泣き虫王女、異世界で推し騎士に拾われて人生チート化しました

タマ マコト

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第17話:運命を書き換える姫

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世界の母座は、琥珀の海だった。
空の裂け目のさらに奥、崩壊の風が息を潜めるその中心で、琥珀色の液体がゆっくりと呼吸していた。泡が一つ上がっては消え、消えた場所に古い子守歌や名もない笑い声のきらめきが残る。音も匂いも、時間の端を撫でるように柔らかい。だが、その柔らかさの下で、世界の骨はまだ軋んでいる。禁呪の黒い糸が母座にまでからみつき、因果の梁を締め上げていた。

ノアが先に一歩、板張りのように薄い足場へ出る。
「ここが中心だ。――気を抜くな」
「抜かない」
怖いのは変わらない。けれど、怖さの位置をもう知っている。胸のすぐ裏、涙の壺の少し下。私はそこに指先の心で触れ、「まだ待って」と囁く。泣きたいのを止めることが、いまは世界を守る。

母座の縁には、古い王家の刻印があった。
“哭星(こくせい)”の小さな五芒星と、その下に落ちる雫。雫の内側にはさらに極小の紋――針。
私はそこへ掌を当てる。熱はない。だが、熱よりも根源的な温度が指紋に吸い込まれてくる。胎内の記憶に似た、おそろしく静かな温。
ノアが隣で同じように手を置く。彼の皮膚を通じて、規則的な心拍が掌へ伝わる。トン、トン、トン。人間の拍。私の大好きな音。

「リシェル」
「いる」
「禁呪が、ここで“選択の削除”を始めた。……来る」
黒衣たちの輪唱は遠のいた。けれど遠のいたから終わったわけではない。輪唱は集約され、母座の裏面に、音を持たない命令として降りてきている。
“はい”を薄め、“いいえ”を曖昧にし、“どちらでもない”を増やせ――世界の意思への暴力。それが世界の中心で行われつつある。

私は深く息を吸い、止め、吐く。
「ノア。……もし、もしもの話をするね」
「聞く」
「わたしには――“一度だけ”世界の因果を書き換える力がある。アルディナ王家の真の力。伝承の奥底に隠れていた“最後の針」。書き換えは一度きり。書き換えた瞬間、わたしの“導の記録”は世界から切り離される。……誰の祈りにも、次は応えられない」

ノアの瞳が揺れた。
「知っていたのか」
「ずっと“ずらす”だけしかできないと思ってた。でも、ここに来て、わかった。母座は、一度だけ“書き換え”を受け入れる。たぶん、それは世界自身の安全弁。……王家は、その鍵」

「書き換えるなら――何を」
「決めてる」
喉の奥が熱く、静かに痺れる。言葉は刃ではないのに、いまは刃物の角度で舌に乗る。
「“ノアが生きる世界を選ぶ”。それだけ」

「俺のために世界を――」
「違う。あなたの“ため”は副作用。前提は“わたしが生きる世界の定義”。わたしは“あなたのいない世界”を生きられない。だから、世界の条件を一つだけ書き換える。――“ノアが生きる”」

ノアは目を伏せず、まっすぐに私を視た。
彼の背で風が縦に裂け、琥珀の海の表面に細い波紋が走る。
「代償は、お前の“導の記録”だな」
「うん。世界の針とわたしの針の接続が切れる。次に誰かが迷子になっても、わたしは呼ばれない。……わたしは“もう一度の奇跡”に応えない人になる」

「リシェル」
彼は短い呼吸を一つ挟み、掌に力を込めた。
「やめろ。俺は、世界のために消えることを選ばない。だが、お前が“誰かのための奇跡”を捨てるのも、……嫌だ」

「わたしは、誰かの奇跡でいるより、あなたの“ただいま”でいたい」
私は笑う。泣かずに笑えた。
「それに、奇跡は続けることだって、もう知ってる。灯りを直して、苔を撫でて、甘いものを半分こして、朝ごとに“おかえり”を重ねる。それが奇跡の正体。……一度きりの書き換えは、そのための“最初の針”。」

母座の表面に、五芒星がゆっくり回転を始めた。
刻まれた雫が、わずかに膨らみ、私の指先を受け入れる穴の形に開く。
――始められる。
――本当に、始めていいのか。
胸の琥珀が微かに鳴り、母の温度が背筋へ上がる。
(泣き虫、泣くなら、守るために)
(うん。でも今は――)

