平凡メイドの私が追放された結果、女神の加護を独占して国が騒然

タマ マコト

文字の大きさ
20 / 20

第20話「女神の祝福と、私の選んだ未来」

しおりを挟む


 王都の空は、穏やかだった。

 戦の煙も、疫病の呻きもない朝。
 石畳を行き交う人々の顔は、前より少しだけ柔らかくて、笑い声の数も、ほんの少し多くなっている。

 市場の片隅で。

「ほらほら、さっさと並ばないと、“光の娘”のお通りに巻き込まれちまうぞ!」

「えー、見たいからむしろ巻き込まれたい!」

「バカ、お前誰にでも“癒して下さい”とか言うなよ! もったいねえ!」

 そんな賑やかな声が飛び交っていた。

 “光の娘”

 “女神に選ばれし巫女”

 “国の守護者”

 いろんな呼び名で呼ばれる彼女を、人々はもう“特別な異物”ではなく、“この国にいるのが当たり前の誰か”として受け入れ始めていた。

 ――ユナ・アークレット。



 王宮の中庭は、いつもより華やかに飾り付けられていた。

 白と金の布が柱に巻き付けられ、季節の花々が円を描くように植えられている。
 中央には、小さな舞台。その前には、王族席と、招かれた貴族たち、それから特別に入城を許された民衆のスペース。

 今日は、王宮にしては少し珍しい“混ざった式典”の日だった。

 王太子の婚約発表。

 そして――女神エリュシアの加護を受けた“国の守護者”のお披露目。

 それが、同じ場所で同じ時間に行われる。

「……ねえ、これ、逃げたらダメですか」

 舞台裏。

 半透明の幕の向こうから見える人の波に、ユナは軽く現実逃避した。

 胸元に刺繍の入った、白を基調としたドレス。
 派手すぎないけれど、メイド服に慣れた自分には、十分すぎるほど華やかな服装。

 頭には、小さな花冠。

 腰のあたり、手のひらを握ると、汗ばみ具合でいかに緊張しているかが分かる。

「ダメです」

 隣で、深くため息をついたのは巫女のミアだ。

 いつも通り、少しくだけた声。

「今日逃げたら、明日から王都中で“光の娘、逃亡す”って噂になりますよ。私も巻き添えです」

「巻き添えって言いましたよね今」

「言いました。だから逃げないでください」

 そのやりとりに、背後から低い笑い声がかぶさる。

「逃がさないから安心しろ」

 振り向けば、ルシアンがいた。

 深い藍色の礼服に身を包み、王太子としての威厳を纏っているのに――いつも通り、目の奥には茶目っ気が残っている。

「逃げようとしてません」

「さっき、“逃げたらダメですか”って言ってただろ」

「聞いてました!?」

「舞台裏で君の声だけ響いてたら、そりゃ聞く」

 からかうようなやりとり。

 それでも、ルシアンがここに来てくれたという事実が、ユナの心を少し軽くする。

 《真実の香》が、鼻先に花の香りを届けた。

 ルシアンの胸から溢れている感情。

 心配。
 期待。
 少しの照れ。

(ああ……本当に、この人は嘘つかないな)

 そう思うと、不思議と落ち着いた。



 やがて、王宮の太鼓が鳴り響く。

 式典開始の合図。

 侍従の声が、中庭全体に響いた。

「――これより、王太子ルシアン殿下の、ご婚約者お披露目の式典を執り行う!」

 歓声。

 ざわめき。

 ユナは、深く息を吸った。

(今日ここには、昔の私を知ってる人たちも、たくさん来てるんだよね)

