婚約破棄された瞬間、隠していた本性が暴走しました〜悪女の逆襲〜

タマ マコト

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第14話 心の崩壊

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 夜の最後の層が薄紙みたいに剝がれて、東の光が庭の砂利を一本ずつ撫で始めた。私は玄関の土間にしゃがみ込み、傘立てを両手で抱え上げる。鉄の冷たさが掌に貼りつく。西園寺が横で薄手の手袋を差し出した。久遠から「朝の光で」と指示が来ている。東側の障子を半分開けた。光はまっすぐ、そして無表情である。

「外す」 「ゆっくり」

 傘立ての底板はネジではなく、古い金具で留められていた。こじると、薄い軋みが腹の中まで届く。底板が、紙一枚ぶん浮いた。鼻腔を刺すのは濡れた藁の匂い、そして古い糊。中から、封筒が二通、黒いメモリがひとつ、小さな白い箱がひとつ。封筒の角は新しい。昨日の夜の手だ。

「撮る」  私は角度を作り、光を斜めに当て、影を薄くする。シャッター。封筒の表には母の名——旧姓で。胸骨の裏側が固くなる。深呼吸を一度。背中の真ん中に糸。糸は張れる、張れるはず——。

「開ける?」 「外側だけ。中身は隔離で」

 封を割らずに縁だけ撮る。紙質が違う。同じ封筒に古い紙と新しい紙を混ぜ込んである。雑で、計算が込んでいる。白い箱を開けると、古い写真が三枚。祖父の書斎で撮られた、笑っていない集合写真。手前にE——相談役。奥に若い父。端に、母。母は薄く笑っているのに、その笑いは画に馴染んでいない。貼り替えの違和感。指先が冷たくなる。

「これ、合成だ」  久遠のメッセージ。まるで画面の中の彼が香りまで嗅いだみたいに速い。 『後で証明できる。今は“見たこと”だけ記録』

 黒いメモリはUSBではなく、小さなボイスレコーダーだ。時間の数字が赤で点滅している。西園寺が頷く。再生はしない。再生した音は、もう取り返しがつかない。私はメモリを袋に落とし、封をしてラベルを貼る。手は震えていない。震えていない、はずなのに、背の内側で何かが微かに鳴って、糸の結び目が指先でほどける感触。

「戻す?」 「戻さない。これは“罠”。見なかったふりが罠を育てる」

 底板をいったん閉じて、傘立てを元の位置へ。家の音が定位置へ戻る。戻る音がした。私は立ち上がり、廊下を二歩、三歩。呼吸のテンポが合わない。胸の奥で、潰れた紙袋がふいに膨らんで、またしぼむ。しぼむたび、音が遠くなる。

「莉桜?」  真白の声。昨夜より低い。私は振り向く。彼女はパーカーの袖を握り、目だけで問いかけている。大丈夫、の合図を出す余裕が一瞬だけ遅れた。

 その遅れの隙間に、電話が鳴る。母の主治医。 「——病室に、今朝、匿名の手紙が届きました。“娘さんのせい”と。内容は読み上げていません。遮断しています」  そこまで聞いたところで、音が、崩れた。崩れるというより、床が脈動を始め、私の足だけがタイミングを外される。腹の下で熱が冷え、指の先が鈍くなる。主治医の声が遠く、海の底からの無線みたいに聞こえる。

「——莉桜」  真白の声が、こちら側の海面へ浮上させるブイみたいになる。私は「ありがとうございます」とだけ言って切り、スマホを逆さに置いた。置く音が強かった。強かった自覚が遅れてやってくる。

 廊下の角に、座り込む。膝を抱える癖は無意識で、意識した瞬間に恥ずかしくなる。恥ずかしさは役に立たない。役に立たない感情を、今日は捨てる余裕がない。背中の真ん中に糸——結べない。結ぶための指が、少し遅れて届く。

「莉桜」  西園寺が声を落とす。「水を」。紙コップではなく、ガラスの冷たい重さ。私は両手で受け取り、口に触れさせる。舌の上で水がただの物体になる。味がない。味がないものは、今は助けにならない。

「四つ数えて吸う。七つ止めて、八つ吐く」  久遠のメッセージ。数字の指示は、いつも私の方が得意なはずなのに、今は彼のほうが上手い。私は数字を耳で拾い、肺の中に刻む。四、七、八。四、七、八。空気の角が丸くなる。丸くなるまでは気づかないが、丸くなった瞬間だけが分かる。分かったら、少し戻ってくる。