「条件を定義する」
私は口に出す。
言葉にすることで、揺らぎを座標に固定する。
「この世界の因果に、ただひとつの例外を付与する。“ノア=ヴァレンティアが生きる”――戦場、封印、禁呪、すべての系で最終的に“生”へ収束する。因果の網は迂回してもよいが、結論は変えない」

母座が低く鳴る。
世界の言語が、私の短い言葉を咀嚼し、適合度を検査している。
禁呪の黒い糸が強く震え、反論する。“例外は網を破る”。“均衡に裂け目を作る”。
私は頷く。
「裂け目は、わたしが引き受ける。――“導の記録”の切断を代償にする。わたしの涙は、これ以後、針を動かさない」

ノアが一歩、私の前へ出た。
「それでも、やるのか」
「やる。だって――」
私は息を吸い、止め、吐く。三拍子。
「わたしが“生きたい世界”は、あなたが“生きる世界”だから」

黒い糸の震えが、少し静まる。
母座の琥珀は、私の言葉に“理由”を見つけたらしい。
世界は“理由”に弱い。弱いから、生まれ、続く。

「手順を教えろ」
ノアの声が低く落ちる。
「わたしが“涙”を母座の芯に落とす。雫が因果の書き換え点まで沈む間、あなたは禁呪の糸を剥がして。――わたしの願いが核へ届くまで、世界を“どちらでもある”にしないで」

「承知した」
彼は剣を下ろし、代わりに指を広げた。刃の稽古で鍛え抜かれた指は、今度は“ほどく”ための道具になる。
私たちは目を合わせる。
「三拍子で」
「うん」
「吸って」
「止めて」
「吐く」

私は涙の壺の蓋に、そっと手をかけた。
ノアの言葉が鼓膜の裏で震える――“俺が消えても、泣くな”。
私は首を振る。
「泣く。――守るために」
壺の蓋が静かに回り、温かな水が喉の奥へ上がる。
私は目を閉じ、母座の中心に向けて、たった一滴を選ぶ。
“奇跡のため”ではない。
“生活のため”。
“明日の朝のただいまのため”。
雫がまつ毛を滑り、頬を伝い、指先に集まり、琥珀の皮膚へ落ちた。

世界が、息を吸った。
母座の底に光の筋が走る。雫は沈まない。沈みながら、降りてゆく道を自分で作って滑り落ちる。
同時に、禁呪の黒い糸が総毛立つように逆立ち、反射的な防衛で母座を締め上げた。
「来る」
ノアの指が舞う。
“切る”ではない。“ほどく”。
黒い糸の結び目に僅かな呼吸の隙間を見つけ、その隙に力をかけて輪を広げる。
結び目は強情だが、強情であるがゆえに“ほどける方向”が一つある。ノアはそれを正確に探し当て、次々とほどいていく。
「……適切だ」
息の合間に呟く彼に、私は笑ってから、集中を戻す。

雫の光が母座の中心へ近づくほど、世界の周縁で“どちらでもない”が増える。
塔の骨が一瞬、影絵へ退化し、街路の石が紙の匂いを帯びる。
私の耳に、市井の声がかすかに入ってきた――「ここにいる」「数えて」「いち、に」。
ああ、誰かが今も選び続けてる。決め続けてる。
私の雫は、その“決める”へ加勢するための、たった一度の署名になる。

「リシェル!」
ノアの声。
黒い糸の一束が逆流し、私の手首に絡みつこうと跳ねた。
世界の命令は、人の手を“道具”に変えたがる。
私は掌をひねり、糸の欲望を受け流す。
「大丈夫。――わたしは“道具”じゃない。手の、持ち主」

雫が、母座の芯のすぐ手前で止まる。
世界は問うている。
“本当に、一度きりでいいのか”。
“本当に、その一度を、そこで使うのか”。
私は頷く。
「書き換える宣言――“ノアが生きる世界を選ぶ”。代償――“導の記録”の切断。承認者――リシェル=アルディナ。証人――ノア=ヴァレンティア、世界の母座」

