平民令嬢、異世界で追放されたけど、妖精契約で元貴族を見返します

タマ マコト

文字の大きさ
7 / 20

第7話:契約の歴史、貴族の嘘

しおりを挟む

フィオラルが去ったあとの遺跡は、少しだけ空気が変わった。

さっきまでの緊張が嘘みたいにほどけて、妖精たちの囁きが戻ってくる。
でも、騒がしさじゃない。ざわめきでもない。
“波紋”だ。
王が水面に落ちて消えたあと、遅れて広がる波紋。

セリアは池の縁に座ったまま、自分の手を見つめた。
指先は汚れている。爪の間に土。
でも、そこに何か新しいものが混ざっている気がする。
見えない印。見えない熱。
契約の存在が、身体の内側からじんわり主張してくる。

「……見られた」
ぽつりと呟くと、ルゥシェが横で鼻を鳴らした。

「見られたね。王に」
「怖かった」
「普通」
「でも、踏みつけられなかった」
セリアが言うと、ルゥシェは少しだけ目を細める。
「踏みつけるのは人間の趣味」

その言い方が嫌味なのに、妙に笑えなかった。
王城の廊下で感じた視線。
測定水晶が光らなかった瞬間の失笑。
“混入者”と呼ばれた時の空気。
それが全部、今も皮膚の下に残っている。

妖精たちが、池の周りの石に散らばって座り始めた。
さっきは遠巻きだったのに、今は少しだけ距離が近い。
フィオラルがセリアを見た。
その事実が、妖精社会の中で“保証”になっている。

嫌な感じだった。
でも、そういうものなんだろう。
王が見た=少なくとも無価値ではない。
そんな単純な序列が、この世界にもある。

「ねえ、ルゥシェ」
セリアは声を落として聞いた。
「王は、なんで私を“境界を揺らす”って言ったの?」

ルゥシェは少し黙った。
言葉を選んでる時の沈黙。
それから、投げるみたいに言う。

「話すと長い」
「いいよ。長くても」
セリアは即答した。
今の自分は、知らないと前に進めない。

ルゥシェは、池の水面を指先でちょん、と叩いた。
水は揺れるのに、月は揺れない。
不思議な揺れ方。

「君のいる場所が、ズレてるから」
「ズレてる?」
「人間は、人間の領域にいる。妖精は、妖精の領域にいる。境界はあるけど、基本は混ざらない」
ルゥシェは淡々と説明する。
「でも君は、人間なのに妖精と契約した。しかも“対等”のやつ」

“対等”。
セリアの胸の奥が、また熱くなる。

「対等って……そんなに珍しいの?」
「珍しいっていうか……」
ルゥシェは小さく舌打ちした。
「人間がそれを嫌う」

「え?」

そのとき、近くの石の陰から、小さな妖精がぴょこっと顔を出した。
羽がない。代わりに、髪が苔みたいにふわふわしている。
目は黒くて丸く、感情が読みづらい。

「……ルゥシェ」
その妖精は名前を呼ぶ。
声が幼いのに、口調は妙に古臭い。

ルゥシェは顔だけ向ける。
「なに、モス」
「人間、連れてきたの。ほんと?」
「ほんと」
「契約したの?」
「した」
「……なんで」

モスと呼ばれた妖精は、セリアをちらっと見て、すぐ目を逸らした。
怖いのか、嫌なのか。
どちらにせよ、歓迎ではない。

ルゥシェは面倒そうに言う。
「嘘がないから」
「またそれ……」
モスはぶつぶつ言って、石の陰から出てきた。
身長はセリアのふくらはぎくらい。
セリアの足元の泥を見て、鼻をひくひくさせる。

