聖女を追放した国が滅びかけ、今さら戻ってこいは遅い

タマ マコト

文字の大きさ
11 / 20

第11話 滅びの兆しを知らぬふりできない国

しおりを挟む


 アルシェルド王国から、聖女リディアが消えて数ヶ月。

 最初の一ヶ月は、やけに眩しかった。

 王城の大広間には、色とりどりのドレスと宝石が溢れ、音楽と笑い声が夜更けまで止まらなかった。
 新たな聖女――エリシア・フェルネストの就任を祝う祝宴。
 誰もが「これで国は安泰だ」と言い合い、「これからはより強い加護が」と期待と不安を煮詰めたような言葉を交わした。

 リディアを追放した夜の空気を覚えている者も、少しはいたはずだ。

 だが、人は見たいものだけを見る。

「まあ、ご覧になりました? 就任の儀式でのあの光!」

「ええ、ええ。前の聖女様より、きらびやかだったとか」

「そうですわね、“映える”奇跡でしたわ」

 上流貴族たちは、そんな会話で互いの不安をごまかした。

 エリシアは、薄いヴェールをかぶり、震える指で聖杯を捧げた。
 祭壇の上に小さな光の粒が舞い、花弁のように降りてくる。
 見栄えのする祝福。
 光は確かに「綺麗」だった。

 ただ――

 そこに、「大地の底まで染み込んでいく温度」はなかった。



 エリシアの力は、祝福や見た目の浄化には向いていた。

 傷を負った兵士たちの前に立ち、彼女が祈れば、かすり傷や浅い切り傷はたちまち塞がる。
 病で寝込んだ子どもの額に手を置けば、一時的に熱が下がる。
 婚約披露の場で、王太子ユリウスに花の冠を降らせることもできた。

 だから最初のうちは、誰も文句を言わない。

「ほら、ご覧になって。聖女様のご加護で、こんなに綺麗に傷が消えましたのよ」

「ええ、ええ。“ちゃんと働いている”のですね、新しい聖女様は」

 宮廷の空気は、“自分たちの選択は正しかった”という確認に忙しかった。

 それでも、違和感はすぐに現れ始める。

「前線からの報告です」

 議会で、山積みの羊皮紙が机に置かれる。

「……魔物被害、前月比120%増加?」

「どこもかしこも、“やや増加”か“増加傾向”だな」

「聖女様の就任直後なら、むしろ落ち着いてもいい頃だと思ったのだが」

 小さなざわめき。
 それを打ち消すように、誰かが言う。

「これは、天候のせいだろう」

「ええ、そうですとも。このところ雨が不規則ですし、魔物も落ち着かないのでしょう」

「北方の山脈で何か異変があるとか。隣国ノルディアが何か仕掛けているのかもしれん」

 そう言って、「聖女の件」と書かれた書類を、そっと机の隅に押しやる。

 何度も押しやられて、“見ないふり”をされた紙の束が、少しずつ積み重なっていく。



 ユリウスは、その中心にいた。

 王のすぐそばで報告書に目を通し、議会に出席し、新しい聖女の傍に立つ王太子。
 立場としては、以前と変わらないはずだった。

 けれど、視界は決定的に違っていた。

 隣にいるのは、リディアではない。

「殿下、大丈夫でしょうか……」

 エリシアが、わざとらしく不安げに袖を握る。

「わたくし、まだ力不足で……リディア様のようには、とても」

「君は君の出来ることをすればいい」

 ユリウスは、そこで言葉を止める。

(“リディアのように”か)

 喉の奥で、何か引っかかる。

 あの夜、大広間でリディアに向かって告げた言葉が、今さら自分の首を絞める。

『君は聖女としての責務を果たせなかった』

『聖女の称号を剥奪し、婚約もここで破棄する』

 あのとき、自分は間違っていないと思っていた。

 数字が示す“結果”がすべてだと信じていた。
 神官たちの報告書を信じ、貴族たちのざわめきを静めるためには、それしかないと。

(それなのに――)

 数ヶ月経った今、積まれている報告書は、以前よりも“悪い数字”を並べている。

「辺境第三防衛線、突破されました」

 ある日、血相を変えた伝令が飛び込んできた。

「第四防衛線にて応戦中ですが、こちらも長くは……!」

「聖女の加護はどうした」

 誰かが叫ぶ。

「前線の癒しは行われているのか!」

「エリシア様は、王都での儀式を優先されており……」

「なぜだ!」

「“王都の加護を安定させることが先決”と、神官長が……!」

 場の空気がざわりと揺れる。
 ユリウスは拳を握りしめた。

(前線の兵の負傷を癒していたのは、誰だった?)

