追放されたヒロインですが、今はカフェ店長してます〜元婚約者が毎日通ってくるのやめてください〜

タマ マコト

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第20話 日常は続く、甘く、可笑しく

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 朝、窓を開けると、潮とパンの匂いがひとつの言語になって押し寄せてきた。港の風は寝癖を撫でるみたいに店の髪を整え、壁のクリーム色をやさしく撫でる。パン屋《リナの窯》の小さな鐘がコロンと鳴り、向かいの漁具屋がロープを巻く音がきゅるきゅると朝のリズムを作る。私は看板をそっと抱え、店先に出した。文字《CAFÉ HOLY》は夜の湿りを飲み干して、今日の光の温度にぴたりと合う。

「おはよう。——今日の合言葉は?」

「焼け。分けよ。笑え。逃げ場を作れ」

 エマがオーブンの前で両手をぱちんと打ち、焼き台を軽く小突く。「起きて」と言えば、本当に火が目を覚ますみたいにオレンジが濃くなる。「火、いい顔」と褒めれば、さらに機嫌がよくなるのを、私たちはもう知っている。

 バルドは蛇口に小さく「朝」と声をかけ、光るカップを一列に並べていく。白磁が窓からの光を抱え、縁の丸みに星のかけらを仕込む。「今日は波、穏やか」と彼。耳がわずかに動いて、流れる水の声を読み取っている。カップはきれいに呼吸して、並び方だけで店の背筋を伸ばしてくれる。

 ——カラン。

 ドアの鈴が小刻みに笑い、子どもたちが風のかたまりのまま走り込んできた。ミナ先頭。髪に貝殻、靴に砂。「今日の猫、耳五本維持?」と真顔で訊かれ、「通常運転は二本」と返す。「増員嘆願!」——「却下。代わりに鼻、つやつや」。即決裁量は店長の特権、泣き顔を笑顔に変える砂糖の魔法。

「常連割、あります?」

 カウンターに頬杖をついた声。レオンが朝の光に溶け込みながら、いつもの布の上着で入ってきて、手をひらひらと振る。昨日の告白が嘘みたいに、いや、嘘じゃないからこそ、軽口は軽口の温度を保っている。

「ないです。代わりに良い豆はあります」

「即答、痛快」

「常連割の代わりは、椅子戻しのポイント」

「昨日も戻した」

「知ってる。今日も稼げ」

「はい」

 やりとりの合間に、エマがオーブンを軽く叩く。コン、と高い音。「発酵、今日いい子」と焼き場の神に合図。彼女の指は粉で白いが、動きはピンク色の明るさを持っている。ガトーの生地が型の中で呼吸し、マドレーヌの生地は浅い湖みたいに揺れる。砂糖の結晶は声を持ち、火に向かって「任せた」と言う。

 バルドはカップの行列の端を整え、ミルクピッチャーをあらかじめ温める。蛇口から落ちる水のテンポは、今朝の港のテンポにぴったりで、注がれるたびに“ただの丸”が約束される。私は豆袋を開け、鼻先へ。柑橘の皮、黒糖、朝の浜辺、少しの焦げたパン。——今日の答えは、浅めに落として泡で抱く。

「猫、二匹、お願いします!」

「承知」

 私はスチームの音を短く整え、ミルクを回し、表面に薄い膜を張る。猫、猫。耳はぴんと、目はきらっと、ひげは六本。ミナが覗き込み、「二本、尊い」と呟く。彼女の発音に偽りはない。尊いは正義、砂糖は合法。

「“ただの丸”、ひとつ」

 レオンへ。表面を平らにして、なにも描かない。ただの温度。彼は両手で受け取り、吸って、飲んで、肩の高さを一段下げる。背中に“勇者の降り方”の余韻がまだ小さく灯っていて、それが店の静けさと交じり合う。目尻の皺が一本、光の中で増える。

「王都からの再スカウト状、どうした?」

 エマが不意に思い出したみたいに訊いた。私と彼女は顔を見合わせ、ひとつ笑う。私はカウンターの端の小さな額縁を指差した。ガラスの向こう、封蝋の赤はもう主張を失い、間に挟まれた押し花がそれを柔らかく侵食していた。薄紫の花弁、緑の葉。王都の紋章は、季節に包まれて静かになった。