「人間の匂い、まだ濃い」
「だろうね」
ルゥシェはあっさり答える。
「だって人間だもん」

モスはセリアを見上げた。
目が黒い。底が見えない。
でもその目に、わずかに怒りが滲んでいる。

「……人間、奪う」
小さな声で言う。
「私たちの森。私たちの水。私たちの契約。全部」

セリアは言葉を失った。
奪う。
昨日まで、そんな言葉は物語の中にしかなかったのに、ここでは現実の単語だ。

「奪ってない」
セリアは反射で言ってしまった。
「私は……追放されて、ここに来ただけで……」

言い訳みたいに聞こえた。
セリアは唇を噛む。
私は悪くない、と言いたいんじゃない。
ただ、ここで“奪う側”にされるのが怖い。

モスは目を細めた。
「追放?」
「……うん」
「人間の城から?」
「うん」
「……ふうん」

モスは一瞬だけ、セリアの胸元を見た。
契約の熱がそこにあることを、妖精は嗅ぎ取れるのかもしれない。
モスの視線がほんの少しだけ柔らかくなる。
でもすぐ硬くなる。

「追放されても、人間は人間」
モスは言った。
「君が奪わないって言っても、人間の“仕組み”が奪う。王国の貴族。あいつらが、ずっと」

貴族。
その単語が、セリアの胸を鈍く叩く。
王城の石の匂いが、記憶の奥から蘇る。

「……教えて」
セリアは言った。
「何があったの。貴族が、妖精に何をしたの」

ルゥシェがちらっとセリアを見た。
驚きと、少しだけ満足が混ざった目。
“聞く”という選択をしたのが、嬉しいらしい。

モスは少し躊躇った。
でも、遺跡の周囲にいる妖精たちも、耳をこちらに向けている。
今なら話すべきだ、と空気が言っている。

モスは石の縁に座り、足を揺らしながら語り始めた。
声は幼いのに、内容は古い。

「昔、契約は対等だった」
「対等……」
セリアが呟くと、ルゥシェが頷く。
「うん。対等。奪うのでも奪われるのでもなく、分ける」

モスは続ける。
「妖精は、森の流れを知ってる。水の道を知ってる。土の眠りを知ってる。人間は、火と鉄を持ってた。家を作る。道を作る。畑を作る」
「それって……協力してたってこと?」
セリアが聞くと、モスは一瞬だけ目を逸らした。

「……そう。最初は」
モスは言う。
「最初は、必要だった。人間は弱いから。冬に死ぬ。飢えて死ぬ。だから契約した。妖精が豊穣を支え、人間が森を守る。互いに“約束”してた」

森を守る。
その言葉が、セリアの中で意外な響きを持つ。
王国の貴族が、森を守る?
あの連中が?

「でも、変わった」
モスの声が少しだけ低くなる。
「人間が増えた。城ができた。王ができた。兵ができた。……貴族ができた」

貴族。
やっぱりそこだ。

「貴族は言った。『私たちの血は特別だ』って」
モスは吐き捨てるように言う。
「でも嘘。血が特別なんじゃない。契約が特別だった」

セリアは息を呑む。
血統は表の話。
裏で動いていたのは契約。

「結界」
モスは指で地面に円を描いた。
「人間の国を囲う透明な壁。魔獣を弾く。疫病を遠ざける。これ、妖精の力。契約の力」
「豊穣」
次に、波線を描く。
「畑に実りを。川に魚を。土に眠りを。これも妖精の力」

セリアの背中が冷える。
王城で見た、あの自信。
あれは血統の自信じゃなく、奪った力の自信だったのかもしれない。

「貴族は言った。『この国は私たちが支えている』って」
モスは笑った。
笑いなのに、悲しい。
「半分正しい。半分嘘。支えていたのは契約。契約を結べる家が、貴族になった。契約を持たない家は貴族になれなかった」

「じゃあ、貴族って……」
セリアが言いかけると、ルゥシェが横から言った。
「“妖精に選ばれてた家”だった。少なくとも昔はね」

セリアは唇を噛む。
選ばれる。
その言葉が、胸に重く落ちる。
自分は人間に選ばれなかったのに、今は妖精に選ばれている。
それが何を意味するのか、少しずつ見えてくる。

モスは続ける。
「でも貴族は、対等が嫌だった。対等だと、拒否される。契約は“選び合う”から。だから貴族は、契約を歪めた」

歪めた。
どうやって?

