乙女ゲームに転生したら不遇ヒロインでしたが、真エンドは自分で選びます

タマ マコト

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第9話 魔獣の爪痕は、棚だけを噛んでいた

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事件は、朝の鐘より早く落ちてきた。

まだ空気が冷たい時間、寮の廊下を走る足音。
扉を叩く拳。
「緊急招集!」と叫ぶ男子生徒の声が、薄い壁を震わせる。

リリア=エヴァンスはベッドから起き上がり、息を整えるより先に耳を澄ませた。
騒ぎの温度で、だいたい分かる。

火事じゃない。
暴動でもない。
もっと嫌な――血の匂いに近い焦り。

ノック。
コン、コン、コン。強い。

「リリア様!」
エマの声が震えている。
彼女は普段、揺れない。だから分かる。これは本当にまずい。

「入って」
リリアが言うと、扉が開く。
エマの顔色は白く、指先が冷えていた。

「聖具庫の……管理官の先生が……」
言葉が途中で折れる。
折れるほどの出来事。

「死んだの?」
リリアは直球で聞いた。
遠回りすると、心が不安に溺れる。
最悪を先に置くと、次に動ける。

エマは首を振った。
それが一瞬、救いに見えた。
でも、次の言葉が刺さる。

「……暗殺未遂だそうです。魔獣事故として処理されるって……」

暗殺未遂。
魔獣事故。
その二つが同じ息で語られる時点で、もう“普通”じゃない。

リリアは服を掴み、制服に着替えながら頭の中で歯車を回す。

(聖具庫。改竄。大人。雑な罠。焦り。……そして、口封じ)

誰かが動いている。
学園の中だけじゃない。
王国の中枢。
エリオットの言葉が、冷たい指で背骨を撫でる。

「現場は?」
リリアが聞くと、エマが答える。

「実技棟の裏、旧倉庫の方です。聖具庫の出入り口に近い……」

――近い。
つまり見せしめでもあり、警告でもある。

リリアは髪を結び、息を吸った。
胸の奥に火が灯る。
怒りの火じゃない。
生き残るための、冷たい火。

「行く。エマ、寮にいて」
「でも……」
「命令じゃなくお願い」
リリアは目を見て言う。
「怖いなら、怖いままでいい。でも、あなたは巻き込まれないで」

エマは唇を噛み、頷いた。
それが“従う”じゃなく“選ぶ”頷きだったのが、少し嬉しい。

現場へ向かう道は、いつもより騒がしい。
生徒たちが群れて、噂が風みたいに流れている。

「魔獣が出たって!」
「管理官の先生が襲われたらしい」
「学園内に魔獣……? ありえないでしょ」
「でも血が……」

血。
その単語だけで、空気が冷える。

実技棟の裏へ近づくと、騎士団の臨時警備が立っていた。
鋼の鎧。槍。緊張した顔。
彼らの視線が生徒を押し返す。

リリアはその中に、見覚えのある背を見つけた。
レオン=グレイヴ。
手袋越しの拳が、いつもより強く握られている。

レオンがリリアに気づき、駆け寄ってきた。
顔色が悪い。
正義の人間が、現実の汚さを前にした時の顔。

「来たのか。……危ない」
「危ないのは知ってる」
リリアは短く返す。
「だから来た。これ、事故じゃない」

レオンの目が揺れる。
彼は言いかけて止めた。
言葉の前に、規律が口を塞ぐ。

「中に入れる?」
「……立ち入りは制限されてる」
「じゃあ、あなたが連れてって」
リリアは淡々と言った。
「第三者の目が必要でしょ。あなたも分かってる」

レオンは歯を食いしばり、数秒迷ってから頷いた。
迷うのは、彼が真面目だから。
頷くのは、彼が正義だから。

「……分かった。俺の責任で」

柵を越えると、空気が変わった。
土の匂いに、鉄の匂い。
そして、生々しい血の匂いが混ざっている。
喉の奥が一瞬、きゅっと縮む。
でも吐き気にはならない。
吐き気になる前に、頭が冷える。