 思い出すまでもない。

 傷だらけで戻ってくる兵士たちの列。
 聖堂の奥、祭壇の前で、ひたすら祈り続けていた少女。

 指先を震わせながら、何度でも手を伸ばしていた聖女。

(リディアだ)

 今さら、当たり前の事実が胸を刺した。

 もちろん、分かっていたつもりだった。
 聖女が国を支えているということは、理解していた。

 ――数字で。

 報告書に記された「治癒人数」「加護の対象地域」、儀式の成果として列挙された項目。
 それが彼にとっての「聖女の働き」だった。

 今、その“数字”が意味を失い始めている。

 報告書には、「癒しの儀は滞りなく」の文言。
 けれど、兵士たちは疲弊し、負傷者は減らず、葬儀ばかりが増えている。

 数字と現実が、噛み合わない。

「ユリウス」

 王の声が、背後からかかった。

 王座に座る父の顔色は、以前より著しく悪い。
 目の下には深い隈、唇は乾いている。

「聖女の件は……どうなっている」

「エリシアの力は、王都においては安定しております。
 ただ、辺境への影響はまだ――」

「“まだ”と言っている余裕はないだろう」

 王は、わずかに咳き込んだ。

「リディアのときは、どうだった?」

 その名前を、父の口から聞くのは久しぶりだった。

 ユリウスは、一瞬だけ息を止める。

「……辺境の被害は、“ある程度の範囲で抑えられている”と報告されていました」

「そうだな。“ある程度”だ」

 王は目を閉じる。

「その“ある程度”が、どれほど大きかったのか……今ようやく分かった」

 その言葉には、自嘲が混ざっていた。



 やがて王は、本当に倒れた。

 高熱と咳。
 寝台から起き上がれない日が続き、「重い風邪だ」と宮廷医師は繰り返したが、誰も信じていなかった。

 病の噂は、あっという間に城中に広がる。

「陛下がお倒れになったそうだ」

「いや、“一日二度しか起き上がれない”と聞いたぞ」

「戦況が悪化しているこの時期に……」

 そして、ごく自然な流れのように、ユリウスは「摂政」として国の実務を握ることになった。

 国王の署名が必要な書類は、全部自分の手元に来る。
 兵の配置も、税の再配分も、避難計画も、全部。

 机の上に積まれた羊皮紙は、山というより崩れかけた塔のようだった。

「……多すぎるだろ」

 思わず漏れた呟きは、誰にも聞こえない。

 インク壺の中の黒が重く見える。
 視線をわずかにずらすと、窓の外には、王都の街が広がっていた。

 そこに暮らす人々の顔を、彼はほとんど知らない。

 数字でしか知らなかった。

「殿下」

 扉の外から、侍従が顔を出す。

「前線からの使者が、至急の拝謁を求めております」

「通せ」

 重い返事をして、ユリウスは椅子から立ち上がる。
 新しく整えられた執務室は、彼にとってまだ“借り物の場所”だった。

 少しして、薄汚れた軍服の男が膝をついた。

 肩には包帯。
 鎧には血の跡。
 顔には、ひどい疲労と焦燥。

「北方第三防衛線、完全に崩壊。第五防衛線まで退却しております」

「第四はどうした」

「第四は……“防衛線”と呼べるほどのものではもともとなく、地の利と少数の兵で持ちこたえていたのですが……
 魔物の群れが、これまでにない規模で押し寄せ、――」

 言葉が続かない。

「負傷者は?」

「数え切れません。同時に、病も……」

 病。

 その単語に、ユリウスの背筋が少しだけ冷えた。

「病が広がっているというのは、本当か?」

「はい。魔物に襲われた村々で、原因不明の高熱と咳が広まり……
 王都からの薬草や医師だけでは、とても追いつきません。
 聖堂からの“加護”も、以前ほど届いているようには……」

「聖女の祈りは?」

「王都から、“儀式は行われている”と……報告書では」

 “報告書では”。

 その言葉に、ユリウスのこめかみがぴくりと動いた。

 報告書でなら、いくらでも文字を並べられる。
 「祈りは届いている」「儀式は成功」「加護は健在」。

 だが、目の前の男の目は、そう言っていない。

「――下がれ」

 短く命じると、男は深々と頭を下げて退室した。

 扉が閉まった瞬間、ユリウスは大きく息を吐く。

 胸の内側を、ドロドロとした何かが這い回っていた。

(リディアがいた頃は)