「言葉」
モスは言う。
「人間は言葉で縛る。紙で縛る。印で縛る。『契約』を『命令』に変える」

セリアの喉がひゅっと鳴る。
紙。印。命令。
それは、王城で味わった空気と似ている。
言葉の形をした鎖。

ルゥシェが吐き捨てるように言った。
「人間は便利な言葉を発明する。“正義”とかね」

“正義”。
その単語が、セリアの胸の奥に火を点けた。

王城で、追放が下された時。
誰も悪い顔をしていなかった。
みんな“正しい顔”をしていた。
王国のため。聖女のため。秩序のため。
そう言えば、どんな残酷も正義になる。

セリアの指先が震える。
怒りが湧く。
胃の底から熱が上がって、喉を焦がす。

その瞬間、胸の奥がきゅっと痛んだ。
ルゥシェの古い痛みが、また少しだけ滲む。
セリアの怒りが、ルゥシェに刺さっているのが分かる。

「……ごめん」
セリアが小さく言うと、ルゥシェは肩をすくめた。
「謝るなって」
「でも」
「怒っていい。怒りは生きてる証拠」
ルゥシェは言った。
ただし、と続ける。
「燃やすだけだと、君が灰になる」

灰。
その言葉で、セリアは息を止めた。
怒りは確かに気持ちいい。
燃えると、体が熱くなる。
でも燃え尽きたら、何も残らない。

セリアは拳を握り、ゆっくり息を吐いた。
怒りを、ただの炎で終わらせたくない。
この怒りには、形が必要だ。

モスは話を続ける。
「妖精は拒否した。何度も。『それは契約じゃない』って」
「でも貴族は聞かなかった」
「聞かないどころか、言った。『妖精は危険だ』って。『妖精は気まぐれだ』って。『だから私たちが管理する』って」

管理。
その言葉が、セリアの肌を冷たくなぞった。

「妖精は、沈黙した」
モスの声が少しだけ小さくなる。
「争えば森が燃える。水が枯れる。土が死ぬ。だから、黙った。契約を“細く”して、最低限だけ支えた。人間が飢えない程度。国が崩れない程度」

それは優しさなのか、諦めなのか。
どちらにせよ、苦い。

セリアは池の水面を見た。
月が揺れている。
水面の揺れは、妖精の長い沈黙みたいに静かだ。

「……じゃあ」
セリアは声を出す。
「私が追放されたのも……その、歪んだ仕組みのせい?」

ルゥシェが答える前に、モスが言った。
「そう」
即答。
「貴族は、契約を“持ってるふり”をする。でも本当は、契約が痩せてる。力が減ってる。だから焦る。焦るから、測定で分からないものを怖がる」

測定水晶。
光らなかったあれ。
ゼロ判定。
あれは本当にゼロだったのか?
それとも、測れなかっただけなのか?

「君は、“測れない”」
モスが言った。
「だから貴族は怖い。怖いものは排除する。便利な正義で」

セリアの胸が、ぎゅっと縮む。
あの瞬間の失笑が、いま別の意味を帯びて蘇る。
私が弱いから捨てられたんじゃない。
彼らが怖かったから捨てられた。

その事実は、救いじゃない。
むしろ怒りを増やす。
でも、怒りの質が変わる。
惨めさを焦がす怒りじゃなく、理不尽を切り分ける怒り。

「……ふざけてる」
セリアは呟いた。
声が低くなる。自分でも知らない声。

「うん」
ルゥシェが頷く。
「ふざけてる。だから僕は嫌い。人間のそういうところ」

モスがセリアを見た。
黒い目が少しだけ柔らかくなる。
「君は、どうするの」
問い。
それはフィオラルの問いと同じ種類だ。
壊すか、繋ぐか。
まだ決まっていない。
でも、決めなきゃいけない。

セリアは答えられなかった。
今はまだ、森で生きるので精一杯だ。
でも、胸の奥で怒りが形を作り始めている。

ただ燃えるだけじゃない。
理由になる。
戻る理由になる。

セリアは、王城の扉が閉まった音を思い出す。
あの音が、まだ心臓の奥で鳴っている。
そして、その音の上に今、別の音が重なる。
妖精たちの沈黙の音。
長い時間、奪われ続けた側の音。

