悪役令嬢?ええ、喜んで地獄の底から幸せを掴みますけど何か?

タマ マコト

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第13話 偶然という名の糸

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 蜂の巣の灯りが、ひそやかに呼吸を変えた。
 合図は一度。あとは演目の腹の中で、偶然を装って連鎖が起こる。
 床は低く鳴り、花は水面で震え、言葉は自分の重さに耐え切れず、すべる。

 最初にこぼれたのは、裾を引きずる廷臣の一人だった。仮面は豪奢、内側の頬は酒で薄桃色。彼は笑いながら、グラスの脚を指で弾き、隣の男に「替え玉契約」の自慢を始めた。

「いや実に……あの港の権利書、名義は妻の従弟にね。表向きは慈善のための委託だ。これぞ“善行”。税も軽く、世間の受けも良い」

「従弟は存在するのか」

「紙の上では。署名? ああ、印章は本物だとも。尻尾の角度をね、気にするのは職人だけだ。役人は数字の合計が合えば満足する」

 笑いが起こり、すぐ妙な静けさが返ってくる。《告白》は、誇りの面を軽く叩く。誇りは音を出したくなる。
 私は華奢な拍子木を手中で鳴らす。甲高くない、ほんの擦れる音だ。近くの楽師が一拍遅らせ、遠くの給仕が盆を低くし、視線の角度を少しだけ変える。
 廷臣の声は、今や柱の反響で“客席”に乗る。

「——替え玉の契約書、裏書きは“王の祝福”さ。あれが万能なんだ」

 誰かが咳をし、誰かが扇を閉じる。
 次の糸が引かれ、司祭崩れが立ち上がった。祭服の裾は今日も隠してあるが、舌は隠し損ねた。

「違う! 万能は“献金”だ。神の名をつければ、金はどこへでも流れる! 孤児院の屋根? 修繕のため? 書面の上では、いつでも修繕中だ。袋の中身は、裏門を通って、王都の地下を流れる。私は——私は何度も運んだ!」

 彼の声はさほど大きくない。けれど、祈りを反復して鍛えた横隔膜は真実を遠くに飛ばす。
 ざわめきが舞台装置を超えて場内の骨を叩く。
 聖女の扇がひと呼吸だけ速くなった。
 リリアーヌは笑う。正しい笑いだ。正しさは防波堤。でも、波は数を重ねれば堤を越える。

 そこへ、側近ラザールが、やってはいけない“自慢”の扉を開けた。
 よく磨かれた靴、良い布の袖、指先の黄ばみ。溶剤の匂い。
 《忘却》は彼を甘く撫で、舌のブレーキを半刻だけ緩めた。

「禁忌? はは、言葉が古い。錬金術は“管理”の学だ。花は冬に咲く。水は清められ、計量され、奇跡は“調整”される。どこが悪い。民は感動し、王家は安定する。費用? 予備費の範囲内だ。印章は二重押し——“慈善”と“祝福”。文句は、神に言え」

 神の名が雑に口に乗る。
 パスカールの指が、弦の上で一度だけ止まり、また動き出す。
 私は仮面の下、目を細めた。
 ここまでは、計画通り。
 最後の幕は、私の手で落とす。

 高座に上がる。紅の商人の裾が階段を撫で、蔦の彫金が光を喰う。
 レオナールの視線が一度こちらへ来て、逃げ、戻る。逃げ癖のある子の瞳。
 リリアーヌは扇を閉じたまま立っている。扇は閉じていても、微風の癖は消えない。肩の上下の幅で、彼女は場を撫でつけようとする。

「ごきげんよう、皆さま」

 紅の商人の声は甘い。甘いものは油断を呼ぶ。
 私は卓上に、二つの箱を置いた。
 ひとつは細長い木箱。母の遺した、濃紺のリボン。
 もうひとつは平たい鉄箱。公印の押された革封筒の束が入っている。

「今夜は仮面の夜。仮面は礼儀、仮面は慈善。——そして、仮面は舞台装置。ならば、舞台装置の裏側も、美しく見せましょう」

 私は木箱の紐を解く。
 箱の中には、母の遺書。香の薄い紙。その字は、冷えた心臓に火種を置く。
 部屋の空気が髪の毛一本ぶん重くなる。
 紙を手に、私は読み始めた——抜き出す場所は、決めてある。

