌を置き、指先で拍子をとる。
 一、二、三。
 呼吸と心臓の拍が重なる。
 ——やれる。
 その確信は、誰かに与えられた勇気ではない。自分で自分に手渡す種類のもの。自分で自分に負けないと誓うこと。負けるときもある。でも、負けっぱなしにはしない。

「セ……えっと、セラ、でいいですか」

 ピエールが振り返りもせずに言った。
 私の指が板に止まる。名が、空気に浮かぶ。
「いい名です。呼びやすい」

「ありがとう。あなたの耳は、良いわ」

「耳しか取り柄がなくて」

「目も悪くない。手綱の扱いがきれい」

 彼は照れたように肩を竦め、私は小さく笑った。笑いは剣。抜く時だけ光る。今は鞘にしまい、柄だけ温める。

 最初の丘を越える。背後の王都が見えなくなる。
 私は宝石箱を抱き直し、書簡束を胸に当てた。紙は冷たい。けれど、冷たさは熱を覚えるための布地でもある。
 母の言葉が、胸骨の内側に染み込む。
《あなたがあなたを必要としなさい》

「——はい」

 誰に聞かせるでもなく、声になって出た。
 馬が耳を動かし、革帯が鳴り、空に鳥が一筆書きを描く。
 夜明け前の最後の青が、金に溶ける。
 私は目を開けて、前を見た。

 地獄の底は、城壁の内側にあった。
 外は、意外なほど、呼吸がしやすい。

 許さない。
 必ず、美しく、壊す。
 そして——私の手で、組み直す。

 馬車は南へ。
 私は新しい名を胸の奥に収め、眠っていた計算を起こし、静かに、長い夜を背に置いた。
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