「……私」
セリアはゆっくり言った。
「私、帰りたい。元の世界に」
口にして、胸が少し痛む。
それは本音。
でも本音はそれだけじゃない。

「でも、帰る前に」
セリアは拳を握る。
「この世界の“嘘”を知ってしまった。知らなかったことにできない」

ルゥシェが目を細めた。
「それは、戻る理由?」
「……うん」
セリアは頷く。
「私を捨てたあいつらが、何の上に立ってるのか知ってしまった。……それを、見過ごせない」

“見過ごせない”。
その言葉が、セリアの中で硬い芯になる。

モスはしばらく黙ってセリアを見ていた。
それから、ほんの少しだけ頷いた。

「嘘をつかないなら、いい」
それは許可でも祝福でもない。
妖精の通貨でいうなら、“小さな信用”の入金だ。

ルゥシェがふっと笑った。
「ほらね。君、少しずつ買えてる」
「買えてるって言い方やめて」
「でも事実」
「……うるさい」

セリアは息を吐きながら、池の月を見る。
月は静かだ。
でも、水面の底で、何かが動き始めた気がする。

怒りが、ただの炎から、刃になる。
戻る理由へ。
自分の足で決める理由へ。

そしてセリアは気づく。
自分はもう、ただ追放された平民じゃない。
妖精契約を結び、歴史の歪みを知ってしまった人間だ。

知らなかった頃には戻れない。
それが怖い。
でも、怖いまま進むのが契約だと、ルゥシェが教えてくれた。

そして、これが“対等な契約”の代価なのだと、セリアは理解し始めていた。
生きるだけじゃ終われない。
知ったなら、選ばなければならない。

夜の遺跡で、妖精たちの視線が少しだけ変わる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

悪役令嬢、休職致します

碧井 汐桜香
ファンタジー
そのキツい目つきと高飛車な言動から悪役令嬢として中傷されるサーシャ・ツンドール公爵令嬢。王太子殿下の婚約者候補として、他の婚約者候補の妨害をするように父に言われて、実行しているのも一因だろう。 しかし、ある日突然身体が動かなくなり、母のいる領地で療養することに。 作中、主人公が精神を病む描写があります。ご注意ください。 作品内に登場する医療行為や病気、治療などは創作です。作者は医療従事者ではありません。実際の症状や治療に関する判断は、必ず医師など専門家にご相談ください。

婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです

藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。 家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。 その“褒賞”として押しつけられたのは―― 魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。 けれど私は、絶望しなかった。 むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。 そして、予想外の出来事が起きる。 ――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。 「君をひとりで行かせるわけがない」 そう言って微笑む勇者レオン。 村を守るため剣を抜く騎士。 魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。 物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。 彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。 気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き―― いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。 もう、誰にも振り回されない。 ここが私の新しい居場所。 そして、隣には――かつての仲間たちがいる。 捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。 これは、そんな私の第二の人生の物語。

【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。

鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。 さらに、偽聖女と決めつけられる始末。 しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!? 他サイトにも重複掲載中です。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

家族の肖像~父親だからって、家族になれるわけではないの!

みっちぇる。
ファンタジー
 クランベール男爵家の令嬢リコリスは、実家の経営手腕を欲した国の思惑により、名門ながら困窮するベルデ伯爵家の跡取りキールと政略結婚をする。しかし、キールは外面こそ良いものの、実家が男爵家の支援を受けていることを「恥」と断じ、リコリスを軽んじて愛人と遊び歩く不実な男だった 。  リコリスが命がけで双子のユフィーナとジストを出産した際も、キールは朝帰りをする始末。絶望的な夫婦関係の中で、リコリスは「天使」のように愛らしい我が子たちこそが自分の真の家族であると決意し、育児に没頭する 。  子どもたちが生後六か月を迎え、健やかな成長を祈る「祈健会」が開かれることになった。リコリスは、キールから「男爵家との結婚を恥じている」と聞かされていた義両親の来訪に胃を痛めるが、実際に会ったベルデ伯爵夫妻は―?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...