旧倉庫の壁には、爪痕が残っていた。
深い。鋭い。
魔獣の爪なら、確かにこういう傷になる。

……けれど。

リリアは壁面を見た。
爪痕は、無秩序に引き裂いていない。
まるで狙いを定めたみたいに、一定の高さ、一定の幅だけを削っている。

その位置にあるもの。
壁沿いの――記録棚。

棚は倒れ、散らばった書類が泥と血で汚れている。
紙の端が裂かれ、焼け焦げた跡すらある。
乱暴に見えて、狙いは一つだ。

(記録……整備記録……)

リリアの背筋が冷える。
エリオットの“改竄”の話と、ぴたりと重なる。

倉庫の入口付近には、担架が置かれていた。
布の下に、人の輪郭。
血の匂いはそこからする。
死んでいないと聞いても、現実の赤は容赦ない。

騎士団の者が低い声で言っていた。

「魔獣の侵入経路は不明。柵の破損もない。……だが、魔獣事故として処理する」
「学園の治安を守るためだ」
「余計な混乱は避けろ」

避けろ。
混乱。
それは前の世界でも、よく使われた言葉だ。
混乱を避けるために、真実を避ける。

リリアは壁面に近づき、爪痕を指でなぞりかけて止めた。
触れると、血の匂いが手に移る気がした。
代わりに目で触る。

爪痕の角度。
深さ。
そして、棚だけを狙った執拗さ。

魔獣が人を襲ったのなら、まず人を狙う。
棚を狙うのは、魔獣じゃない。
“記録を消したい人間”だ。

「……魔獣って、賢いんだね」

リリアがぽつりと言うと、レオンが目を見開いた。

「え?」
「棚だけ狙う魔獣。都合よすぎる」
リリアは淡々と続ける。
「これ、事故じゃない。暗殺未遂のついでに、証拠も消した」

レオンの喉が鳴る。
彼は怒りを飲み込むタイプだ。
飲み込むほど、内側で燃える。

そこへ、足音がした。
一定のリズム。
無駄のない歩幅。
空気が一段、冷える。

ユリウス=クロフォードが現場に入ってきた。
黒髪、冷たい目。
制服の上に薄い外套を羽織り、手には手袋。
彼は感情より先に現実を測る人間だ。

「……君がいるのは想定外だ」

第一声がそれ。
でも、その“想定外”が、最近の私の肩書きだ。

「あなたが来るのは想定内」
リリアは返す。
「現場検証、得意でしょ」

ユリウスは眉をわずかに動かし、壁面へ視線を走らせる。
爪痕。棚。散らばる紙。
数秒で全体を把握する目。

「魔獣事故だ」
周囲の騎士が言った言葉を、ユリウスも口にした。
ただし、彼の“事故だ”は政治の言葉ではなく、“事故として処理される”という事実の言葉。

リリアは、その違いを見分けながら言う。

「違う」
「根拠は?」
ユリウスの声は冷たい。
冷たいからこそ、こちらが熱くなる。

リリアは壁面を指さした。

「爪痕が棚の高さに集中してる。人間を狙うなら、もっと無秩序になる」
「……魔獣の種類による」
ユリウスが即座に返す。
反論が速い。
でも、速さは“考えてない”じゃない。考えながら殴ってくるタイプ。

リリアは紙の散らばり方へ視線を滑らせた。

「紙の裂け方も不自然。爪で引っ掻いたなら縦に裂けるはず。でもこれは“破って”る。人の手の癖」
ユリウスの口が、ほんの少しだけ開く。
反論しようとして、言葉が詰まる。

リリアは畳みかけない。
畳みかけると感情になる。
感情は“女のヒステリー”にされる。
私は理屈で殺す。

「それに、棚の奥の部分だけが焼けてる。魔獣の爪に火属性の痕跡はない。薬品か魔導具。つまり、人間」

ユリウスが沈黙した。
彼の目が、爪痕から紙へ、紙から床へ、床から棚の支柱へ移る。
真実の匂いを嗅いでいる犬みたいに、視線が鋭い。
彼は真実の匂いに弱い。
嫌いじゃない。むしろ抗えない。