 牢屋みたいに寒かった孤児院で、同じ毛布を引っ張り合っていた子たち。

 オルフェリア家で一緒に働いていた使用人たち。

 森で、あの雨の夜から私を拾ってくれた女神。

 みんな、それぞれの場所から今日を見ている。

 胸の奥に、淡い光が灯った。

「行こうか」

 ルシアンが、そっと手を差し出す。

 その手は、かつて病の床で震えていたときより、ずっと力強かった。

「……はい」

 ユナは、その手を取った。

 温かい。

 人間の温度。

 神様の光よりも、今はそれがすごくありがたかった。



 幕が上がる。

 光が差し込む。

 人の波。人の顔。

 式典の中心――王族席には、国王と王妃。巫女長セラフィナ。騎士団長ディラン。

 その後ろには、重臣たちと、神殿関係者。

 さらにその向こうに、ずらりと並ぶ貴族たちと、一般市民。

 視線が、一斉にこちらに向かう。

 ユナの膝が、反射的に震えた。

 でも、その瞬間――

 ぎゅっと、手を握り返してくる人がいる。

 ルシアンだ。

 横目で見れば、彼も少しだけ緊張していた。

 それでも、前を見ている。

(あ、ずるい。

 そんな顔されたら、私も頑張るしかないじゃん……)

 胸の奥で、思わず笑ってしまう自分が、少しだけ頼もしかった。



 国王が立ち上がる。

 場が、静まり返った。

「本日この日――我らの国は、新たな一歩を踏み出す」

 国王の声は、いつもより少し柔らかかった。

「女神エリュシアの祝福を受けし娘。

 我が息子ルシアンの命を救い、この国に光をもたらした者。

 ユナ・アークレット」

 名前を呼ばれる。

 胸が、ぎゅっと熱くなる。

「彼女を、“王太子ルシアンの婚約者”として、また、“女神の加護を受けた国の守護者”として、ここに正式に迎え入れる」

 歓声が、爆発した。

 拍手の音。
 誰かの「ユナ様ー!」という叫び。
 子どもの笑い声。

 それら全部が、混ざり合って押し寄せる。

 ユナは、お辞儀をしながらも、その音の中にいくつもの“匂い”を感じていた。

 花の香り。

 「よかったね」と、「ありがとう」と、「これからも頼む」の匂い。

 湿った土。

 「不安」や「嫉妬」や、「本音では納得してない」人たちの感情。

 鉄の匂いは、以前より少なかった。

 “あからさまな悪意”は、控えめになっている。

 完全になくなったわけではない。

 でも、前よりずっと少ない。

 それだけでも、世界は変わったと言っていい。



(……ここに来るまで、本当にいろいろあったな)

 歓声の中、ユナは少しだけ目を閉じた。

 心は、自然と過去へと戻っていく。

 ――孤児院の寒い夜。

 薄い毛布にくるまって、みんなで震えていた。

 誰かの咳。
 誰かの泣き声。

 その中で、いつもなぜか自分だけが少し元気で、みんなの背中をさすっていた。

 たぶん、あの頃から、加護はあったのだ。

 ――オルフェリア家の廊下。

 水差しを抱えて走り回った。

 床を磨き、シーツを干し、パンの匂いにお腹を鳴らして。

 クラリスの笑顔。
 厨房の少年たちの悪戯。

 あの屋敷で、たしかに幸せな瞬間もあった。

 ――雨の夜。

 “不吉な存在”と呼ばれて、荷物一つで追い出されたあの夜。

 冷たい雨の中で、何度も自分のことを責めた。

「ごめんなさい、私……そんなにいけなかったのかな」

 あのときの自分は、本当にちっぽけだった。

 でも――

 ――森の中の泉。

 女神エリュシアと出会ったあの場所。

 全部を見ていてくれた存在が、自分にはいた。

 孤児院でも。
 屋敷でも。
 雨の夜でも。

 あの泉で、初めて「選ばれた」と言われた。

 同時に、「あなたはあなたの選び方でいい」とも言われた。

 それがずっと、心の中に残っている。

 ――王宮の廊下。

 ルシアンと出会って。

 ディランに助けられて。

 セラフィナに諭されて。

 “光の娘”と呼ばれるようになって。

 女神と人間の狭間で、何度も立ち止まって。

 それでも、手を伸ばせる相手にだけは、ちゃんと手を伸ばしてきた。

 その全部が、今この瞬間につながっている。

(線だ)