 思い返したくないのに、記憶は勝手に浮かび上がる。

 前線から戻った兵士たちが、聖堂に列を作る姿。
 「聖女様、助けてください」と頭を垂れる者たち。

 リディアは、いつも疲れていた。
 目の下には隈ができていて、肌も透き通るように白くて、腕は驚くほど細かった。

 でも、彼女は決して「嫌だ」とは言わなかった。

『リディア、君は本当に全力を尽くしているのか?』

 あの日の自分の言葉が、今の自分に突き刺さる。

(全力以上を、捧げていたんだ)

 今になって、ようやく分かり始める。

 山積みの報告書。
 戦況図。
 町の生産量。
 病床の数。

 全部を眺めていると、背後に薄く“祈りの影”が浮かんで見える。

 そこに一人、淡い光を振りまき続けていた少女の姿。

 自分は、その光を「当然」だと思っていた。

「殿下」

 今度は、大臣の一人が入ってきた。
 彼の顔には、あからさまな疲労と苛立ちが浮かんでいる。

「民の不満が溜まっております。
 “税を軽くしてくれ” “聖女の加護は本当にあるのか” “王は何をしているのか”――」

「聖女に関する不満は、どう処理している?」

「“新たな聖女エリシア様は、前任者よりも繊細な力の持ち主であり、これから加護が強まる段階だ”と説明しております」

 よくもまあ、そんな言葉がすらすら出てくるものだ。

「しかし、辺境からの帰還兵の中には、“以前のほうが状況がマシだった”と漏らす者も……」

 ユリウスの胸が、刺すように痛んだ。

 “以前のほうがよかった”。

 それはつまり、“リディアのほうが、国を守っていた”ということだ。

 わざわざ口に出さなくても、分かりきった事実。

「……そのあたりの声は、なるべく抑えろ」

 絞り出すように言う。

「今、“前聖女”の話題を必要以上に広めるべきではない」

「承知しました」

 大臣が頭を下げて出ていく。

 残された部屋で、ユリウスは机に両手をついて、深くうつむいた。

(リディア)

 心の中で名前を呼ぶ。

(君は、どんな気持ちでそこに立っていたんだ)