「……君の推測が正しいなら」

ユリウスの声が低くなる。
その低さは怖い。
怖いほど、真面目だ。

「王国の中枢が腐っている」

リリアは即答した。

「今さら?」

その言葉は挑発じゃない。
疲れた現実だ。
私はもう、甘い物語の中で眠れない。

ユリウスの視線が痛い。
彼は私を見下していた分、崩れたときの反動が大きい。
崩れたのは、私じゃなく、彼の“世界の前提”だ。

「……君は、最初からこれを知っていたのか」
「知ってたんじゃない。匂いがしただけ」
リリアは言う。
「匂いを無視しない練習をした」

ユリウスが拳を握る。
その仕草が、彼の動揺を隠しきれていない証拠。

「これは学園内で処理できる問題じゃない」
「そうだね」
「だが、学園側は“魔獣事故”で押し通す」
ユリウスの声に、苛立ちが混じる。
「……腐っているのは中枢だけじゃない。末端も、見て見ぬふりをする」

リリアは息を吐いた。
息が白くはならない季節なのに、体の内側が冷たい。

その時、背後から小さな声がした。

「……こわい」

振り返ると、ミレイア=ローゼンが立っていた。
顔が真っ白。
両手が震えて、胸元を押さえている。
目が大きく見開かれ、涙が溜まっているのに落ちない。

彼女がここにいるのは不自然だ。
でも不自然なことが起きる時、人は“中心”に集まる。
彼女は中心だから。
誰かが呼び寄せたのかもしれない。
あるいは、噂が彼女を動かしたのか。

ミレイアは血の匂いに怯えていた。
自分が中心の物語が、血の匂いを帯び始めたから。
甘い恋の舞台だと思っていた世界が、急に刃物を出した。

リリアはミレイアの肩に手を置いた。
温かい。
震えている。

「大丈夫」
リリアは低い声で言う。
「怖いのは当たり前」

ミレイアの瞳が揺れる。
“当たり前”と言われた瞬間、彼女の怯えが少しだけ許された顔になる。
正ヒロインは、怖がってはいけない。
そういう無言の圧が、ずっと彼女を縛っている。

リリアは、彼女の肩をそっと抱いた。
抱きしめるじゃない。囲い込まない。
ただ、支える。

「怖いのに笑顔でいようとするの、やめよ」

ミレイアの唇が震え、目から涙が落ちた。
ぽとり、と。
小さな音がしそうなくらい、綺麗に落ちた。

「……私、笑わなきゃって……ずっと」
声が嗚咽で途切れる。
「殿下の隣で、みんなの前で……私が泣いたら、みんな困るって……」

リリアは首を振った。

「困らせていいよ」
優しい言葉は、時々残酷だ。
でも、残酷なくらいが彼女を救う。

「あなたは人を救うために生まれた人形じゃない。泣いていい。怖がっていい。……生きてるなら、それでいい」

ミレイアの涙が、もう一粒落ちる。
それは正ヒロインの涙じゃない。
“役割”の涙じゃない。
ただの、一人の少女の涙。

ユリウスがその様子を見て、ほんの一瞬だけ視線を逸らした。
気まずいのか、理解できないのか。
彼は感情の扱いが下手だ。
でも下手な人ほど、真実には正直だ。

「……リリア」
ユリウスが低い声で呼ぶ。
「君は、この先をどこまで見るつもりだ」

リリアはミレイアの肩を抱いたまま、壁の爪痕を見る。
棚を狙った傷。
消された記録。
死にかけた管理官。
そして、“魔獣事故”という便利な言葉。

「最後まで」
リリアは言った。
「私が追放される前に、追放の根を抜く。……そして、誰が笑ってたのかも全部」

レオンが小さく息を吸った。
その息は、覚悟の音だった。

ミレイアは涙を拭いながら、震える声で言った。

「リリアさん……私、怖い。でも……逃げたくない」
「いい」
リリアは頷く。
「怖いまま、立てばいい」

この瞬間、世界の色が完全に変わった。
甘い恋の舞台から、血の匂いの現実へ。
そして、そこでも私は泣かない。
泣かない代わりに、手を伸ばす。

“正ヒロイン”を、役から降ろすために。

倉庫の隅で、風が鳴った。
紙片が舞い、ひらりと床に落ちる。
破れた記録の一部。
それは、誰かが消したかった証拠の欠片。

リリアはそれを拾い上げ、指でそっと折り目を伸ばした。
インクが滲んで読めない。
でも、読めなくても分かる。

――ここから、殺し合いになる。

そう思ったのに、胸の奥の火は消えなかった。
むしろ、強く燃えた。

「……前提ごと壊すって言ったよね」

自分に言い聞かせるみたいに呟く。

「なら、壊す。今度こそ」
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