 孤児院の暗い部屋から。

 侯爵家の廊下から。

 あの森の泉から。

 王宮の庭から。

 全部が、一本の線になって、今、自分の足元につながっている。

 そのことが、不思議で、少し泣きそうになるくらい嬉しかった。



 ふと、頭上から、柔らかな風が吹いた。

 誰にも見えない場所。

 王宮の塔の影。

 人間の目には映らない場所に、女神エリュシアは静かに佇んでいた。

 白銀の髪を、風が揺らす。

 泉はない。
 森もない。

 でも、彼女はどこにいても「ユナの居場所」を見つけることができる。

 中庭の中央で立つ娘の姿を眺めながら、エリュシアは小さく微笑んだ。

「あなた、本当に――」

 少しだけ、目元が緩む。

「人間の世界を選んだのね」

 孤児院で震えていた夜。
 メイドとして走り回っていた日々。
 追放された雨の夜。

 その全部を知っている自分だからこそ、今のユナの笑顔がどれだけ眩しいか、痛いほど分かる。

「あなたの選んだ愛も」

 視線は、隣に立つルシアンへと向かう。

 彼の手が、ユナの手をしっかり握っている。

「あなたの選んだ優しさも」

 これまで、どれだけ“助けたい”と願ってきたか。

 どれだけ、“全部は救えない”と知りながらも、それでも誰かの手を握ってきたか。

「全部、私の祝福よ」

 エリュシアはそっと囁いた。

 その声は風に紛れ、誰の耳にも届かない。

 けれど、ユナの胸の奥にだけ、柔らかな揺れとして触れる。

(……聞こえましたよ、エリュシア様)

 心の中で、小さく返事をする。

 その瞬間、空から静かな光が降り始めた。

 まぶしすぎない、柔らかな光。

 花びらのようにひらひらと舞って、ユナの周りを包む。

 人々が息を呑む気配。

「女神様……」

 誰かが呟いた。

 セラフィナは、静かに目を閉じて頭を垂れた。

 これは、祝福の証。

 女神が、この選択を認め、この未来を祝っている証。



 ルシアンが、ユナの手を少しだけ強く握った。

 視線が絡む。

 その目には、真剣な光と、柔らかな笑み。

「ユナ」

 中庭の真ん中で、彼は穏やかに言った。

 民衆の歓声なんて関係ない。

 この瞬間だけは、二人だけのものだ。

「一緒に、この国を見ていこう」

 それは、プロポーズという言葉よりもずっと静かで、ずっと重い約束。

 ユナの胸に、涙がこみ上げる。

 女神の娘として。

 ひとりの女の子として。

 全部を抱えた自分に向けられた言葉。

「……はい」

 声が震えないように、ぎゅっと唇を噛んでから。

 ユナは、しっかりと返事をした。

「私なりのやり方で――

 たくさんの人を、少しずつ、幸せにしていきたいです」

 完璧にはできない。

 全部は救えない。

 でも、「手を伸ばしたい」と思える人には、ちゃんと手を伸ばす。

 それが、ユナ・アークレットとして、この国に立つ覚悟だった。

 ルシアンが微笑む。

 その笑顔には、「一緒にやろう」という心強い肯定が詰まっている。

 《真実の香》が、ふわりと花の香りを広げた。

 この場にいる多くの人の「祝福」や「期待」や、「ありがとう」の匂いが、優しく混ざり合っていく。



 “平凡メイドの私が追放された結果、女神の加護を独占して国が騒然”

 あの日、冷たい雨の中で震えていた少女には、想像もしなかった未来。

 不吉と呼ばれ、切り捨てられた先で出会った女神。

 女神に選ばれた先で出会った人々。

 泣いて、迷って、怒って、笑って。

 その全部が、一本の物語として――今、ユナの胸の中で静かに結ばれている。

(私は、もう“不吉なメイド”じゃない)

