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第16話:最後の約束
しおりを挟む空の裂け目は、縫い目を忘れたまま口を開けていた。
メルヴァの塔は傾ぎ、鐘は不揃いに三度鳴ってから黙り込む。街路灯は心拍を乱し、共鳴器は薄く鳴いて「まだ生きたい」と訴える。
風は色を失い、香りは“どちらでもない”に溶け、声だけが細い糸として世界をかろうじて縫っていた。
ノアは、歩くたびに世界の崩れを計算し直していた。
足の置き方、刃の角度、私の呼吸――全部を、崩壊のテンポより半拍だけ早く。
彼の背は黒い。けれど、その黒は夜ではなく、約束を焦がさぬための“まだ燃えていない熱”の色だった。
「中心はどこ?」
私が問うと、ノアは空の折り目を一度だけ見上げ、地に目を戻す。
「王都へ伸びる導管が震えている。禁呪の輪唱は塔から塔へ移された。――中心は“塔の下”。世界核の近傍だ」
「行く」
「行くが、俺が入る」
言い切る声は、刃ではないのに鋭かった。
私は喉の奥で泣きを丸め、指の腹で押さえる。
「どうして“俺が入る”だけなの」
「俺は作られた。失うために設計された命だ」
短い言葉が、街の灰に落ちて、静かに火花を散らす。
「世界核に接続して、禁呪の回路を自分の中へ引き受ければ、崩れは鎮まる。俺の命は、世界の重さに比べれば軽い」
「軽くない」
即答が、思ったより強かった。
「甘いものを好きになった夜の話を、わたしは知ってる。苔を“かわいい”って言った顔も知ってる。『適切だ』って言うときの、少しだけ誇らしそうな顎も知ってる。軽いわけがない」
ノアは、目を伏せない。
灰色の瞳が、崩れかけた街を背景に私を見据える。
「リシェル。俺が消えても、泣くな。……お前が泣けば、世界が壊れる」
その言葉は、今日いちばん静かだった。静かで、いちばん重かった。
私は、初めて涙を止めた日の呼吸を思い出す。
吸って。止めて。吐く。
泣きたいのに泣かないのは、我慢じゃない。選ぶことだ。
選び直せるように、今は蓋を閉めるだけ。
だから、言う。
「泣かない。でも――行かせない」
*
王都の塔へ向かう街道は、もう“道”をやめかけていた。
石畳は譜面になり、そこに書かれた旋律はところどころ消しゴムの跡で白く光る。
空の折り目はゆっくり街を食べ、境界の木々は紙の切り絵に戻っては、風にぺたりと貼り付いた。
私たちはヴァルに跨がった。
魔導馬は風の骨でできたような脚をしなやかに動かし、崩れの段差を滑る。
首のルーンは疲れていない。けれど周囲の“意味の薄さ”に蹄が時々空を踏む。
ノアが手綱を寄せるたび、ヴァルは迷いを短く震わせて、また走る。
「怖いか」
「怖い四、行く六」
「上方修正だ」
「だって、あなたがいる」
王都の城壁は、輪郭線だけになっていた。
内へ入ると、塔は都市の真ん中で“針”の役目を忘れ、上も下も指さないまま巨大な黒い柱になっていた。
塔の基部――地下へ降りる螺旋階段が口を開け、熱い呼気を吐く。
禁呪の輪唱はここで太くなり、世界の骨に直接針金を巻いて締め上げている。
「下だ」
ノアは迷わず階へ入る。
私はその背に続く。
階段は“降りる”の意味を忘れかけていて、足をひと段落とすたびに体が軽くなったり重くなったりする。
壁の紋は涙の形をし、触れると浅い電気のように指を刺す。
深い場所に着いた。
世界核――心核の祖。
巨大な琥珀色の球体が、石の根に吊られるように鎮座している。
表面は固いが、奥は流動し、無数の記憶が気泡のように浮いては沈む。
古い国歌、子守唄、鐘の合図、祈り、笑い。
そして、命令。
禁呪の命令は黒い糸になって核の周囲を巻き、核本来の“呼吸”を鈍らせていた。
ノアは一歩前へ。
鎧の指先を外し、素手で核の“皮膚”に触れる。
「接続できる。――俺の核を、こちらに合わせる」
「待って」
私は腕を掴む。
筋肉は穏やかに硬い。整備された剣の柄のように、手に馴染む硬さ。
「あなたの核は、戻ってこられない」
「戻れなくても、世界が戻る」
「世界は“ただいま”があって世界。あなたのいない世界は、“ただいま”が半分しかない」
ノアの顔が、ほんのわずかに歪む。