「五つ、見えるものを言って」  真白が、床に膝をついて目線を合わせる。「白い壁」「西園寺の手袋」「光」「傘立て」「あなた」。言うたびに世界が一つずつ、輪郭を取り戻す。取り戻すことが、こんなに肉体的だなんて、知らなかった。

 崩れたのは、たぶん「私」ではなく、私の中にまだ残っていた「家の中の子ども」だ。祖父の机のニスの匂い、母の薄い笑い、父の沈黙。底板の中に詰め込まれた家族の歴史が、私の背骨の中の古い釘を押し出してきた。釘は、抜けたら痛くない。抜ける瞬間だけが痛い。痛みは、長くは続かない。

「……大丈夫」  言う。声はかすれているが、嘘ではない。真白は頷いて、私の背中を一度だけ撫でる。撫で方が上手い。軽すぎず、重すぎず。撫でるというより、位置を示す触れ方。背骨を思い出す触れ方。

「父上が」  西園寺が小さく顎で示す。父が玄関に立っていた。黒いスーツ、目は室温、肩は剣山みたいにまっすぐ。今日は理事会。Eが動議を出す日だ。父は言う。 「行ってくる」 「行って」 「戻れとは言わない」  私の胸が一度だけ温かくなる。この家の人間の短さは、時々正確だ。私は頷く。父は靴を履き、扉が短く開いて長く閉じた。閉じる音で、家が一つだけ軽くなる。

「莉桜」  久遠。玄関には来ない。ドアの向こうの空気を掴むように声だけを置く。 「今の状態で“公開”はするな。昼まで待て」 「分かってる」 「Eは“家の感情”を突く。君が感情で動く瞬間を、カメラで待っている」 「感情で動きたい夜もある」 「今は朝だ」  くだらない突っ込みを返して、笑いそうになって、笑わない。笑いは燃料を無駄にするけど、今はちょっとだけ熱が要る。

 洗面所へ行き、水で頬を撫でる。鏡の中の自分は、泣いた後の人の顔だ。目のふちは薄く腫れ、唇の色が少しだけ弱い。悪くない。不必要に強く見えない顔は、今の仕事に向く。私はタオルで押さえ、額の汗を指で拭う。額の皮膚は、正直だ。

 小書斎。USBの隔離環境を立ち上げ、朝の傘立ての写真を並べる。写真の端に写り込んだ繊維、封筒の紙目、印字の熱のムラ。合成と本物の境界は、触れていると分かる。分かったうえで、今は出さない。出したい衝動をメモに落とす。「この合成は古い手口。古い手口は証明しやすい」。文字にすると、血が少しだけ静まる。

 真白がドアのところに立った。「学校、どうしよう」 「行ける?」 「行きたい。泣く時間は、帰ってからもある」 「じゃあ、約束。知らない番号に出ない。“かわいそう”を拾わない。帰りは裏口」 「了解」  彼女は小さく手を振り、背筋をすっと伸ばして出ていく。背中の真ん中に糸。彼女の糸は、今日はよく見える。たぶん私が見えるようになったのだ。

 ドアが閉まる音がしたあと、家の空気がまた少し移動する。私は机の角を指で叩く。テンポは四拍子。四、七、八の呼吸に合う。身体のなかの音楽を揃える。揃えたところで、固定電話。受話器の向こうは、砂利の笑いを持つ老人。

「——君の父上、負ける」 「検討違いの快楽を、そこで取るな」 「快楽だと? 伝統が守られる」 「伝統は小麦粉じゃない。ふるえば救われる種類の粉じゃない」 「言葉遊びだ」 「遊んでない」 「君の母上の“写真”、よく撮れていたろう」  胃の奥で、冷たい刃の先がコップの縁を叩くみたいに鳴った。私は数を数える。四、七、八。 「合成だ。朝の光は嘘を嫌う」 「——君は、夜には弱い」 「今は朝だ」  切る。受話器の置き方が、少しだけ強い。強い音は、家の骨を傷つけない。たぶん。