 でも同時に。

(“ただのユナ”でもある)

 孤児院の子どもでも。
 メイドでも。
 女神の娘でも。
 王太子の婚約者でも。

 全部ひっくるめて、「私」。

 そう胸を張って言えるようになるまでに、長い時間がかかった。

 けれど今、ようやくその言葉を自分で信じられる。



 空から降る光が、ゆっくりと薄れていく。

 代わりに、中庭には花の香りが満ちていた。

 庭に咲いた本物の花の匂い。

 そして、《真実の香》が映し出す、人々の「祝福」の匂い。

 それらが重なり合い、柔らかな風となって王宮を包む。

 ユナは、ルシアンの手を握ったまま、そっと目を閉じた。

(これからも、きっといろんなことがあるんだろうな)

 新しい悩みも。
 新しい涙も。

 でも、そのたびに。

 女神と。
 王子と。
 仲間たちと。

 そして、自分自身と向き合いながら――少しずつ前に進んでいける気がする。

 それが、「女神の祝福」であり、「私の選んだ未来」なのだと、今なら分かる。

 物語は、ここでひとつの幕を閉じる。

 けれど、ユナ・アークレットの明日は、この先も静かに続いていく。

 光と、香りと、たくさんの“少しずつの幸せ”と共に。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

エコ
2025.12.10 エコ

一気読みしました。
自分ができることをただ一生懸命行い、相手を思いやる気持ちを大切にしている1人の女性の優しい世界ですね。
面白かったです。

解除

あなたにおすすめの小説

大自然を司る聖女、王宮を見捨て辺境で楽しく生きていく!

向原 行人
ファンタジー
旧題:聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。 土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。 とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。 こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。 土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど! 一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜

神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。 聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。 イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。 いわゆる地味子だ。 彼女の能力も地味だった。 使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。 唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。 そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。 ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。 しかし、彼女は目立たない実力者だった。 素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。 司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。 難しい相談でも難なくこなす知識と教養。 全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。 彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。 彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。 地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。 全部で5万字。 カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。 HOTランキング女性向け1位。 日間ファンタジーランキング1位。 日間完結ランキング1位。 応援してくれた、みなさんのおかげです。 ありがとうございます。とても嬉しいです!

編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?

灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。 しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する

鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】 余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。 いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。 一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。 しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。 俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。

婚約破棄された「無能」聖女、拾った子犬が伝説の神獣だったので、辺境で極上もふもふライフを満喫します。~捨てた国が滅びそう?知りません~

ソラ
ファンタジー
「エリアナ、貴様との婚約を破棄し、この国から追放する!」 聖女としての魔力を使い果たし、無能と蔑まれた公爵令嬢エリアナ。 妹に婚約者を奪われ、身一つで北の最果て、凍てつく「死の森」へと捨てられる。 寒さに震え死を覚悟した彼女が出会ったのは、雪に埋もれていた一匹の小さなしっぽ。 「……ひとりぼっちなの? 大丈夫、私が温めてあげるわ」 最後の手向けに、残されたわずかな浄化の力を注いだエリアナ。 だが、その子犬の正体は――数千年の眠りから目覚めた、世界を滅ぼす伝説の神獣『フェンリル』だった! ヒロインの淹れるお茶に癒やされ、ヒロインのブラッシングにうっとり。 最強の神獣は、彼女を守るためだけに辺境を「極上の聖域」へと作り替えていく。 一方、本物の聖女(結界維持役)を失った王国では、災厄が次々と降り注ぎ、崩壊の危機を迎えていた。 今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくる王子たち。 けれど、エリアナの膝の上には、甘えん坊の神獣様(執着心MAX)が陣取っていて――。 「聖女の仕事? いえ、今は神獣様とのお昼寝の方が忙しいので」 無自覚チートな聖女と、彼女にだけはデレデレな神獣様による、逆転溺愛スローライフが幕を開ける!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。