ノアが短く笑った。
「署名の順序が生活者だ」
「生活が本編だもん」
「同意する」

私は最後にもう一息、深く吸い、止め、吐く。
それから、雫の背中に、指でそっと触れた。
「――行って」

光が沈む。
世界が、一瞬、無音になる。
次の瞬間、母座全体に“新しい文の句点”が打たれた気配が走った。
音が戻る。
色が、少し過去の鮮やかさを取り戻す。
黒い糸が軋み、結び目が逆再生を始める。
禁呪の命令列は、私の定義した“例外”を前に、引き算の道を選ばざるを得ない。
“ノアが死ぬ”と結論する分岐がすべて折れ、周回して、別の枝へ繋がる。
“ノアが生きる”。
最終値は一つ。そこへ向けて因果が流れ直す。

ノアの体が、軽く震えた。
肩の古い封印が、金の粉になって剥がれていく。
こめかみの“数式”は音符へ、音符は呼吸へ、呼吸は眼差しへ。
彼は私を見た。
過去でも抽象でもなく、“今ここ”の私を。
「――生きる」
一語は宣言だった。命令じゃない。
自分のための、約束。

同時に、胸の琥珀が静かに熱を失った。
導の針に繋がっていた薄い糸が、ぷつり、と途切れる感覚。
世界の迷子の声は、もう私に届かない。
泣きそうになる。
でも、泣かない。
今は“使わない強さ”の番だ。
私はその喪失を小箱に入れ、胸の真ん中に置く。
“続ける奇跡”のための、空き容量として。

「リシェル」
ノアが歩み寄り、私の額に自分の額をそっと当てた。
琥珀の海の反射が、彼の睫毛に小さな金をつける。
「ただいま」
「おかえり」

母座が大きくひと呼吸し、琥珀の表面に円い波紋が幾重にも広がった。
崩壊の風が後退し、空の折り目がゆっくりと縫い合わされてゆく。
メルヴァの塔は傾きを直し、共鳴器が“ありがとう”とでも言いたげに、規則正しい微音を刻む。
遠くの王都、国境の塔へ送られていた禁呪の輪唱は、音階を失い、紙片になって散った。

世界は、止まったわけじゃない。
進み直したのだ。
ただし、ひとつの例外を抱えたまま。
“ノアが生きる世界”。
その例外は、重石ではない。
私たちの“生活”の重心になった。

「代償は――」
ノアが囁く。
「うん。わたし、もう、針は動かせない。導かれもしない」
「それでいいのか」
「よくないことも、ある。でも、よいことのほうが多いよ」
私は笑う。
「呼ばれないなら、迎えに行けばいい。迷子の声が届かないなら、耳じゃなくて目で探す。灯りを点けて、道に名前をつけて、朝に“ただいま”を増やして回る。……それが“続ける奇跡”。」

ノアは目を細め、私の両肩を抱いた。
抱擁の圧が、心核の鼓動とぴたりと合う。
「適切だ」
「でしょ」

母座の光が弱まり、琥珀色はゆるやかに深い飴色へ落ち着く。
“書き換え”は完了した。
世界は新しい句点を得て、次の文へ向かう準備を整えている。

最後に、私は母座の縁へ指先を触れ、短く、無声音で祈った。
“この句点が、いつか誰かの“はじめまして”になりますように”。
返事は来ない。
でも、それでいい。
返ってこない祈りのほうが、生活にはよく馴染む。

「帰ろう」
私は言う。
「帰る」
ノアが答える。

足場はまだ薄い。けれど、踏めば厚みを増す。
私たちは並んで歩き、裂け目の口縁を越える。
上空のひだはほとんど閉じ、街の音は意味を取り戻し、人の声は“はい”と“いいえ”をまた選び始める。

母座の奥で、かすかな揺らぎが一つ、尾を引いた。
世界が、私の“導の記録”を確かに失った証明。
私は胸の小箱を軽く叩き、「大丈夫」と言ってみせる。
ノアの手が、そっと重なった。

「怖いは?」
「怖い二、嬉しい八」
「上方修正だ」
「あなたが生きる世界、だから」

空はもう、紙ではない。
風は匂いを連れ、甘いものは蜜の温度で、苔は小さな緑で呼吸している。
“運命を書き換える”という一度きりの暴挙は、生活を続けるために使った。
それでいい。
それがいい。

ただいま。
おかえり。
私たちはこの二語で、次の朝へ針を進める。
世界の句点は増え、行はまだ白い。
書き手は私たち。
そして、読者は――明日のわたしたち。

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