《セリーヌへ。誇りを渡す。誇りは“誰のため”ではなく“どうため”に使いなさい。善の言葉で詰め物をされた箱は、軽い。軽い箱は、落ちる》

 母の声音が、会場の壁に目に見えない裂け目を作る。
 私は紙を置き、次に鉄箱を開く。
 封筒の角をひと折り。革のにおい。乾いた蝋。
 取り出したのは、公印入りの会計書類。
 “王の祝福”の金印が二重に押され、片方の尻尾が短い。ジルの指が見抜いた“癖”。
 私はそれを、王都の新聞記者が待つ裏口へ向かう風にさらすのではなく、ここで、光のもとに晒す。

「皆さま。『予備費』という美しい言葉をご存知でしょう?」

 笑いが起き、すぐ消える。
 私は書類を開き、読み上げる。
 数字は退屈だ。だからこそ、刃になる。
 読む声は淡々と。
 「——巡行費、装花費、楽師費、控え室修繕費、祝福の紙面費、賭場への寄付金返還費」
 笑いの気配が変質した。「賭場?」
 私は続ける。
 「それから、『慈善』の名を借りた“倉庫の花”の費用。仕入れ先、倉庫No.12、No.38。転送先、教会裏門。押印、財務官、側近。重ね押しの誤差——」

 私は書類を掲げ、短い尻尾の印を光の下で指さした。
 「これ。尻尾の長さが違う。奇跡の尻尾は、誤差で揺れる」

 ざわめき。
 扇が何本も閉じる音。
 誰かが、笑いながら、笑えない。
 ラザールの顎の筋が引きつる。
 彼は言おうとする。「偽造だ」
 その瞬間、ジルがひょいと前に出た。贋作師の指は誇らしげに美しい。

「偽造の言葉は嫌いだ。偽造は——もっと手間がかかる。これは“雑”。雑な本物ほど、たちが悪い。印章の石の欠け、蝋の温度、紙の水紋。全部、本物。だから“恥ずかしい”」

 会場のどこかで、乾いた笑いが割れ、すぐやむ。
 司祭崩れが手を合わせて、残り香のような祈りを吐く。「神は、香に弱い。紙にも弱い」

 私は母の遺書の上に、会計書類を重ねた。
 ——家族の骨と、王国の骨。
 骨のかち合う音は、よく響く。

「聖女リリアーヌ」

 名を呼ぶと、白い顔がこちらを向いた。
 笑いの設計図を持つ女の笑顔は、緊張したとき、口角ではなく“視線”が先に疲れる。
 彼女の視線が固くなるのを、私は見た。
 「あなたの“奇跡”は、美しかった。花は冬に咲いた。民は泣いた。王は安堵した。——だから、費用を払った。予備費で。祝福で。民の献金で。賭場の返還で」

 空気が、砂糖を焦がしすぎたときの匂いになる。
 リリアーヌの扇が、開かない。
 彼女は初めて、扇を“忘れた”。
 私は笑って、救いを差し出すふりをした。

「誰も、あなたが悪いとは言っていない。悪いのは“仕組み”。奇跡を台本にしたこと。台本を印章にしたこと。印章を神にしたこと。——だから、仕組みを見せた」

 彼女は黙っている。
 沈黙は武器だ。
 でも、今夜は刃が躊躇いを映す。
 なぜなら、《告白》が心の蝶番を撫でているから。
 なぜなら、《忘却》が、今夜だけは“縁”にとどまっているから。

「何者だ、お前は」

 殿上から、くぐもった声。
 誰かが不安に耐えかねて、問うた。
 私は紅の商人の仮面を指でなで、笑う。

「商人です。美しい落下を設計する、商人」

 ざわめき。
 挑発だとわかっていながら、誰も否定できない。
 レオナールが一歩、前に出た。顔は青い。目は泳がない。泳がせないように、必死に針を飲み込んでいる目。
 「——母の遺書、だと?」
 彼は震える声で言い、私の手元を見た。
 震えの質で、彼が何を見ているのかがわかる。
 彼は、私の“出自”ではなく、紙の文字を見ている。
 数字と文言。押印。
 彼は、王の子として、紙で世界を学んだ。
 紙は、彼の心臓を止める。

