追放された無能令嬢、実は転生賢者でした――王国が滅びてももう知りません

タマ マコト

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第17話 黒い飢えが口を開けた夜に、それでも私は見捨てない

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 黒蝕孔が本当に“開く”音を、リリアは一生忘れないと思った。

 地鳴りでも、爆発でも、崩落でもない。

 もっと嫌な音だった。

 世界の奥歯が、ぎり、と噛み合いをずらすような音。耳で聞くというより、骨の内側に直接響くような低い軋み。王都の地下深くに沈められていた奈落の蓋が、とうとう限界を越えて滑ったのだと、理屈より先に身体が理解する音だった。

 隔離区画へ向かう石階段の途中で、その音が来た。

 次の瞬間、塔全体が大きく揺れる。

「っ……!」 
 リリアは壁に手をついた。 
 石の継ぎ目から粉が落ちる。上の方で悲鳴。下の方で術式が割れるような甲高い音。さらに遅れて、地下のもっと深いところから、ぞっとするほど濃い魔力の奔流が噴き上がった。

 開いた。

 黒蝕孔が。

「殿下! 中枢部より逆流、急速拡大!」 
 駆け込んできた伝令の顔は蒼白だった。 
「眷属が、地上各所に同時発生! 結界塔第三層、支持陣に亀裂!」 
「地上へ連絡を!」 
 カイルが即座に命じる。 
「王都防衛を最優先、中枢部は俺たちが抑える!」 
「はっ!」

 リリアは息を整えようとしたが、無駄だった。胸の奥の魔力が、開いた奈落に呼応するように震えている。嫌悪。恐怖。既視感。前世の記憶の破片が、また勝手に血の中でざわめき始める。

 あの飢えを知っている。 
 見たくないのに、知っている。

「リリア」 
 カイルの声が落ちる。 
「立てるか」 
「……はい」 
「嘘をつくな」 
「立てます」 
 呼吸をひとつ。 
「倒れる余裕がないので」

 それを聞いて、カイルはそれ以上無駄な確認をしなかった。

「行くぞ」 
「セレナの場所は」 
「隔離区画はもう保たない。黒蝕孔の中枢側へ引かれている」
 「やっぱり……」

 唇が苦く歪む。

 星喰いは飢えている。完全に形を持たずとも、一番裂け目の深い場所へ手を伸ばす。セレナはその器として、ほとんど完成しかけていた。

 嫌な予感ではない。 
 もう現実だ。

     ◇

 その頃、地上の王都は本当の意味で地獄になり始めていた。

 結界塔の上層から青白い火花が走り、補助塔のいくつかは逆流に耐えきれずに魔力を吹き上げる。王都上空を覆っていた星律結界は、ところどころ巨大なひびのような暗い亀裂を見せていた。

 その亀裂から、黒いものが落ちてくる。

 眷属だ。

 人影に似たもの。獣に似たもの。羽を持つようで持たない、輪郭の不安定な黒。影そのものが飢えを持って地上へ染み出してきたみたいな存在たちが、屋根の上、路地の奥、広場の中央に次々と現れる。

「北区に援軍を回せ!」 
「西門前、第三隊壊滅!」 
「避難民を王城側へ寄せるな、地下が危険だ!」

 怒号が飛ぶ中、アルベルト・アストレイアは騎士団の先頭に立っていた。

 剣はもう何度目かの斬撃で刃こぼれを起こし、白いマントの裾は黒い汚れと血で重くなっている。王族の象徴みたいな美しさは、今はどこにもなかった。あるのは、歯を食いしばって前へ出る人間の必死さだけだ。

 広場へ飛び込んできた眷属が、避難に遅れた老夫婦へ伸びる。

「下がれ!」

 アルベルトは間に滑り込み、剣に魔力を流し込んだ。眷属は斬れば終わる敵ではない。黒い身体は一度裂けてもまた形を戻そうとする。中心核を見つけて断たなければならない。

 冷静に。 
 正確に。 
 でも急げ。

 剣閃が黒を裂く。

 眷属の中心に走った薄い紅の筋を見つけ、二撃目でそこを貫いた。黒い塊が霧のように散る。

 老夫婦が震えながら見上げてくる。 
「お、王子殿下……」 
「話は後だ、走れ!」

 自分でも驚くほど、声が枯れていた。

 次の瞬間、別方向で建物の壁が破れ、二体目の眷属が騎士へ食らいついた。騎士の魔導鎧が一瞬で色を失い、膝が崩れる。喰われている。肉ではなく、魔力を。

「くそっ……!」

 アルベルトは駆ける。

 怖い。怖くてたまらない。王都が、自分の知っている国の形を捨てていく。何を切っても、どこを守っても、まだ足りない。この惨状の一端に、自分の判断があることも、もう否定できない。

 ならせめて、剣を振るうくらいは、自分の手でやれ。

 それが遅すぎる償いだとしても。

     ◇

 王城地下の補助術式室では、ロイド・エルフェリアが外套を脱ぎ捨て、魔導陣の中心に立っていた。

 床一面に敷かれた補助陣は、本来なら複数の高位術師が交代で維持する規模だ。だが今は人手が足りない。結界塔崩落寸前、眷属地上流出、避難誘導、負傷者搬送。術者たちはどこも足りていない。