「押し花にした。湿気が好きな書類もある」

「書類、春にされたな」

「春は店内に多い」

「合法」

 三人で短く笑う。笑いは軽いけど、仕事は密度がある。私は黒板に今日のミニ標語を書き込む。〈港ブレンド:潮の輪郭、砂糖の友〉。チョークの粉が指に付く。拭いても少し残る。残るものを嫌わなくなったのは、この町に来てからだ。

 午前の波がやってくる。港の母親が赤ん坊を抱えて寄り、旅人が潮風に帽子を飛ばされて戻り、老人が「皿、きれい」と短く褒めてくれる。パン屋のリナが差し入れのパン耳を置き、代わりに“雨待ちレモン”の小瓶を受け取る。「ねぎり合戦?」と訊かれて、「演劇」と返す。舞台の上では、砂糖が主役、湯気が助演、木目が舞台監督。

「店長、導線図、見てきたって」

 昼前、港衛生局の補助員くんがオフの日に寄ってきて、照れた笑いでマドレーヌを頬張る。「家内、クッキー三枚がデフォです」と報告し、エマが「再犯歓迎」と手を振る。彼はしばらく蛇口の配置を眺めてから「美しい」と一言。美は衛生の副産物、衛生は美の筋トレ。

 カウンターの端で、レオンが帳面を覗く。

「今日の“丸と三角”、書く?」

「午前の中間決算、いく」

 私は鉛筆を回す。

——朝の風、合格。潮とパン、香りの交差点、二重丸。
——子ども走り込み、猫二匹で受け止め成功、丸。
——常連割交渉、丁寧な却下で笑い化、丸。
——押し花化スカウト状、店の春資産化、太字丸。
——レオン、“客として”の姿勢、安定、丸。
——課題:午後の湿度、ケーキの端処理の最適化、△→エマ検討。

「午後の“休符”、また要る?」

 レオンが太鼓の代わりに、指でカウンターをタッタと叩く。「今日は店内が主役。外は風任せ」と答えると、彼は「防波堤、待機」と笑う。待機の美学。騒がない強さは、砂糖の裏側に住んでいる。

 昼。港の太陽がいったん天井に座り、潮は白く、子どもは飽き、猫の耳要求が増える。「二本の美学」と説教しつつ、どうしても、の目に負けて一本だけ髭を長くする。エマが片目を細めて「甘やかし判定」とスタンプを押し、バルドが水の温度で“許容範囲”にラインを引く。

 その時、扉の外で見慣れた濃紺の天幕の影。——《王都式ロイヤルブリュー》のスタッフの女の子が顔を出し、小さく手を振った。彼女も常連になりつつある。「対抗心、今日は休み」と笑って、“ただの丸”を頼む。カップを置いたら、彼女は小声で「うちの店長、海藻糖の配合、昨日真似してた」と教えてくれる。「可愛い」と返すと、「敵に可愛い言うの、反則」と照れる。競争は糖度の高い遊びだ。

「午後四時の窓辺、少し深めで」

 私は湯を落とし、店の影をほんの少し濃くする。影があると、光が見える。光が見えると、人の顔が柔らかくなる。老人が「婆さんの誕生日だ」と一言。その日に“ただの丸”を選ぶ強さに、私は敬礼の泡をひとかけらだけ増やした。泡は一瞬で消えるが、敬意は残る。

「店長」

 エマが焼き台から顔を出し、小さな金色のホッチキスを振る。「押し花の額、壁につけ直す?」私は頷き、レオンが階段を踏み台にして手を貸す。額の位置が少し上がる。押し花越しに、王城の紋章がますます弱く見える。季節は噂を書き換える名人だ。

私はつぶやく
「ふと思ったんだけど」

「うん?」

「冒険って“新しい場所”に行くことだと勘違いしてた。違うね。“同じ場所を、毎日新しくする”のも冒険だ」

「店長、詩人」

「店主」

「合法」

 エマが笑う。笑いがオーブンの温度を半度上げる。私は黒板の端にもうひとつ書き足す。〈今日の冒険:いつもの椅子/新しい座り方〉。ミナがそれを読み、「座り方、研究」と宣言して丸椅子の上で体勢を変えまくる。「落ちる前に“休符”」とレオンが椅子の背を支え、バルドが床の濡れを拭う。チームプレーは日常の筋肉。

 午後の遅い時間。潮が少し甘くなる。幼い泣き声がドアの外で止まって、母親が抱っこして入ってくる。私は“ぬるさ”で淹れたミルク多めの丸を差し出し、エマは端っこの小さなクッキーをふたつ、皿の陰に密やかに置く。母親の目の縁がゆるみ、子どもの鼻が猫の泡に釘付けになり、世界の角がひとつ丸くなる。角は、砂糖でヤスリがけできる。