 十時。病院から報告。「今朝の封書の差出人、警備が映像で押さえました。宅配業者を装った女」。私は弁護士と病院のセキュリティ担当と短い三者通話。「刑事告訴の準備」。事務の会話は、呼吸を整えるメトロノームだ。感情は後から来る。後から来る感情のために、先に段取りを置く。

 十一時半、理事会の速報が内部から落ちてくる。匿名の役員アカウント。「動議、差し戻し。E、次回に持ち越し」。父の肩の高さが、頭の中で少しだけ下がる。下がって、戻る。戻れる筋肉は、まだ残っている。よかった。よかった、は口に出さない。出すと、足がゆるむ。

 昼。久遠から“今だ”。私は下書きに置いていた短いスレッドを出す。写真は一枚も付けない。数字も出さない。言葉だけ。

『朝、家の底板で“誰かの意図”を見た。反応はしない。呼吸する。構造にだけ、刃を置く』

 賛否がまた踊る。踊る音から一歩、二歩と引く。引く技術は、最近すこしだけ上手くなった。西園寺が小さな器に塩を入れて、机の端に置く。指でひとつまみ舐める。舌が現実に戻る。現実は、だいたいしょっぱい。

 午後。真白から「保健室」。肩の力がゆるんだ絵文字の代わりに、漢字だけの報告。よくやっている。私は「りんご」を返した。彼女は「半分」と返した。半分の正義。

 十五時。玄関のチャイム。「宅配便です」。インターホン越しに「置き配で」と返し、外へ出ると、細長い箱。中に薔薇——ではなく、工具。釘抜き、プラスドライバー、六角レンチ。添えられたカード。「底板の開け方」。私は笑えなかった。親切の顔をした侵入。久遠に写真だけ送って、ガムテープで封をして、倉庫へ。触らない。触らないことは、時々いちばんの行動だ。

 十七時。父が戻った。靴音はいつもより遅い。目は室温。口は結ばれている。私を見る。父は言う。 「負けなかった」 「知ってる」 「勝ってはいない」 「知ってる」  短いやりとりの中に、昔から使ってこなかった筋肉が動く音がした。家族というのは、会話の回数ではなく、正確な短さの重ね方でできているのだと、今さら知る。

 夜。病院から、母が眠ったと連絡。真白は宿題の写真を送ってきて、「数学、嫌い」と短く。私は「数字は、呼吸」と返す。返しながら、自分の言葉が自分に向かって戻ってくるのを感じる。今日、私は呼吸でやっと立っていた。立っていたけど、一度、崩れた。崩れた瞬間のことを、ちゃんと見ておく。

 机にノートを開く。見出しを書く。“心の崩壊”。箇条書きをやめて、長い息みたいに書く。

 ——崩れる音は、静かだった。床がわずかに遅れてついてこないみたいに、世界の輪郭が一枚ずれた。崩れたのは、私ではなく、私の中の古い家だった。祖父の匂い、母の笑い、父の沈黙。底板に押し込められた時間が、背骨の中の釘を押し出した。釘が抜けたら、痛くなかった。痛いのは抜ける瞬間だけだった。泣きはしなかったけれど、泣き方を思い出した。思い出したのは、真白の掌の温かさと、四・七・八の呼吸と、塩の味。崩壊は、崩して、組み直すための段取りの一部だった。——

 ペンを置く。スマホが震える。久遠。 『今日の君は“切らなかった”。それがよかった』 『切れなかった、が正しい』 『どちらでもいい。見極めた』  短い沈黙のあと、彼はもう一行。 『明日、Eを“見る”。行くなら、手順を守れ』 『守る』

 真白がドアをノックする。「おやすみ」。私は立ち上がり、廊下で彼女を抱く。彼女は「重い?」と聞く。私は首を振る。「軽い」。軽さは、涙を出し切った身体の重さ。私は知っている。今日、私も軽くなった。少しだけ。

 灯りを落とす。ベッドに横になり、天井の模様を数える。背中の真ん中に糸——今度は結べる。結び目はいびつだけど、強い。目を閉じる前に、昼の底板の写真がまぶたに映る。朝の光は、嘘を嫌う。明日も、朝から始めればいい。心が崩れる音は、終わりの鐘じゃない。始めの合図だ。私はその合図を、息に合わせて数える。四、七、八。四、七、八。呼吸が、刃を冷やす。冷えた刃は、また切れる。切る順番を間違えなければ、誰も死なない。そう信じる夜に、私は目を閉じた。

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