「侯爵閣下、本当にご自身で?」  補佐術師が震える声で問う。

「他に適任がいるなら代われ」 
 ロイドは低く言った。 
「いないなら黙って支えろ」

 机上の記録ではなく、自分の手で陣を支えるのは何年ぶりか。若い頃、当主教育の一環で叩き込まれた古い技法が、今さら指先に戻ってくる。

 皮肉だと思う。

 家が秘匿し、娘たちへ押しつけてきた構造を、最後の最後で自分が支えることになるなんて。

「接続点、二番から五番へ流す。中枢は帝国側主陣へ寄せろ」 
「は、はい!」 
「定着符は?」 
「展開済みです」 
「遅い。もっと前にやれ」

 怒鳴り声はよく通った。昔から、こういう時のロイドは有能だった。だからこそ、余計に罪深い。見えていたものを、見ないふりする力もまた高かったのだから。

 脳裏にリリアの顔が浮かぶ。

 長女。 
 静かな娘。 
 褒めるべき時に褒めず、守るべき時に守らなかった相手。

 今さら父親面をする資格などない。

 それでも、せめてこの術式くらい、自分の手で支えろとしか思えなかった。

 ロイドは魔力を流し込む。補助陣が青白く立ち上がり、中枢へ続く細い支えが何本も伸びる。

「リリア」 
 誰にも聞こえないほど小さく呟く。 
「今度こそ、お前一人に押しつけない」

 遅すぎる言葉だ。 
 それでも、言わずにはいられなかった。

     ◇

 中枢へ続く回廊は、もう回廊の形をしていなかった。

 壁はひび割れ、床はところどころ沈み、封印術式の線が熱を持った傷跡みたいに赤黒く脈打っている。黒蝕孔から噴き上がる圧が、この地下そのものを異形へ作り変え始めていた。

 カイルが先行し、リリアはそのすぐ後ろを走る。帝国騎士たちが後方を固めていたが、途中で現れた眷属の迎撃のため、半数以上は離脱した。

 今、最深部へ向かっているのは、ほとんど二人きりに近い。

「左!」 
 カイルの声と同時に、壁から剥がれた影が襲いかかる。

 眷属。

 人の上半身だけを無理やり形にしたみたいな黒い塊が、音もなく距離を詰めてくる。リリアは反射で手を上げた。古代式をそのまま撃てば、回廊ごと吹き飛ばしかねない。

 だから、流す。

「《偏向障壁》!」

 現代式へ翻訳した簡易防護陣を展開。眷属の軌道をわずかに逸らし、その隙をカイルが刃で断つ。黒い核が割れ、眷属は霧になって散る。

「助かりました」 
 息を切らしながら言うと、カイルは前を向いたまま答えた。 
「礼は後だ」 
「そうですね」 
「まだ来る」

 本当に、次の瞬間にはまた別の気配がした。黒蝕孔が開いてから、地下そのものが飢えた生き物みたいに蠢いている。影の多い場所は全部、眷属の口になり得る。

 嫌になるほど厄介だ。

「セレナの気配は?」 
 カイルが問う。 
「前より濃いです」 
 リリアは胸の奥の感覚を探る。 
「……でも、もうほとんど“セレナだけ”じゃない」 
「急げるか」 
「急ぎます」

 角を曲がった先で、空間が開けた。

 そこは、もはや人間のための部屋ではなかった。

 王都地下最深部、黒蝕孔中枢。

 巨大な円形空間の中央が底なしに裂けている。黒い穴。縁にはかつての封環術式が砕けたガラスみたいに残っていて、その隙間から黒紫の靄が呼吸のように膨らみ、しぼむ。そのたびに空間の色がわずかに失われる。

 穴の上に、何かが浮いていた。

 セレナだった。

 正確には、セレナだったもの、と言うべきなのかもしれない。

 白金の髪が重力を無視して揺れている。足先は床に触れていない。ドレスはところどころ黒い靄に食われたように透け、肌の上には細い黒い紋様が蔦みたいに這っていた。

 顔は、泣いているようにも笑っているようにも見える。 
 瞳だけが、壊れた硝子みたいに濁っていた。

「……セレナ」 
 リリアの声が、思ったより小さく落ちた。

 セレナがゆっくり顔を向ける。

「お姉様」

 その呼び方に、リリアの胸がひどく嫌なふうに揺れた。

 憎しみも、羨望も、甘えも、全部が溶けた声だった。

「来てくれたんだ」 
「迎えに来たわけじゃない」 
「ひどい」

 セレナはくすりと笑った。 
 その笑い方は昔のまま可愛いのに、音だけが黒い泥を引いている。

「でも、来ると思ってた」 「……」 
「だってお姉様、昔からそうだったもの。わたしがどれだけ嫌なことしても、最後は全部、静かに飲み込んで」

 言葉が刺さる。

 リリアは顔をしかめる。 
「全部なんて飲み込んでない」 
「ううん、飲み込んでたよ」 
 セレナは首を傾げた。 
「怒らなかった。泣かなかった。お父様に嫌われても、王子様に捨てられても、ずっと綺麗な顔してた」 
「それは……」 
「ずるいよ」