「“港のルール”、更新しとく?」

 バルドの静かな提案。私は頷き、帳面の別ページを開く。

——七、噂は甘く上書き(“うまかった”を一日一回言う)。
——八、鉛筆は柔らかめ(線は消せる)。
——九、帰り道の片手を空ける(挨拶とハプニング用)。
——十、疲れた日は“ただの丸”(意味を足さない)。
——十一、押し花にできる書類は押し花に(香りで勝つ)。

「十一、詩的。好き」

「合法」

 夕方。風が潮とオーブンの匂いを混ぜ、窓辺に金色の欄干を作る。レオンは片付け前の“最後の丸”をゆっくり飲み、会計の小銭をちょうどで置く。釣りの会話が省略される信頼。彼は椅子を戻し、「噂、“うまかった”に上書きしてくる」と片目をつぶる。

「よろしく。宣伝は頼んでないよ」

「頼まれてないけど、俺の自由顧客活動」

「合法」

 三人で即答すると、彼は嬉しそうに笑って、鈴を低く鳴らして出ていく。防波堤の肩が夕焼けに一瞬染まり、すぐに町の色に戻る。私は看板を指でなで、蛇口に「あとひと息」と声をかける。

 夜の前。木の匂いが深くなる。エマが焼き台の火を落とし、残り香で“お疲れさま”の小瓶を一本作る。バルドが流しを鏡に戻し、蛇口に「眠れ」と短く命じる。私はカウンターを最後に一度撫で、鈴に「今日もありがとう」と言う。

「反省会、甘口で」

 帳面を開く。鉛筆の先で、今日をひとつずつ甘く包む。

——朝の開店、潮とパンに同期、二重丸。
——子ども隊、猫耳規定運用成功、丸(例外一本)。
——“常連割”問答、場を温めた、丸。
——押し花状、壁面演出に昇格、丸。
——ロイヤル娘、敵味方の線を砂糖で整流、丸。
——母子の“ぬるい一杯”、功績大、二重丸。
——チームの呼吸、港の拍子と一致、二重丸。
——学び:冒険=同じ場所の新調、太字。
——課題:湿度対策、夜の猫耳の安定性、△→来週検証。

「店長」

「はい」

「“日常は続く”って、どうやって保証する?」

「保証しない。毎朝、手で作る。湯気で押す。砂糖で綴じる。——それが、うちの冒険」

「承認」

 エマがこっそり拍手、バルドが蛇口の口を上に向けて「星、映る」と言う。私は視線を壁の額に移す。押し花にされた王城のスカウト状は、もうただの春のかけらで、今日の夜の色を吸い込んでいる。紙は紙、花は花、私の仕事は私の仕事。肩書きは飾り棚に、湯気はカウンターに。

 鍵を回す直前、窓の外で小さく笑い声。ミナが母親の手を引いて、店の前で猫の耳のジェスチャーをしている。ガラス越しに私と目が合い、「また明日」と口だけで言う。私は同じように「いらっしゃいませ」と口の形で返す。言葉は届かないけど、届く。そういう夜が、いちばん甘い。

 扉を閉める。——カラン。鈴が蜂蜜色の余韻を残して、店の梁にゆっくり吸い込まれる。オーブンの温度が完全に落ち、カップは伏せられ、看板の文字が眠気でやわらかくなる。私は額の押し花をもう一度見上げ、指で小さく敬礼した。

「ここが冒険の場所」

 声に出す。小さく、でも芯を持って。冒険は遠くに行かなくても、毎朝窓を開ければ始まる。潮とパンの匂い、子どもの足音、火の目覚め、水の機嫌、猫の耳、ただの丸。——日常はざわつきながら甘い。可笑しく、頼もしく、くり返されるたびに新しくなる。

 鈴に「おやすみ」、蛇口に「また明日」、看板に「いい夢を」。鍵を回す。港の風が背中を押して、私は外に出る。空は群青、灯台は律儀、海は低く呼吸している。私は片手を空け、角を曲がる小さなハプニングのために、もう片方の手でエプロンを抱える。

 明日も、猫は可愛く、“ただの丸”は意味がなくて意味があり、笑い声は立ちのぼる。王都の書状は押し花のまま、春は壁に、冒険はカウンターにいる。
 日常は続く。甘く、可笑しく。
 ——いらっしゃいませ、また明日。
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