 祈りの場に立ち、人々の不安と期待と依存を一身に浴びて。
 “国のため”という美しい言葉の下で、すり減らされ続けて。

 自分は、彼女を“責務を果たせなかった聖女”と切り捨てた。

 その結果、今――

 机の上には、収まりきらないほどの報告書。
 耳には、止まらない「助けてくれ」という声。
 視界には、疲弊しきった兵士と、痩せた民衆。

 冷静に考えれば、誰でも分かることだった。

 一人が担っていたものがどれほど重かったか。
 その一人を切り捨てた穴が、どれほど大きいか。

 数字で見たときは、どこか他人事だった。
 「聖女の交代」は、“国の方針”であり、“決断”だった。

 今、その穴の縁に立たされているのは、自分自身だ。

 風が吹き込んでくる。
 紙が震える音がやけに大きく響いた。



「殿下」

 数日後、聖堂からの使いが執務室を訪れた。

 派手な法衣に身を包んだ神官長。
 あの頃、「記録は正しい」とリディアに告げた男。

「エリシア様の加護について、陛下……いえ、摂政殿下にご報告がございます」

「話せ」

 ユリウスは顔を上げる。

「王都における儀式は、滞りなく行われております。
 神託の儀においても、“新たな聖女は確かに選ばれた”という兆しが――」

「辺境への影響は?」

 途中で遮ると、神官長の表情が一瞬だけ固まった。

「そちらは……まだ、顕著な改善は見られませんが、これは天候や地脈の乱れが――」

「“リディアのとき”の数字と、エリシアの数字を、隠さずに並べた報告書はあるか」

「そ、それは……」

 言葉に詰まる。

 ユリウスの内側で、冷たいものがすっと上がってきた。

「ないのか。それとも、“作らないようにしている”のか」

「殿下、まさか我々が、数字を――」

「俺は今、“どれだけ悪化したか”を責めたいわけじゃない」

 自分でも驚くほど、声は冷静だった。

「知りたいのは、“どれだけリディアが担っていたか”だ」

 神官長の目が、はっきりと揺れた。

 リディアの前で、「記録は正しい」と言い切ったとき。
 報告書の数字を“真実”として突きつけたとき。

 彼の中で何が動いていたのか、ユリウスは今になって気づき始めていた。

「……今からでもいい。過去十年分のデータを洗い直せ」

 低い声で命じる。

「“聖女の祈りの有無”“加護の範囲”“辺境の被害”――全部だ。
 リディアの在任期間と、今の状況を、正直に並べろ」

「ですが、それは……!」

「困るのか?」

 ユリウスは静かに笑った。

「困るのは、誰だ?」

 神官長は、何も言えなかった。

 やがて、低く頭を垂れる。

「……承知いたしました」

 その背中には、「自分がどこまで嘘に関わったか」を自覚している重さがあった。



 数日後、机の上に新たな山が積まれた。

 十年分の記録。
 リディアが聖女として立っていた年数。
 彼女の祈りが行われた日、行われなかった日。
 その前後の被害の推移。

 それを見た瞬間、ユリウスは息を詰まらせた。

「……こんなに、か」

 紙の上には、「リディアの祈りがあったとき」と「なかったとき」の差が、残酷なくらいはっきりと刻まれている。

 彼女が全力で祈った月は、被害が明らかに抑えられていた。
 彼女が倒れ、祈りの回数が減ったときには、被害もまた跳ね上がっていた。

 数字は、嘘をつかない。

 嘘をついたのは、それを「見ないふり」してきた人間たちだ。

 ――自分も含めて。

(リディア)

 また、心の中で名前を呼ぶ。

(君は、こんな重さを、一人で担っていたのか)

 数字が、重りのように心に積み上がっていく。
 その重りを、“当然”と受け取っていた自分の顔が、鏡に映っている気がした。

(俺は……)

 何を守ったつもりだった?

 国か。
 王家の権威か。
 聖堂の面子か。

 そのどれもが、今、土台から崩れ始めている。

 滅びの兆しを、もう、知らぬふりはできない。

 兵士たちの疲れた目。
 民衆の不安げな声。
 病に伏せる王。
 そして――数字の上から、静かに消えていった“聖女リディア”という名前。

 ユリウスはようやく、「彼女が担っていたものの重さ」を、数字ではなく、自分の手の重さとして感じ始めていた。

 あまりにも遅すぎる、実感だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

嘘つきと言われた聖女は自国に戻る

七辻ゆゆ
ファンタジー
必要とされなくなってしまったなら、仕方がありません。 民のために選ぶ道はもう、一つしかなかったのです。

聖女はもう要らない

ファンタジー
百年以上にわたり、王国を支えてきたローゼンベルク公爵家。しかしその力は、代々生まれる「聖女」の魔力による結界術と魔導炉に依存した、王家との盟約に基づくものだった。 夜会の日、王太子アレクシス・ルクシエルは、公爵令嬢アンジェリカ・ローゼンベルクに聖女としての任を解くことを告げる。アンジェリカは盟約に基づき、国を揺るがすほどの魔法契約の解除及び巨額の請求を求める──その場にいた貴族たちは戦慄した。しかし……。 ※他サイトにも投稿しています。

わたくしを追い出した王太子殿下が、一年後に謝罪に来ました

柚木ゆず
ファンタジー
 より優秀な力を持つ聖女が現れたことによってお払い箱と言われ、その結果すべてを失ってしまった元聖女アンブル。そんな彼女は古い友人である男爵令息ドファールに救われ隣国で幸せに暮らしていたのですが、ある日突然祖国の王太子ザルースが――アンブルを邪険にした人間のひとりが、アンブルの目の前に現れたのでした。 「アンブル、あの時は本当にすまなかった。謝罪とお詫びをさせて欲しいんだ」 現在体調の影響でしっかりとしたお礼(お返事)ができないため、最新の投稿作以外の感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~

白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。 王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。 彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。 #表紙絵は、もふ様に描いていただきました。 #エブリスタにて連載しました。

お飾りの聖女は王太子に婚約破棄されて都を出ることにしました。

高山奥地
ファンタジー
大聖女の子孫、カミリヤは神聖力のないお飾りの聖女と呼ばれていた。ある日婚約者の王太子に婚約破棄を告げられて……。

(完)聖女様は頑張らない

青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。 それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。 私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!! もう全力でこの国の為になんか働くもんか! 異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

聖女の妹、『灰色女』の私

ルーシャオ
恋愛
オールヴァン公爵家令嬢かつ聖女アリシアを妹に持つ『私』は、魔力を持たない『灰色女(グレイッシュ)』として蔑まれていた。醜聞を避けるため仕方なく出席した妹の就任式から早々に帰宅しようとしたところ、道に座り込む老婆を見つける。その老婆は同じ『灰色女』であり、『私』の運命を変える呪文をつぶやいた。 『私』は次第にマナの流れが見えるようになり、知らなかったことをどんどんと知っていく。そして、聖女へ、オールヴァン公爵家へ、この国へ、差別する人々へ——復讐を決意した。 一方で、なぜか縁談の来なかった『私』と結婚したいという王城騎士団副団長アイメルが現れる。拒否できない結婚だと思っていたが、妙にアイメルは親身になってくれる。一体なぜ?

処理中です...