 その一言に、胸の奥をえぐられたような気がした。

 ずるい。

 そう思われていたのか。 
 自分が必死で感情を殺していたことを、セレナは“ずるい”と見ていたのか。

「どうして」 
 セレナの唇が震える。 
「どうして私を置いて先に行ったの」

 その声は、急に幼かった。

 王太子妃候補としての可憐な声音でも、姉を嘲る甘い声でもない。ただ、置いていかれたと思い込んだ小さな子どもの声。

「……」 
「どうしてお姉様だけ、あの家から、あの国から、先に出て行っちゃったの」 
「追放されたのよ」 
「でも、出ていけた」 
 セレナの目から、ようやく涙が落ちる。 
「わたしはまだ、ずっとあそこにいたのに」

 その言葉に、リリアは一瞬、言葉を失った。

 胸を刺したのは同情ではない。  理解だった。

 自分もまた、あの家で救われたかった少女だったからだ。 
 父に見てほしかった。 
 認めてほしかった。 
 役目じゃなく、自分自身を。

 それが叶わず、追放という最悪の形で外へ押し出された。 
 でも結果として、自分はあの檻から出てしまった。

 セレナは違う。 
 勝たなければ、選ばれなければ愛されないと刷り込まれたまま、家と国の中に置き去りにされた。

 その歪みへ、星喰いが滑り込んだ。

「……ほんとに最悪」 
 リリアは呟く。

「なにが?」 
 セレナが笑う。
 「わたし?」 
「違う」 
 リリアは首を振る。  
「この国も、自分の家も、全部」

 セレナの背後で、黒蝕孔が脈打つ。 
 そのたびに、空間の輪郭が少しずつ歪む。星喰いはまだ完全には顕現していない。だが、依代が完成に近づくたびに、その本体の影がセレナの輪郭をなぞろうとしている。

 ここで最短手段を取るなら簡単だ。

 セレナごと切る。 
 依代を壊し、黒蝕孔との接続を一時的に断つ。 
 時間は稼げる。

 たぶん、合理的にはそれが正しい。

 でも。

 リリアはセレナを見た。

 憎い。 
 許したくない。 
 あの夜のことも、これまでのことも、消えてはいない。

 それでも、ここでただ切り捨てたら、全部が星喰いの思うままだ。

 壊れた家と国が生んだ歪みを、そのまま災厄の餌にすることになる。

 何より——

 自分は、救われたかった少女を、知っている。

「リリア」 
 隣でカイルが低く言う。 
「時間がない」 
「……わかってます」 
「最短は、依代の切断だ」

 その言葉は責めていない。事実だけを言っている。

 リリアは目を閉じる。 
 息を吸う。 
 胸の中で、前世の賢者としての合理と、今の自分の痛みが正面からぶつかる。

 切れば早い。 
 でも、それでいいのか。

 王国の都合で切り捨てられてきた自分が、今度は都合の悪い依代として妹を切るのか。 
 それは、たしかに一つの正しさだろう。 
 でも、同時にものすごく嫌だった。

 目を開ける。

「……切りません」 
 リリアははっきり言った。

 カイルの黄金の瞳が、ほんの少しだけ細くなる。 
「難しい方を選ぶか」 
「はい」 
「理由は」 
「救いながら封じる」

 自分でも震えるほど無茶な答えだと思う。

「できる保証はない」 
「わかってます」 
「失敗すれば、君ごと引きずられる」 
「それも、わかってます」

 リリアは一歩、セレナへ近づいた。

「でも、ここで見捨てたら、たぶん私は、もう二度と自分の選択を好きになれない」 
「……」 
「だから、救いながら封じる。最短じゃなくていい。綺麗でもなくていい。私が選ぶのはこっちです」

 その言葉に、カイルは数秒だけ沈黙した。

 そして、短く言う。

「なら、支える」 
「……はい」 
「死ぬなとは言わない」 
「ひどい」 
「だが、勝手に諦めるな」 
「……はい」

 セレナは涙で濡れた目のまま、姉を見ていた。 
 憎しみも、羨望も、助けてほしいという幼い願いも、全部を混ぜた目で。

「お姉様」 
「黙って」 
 リリアは言う。 
「今から本気で引っぺがすから」 
「いたい?」 
「すごく」 
「やだ」 
「知るない」

 そう言いながら、リリアは指先に術式を灯した。

 最短手段ではない。 
 だからこそ、ここから先は、痛みと泥だらけの救済になる。
 それでも彼女は、誰かの都合で切り捨てる方ではなく、自分の意志で困難な方を選んだ。

 黒蝕孔の飢えが、さらに深く口を開く。
 だがその前で、銀の髪の少女は、壊れた妹へ向かって一歩も引かなかった。
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