「レオナール殿下」

 名を呼んだのは私ではなかった。
 聖女リリアーヌだ。
 声は透明。台本のピッチ。
 「——これは、悪意です。悪意は世界を汚す。奇跡は世界を清める。あなたは、どちらを選びますか」

 美しい台詞。
 観客が安堵しかける。
 安堵は、落下の直前にだけ起きる現象。

「奇跡は台本どおり」
 殿下は、昼の言葉を夜に連れ戻した。
 「選びようがない。必要だから“用意”してきた。——僕は、それを今、嫌だと思っている」

 静寂。
 蜂の巣の灯りが一度、遠い。
 顔という顔から血の気が引き、目という目から“信仰”が半歩退く。
 リリアーヌの顔は、白いまま、白さの意味を失っていく。
 聖性が剥がれる瞬間は、音を立てない。
 ただ、光の反射が鈍る。
 彼女の額の生え際が、生々しい人間の光を取り戻す。
 ——それは、それで美しい。
 でも、彼女が望んだ美しさではない。

 ラザールが前に出ようとして、護衛に肩を掴まれた。ダミアンがそこにいた。目だけで制する。
 私は会計書類をもう一枚、掲げる。
 「ここに、『借用証』。署名、“王太子レオナール”。但し書き、『聖務補助費』。日付、昨夜。相手方、賭場。用途、『巡行準備の人件費』」

 会場の空気が一度、ひっくり返る。
 レオナールは青い。
 正直だから青い。
 彼は、今夜の前に、借りたのだ。
 “必要だから”。
 その“必要”を、私は照明に吊った。

「これは」
 彼は言葉を探す。
 リリアーヌは彼を見ない。
 見れば、彼女の“善良”が壊れるから。
 彼女は、自分の“聖性”が剥がれる音を聞いている。
 ——紙は、優しくない。
 ——だから、救いになる。
 私は母の遺書に指を置いた。

《真実は、刃ではない。切れ味を保った布だ。包むために、時々、切る》

 私は声にした。「包みます。殿下。あなたの正直を」
 くす、と誰かが笑った。
 笑ったのは、救われたい者だ。
 救われたい者は、次に落ちる。
 私は扇をひと打ちし、幕の縁を持つ。

「今夜の“偶然”は、ここで終わり。——皆さま、どうぞお帰りを。明朝、新聞をご覧ください。穏当な見出しに、二字だけ、真実がいます」

 予備費。
 その二字は、会場の天井に小さく刺さったまま、誰の耳からも抜けない。
 給仕が動き、楽師が柔らかい終曲へ入り、扇が再び風を作る。
 私は高座から一段下り、レオナールとリリアーヌの間を通り過ぎた。
 彼は青い。
 彼女は白い。
 色は、正直だ。
 色が、物語を進める。

 ダミアンが背後で囁く。
 「落としすぎるな」
 「落ちた音が、美しい」
 「美しい音は、戻ってくる」
 「だから、次の段を用意した」

 私たちは視線を交わし、別れた。
 紅の商人の裾が石段を降りる音は、蜂の巣の灯りと同じ拍で鳴る。
 外の空気は冷たく、清潔で、紙の匂いがわずかに混じる。
 私は仮面の縁を指で撫で、笑った。
 笑いは剣。
 剣は、鞘で育つ。
 今夜は抜いた。
 明日、刃は紙に戻る。
 紙は、王都中の朝に配られる。
 偶然という名の糸は、もう舞台の上ではない。
 街路で、結び目を増やしていく。
 その先で、聖性は剥がれ、少年は青ざめ、王国は“必要”の意味を問い直す。
 ——それを美しいと言える者だけが、次の幕へ上がれる。
 私はその一人でいるつもりだ。
 だから、微笑む。
 舞台が、私の選んだ落下で揺れたまま、夜が閉じた。
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