それは、作られた者が“迷う”という貴重な皺。
彼は視線を核と私の間に往復させ、最後に、低く言う。
「最後の約束をしよう」
「……聞く」
「俺が核に入っても、お前は泣くな。代わりに、決めろ。――誰を助け、どこで止まり、いつ進むか。泣くより先に決め続けろ。世界は“決定”の総和で立つ」
「ずるい。あなたが“いないときの約束”を先に置くなんて」
「ずるいのは禁呪だ」
口角が、ほんの少しだけ上がる。「お前は、ずるさに勝つ」
私は首を振った。
「あなたのいない世界なんて、救う意味がない!」
声が、核壁に跳ね返って私の胸に刺さる。
――やっと言えた。
ずっと胸の奥で熱くしてきた言葉。
推しだった騎士を、いまは“ひとりの人”として呼び止める言葉。
ノアの瞳が揺れた。
炎ではない。水でもない。
鎧の内側の、人の揺れ。
「……リシェル」
私の名前は、核の中の古い歌と混じって、僅かに響く。
「俺は“主君を守る”命令でできている。だが――主君の定義は、お前が書き換えた。『ただいま』『おかえり』を言う者。水に礼を言う者。泣いても前を向く者」
「そう。だから、命令に従うなら、あなたは“わたしのそばで”守らなきゃいけない」
彼は目を伏せ、指先を核から離した。
離して、片膝をつき、目線の高さを私に合わせる。
「お前がそう言うなら、俺は――俺自身の命令を変える。『生きて帰る』。『お前より先に消えない』。これを命令にする」
胸が熱くなり、涙が壺の蓋を叩いた。
でも、まだ泣かない。
その言葉が命令になるなら、私は別の何かを渡さなきゃいけない。
「じゃあ、わたしの“最後の約束”」
私は彼の手を握る。
冷たくて、温かい。
「一人で背負わせない。――世界核に触れるなら、二人で触る。重さは分ける。危険も分ける。責任も、帰る道も、分ける」
ノアは短く息を呑み、そして、頷いた。
「危険だ」
「知ってる。怖い五、行く五」
「引き分けか」
「ううん、共闘」
*
接続輪は祭壇の下に隠されていた。
古い金属と、石と、琥珀。
両の掌を置くための窪みが二つ――二人で触ることを、最初から設計したみたいに。
回路は泣き雫の模様を描き、中央へ向かって細くなる。
私は息を整え、ノアと目を合わせる。
彼はいつものように、短く頷く。
「三拍子で」
「うん」
「吸って」
「止めて」
「吐く」
掌を置く。
核の“皮膚”が触れ返し、指紋をなぞる。
冷たさが熱へ、熱が音へ、音が光へ。
世界核の“呼吸”は私の胸へ移り、私の胸の“拍”は核へまた戻る。
導の針が動き、禁呪の黒い糸は私たちの掌のあいだを迂回しはじめた。
痛みは――小さくはなかった。
古い悲鳴、断ち切られた約束、凍った笑い。
希釈されかけた“色”が掌を通って私の血に流れ込み、色を取り戻そうとするたび、焼ける。
「リシェル」
「いる」
「離れたくなったら、言え」
「言わない。――一緒に言う」
「適切だ」
核の奥から、声がした。
私の声に似ているが、年老いた。
“泣き虫の姫”。
“鍵”。
“導の針”。
いくつもの呼び名が泡になって上がる。
私はその泡を潰さず、横へ流す。
「わたしは、名前が一つでいい。――リシェル。あなたのリシェル」
ノアの握る力が僅かに強くなる。
「そして俺は、ノア。お前のノア」
禁呪の輪唱が、外からさらに厚く流れ込む。
核は重く、深く、沈む。
掌の感覚が指先へ引き抜かれ、腕が痺れる。
視界が白と黒で交互に塗られ、色の記憶だけが頼りになる。
泣きたい。
でも、泣かない。
泣けば、鍵が余計な扉まで開く。
今は、締める番だ。
「ノア、歌って」
「歌?」
「呼吸の歌。初めて夜に教えてくれた、あの三拍子」
彼は少しだけ考え、音のない歌を始めた。
吸って。止めて。吐く。
声ではなく、掌の圧で、私の拍と核の拍を合わせる歌。
私も合わせる。
吸って。止めて。吐く。
“ただいま”。“おかえり”。
言葉にしない二語が、掌の中で往復する。
外で塔の骨が軋み、折り目が躊躇する。
輪唱はまだ強い。
けれど、私たちの往復は消えない。
禁呪は命令。
約束は関係。
命令は強い。
関係は、長い。
「核、応答率上昇」
ノアが短く報告する。戦場の声ではない、生活の声だ。
「禁呪、分岐。――俺の中に入ってくる」
「わたしの中にも来てる。半分こ」
「取り込みすぎると、お前が――」
「壊れない。わたし、泣かない」
言って、自分で驚いた。
本当に、泣かない。
涙の壺は、今、暖炉になっている。
炎は低い。けれど、長く燃えるタイプの火。
輪唱は最後の手を打った。
“選択の削除”。
核の周囲から“はい”と“いいえ”が剥がされ、曖昧だけが増えていく。
それでも、掌の下の核は、私たちの三拍子に合わせて、微かに色を取り戻す。
琥珀の中に、小さな灯。
泣き雫の紋が、笑い雫に裏返る――寸前。
「リシェル」
「なに」
「もし俺が途中で落ちたら、続けろ。俺の分の拍を、お前が打て」
「落ちない」
「落ちない努力をする。だが、約束は先に。最後の約束だ」
「最後の、じゃない。次へ続く約束にする」
私は掌を離さないまま、彼の言葉へ自分の言葉を重ねる。
「――生きて帰る。二人とも。どちらかが“どちらでもない”に落ちそうになったら、引っ張る。呼び戻す。ただいま/おかえりは、どんな禁呪でも切れない回線にする」
「証人は」
「わたしたちの心核」
「お前の琥珀」
「あなたの心音」
二人で小さく笑う。
笑った瞬間、核の中にあった古い歌が、新しい節を覚えた。
――そのとき。
外が、沈黙した。
悪い沈黙。
輪唱が止んだのではない。
輪唱が、外へ“押し出されて”、別の中心に集まった。
王都の塔よりも、大きく、古く、深い場所。
世界の芯。
最初の約束が刻まれた、世界核の母座。
「中心が移った」
ノアの声が低くなる。「ここはもう周縁だ。――俺が行く」
掌を離そうとする気配。
私は指を絡め、止める。
「一人で行ったら、帰れない」
「二人で行けば、二人とも帰れないかもしれない」
「だったら、ひと目盛りずらす」
言葉が出ていた。
ずっと胸の底で温めていた、私の“方法”。
「書き換えじゃない。ずらす。世界核の針を一目盛り、私たちの側へ。――あなたを犠牲にしない座標に、世界ごとずれる」
「できるのか」
「できるまでやる」
ノアは目を閉じ、開け、頷いた。
「最後の約束の改訂だ。俺は“俺を捧げない”。お前は“俺を置いていかない”。――二つを守る選択を、必ず探す」
「守れなかったら?」
「次の拍で、また探す」
「うん」
掌から掌へ、熱が巡る。
核は応える。
遠い母座が、こちらを見た気がした。
古い、長い、冷たい、でもどこか優しい視線。
“来るか”。
“来て、ずらすか”。
私は小さく笑って、応えた。
「行く。――ただいまを持って」
ノアの手が私の手を強く握り、体を寄せる。
ほんの一瞬、抱擁。
刹那の抱擁に、これまでの夜と朝と火の匂いと水の礼と苔の可愛さが全部詰まっている。
彼は私の耳元で、低く、はっきり言った。
「おかえり、を言わせろ」
「言わせる」
「生きて、帰る」
「生きて、帰る」
指を離さず、私たちは核の周囲の階段を駆け上がる。
母座への導管は塔の背骨を貫き、空の折り目の中心へ真っ直ぐ伸びている。
崩れる世界は、私たちの足元で“どちらでもない”に揺れ、道は時々紙になり、時々砂になり、時々歌詞になった。
それでも――進む。
最後の約束は、背中を押すための刃ではない。
並んで歩くための手綱だ。
引き合い、合わせ、緩め、締める。
泣き虫の姫と、帰ることを命令にした騎士。
二人分の三拍子が、崩壊のテンポに少しずつ“迷い”を与えていく。
母座は、空の裂け目の奥で待っている。
古い琥珀の海。
世界が最初に息を吸った場所。
そこに手をかける前に、私は横顔を見上げる。
ノアは私を見て、短く、しかし確かに微笑んだ。
「リシェル」
「うん」
「ただいま」
「……おかえり」
互いの言葉が、これから踏み込む闇へ明かりとして先行する。
崩れゆく空の下で、私たちは走る。
“世界の終わり”のその向こうに、“心の始まり”の続きを運ぶために。
最後の約束は、刺繍の最初の一針みたいに、小さく、でもほどけない。
この一針があれば、次の一針を探せる。
そして私は知っている。
針は、必ず――こちら側へ、ひと目盛り。
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